小野寺の観てきた!クチコミ一覧

1-20件 / 44件中
トウキョウの家族

トウキョウの家族

Theatre劇団子

駅前劇場(東京都)

2015/05/20 (水) ~ 2015/05/24 (日)公演終了

満足度★★★★

ほっこり
久しぶりに劇団子の芝居をみた。

彼ららしい愛に溢れ、優しさに満ちた素晴らしい作品。復活公演にふさわしい作品だと思った。

新しい劇団員の皆様の演技も良かったが、斉藤さん、大高さんの安定したすばらしい演技は心に残った。これからの活動、作品が本当に楽しみになった。

石山さんの芝居に対する魂のような、覚悟の宣言のような作品を見逃してはいけない!

ある日の出来事

ある日の出来事

リブレセン 劇団離風霊船

ザ・ポケット(東京都)

2011/11/09 (水) ~ 2011/11/13 (日)公演終了

満足度★★★★

伊東演出冴え渡る!
離風霊船らしい不条理劇で、観る者をじわじわと追い詰めてくるような作品だった。

俳優の皆さんの演技もすばらしく、濃密な時間を過ごさせていただいた。

最近観た芝居を否定するわけではないのだが、久しぶりに「演劇」らしい「演劇」を観た感じ。

人が人を演じると言うことを極限まで追求し、俳優をがんがん追い込んだであろう伊東さんの演出は、本当におもしろかった。

残念ながら、今日(13日)の15時からの回が千秋楽となるが、すごくおすすめな作品。

離風霊船おなじみの、楽日スペシャルは見逃せないと思う(笑)。神出鬼没な演出家・伊東由美子さんが、俳優たちにも内緒で、登場するとかしないとか。

バック・トゥ・ザ 三億円事件!

バック・トゥ・ザ 三億円事件!

THE東京ピチピチBOYS

北沢タウンホール(北沢区民会館)(東京都)

2011/08/27 (土) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★

俳優の皆様が素敵でした!
私の劇団、WHATCOLORの笑門福が出演させていただいたので、拝見しました。

すごく素敵な作品でした。シンプルでわかりやすいストーリーの中に、物語の細かい伏線が丁寧に張られ、とても魅力的な作品に仕上がっていたと思いました。

私は特に出演の皆様の演技に、強く魅きつけられました。

WHATCCOLORと縁がある、大高雄一郎さんと、仲沢景さんの演技はとても素敵でした。私たちの劇団に参加していただいたときは、いわば弟分的な役で出演していた彼らが、「バック・トゥ・ザ 三億円事件!」では、兄貴分の役で出演していました。時の流れを感じるとともに、彼らの成長を感じ、なんだかすごくうれしくなりました。

そして、主演をつとめた久永輝明さんの熱い演技には、すっかりやれてしまいました。芝居に対する情熱がまっすぐ現れた演技に心を引かれ、是非一度一緒に芝居を作らせていただきたいと思いました。

また、笑門 福と絡みが多かった、平川舞弥さんのかわいらしい演技もとても印象に残りました。もし興味があるなら、WHATCOLORの舞台でも、笑門 福と共演してほしいと思いました。

デビルマン~不動を待ちながら~

デビルマン~不動を待ちながら~

桜美林大学パフォーミングアーツプログラム<OPAP>

PRUNUS HALL(桜美林大学内)(神奈川県)

2011/05/13 (金) ~ 2011/05/20 (金)公演終了

満足度★★★

見応えがありました
セリフ量が多い脚本を、学生の皆さんがとてもまじめに懸命に演じているのが、すごくよかった。

もちろん学生なので、演技のつたない部分やつっこみどころは、正直満載だったけど、演じている俳優たちの情熱にあふれた演技に引き込まれっぱなしだった。

上手い下手よりより、演じる側の情熱で、観る側の心が動くことを改めて実感できてうれしくなった。

私が普段行く劇場と違って、今日は10代後半から20代前半のお客様が多かったが、そうしたお客様が、この公演をご覧になって、演劇を好きになったら本当にうれしい。

隣に座った女の子が、号泣している姿を見て、演劇に携わっている自分を誇らしく感じました(笑)。

溢れんばかりの情熱と熱い思いに満ちた彼らの芝居は、本当におすすめです。

STATION

STATION

リブレセン 劇団離風霊船

ザ・スズナリ(東京都)

2011/05/11 (水) ~ 2011/05/17 (火)公演終了

満足度★★★

さすが老舗劇団!
離風霊船といえば、時事ネタを独自の視点で、作品に取り入れることで知られている劇団。今まさに現在進行中の災害を、どのような形で、そしてどんな視点で、作品に表現されているのか、すごく楽しみでした。

この公演には、私が演出した「トランス」で初舞台を踏んだ倉地裕衣</a>が出演してます。なんと老舗劇団である離風霊船に二度続けての出演となりました。

また、劇団公演への出演が1年ぶりという、伊東由美子さんの演技も楽しみでした。芝居人として男前な(笑)彼女の姿は、本当にかっこいい。久しぶりのホームグランドで、どんなあばれっぷりを見せてくれるのか、わくわくしながら劇場へと向かいました。 

ネタバレBOX

おそらく作品を書いている途中で、あの震災が起こり、大橋さんはあの未曾有の災害をどのようにとらえるかをものすごく悩んだのだと思います。

結果、久しぶりに大橋さんらしい切り口の、作品になっていました。

人それぞれが生きる価値を見いだし、顔を上げて前を向いて歩いていこう。大丈夫元気になれるよ。

そんなメッセージが詰まった作品。離風霊船の公演で泣いたのは本当に久しぶりでした。

また、リブレの大矢敦子さんファンには、注目の舞台美術が!(笑)是非探してみてください。

「STATION」は群像劇だったので、それぞれのキャラクターを演じる俳優さんたちの、ポテンシャルの高さがすごく印象的でした。物語の中心を担っていた松戸俊二さんの安定ぶりは、さすがでした。

そして、主宰の伊東由美子さんの演技は印象に残った。なんといううか、自由な感じというか、リラックスしている感じというか。松戸さんとは逆の意味で、安定感がありました。

松戸さんと伊東さんがいることで、ほかの俳優さんが自由な演技ができるんだろうなということを感じました。

また、私の娘的存在の(笑)倉知裕衣。おもしろい役をいただき、がんばって取り組んでいたように見えました。そして、瀬戸君は何となく飛び道具的な存在で、 安心して観ていられました(笑)。
こども かける たそがれ ぶん の いち

こども かける たそがれ ぶん の いち

しずくまち♭[フラット]

d-倉庫(東京都)

2010/10/09 (土) ~ 2010/10/12 (火)公演終了

満足度★★★

エネルギーが満ちあふれていた!
実は私は2004年の初演を観ていたので、今回どのような作品に仕上がっているのかが、とても楽しみだった。

ちいさな王国に流れ着いた一人の自称「こども」。彼がやってきたことで、王国の人間関係のバランスが少しずつ崩れていく。

こどもとおとなの境界線を、不老不死であるひととそうでないひとの間に引いた、ナカヤマカズコさんらしい不思議な世界観のお話だった。

出演者のほとんどが、演劇を始めて間もない俳優とのこと。彼らが演じた「こども」は、演じることへの思いにあふれ、彼らの目にはパワーがみなぎっていて、私はすっかり物語の世界に引き込まれてしまった。

少し変わった難しい世界観の中で、どの俳優もみずみずしいエネルギーにあふれた演技をしていて、すごく素敵な公演に仕上がっていたと思う。

◎恒例!気になる俳優さん!
この公演で私が注目したのは、野澤恵梨さん。難しい役どころをのびのびと、楽しそうに演じていたのが印象に残った。

おそらく彼女は、細かくつけられた演出に答えるために、もの凄く沢山の努力を積み重ね公演に望んでいたように見えた。今後の活動に注目したい。

そして身内の倉地裕衣。慣れない環境の中で、沢山の苦労をしたんだと思う。彼女が演じた役は、すごく難しい役だったが、彼女の今のベストが出せていたんじゃないかと思った。今後の彼女の活躍に期待したい!

ネタバレBOX

物語の中で、手作りの星形の飾りに願いを書いて、舞台に飾られたロープにつるすというシーンがあった。やがてそれが、物語の重要な複線となっていくこのシーンは、この作品で私が最も好きなシーン。

このシーンを観ながら私自身の、おとなとこどもの境界線を考えさせられた。

そして、ワークショップ公演の素敵さにちょっと心を動かされた。

私も、演劇を始めて間もない、みずみずしいエネルギーに満ちた俳優たちと作品を作ってみたいなと思った。

「こども かける たそがれ ぶん の いち」は本当に素敵な公演だった。
まなこ の おく の ちいさな おんな

まなこ の おく の ちいさな おんな

しずくまち♭[フラット]

d-倉庫(東京都)

2010/10/08 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★

女性のはかなさと強さを感じた
しずくまち♭の最大の特徴で、最大の魅力は、音楽の生演奏。今回の公演「まなこ の おく の ちいさな おんな」では、ピアノとピアニカによる生演奏だった。

電子回路が一切介在しない、人間の声と、楽器が振るわせる空気の波動だけで構成された作品は、ライブ感と魂を直に揺さぶってくれるパワーにあふれていた。

ナカヤマカズコさんの作品を観るのは、久し振りだったのだが、何だか作品が持っている空気感が、少し変わったような気がした。なんというか、少し丸くなったというか、よりソフトになった印象。

以前のナカヤマさんの作品は、ふわりとした空気感の中に、少し尖ったメッセージがちりばめられていた気がした。しかしこの作品では、尖ったメッセージは作品のテーマの奥底にうまく封じ込められ、彼女がこの作品に託したかったであろう、女性のはかなさと強さを、とてもシンプルに柔らかく表現していた。

ナカヤマさんのなかで、様々な変化が起こり、この作品にたどり着いたことがすごく素敵に表れていた。

「まなこ の おく の ちいさな おんな」は、とても良い作品だったと思う。

作・演出のナカヤマカズコさんの世界観は、ライブならではの魅力を最大限に生かしたとても魅力あふれる物だった。

生の楽器演奏と芝居のコラボレーションは本当に素敵だった。

ネタバレBOX

◎恒例!気になる俳優さん!
主演の諏訪友紀さんは、とてもよかった。「見つめられる」宿命を背負った「女」の葛藤や情念、そして次第に変化していく感情をとても丁寧に演じていた。

今後の彼女の活動には注目したい。

そして、岡田桂子。物語の重要なキーマンとなる難しい役を、彼女らしいアプローチでとても素敵に演じていた。特に後半の感情が大きく揺れ動き変化したあとの演技は、良かったと思う。再び彼女と芝居を作るのが楽しみになった。
伝説との距離

伝説との距離

シャチキス(少年社中×ホチキス)

シアタートラム(東京都)

2010/09/16 (木) ~ 2010/09/19 (日)公演終了

満足度★★★★

ばかばかしいまでに素朴なテーマの奥に隠された愛!
宇宙という壮大なイメージで繰り広げられた物語なのだが、テーマはもの凄くシンプルなモノ。

悪く言えばばかばかしいまでに素朴なテーマに心を許し、無警戒に大笑いしていたはずなのに、いつの間にか頬を涙がつたっているという秀逸なストーリーだった。

この芝居の魅力は、何と言っても個性が強い俳優達のぶつかり合い。しかも、それぞれの俳優達がホームグランドではあまりやらないキャラクターを演じているところ。

そしてこの公演では、少年社中から11名、ホチキスから8名の俳優が参加し、総勢19名という大所帯の舞台となっていた。

そんな個性の強い俳優達の芝居を見事にコントロールし、観る方が気持ちよくなるバランスでまとめた毛利さんの演出は、本当に見事だった。

個性の強い俳優達の共演は本当に刺激的で、俳優と作家、そして演出家の熱い思いがバンバン客席に伝わってきていた。

ネタバレBOX

私のオススメはオープニングで出演者が演奏する生演奏と、ストーリーに重要なイメージを与える歌唱シーン。本当に圧巻だった。ちょっと告白してしまうが、私はもともと人間の声のパワーとか、生の演奏とか、劇空間の空気を実際に揺さぶる演出は大好き。だから、そのシーンはむちゃくちゃ涙腺がゆるんだ。

そして、この芝居を観て私が強く受け取ったメッセージは、彼らの「愛」だった。

「食」という誰もが身近なテーマを通して、人と人とのふれあいや、今の世の中で何となく否定されている空気がある「個性」の大切さ、そして本当の協調性の意味など、お客様の誰かが抱えているであろう葛藤に、まっすぐ語りかけくるような台詞と演技の数々。

誰もが心の隅に抱えている寂しさに、少し遠慮がち優しくに、だけど力強く語りかけてくるメッセージには、観ているお客様の心を暖めようとする彼らの気持ちがあふれていた。

宇宙船のコンピューターホログラムを演じていた、ホチキスの女優・齊藤美和子さん。脚本が描く彼女の設定や、彼女のかわいらしさには本当にやられてしまった。

そして、身内びいき承知の上パート1的に言えば(笑)、「ほほえみ」をとある理由で追いかける男を演じていた長谷川太郎さん。

彼は冒頭のシーンで、彼の容姿と声のトーン、そして、行き過ぎを感じるまでの(笑)大げさな芝居で、一気に観客を「日常」から、虚構のファンタジーに引き込んでくれた。

彼の情熱的な芝居と声の質は本当に魅力的だと思った。太郎君の声は、以外とアニメでもいけるんじゃないかという錯覚さえ感じさせてくれた(笑)。

最後に身内びいき承知の上パート2!(笑)

「ほほえみ」の艦長を演じていた岩田有民の芝居が本当によかった。

ちょっととぼけた感じで登場する艦長が、次第に物語の中心人物として描かれ、次第に物語のテーマを背負った重要な人物に変わっていく。そんな少し難しい役どころを、岩田有民は本当に丁寧に、そして情熱的に演じていた。本当に格好良かった。

私はこれまで、彼がちょっと尖ったヒールを演じるのがはまっているし、彼らしい芝居が出来ると考えていた。事実、私がプロデュースした芝居ではそうしたヒールの役で出演して頂いていた。

そして彼もそうした役が好きで、そうしたヒールみたいな演技を望んでいたように見えた。

だけど、前作の「ネバーランド」で彼が演じていたトゥートルズを観て以来、もしかしたらその私の考え方が間違っているのではないかと考えていた。

今回の艦長を演じる彼を観て、その間違いが正しかったことに気がついた。そして、彼の俳優としての才能に改めて驚かされた。

「伝説との距離」で彼があんな芝居をするとは全然思っていなかったけど、私は、彼の今回の役は後世に残るあたり役なんじゃないかと感じた。
傷心館の幽霊(浅野泰徳演出)

傷心館の幽霊(浅野泰徳演出)

(株)喝采企画

シアターKASSAI(東京都)

2010/08/25 (水) ~ 2010/08/29 (日)公演終了

満足度★★★

浅野さんの演出力にうなった!
脚本がとても面白く、そこに浅野さんならではの演出が乗っているのが、とても心地よかった。

久間さんが、この脚本を浅野さんに演出させたセンスは、本当に素晴らしいと思った。

ネタバレBOX

俳優の中に何人か、感情を旨く身体表現できてない方がいて、それは少し残念だった。

松宮かんなさんが、これだけしっかり「人間」の役を演じているのは、初めて観た気がする(笑)。なかなか素敵でした。

そして、
それにしても、
福津屋兼蔵さんの「おかま」役は、
ずるい。(笑)

福津屋さんの実力の高さを、改めて感じさせて頂いた。


悪役志願

悪役志願

黒色綺譚カナリア派

座・高円寺1(東京都)

2010/08/20 (金) ~ 2010/08/26 (木)公演終了

満足度★★★

劇空間が「ムック」ワールドに染まっていた!
この公演に、私が主宰いているWHATCOLORに出演したことがある、大原研二さんが出演していたことがきっかけで、劇場に足を運んだ。

この劇団は、少し自分の好みとは違う感じがしていたので、興味を持ちながらもなかなか観る機会がなかった劇団の一つだったので、彼がこの公演に参加してくれたことを喜んだ(笑)。

高さがある「座・高円寺1」の舞台をうまく生かした多層構造のセットをはじめ、照明や音響、俳優の台詞や舞台上の空気感が、一つの世界観にまとめ上げられていて、とても面白い作品だった。

ネタバレBOX

娼館で渦巻く陰謀と、時代に翻弄される人々の群像劇。描かれている世界観が、リアルすぎないのがとても心地良い感じ。

女性陣の素敵な衣装と、意味ありすぎる男性陣の衣装にも注目。女性演出家らしいこだわりと遊び心に、思わずほくそ笑んでしまった。

印象に残ったのは、ダメ男に翻弄される女の愚かしさと愛おしさ。

他にもその事に触れている方がいたが、ダメ男に惚れたことがある女性は、かなり感情移入してしまい、そしてその時の傷を思い出して、ちくっとするくらい、リアルに描かれていたような気がする。

そして私が印象に残った俳優は、牛水里美さん。

オープニングとエンディングでは別人のようになるテコと言う人物を見事に演じていて、容姿とは裏腹な演技と、実力の高さに驚かされた。

私の中で是非一度、一緒に芝居を作ってみたい女優さんとなった。
ネバーランド

ネバーランド

少年社中

青山円形劇場(東京都)

2010/06/23 (水) ~ 2010/06/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

少年社中の代表作になる!
誰も立ち上がれないほどの熱い思いが、会場を満たしていた。こんな舞台に立ち会ったのは、本当に久し振りだった。
より多くのかたに観て欲しい。特に、普段芝居に足を運んだことがない方。
こんな辛い時代を頑張って生きている、疲れ切ったたくさんの「大人」に観て欲しいと思った。
あの音楽かっこ良さ、照明の美しさ、衣装の繊細さ、俳優達の姿、そしてあの劇場で体験できることを考えると、間違いなくチケット代は安い。
是非、あなたの大切な方と一緒に足を運んで欲しいと思う。
ちなみに私は一人で行って、もの凄く後悔した(笑)。なんならもう一度観に行きたい気分。
そしてこの公演には、私がプロデュースを行っている「青の靴下と鳩と太陽☆PROJECTS」の公演で、チーフ制作をつとめてくれた内山智絵さんが女優として参加していたのと、照明を担当してくれた菅沼玲さんが、スポット操作で参加していた。

ネタバレBOX

まず最初に私が衝撃的だったのは、オープニングのかっこよさ。
ワクワクするような音楽が会場に流れ出し、照明が美しく劇場を彩り始める。
徐々に音量が上がってくるとともに、次第に劇場が暗くなっていく。
そこから始まるトップシーンには、本当にやられてしまった。
そして、次々と登場してくる魅力的なキャスト達。彼らのキャラクターに心を奪われる。
エネルギーに満ちあふれた俳優達が躍動する姿は、生の舞台でしか味わえない充実の時。
人が人を観ると言う贅沢な時間を、すごく実感できる作品になっていた。
恒例の気になった俳優さんは、何と言ってもこの劇団の看板、井俣太良さんと大竹えりさん。
この二人の芝居は、掛け値なしにかっこいい。とくに大竹えりさんは、この数年で抜群に成長した女優さんだと思う。
女性としての艶やかさに加えて、コミカルな演技でのかわいらしさは、本当に素敵。
今回の岩田有民の芝居は本当に良かった。
彼は、大人になることを周りより少しだけ早く受け入れてしまう、トゥートルズと言う役を演じていた。けして派手な役ではないが、物語をしっかりと支える役。
この芝居を観た多くのサラリーマンは、かなりの確立でトゥートルズに感情移入できると思う。そして彼が絞り出すようにして選ぶ、行動には涙なしでは観られないと思った。
そんな重要な役を岩田有民は、本当に丁寧にしっかりと演じていた。俳優としての彼の実力、そして魅力を改めて感じられる作品だった。
深情さびつく回転儀

深情さびつく回転儀

電動夏子安置システム

サンモールスタジオ(東京都)

2009/10/16 (金) ~ 2009/10/25 (日)公演終了

満足度★★★

他の結末が気になる!
YouTubeには予告編や出演者による内容解説などが上がっていた。

私も自分の劇団やプロデュース公演で、映像による宣伝活動を行っているので、「電動夏子安置システム」のこうした映像によるアプローチにとてもリスペクトな感じ。

とても楽しみに劇場に足を運んだ。

ネタバレBOX

良くも悪くもとてもざっくりとした脚本(笑)だったが、台詞の勢いや、キャストのキャラクターのおもしろさで、物語を楽しむことが出来た。

ある種ミステリー的な展開の中で、印象的なキャラクターやうまくいかない会話のやりとりで、おおいに笑わせてもらった。

6つのエンディングがあるということだったが、物語の分岐点がどこにあるのかは全く分からない脚本となっていて、他のエンディングがとても気になった。

◎印象に残った俳優さん
この公演をご案内くださった七味まゆ味さんの存在感はさすが。心に響く声と立ち姿は印象に残った。

そして、菊地未来さん。はかない感じの女性を印象的に演じていて、心に残った女優さん。

それから、道井良樹さん。彼が演じていたKYなキャラクターは、きっとこの劇団のお約束なキャラクターなのでしょう。とても面白かった。その存在感が、物語をぐいぐい引っ張っている感じ。良い俳優だと思った。

◎ちょっぴり気になった点
細かい設定や、仕組みの説明を脚本から省いてあったことで、純粋に舞台上で巻き起こる出来事や台詞などを楽しめた。

しかし私は設定や仕組みの説明がなかったため、なかなか物語の世界観に入り込めなかった。

「電動夏子安置システム」という劇団を何度か観ているお客様にとっては違和感がないのかもしれないのだが、初見だった私は、物語の展開の途中で、頭に何度もクエスチョンマークが浮かんでしまった。

劇団の主宰で脚本を担当した竹田氏が、「不親切」な物語構成であると当日パンフレットにコメントしていたが、私はおそらくご本人が思っていないであろう点で、「不親切」だと感じてしまった。

また、段取りに追われ、演じている人物の動きと気持ちがバラバラな俳優が何人かいた。

丁寧に感情をつなげている俳優もいたし、全体的なキャストのバランスもよく、キャラクターづくりも面白かったので、すごく残念だった。

とはいえ、とても面白い企画だと思うし、物語としても楽しめたので、オススメな公演であることは確か!
CLASSICS vol.2

CLASSICS vol.2

AND ENDLESS

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2008/12/12 (金) ~ 2008/12/25 (木)公演終了

満足度★★★★

私が見たのは、『Cornelia』
ファンタジーの世界観をうまく作れるかは、芝居全体のクオリティーを維持する意味で重要な要素。そのために、舞台美術と衣装は、本当に重要になってくる。

そこに力を入れている劇団ということだけあって、舞台美術と衣装は質が高く、安心して物語の世界観に浸ることが出来た。

明らかに劇団のファンだけを対象に作られたシーンが、多くちりばめられていた事は、千秋楽スペシャルだったことを差し引いたとしても、新たなファンや純粋な演劇ファンを遠ざけてしまうのではないかと、思ってしまった。

しかしながら、全体としては脚本や俳優のレベルも含め、とてもクオリティーの高い作品だったと思う。

ネタバレBOX

オープニングにコラージュされたシーンが、物語が進むごとに繋がっていくという構成で、ちりばめられた複線が徐々に繋がっていく。

過去へと飛ばされた主人公達の素性が少しずつ明らかになるにつれ、「薔薇戦争」のあらましが解き明かされるという脚本は、とても面白かった。

照明や映像が、舞台装置をより奥深いものにしていて、とても美しい舞台だったし、派手な音楽にあわせたダンスや、殺陣シーンはよく計算されていて、とても見ごたえがあった。

主宰・作・演出・主演までこなす西田大輔という人のパワーに、とても感動し、とても興味を持った。是非一度、酒でも飲みながら、演劇論を語ってみたいと思った。

クリスマスと言うことで、来場者全員にプレゼントをわたしてくれていた。

お客様を楽しませる事に徹底していて、とても素敵なことだと思った。だってとってもうれしかった(笑)。

私にプレゼントをわたしてくれたのは、嘉陽愛子さん。素敵な女性にプレゼントをいただくと、掛け値なしでうれしくなる(笑)。

単純…
軋み

軋み

ブラジル

新宿シアタートップス(東京都)

2008/12/10 (水) ~ 2008/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★

結末はきっと賛否両論!しかし私は…
俳優皆さんの個性的で魅力あふれる演技が、「軋み」という作品をブラジルならではのアンサンブルをかもし出し、より深く、魅力あふれる作品へと導いていた。

本当に面白く、ある意味ブラジリィー・アン・山田氏でなければ書けない、彼自身の愛がこもった素晴らしい芝居だった。

ネタバレBOX

ある種、ブラジルらしくない物語の結末。その結末を選んだブラジリィー・アン・山田氏は、とても勇気のいる決断をしたとも思えたが、私にとってはとても心地よい結末だった。

私は、この「軋み」で描かれた夫婦の形にとても共感し、感動した。特に櫻井さんが演じたダメ夫ぶりは、本当に良かった。

そんなことを、回りの女性に話したら、あんな男性は絶対に許さない。という方が多く、自分のダメ男ぶりを再確認することになった。

私はこの作品が、ブラジリィー・アン・山田氏の将来を方向付けるような作品になるのではないかと思う。

「別に『エロ・グロ』じゃないきれいな作品だって、俺らしく面白く書けるんだぜ」っていっている感じがした(笑)。

今後の彼の作品がとても楽しみ。
賊

劇団6番シード

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2008/11/14 (金) ~ 2008/11/24 (月)公演終了

満足度★★★

コーフンしました!里江も良い役で良かった
総勢40人が、舞台のみならず、客席の脇や、真ん中の通路など、会場中を走り回る様子は、本当に迫力があった。そのすべての登場人物たちが、どの人物も丁寧に描かれていて、すべてのキャラクターが生き生きと演出されていた。

そして、それぞれのキャラクターを彩る衣装や、ヘアスタイルもとても素敵だった。特に女優陣が着ていた着物は、本当にきれいだった。

音楽もとても印象に残った。特に生での歌唱シーンがあった、挿入歌はとてもよかったし、彼らが鬼だという設定は素敵だった。

また、脚本もとても面白く、東・西・南に分けられた海賊達や、その争いに巻き込まれた北の公家達の思いが、徐々につむぎあってエンディングへと向かっていくストーリーは見事だった。

休憩を挟んだ3時間の芝居だったが、まったく長さは感じなかった。

ただ、要素を盛り込みすぎていて、少しだけストーリーが散漫になり、エンディングのダイナミックさが少し、物足りなく感じてしまった点や、細かい点だが、滑舌悪く台詞が聞き取りづらい方がいたのは、大きいステージだけにもったいないなーと感じた。

脚本をもう一息練れたり、俳優個々の細かい稽古をもう少し追及したら、さらに良くなると感じてみた。

しかし全体的には素晴らしい作品だったと思うし、15周年の[総力]公演と題打っているだけあって、見ごたえたっぷりな公演だった。

ネタバレBOX

うちの劇団の女優、山岸里江が演じていた嶺森(ねむり)という役は、他の女海賊達と少しテンポが違った役で、印象に残る役だった。少し色気のある感じに演出され、これまでに観た事がない感じの役で、とてもよかった。

これまで劇団では、しっかりと色気を要求されるような役を演じていなかった気がするのだが、何かとても彼女らしいキャラクターのように見えて、それでいてまったくこれまでこんな演技をした山岸を見たことがないと感じられるような、とても魅力ある配役だったと思う。

女海賊達の冒頭のシーンで、踊りを舞う三人の海賊が登場するのだが、そのシーンは彼女が振り付けを行っていた。

そこに踊りが入ってくるという演出も素敵だったし、彼女の振り付けや踊りも素敵だった。

この役を演じたことで、彼女もいろいろなことを感じ、新たな欲も出てきたようだ。

私は彼女がこの役に出会ったことは、大きな財産だと思った。女優として思い切って幅を広げられるチャンスだと思う。

彼女の成長がますます楽しみになってきたし、次に彼女が演じる役を、どうするか考えるのが楽しみだ。本当にいい役を頂いたと思う。

今回の作品を作・演出をされた松本陽一さんには、改めて感謝の気持をお伝えしたい。そして、一緒に作品を作ってみたいという気持ちを、いっそう強く持った。
あなたと私のやわらかな棘

あなたと私のやわらかな棘

ジェットラグ

新宿シアタートップス(東京都)

2008/10/17 (金) ~ 2008/10/26 (日)公演終了

満足度★★★★

良かったポイントは大きく3つ
なんと言っても今回の演出家が、私が今最も注目している若手劇団、柿喰う客の中屋敷法仁さんが演出していると言うことで、是が非でも観に行こうと思っていた。

私的にこの「あなたと私のやわらかな棘」が良かったポイントは、大きく3つ。

●中屋敷法仁さんの演出が良かった
●俳優が良かった
●そもそもこの企画が良かった

ネタバレBOX

犯人としてとらえられた女が抱える闇を追求していくことによって、担当刑事が背負った心の闇が垣間見えてくる。

事件の真相が明らかになっていくと共に、それぞれの「愛情」の破綻が浮き彫りにされていく。

事件を担当した刑事の妻が、新興宗教にはまっていく様。殺された男の、離婚した妻の癌宣告。その男を殺したと証言する女の夫の、女に対する異常で利己主義な思い。

それらの思いを描いた物語が、私の「愛情」という概念を、容赦なくつつきまくる。自分の「愛情」が偽善的だと言われているみたいで、心をむちゃくちゃ傷つけられた(笑)。

スリリングに織りなすストーリーは、クオリティーの高いサスペンスドラマとなっていて、本当に物語に引き込まれた。

とても暗い話しだったけど。物語の落としどころは美しく、とても良い脚本だと感じた、

●中屋敷法仁さんの演出が良かった

オープニングを観ただけで、完全にノックアウト(笑)。

芝居の上演が始まって10分以内に、その作品が自分の演出であるという演出が出来、それがその演出家を知っている人すべてにその事が伝わると言った、個性的な演出が出来る人が、今、小劇場界に何人いるのだろう。

私は彼の演出家としての非凡な才能を、もの凄く感じてしまった。

その感覚は、物語が進むに連れてより強くなっていった。

少し前でお話ししたとおり、とても練られたクオリティーの高い脚本だったから、いわゆる「普通」に演出したとしても、十分見応えがある、おもしろい作品になったと思う。

しかし、中屋敷さんは自分らしさを追求し、彼らしいスタイルで素晴らしい演出していた。普通に、他の人と同じ事をやっても、意味がないし、そんなことしてたって、絶対に売れないと私は思う。

だから、中屋敷さん野アプローチは、本当にかっこいいと思った。

そして俳優達の演技もさることながら、装置、照明、音響ももの凄く格好良かった。

中屋敷法仁という人には、しばらく注目していたいと思う。

●俳優が良かった

早速だが、恒例の気になった俳優シリーズだが、今回は主演の初音映莉子さん。冷たく感情を殺した容疑者を演じた彼女の美しさは、舞台上でむちゃくちゃ光っていた。

事件の事実と自分の感情の狭間で揺れる、主人公の心理描写をとてもうまく演じていて、表情や仕草がとても良かった。

必要以上に身体表現を要求される中屋敷さんの演出に見事に答えると共に、そこに柔らかい芝居を残せていたのはとても良かったと思う。

是非一度一緒に仕事をしてみたい女優さんとなった。

また、猪野学さんのキレのある演技、柿喰う客の女優、深谷由梨香さんの目の演技、町田カナさんの空気感など、印象に残る俳優さんがとても多かった。

●そもそもこの企画が良かった

牧田明宏さんの脚本を、真逆の作風をもった中屋敷法仁さんに演出を依頼するという企画に、とても意味があったと思う。

そして、私が注目した初音映莉子さんを始めとした、俳優のキャスティングも素晴らしいと思った。

これをプロデュースした、阿部敏信というプロデューサーさんは本当に素敵だと思った。是非一度酒でも飲みながら、ゆっくり話しをしてみたい(笑)。
「女脳」「男脳」

「女脳」「男脳」

8キャラット

ザ・ポケット(東京都)

2008/10/23 (木) ~ 2008/10/26 (日)公演終了

満足度★★

フレッシュさを感じました!
私の友人の女優「伊澤恵美子」さんが出演していた、コメディエンヌユニット 8キャラットの「女脳」「男脳」を観に行った。

映画での彼女の演技は、何度か拝見させて頂いているが、舞台での彼女の姿を見るのは、今回が初めて。

彼女がどんな演技をするのか、とても楽しみにザ・ポケットに足を運んだ。

「女脳」は、ある喫茶店を舞台に、女性5人が繰り広げるサスペンスコメディー。「男脳」は、久し振りにあった高校の同級生二人の、悩み相談のベースにした男性二人の会話劇だった。

脚本は、日本放送作家協会が主催している、第32回創作テレビドラマ大賞で、大賞を受賞した野条美由紀さんが担当しているだけあって、「女脳」「男脳」ともおもしろい作品だった。

伊澤さんは、「女脳」だけでなく「男脳」にも、出演していて、友人としてはうれしくなった。

8キャラットは、今回が三度目の公演という団体で、生き生きしていて、とてもフレッシュな印象だった。

「女脳」も「男脳」もとても見応えある作品になっていたと思う。

ただ、私が観た回が、いくつかトラブルがあった回だったらしく、出演者の演技が散漫に見えたところもあって、少し残念だった。

それと演出は、それぞれのキャラクターに、もっと積極的な方向性づくりを行っても良かったのかなと思ってみたりした。

潜在能力は感じたのだが、ちょっと消化不良な気分だった。

私の友人の伊澤さんは、とてもよく頑張っていた。前半ちょっと固いかなーというところもあったけど、全体的にとてものびのびした演技をしていて、観ていてとても楽しくなった。

是非私がプロデュースする公演にも出演して頂きたいなと思った。

氷

メタリック農家

OFF OFFシアター(東京都)

2008/10/23 (木) ~ 2008/10/27 (月)公演終了

満足度★★★★

「氷」だけどホットになるファンタジー
私がプロデュースしている劇団、WHATCOLORの第10回公演「おとことおんな、時々、動物」(オムニバス作品)で、作・演出家の一人として参加してくれた、葛木英さんが主宰するメタリック農家の公演を観に行った。

その葛木さんが主宰するメタリック農家を拝見するのは、今回が二度目。前回もとてもおしゃれな世界観の作品だったので、楽しみに足を運んだ。

冷蔵庫というとても冷たい世界観のお話しなんだけど、心がとてもホットになるファンタジーだった。

ネタバレBOX

OFFOFFシアターの限られた舞台スペースとは思えないほど、奥行き感があるよく考えられたセットは、ストーリーの世界観とマッチしていて、素敵だった。

『冷蔵庫でしか生きられない男』は、実は病気と障害がある男だった。心に傷を負った女性が、その男の純粋さに、次第に惹かれていく。

そんな二人の間に生まれた娘が、父親の秘密をひもときながら、自分の出生の秘密を探っていくというストーリー展開が、とてもうまく構成されていて、私にはとても心地よく見ることが出来た。

会話のテンポも良く、ストーリーがとてもシンプルに観客に伝わっていた気がする。

『冷蔵庫でしか生きられない男』が言う台詞。

僕が手を握ったら好きな人を傷つけることになるかもしれない
だけど離したくない場合はどうしたら良いですか?

は、とても好きだった。男って、いつもそんな自己矛盾を抱えているんだよとか思って共感した(笑)。

ラスト、母親と娘が向き合うシーンは、セットとしても、ストーリーのエンディングとしても、とても美しく、心に残るシーンだった。

恒例の気になった俳優シリーズは、娘役を好演していた酒井杏菜さん。とてもかわいらしく、存在感がある演技をされていた。

今回拝見した「氷」は、本当におしゃれで、シンプルに心に伝わってくるファンタジーだった。

今後、機会があれば是非また葛木さんと芝居を作ってみたいと思った。

とてもほっこりした気分で劇場をあとにした。
黒船だあ!

黒船だあ!

リブレセン 劇団離風霊船

みなとみらいテント劇場(神奈川県)

2008/10/15 (水) ~ 2008/10/21 (火)公演終了

満足度★★★

なんちゃって時代劇!
私がプロデュースしている劇団WHATCOLORが、いろいろとお世話になっている劇団、離風霊船のテント公演を観に行った。

離風霊船といえば、屋台崩しといわれる派手なセット転換で有名!

今回は、テントの公演と言うことで、どんなに派手なセット転換になるんだろうかと、とても楽しみに足を運んだ。

和楽器による生演奏、歌あり、踊りあり、殺陣ありで、これぞ「芝居!」って感じ。

テントならではの派手な仕掛けも盛りだくさん!はちゃめちゃな感じがとても楽しかった。

ネタバレBOX

50人近いキャストが繰り広げるなんちゃって時代劇(笑)。

テントの舞台には、見事に長屋が再現されていた。二階に部屋があってそこで芝居をしていたり、出演者の皆さんの着物が素敵だったり、観ているだけでワクワクしてきた。

歴史の教科書で知っているような人物と、名前は同じだけど全く関係が無いという登場人物達が、生き生きと生活している姿に、どんどん物語に引き込まれていく。

発明を志す「源内先生」や、裕福な商家から盗みをはたらき市中にその金をばらまく盗人の「ねみ」、尊皇攘夷で対立する「勝」や「西郷」、そして「坂本」と坂本の命をねらう新選組の「沖田」と「土方」など、史実とは関係ないと分かりつつも(笑)、そのキャラクターの言葉や行動に史実を重ねて、とても楽しく観ることが出来た。

作・演出の大橋さんの脚本や演出が、現代の世相をとてもうまく幕末に重ねていて、大笑いしたり、考えさせられたり。

印象に残ったシーンは、源内先生が、大きな武器を作ること承諾してしまい、その恋人「おすま」がある決意をして、長屋を離れるシーン。

舞台後ろの扉が開き、インターコンチネンタルと大観覧車のネオンと横浜の夜景が見え、冷たい風が客席に流れ込んできた。

舞台中央にたたずむ「おすま」役の大矢敦子さんの姿とが一体化して、とても素敵なシーンとなっていた。

また、テントならではの爆発シーンは、とても迫力があった。

私は前から2列目にいたのだが、爆発で起きた熱風がしっかりと感じることが出来た。しばらくはテントの中に、火薬の臭いが充満していた。

そしてラストには、大きな黒船がステージに登場する。船に乗っているJoanna.マッカーシーと、日本の女性達が語り合うシーンでの台詞は、とても胸に響いた。

「私達は、子どもを産み、育てるんです」
「私達のような女性が、世界を動かせるようになったら、また来てください。」

台詞は、この通りではなかったかもしれないけど(笑)、なぜかとても印象的だった。

恒例の気になる俳優シリーズだが、西郷の弟子甚太を演じていた小澤浩明さん。地味なお笑い役だったけど、とても印象に残った。特に卵焼きの食いっぷり(笑)。

今後どんな演技をする俳優になるのか、とても楽しみな感じ。

テント芝居って、その場所の空気を一緒に楽しめるのが魅力。

離風霊船の友人の俳優さんから、テントの設営は本当に大変だったと聞いた。けが人が出たりして、精神的にも肉体的にも、本当につらかったらしい。

そんな話を聞いたにもかかわらず、無謀な私はテント芝居をプロデュースしてみたいと思った(笑)。

そんなわけで、そうして苦労したテントに是非皆様、足を運んでいただけたらと思った。とにかくすごく単純に「芝居」が楽しめた作品だったので、初めてお芝居を観る方でも、安心してご覧頂けると思う。
レコード屋さんの3ヶ月

レコード屋さんの3ヶ月

結木えつこ×谷川賢作produce

名曲喫茶ミニヨン(東京都)

2008/10/03 (金) ~ 2008/10/04 (土)公演終了

満足度★★★★

空気の揺れ
先日、私がプロデュースしている劇団、WHATCOLORの俳優、古泊明敏が参加していることもあり、拝見させて頂いた。

40年以上の伝統をもつレトロな空間で、生で演奏されるピアノとアルトサックス(ときにクラリネット)と共に芝居が楽しめるという今回の企画は、本当に素敵な企画だと思った。

訪れたミニヨン。開演時間を勘違いし(笑)、なんと一番のり。

カウンターで珈琲とクッキーを受け取り、席につく。その珈琲がもの凄く美味しくて、とても幸せな気分で、開演を待つことが出来た。

会場の明かりが少しだけ暗くなるのを合図に、静かにピアノの音が滑り込んでくる。店の空気がほどよくピアノの音で満たされた頃、驚くほど柔らかな音で、アルトサックスがメロディーを奏で始めた。

Take me to a record shop(私をレコード屋さんにつれてって)。この企画のテーマ音楽とも言えるこの曲の演奏を聞きながら、私のワクワク感は最高潮に達した(笑)。

そして、ストーリーテーラーの結木えつこさんが現れ、いよいよ物語がスタート。

私の劇団の俳優の古泊明敏も相手役の菊池洋さんも、良い演技をしていて、物語にぐいぐいと引き込まれた。

また、結木えつこさんの歌もとても素敵だった。

この企画を、あの空間で体験することで、「音」は空気を伝わって感じるんだと言うことを、改めて感じた。

人の声も、楽器が奏でる音楽も、みんな空気を伝わって、体で感じる事が出来る。そんな当たり前のことがとてもうれしくて、幸せな時間を過ごすことが出来た。

本当に楽しい時間だった。

このページのQRコードです。

拡大