catharine3の観てきた!クチコミ一覧

1-20件 / 46件中
レストランじゃないっ!!!【終了いたしました。ご来場ありがとうございました!!!】

レストランじゃないっ!!!【終了いたしました。ご来場ありがとうございました!!!】

コメディユニット磯川家

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2010/09/23 (木) ~ 2010/09/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

照準にブレがない
当日のパンフレットに書かれていた「バカバカしいのです」「気楽に見て下さい」「連続ドラマの途中の回のような作品」、この言葉通りでした。
舞台全編通しても内容にまったくブレがなく、ただ気楽に笑って観る事ができました。
面白くて笑える、しっかりしたコメディでした。
面白かったです!

ネタバレBOX

元々売上が低く経営状態が悪かったレストランの目の前に、大手レストランチェーン店が新規出店してきて、これはもういよいよ閉店するしかない。
残り一週間で売上1.2倍にしないと閉店の危機を迎えるレストランが舞台のコメディ。

100分程の芝居にしては登場人物が多目でしたが、それぞれの役付けがしっかりしているのと、芝居上に登場するタイミングが的確なので、舞台上で入り乱れてもそれぞれの立ち位置が見にくくなる事もなかったです。
暗転が入ると一日が経過するという設定なので、まるで毎週放映のドラマかアニメを見ているような気持ちになりました。
暗転前の次の日に繋げる終わり方も、事件の予感を入れたりとテレビ的な引っ張りが上手く散りばめられていた思いました。
食い違い会話のタイミングも絶妙。
様々な伏線の回収も面白く、脚本も秀逸だと思いました。

役者陣の動きにも躊躇いが無く、大きな動き方が凄く良かったです。
転ぶ時のダイビングやドロップキックの思い切りのよさには、少し驚きました。
関西の方にはあれぐらいは普通なのかもしれませんが、怪我しないか心配してしまいます。
ただ、あれぐらいの思い切りの良さが面白さに繋がっているのも事実なので、怪我しないように頑張って下さい!と無責任な事を思っています。
キャラとして一番美味しかったのは和泉さん。
派手な動きもなく、台詞もほとんどないのに衣装の着方にも特徴を持たせて、一番のキーポイントでした。
最後の挨拶もそうですが、観客が帰っているのに一人で舞台に残ったり、最後まで貫き通したキャラクターは、終わった後も気になる存在でした。

初日ではなく二日目の観劇でしたが、すでに声が出ていない役者さんが数人いらっしゃったのが少し気になりました。

舞台美術もとてもしっかりと作ってあって、開演前からワクワクできました。
開演前と終了時には劇団シンボルの影絵が投影されたり、前説や終了直後の挨拶でも観客を楽しませようとしたりと、とにかく楽しい空間を作りだしている印象を受けました。

楽しい時間をありがとうございました。
とても面白い芝居でした。
マクベス-シアワセのレシピ-

マクベス-シアワセのレシピ-

THEATRE MOMENTS

シアターX(東京都)

2010/05/20 (木) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

こんなマクベスもあるのか!
素晴らしかったです。
本がいい!構成や演出が素晴らしい。
冗長とも思えるあの長編の原作を90分にすっきりと纏めて、観客を納得させてしまう。
こんなマクベスもあるのかと、目から鱗が落ちました。
観に行けてよかったです。

開演前の劇団主催の方のお心配りも嬉しかったです。
『観客との距離を縮める』『観客に楽しんでもらう』、言うのは簡単ですが、実践するのは難しいと思います。
細かい所にもきを配って頂き、大変楽しく観劇できました。
ありがとうございます。楽しかったです!

ネタバレBOX

開演前の即興コントが始まった時に、『前座なのでリラックスして観て』の言葉にリラックスして観ていたら、いきなり芝居の世界に引き摺り込まれた感覚でした。
導入部からして、やられた!と感じました。
舞台上はシンプルで大道具も小道具もほとんどなく、色とりどりの新聞紙と赤い紐、そして役者の身体表現で舞台上の演出は全て行われる。
シンプルな分、役者も観劇者も可能性が広がる舞台だったと思います。
マクベスの心の在り方が変化する度に、マクベス役の役者も変わるという手法も面白かったです。
最後の終わらせ方も秀逸。
『必ず幸せにするよ』
シアワセとは、言葉とは、自分の本当の望みとは、色々と考えてしまう舞台でした。
『学生・生徒または未成年者は勝馬投票券を購入できません(再)』

『学生・生徒または未成年者は勝馬投票券を購入できません(再)』

8割世界【19日20日、愛媛公演!!】

劇場MOMO(東京都)

2010/03/16 (火) ~ 2010/03/22 (月)公演終了

満足度★★★★★

ハイテンション!
8割世界初観劇でしたが、物凄いハイテンションに圧倒されました。
ウザイくらいのハイテンション。
お客さんを笑わせようとする、サービス精神。
最初から最後まで全力疾走。
劇団が目指している方向性がはっきりと解る芝居でした。
一緒に行った人は、とても気に入ったらしく終わった後に前回のDVDまで購入していました。
次回公演も楽しみです。
何も考えずに笑えた面白い芝居でした。

ゴルゴダ・メール

ゴルゴダ・メール

劇団俳小

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2010/03/25 (木) ~ 2010/03/29 (月)公演終了

満足度★★★★★

とても素晴らしかったです
アスペルガー症候群という扱いの難しいテーマを見事に描ききった脚本、
真に迫った演技、劇中劇をリアルに感じさせる演出、すべてが素晴らしかったと思います。

「アスペルガー症候群にはこうやってこうやって接するべき」という押し付けではなく。
「ありのままの彼らの姿を観てどう思うか」という問題提起に重点が置かれているように
感じられました。

作品は終わっても実在のアスペルガー患者の人生は続いていきます。愛憎、嫉妬、偏見、同情…
そういったものを描いたいくつかの伏線をあえて回収せず、切り取るように終わらせたラスト。
完全にやられました、次期公演も期待してます。

電車は血で走る(再演)

電車は血で走る(再演)

劇団鹿殺し

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2010/06/18 (金) ~ 2010/07/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

頑張るための応援歌
沢山の個性的な劇団があるけれど、この劇団の持つ雰囲気は独特で強烈で、このエネルギーを感じたければこの劇団の芝居を見るしかないと思わせる何かがある。
観終わった後は、少し切なく寂しくもあるけれど、明日に向かえるパワーをもらえる、前向きになれる、そんな内容。
歌と踊りと劇中劇と、色んな要素を詰め込んでありました。
劇団と観客、両方に対する応援歌のような芝居でした。

ネタバレBOX

劇団の自叙伝的なエピソードも上手く取りこんでて、思わず『解るよ…』と言いたくなってしまう台詞もありました。
男前田ドクロの『芝居って作っても目に見えない。だから上手く作れてるか解らないし、不安になって逃げたくなる』やフルシアンテの『僕には書けないよ、知らないもん。思ってない事は書けない。僕に書けるのはこんな本しかないよ』等の人間としての弱さは魅力的でした。
劇団を解散しようかと迷っている三十路の人間の前に、子供の姿のままで現れた鉄彦は『応援してるで、頑張りや。だってできるって信じてるもん』と無邪気に受け止めて、応援してくれる。
自分のやりたい事を信じて、ひたむきに真直ぐにただ頑張る。
大人になってしがらみが増え、ただ素直にやりたい事を頑張れる事もできなくなっていた自分を気付かされました。
鹿殺しのメンバーは劇中の宝塚奇人歌劇団のように、ひたむきにやりたい事を追及しているのだろうなと思いました。

劇中劇を演じる劇団『宝塚奇人歌劇団』も面白い。
蒲田行進曲のパロディや、メタリカ、メガデス、クィーン、マイケル・ジャクソン等々の様々なナンバーに合わせてのパフォーマンス。
ロックでファンクでパンキッシュで、ワクワクしました。
衣装も道具も派手で、小ネタも一々関西的なノリ。
雑多で派手で元気がよくて、いい意味で関西を全面に押し出していました。

鉄彦が死んでしまう電車事故は、福知山線の電車事故を彷彿とさせる。
『電車は沢山の人を運ぶ。人は希望や思いを抱えてる。電車は人を運ぶと同時に思いも運ぶ。希望や未来も運ぶ。』
擬人化された電車車両の、楽隊電車の演出もよかった。
帰宅時に電車に乗った折、思わず鉄彦の台詞を思い出し、せつなくなりました。

でも、この劇団の芝居は言葉では上手く表せない。
ノリが合わない人には、煩いと感じるかもしれない。
実際、大音量なのでびっくりするかもしれません。
万人に薦められないかもしれないけれど、私は元気をもらいました。
CALLING

CALLING

Neo Mask

吉祥寺シアター(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

かっこいい
柳生十兵衛と八犬伝を上手く絡ませたストーリー。
広い舞台を使い切った殺陣。
影絵シルエットによる演出。
所々に織り交ぜるギャク要素。
固くなり過ぎず、中弛みもせずに楽しめた舞台でした。

ネタバレBOX

観終わった後に素直に『面白かった!』と言える舞台でした。
一つの舞台として纏まっていたので、観終わった後にスッキリします。
とても広くとった舞台で繰り広げられる殺陣はカッコよかった。
くの一のお二人と和唐成功さんの殺陣がお気に入りです。
それぞれの立場や生き方や、思惑が絡み合って芝居としても楽しめました。
Root Beers-ルートビアーズ-

Root Beers-ルートビアーズ-

劇団東京ヴォードヴィルショー

ザ・ポケット(東京都)

2010/09/29 (水) ~ 2010/10/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

カッコよかった!
芝居が始まる前の前説も凝っていました。
舞台セットも音響、照明、演出、もちろん役者さんも素晴らしかったです。
引き込まれてしまいました。
よく練られた作品だと思います。

ネタバレBOX

ワケありの人間しかいないロサンゼルスのコリアンモーテルの一室。
敵対組織の相手の命を狙い、日本からやってきた武闘派ヤクザ二堂とその舎弟二人。
誤って二堂と接触してしまい交通事故を引き起こし、責任を取らせる為に連れてこられた不運な男と、二堂の動向を探って情報を金に換えようと画策していて捕まってしまった男。
三人のヤクザと、捕えられた不運な二人の男。
暴力的なシーンからの幕開けが、二堂がルートビアーを飲んで意識を失い、暗転が明けたところから一転していた。
武闘派ヤクザ二堂は記憶を失い、死んでしまった妹の冬子の事も忘れ、小心者で暴力を恐れる人間に変わっていた。

二堂の二面性を巧みに演じていて、冬子が現われる時の演出とも相まって、素晴らしかったです。
ワケあり人間が次々と登場するのですが、どのキャラクターも強烈な個性を放っていて目が離せませんでした。
台風の影響でホテルから身動きできずに時間が経過し、その経過の中での人間関係の移り変わりも無理のない演出で表現されていました。
ロサンゼルスのコリアンモーテルの一室が舞台なので、台詞も日本語、英語、韓国語が必要に応じて用いられていて、『韓国人の話す日本語』アクセント等はイメージ通りでしたし、韓国語はまったく解りませんが雰囲気はとてもよく伝わってきました。
強烈な個性を放つ人間達しかいない舞台でしたが、『幸せ』『生き方』をそれぞれが模索し精一杯生きている『人間』がカッコよかったです。
ラストの暗転直前まで目が離せない舞台でした。
『マグダラなマリア』

『マグダラなマリア』

ネルケプランニング

サンシャイン劇場(東京都)

2010/08/12 (木) ~ 2010/08/22 (日)公演終了

満足度★★★★

独特な世界
男性版宝塚、と言うとちょっと違うのかもしれないけれど、エンターテイメント性が濃縮された作品でした。
それぞれ歌も踊りも上手いし、幕間にも観客に対して過剰な程のサービスを行っていました。
大人なお嬢様限定のステージと言うだけあって、観客の男女比では圧倒的に女性が多い芝居でした。

ネタバレBOX

舞台は大戦時のヨーロッパでの高級娼館
ドイツのSS将校、ベルギー帰りのスパイ、スペイン人娼婦、日本人、他にもひと癖もふた癖もありそうな国籍も様々なキャラクターが多く、とても賑やかな印象。
役者は全て男性で、少女娼婦や女性将校も演じていたが、とても可愛らしくて驚きました。
ただのドタバタした芝居なのかと言ったら、歌も踊りも素晴らしかったです。
特にマリア・マグダレーナの歌と、エスメラルダのダンスは魅力的でした。

政治的駆け引きや、プロパガンダ制作に対する考え、虐待や少女買春等の問題も多く提示されるけれど、物語の本筋は最終的には全て丸く収まるという、コメディ仕立て。
あんまり難しい事は考えずに、煌びやかな世界観を楽しむ為の舞台だと思います。

下ネタ、オタクネタが多く、意味が解らない人にはまったく面白くないんだろうなと思ってしまう箇所が少しありました。
体を張った突っ込みや、言葉の暴力的なものも多少あるので、抵抗ある人は楽しめなさそうだと感じました
僕たちの失敗~もう誰も信じない…~

僕たちの失敗~もう誰も信じない…~

ラブリーヨーヨー

駅前劇場(東京都)

2010/03/11 (木) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★

おもしろかった
フライヤーで目を惹かれて興味を持ったのが切っ掛けで、観に行きました。
おもしろかった!
ドタバタコメディではあるけれど、演出が凝っていて真面目に馬鹿らしくておもしろい。
公演時間が1時間と短めで、あっさりと終わってしまいますが、そのあっさり感もいいのかなと思える内容でした。
オレノグラフティさんの声が気になりました。
喉を大切になさって下さい。
メンバーが少なくなって今後どのように活動するのか気になりますが、豆本も面白かったし、次回公演も観に行きたいと思いました。

幸福な職場

幸福な職場

劇団 東京フェスティバル

小劇場 楽園(東京都)

2010/07/21 (水) ~ 2010/07/25 (日)公演終了

満足度★★★★

また観たい
「こころに優しいお芝居、いかがですか?」の言葉にふさわしい内容でした。
大不況に見舞われている現代日本。
健常者でも、働く事に意義を見いだせない若者が数多くいる日本。
働くとは、社会との関わりとは、他人との関係を築く事の意味とは、様々な事を考えさせられました。
もう一度観たい作品です

ネタバレBOX

テレビのドキュメンタリー番組でも取り上げられた事がある、日本理化学工業の実話を下敷きにされた内容。
1959年の設定なので私が実際に知る事はできなかった時代ですが、所謂「古き良き日本」の高度成長化時代が時代背景。
今でこそ、障害者雇用の窓口は多少は広がりましたが、まだまだ知的障害者の雇用は少ないのが現状です。
50年以上も昔の日本は知的障害者を雇用する企業はなく、彼等は一生働く経験をすることもできず、自分の家か施設に閉じ込められて一生を過ごすのが当たり前だったようです。
知的障害に対する偏見が今よりも強く、今では放送禁止用語になっている別称を誰もが使用していた時代に、知的障害者雇用に踏み出した日本理化学工業の専務の決断と、辛抱強く頼み込んだ養護学校教諭のお二人の演技に引き込まれました。
知的障害者の聡美役をやった古地香織さんの、演技も素晴らしかったです。
どうしても大げさに演じる方が多く、時にはそのあざとさが見ていて不快感すら覚えるような演技をする役者さんもいるなかで、知的障害者の感情の中にある「こだわり」「混乱」「困惑」を見事に表現していたと思いました。

一回だけ原田が「知的障害者となんか働けるか。介助してたらその分、自分たちの仕事が増える」と反発しますが、同僚の久我の身の上話と説得に合いあっさりと一緒に働く事を認めてしまう。
放送禁止用語を吐き捨てるように使用していた人が、あまりにもあっさりと引きさがった事に少し拍子抜けしました。
偏見をもつ人はどの時代にも、どこにでもいます。
偏見を持って人を判断する人の意見を変えさせるのは、とても難しい事です。
そう言う意味では、このお芝居に出てくる人はみんな「いい人」な印象しか受けませんでした。

全体としては90分の中でとてもよく纏まっていて、観終わった後は前向きな気持ちになりました。
このお芝居を見て思い出したのが、知的障害者の作業所にあった言葉でした。

「よろこび」
私たちの職場には
いろいろな喜びがあふれている

ものを創る喜び
中間達とふれあう喜び
社会の中の一人となる喜び

どんな形にせよ働くという事を
社会の中で私が生きている証にしたい
そんな気持ちで今日もはたらいています


現在の日本は障害者自立支援法案の元で、働きに行っているのにお金を払わないければいけない理不尽さが発生しています。
このお芝居を観る事ができて、様々な事を思い出し、考える事ができました。
何かを感じて考えるきっかけになる、そんな素晴らしいお芝居だと思いました。
多くの人に観てもらいたいです。
再演があれば、誘って観に行きたい人がいる、「こころに響く」そんなお芝居でした。
ブスとたんこぶ

ブスとたんこぶ

cineman

ワーサルシアター(東京都)

2010/06/24 (木) ~ 2010/06/27 (日)公演終了

満足度★★★★

最後に救いがあった
母親と子供って、難しい関係。
お互いに不満を持ったり、ののしりあったり、でも最後に前を向いて歩いて行ける、希望があってよかった。

ネタバレBOX

ブス(娘)とたんこぶ(母親)の話。
母親は娘の事を『あんたはブスだ』と言い、娘は母親の事を『あいつは私の眼の上のたんこぶだ』と言う。
母親の破天荒な性格と、浴びせかけられる言葉によって娘はどもってしまい、目を見て話す事すらできず、筆談でしか会話ができなくなってしまう。
始めはこのままどこに着地するのか、救いはあるのかとドキドキしましたが、最後はよかった。
母親は口は悪いが、娘を大切に思う気持ちは本当で、ただ言葉が悪かったり、勢いで言ってしまう言葉が多かっただけ。
近いからこそ言ってしまう言葉。
近いから態度も隠せない。
少しの思いやりと、話をしようとする姿勢で関係は良好になる。
自分の母に思いを馳せました。

母親の基子の前向きな性格と『すごくいいわよぉ』の口癖が好きでした。
娘の喜子役の戸塚なをみさん、芝居では凄く地味に見えたのに、パンフレットを拝見したらとても可愛らしい。
照明も雰囲気がよく、演出にも合っていました。
派手さはないけれど、いい芝居でした。
新明治仁侠伝

新明治仁侠伝

劇団め組

吉祥寺シアター(東京都)

2010/08/04 (水) ~ 2010/08/08 (日)公演終了

満足度★★★★

生き方を問う内容
大政奉還、明治維新、国と時代が大きく揺れ動き、その中で生きた人々の思いをうまく纏め上げていたと思いました。
土佐弁や薩摩弁、東京弁の方言の言い回しは素晴らしかった。
独特のイントネーションの言葉をとてもよく消化していて、観ていて違和感を感じませんでした。
2時間ちょっとの壮大な物語でしたが、とても楽しませて頂きました

ネタバレBOX

西郷隆盛が西南戦争勃発に追い込まれ、落命するその時まで傍に仕えた晋之介の生き方と、その周りの人々を軸に物語は展開して行く。
あまり日本史に詳しくない人でも知っているであろう歴史上の人々も数多く登場するのだが、大胆にデフォルメされていてそこも面白さの一つでした。
それでも、伊藤博文はちょっと情けなさすぎるなとか、岩倉具視は確かに京公家だけどそこまでステレオタイプの話し方にしなくても、というちょっとしたやり過ぎ感はありましたが、それさえも解りやすい解釈なのかもしれないと思えてしまいました。

物語の主軸にも絡む大久保利通の隠し子の義明と、徳川慶喜の落胤である狂四郎の対比も見どころでした。
義明は子供染みて我儘で、大人になりきれない思いが情けなく描かれていて、その中に大人の打算が見え隠れする、哀れとは思ってに同情はできないタイプなのに対し、狂四郎はと言えば最終的には自分を捨てた父親も時代も、自分を利用しようとした人間も全てを許し、自ら死に場所を探そうとするちょっと人間らしさが感じられない役どころに感じました。

役者陣はどなたも大変素晴らしく、引き込まれて観てしまいましたが坂本龍馬と岩倉具視の2役を演じた藤原習作さん、晋之介役の秋本一樹さんは特に引き込まれました。
他の役がとても人間臭く、一生懸命時代を生き抜こう、自分の生き方を模索しようとあがいていた中で、一人飄々としていた狂四郎は、やはりあまりにも印象が薄かったです。

殺陣は期待値が大きかった分、それ程重要には感じませんでした。
舞台映えする殺陣ではなかったように思ってしまったので、必要最低限だけでよかったのではと思いました。
故人となった人々が話すシーンでのエフェクトの掛け方や、照明演出は素晴らしく雰囲気の作り方で引き込まれました。
空いっぱい

空いっぱい

アンティークス

OFF OFFシアター(東京都)

2010/07/01 (木) ~ 2010/07/05 (月)公演終了

満足度★★★★

ちょっとせつない
脚本は面白かったです。
商業演劇で派手な効果を用いるならともかく、小劇場でのパラレルワールド物は難しいと感じました。

ラストは寂しさもあるけれど、素敵な終わらせ方だと思います。

ネタバレBOX

目新しさはないけれど、多数の複線も最後にはちゃんと回収されていて、よく纏まっていていい脚本だったと思います。
ただ、舞台よりは映像向きかなと感じました。
舞台も映像もどちらも『良い箇所・悪い箇所』はありますが、今回の作品は舞台よりも映像化に可能性を感じました。

空を見上げて星を探す。すぐには見つからないかもしれないけれど、じっと見ているとだんだん見えてくるものもある。
見えないからとすぐに諦めるのも、見えるまで見つめてみるのも、同じ自分。
見方を変えるだけで、たくさんの今まで見えなかったものが見える事もある。
素敵なメッセージが込められた作品だと思います。
マハラジャモード

マハラジャモード

*pnish*

サンシャイン劇場(東京都)

2009/10/29 (木) ~ 2009/11/03 (火)公演終了

満足度★★★★

よかったです
重いテーマも固い筋書きもなく、ハロウィンの夜にのんびりと何も考えずに見る舞台としてはとてもよかったです。
説明に『暴れて踊って』とあるように、見ていてとても元気になりました。
役者陣がしっかりしているので、何でもありのドタバタコメディがさらに面白く感じられます。
私は特に*pnish*ファンではないですが、ファンサービスも満載で、楽しませる舞台作りが徹底していたので、舞台を楽しみたい人には嬉しい舞台です。
ちょっとした内輪ネタ(?)はよく解らない箇所もありましたが、満員で客ノリもいい楽しい舞台でした。

イカロスのかけら

イカロスのかけら

NICK-PRODUCE

シアター711(東京都)

2010/07/13 (火) ~ 2010/07/19 (月)公演終了

満足度★★★★

雰囲気はとてもよかったです。
チェロとピアノの音の絡み合いと照明の雰囲気がとてもよく、大人になってよかったなと思わせてくれました。
映像作家志望である役者が手にしているカメラで撮った映像を、リアルタイムに壁に映し出す演出も面白かったです。
色々と実験的な内容なのかとも思いましたが、最後には全ての伏線をキレイに回収し、とてもいい70分間を体験させて頂きました。

ネタバレBOX

兄と弟の二人兄弟の母親はある日突然失踪をし、数年後に骨壷が送られてきた為にもう死んでいると思っていたら、実は南フランスで生きていてしかも大成功して資産30億、でも末期の膵臓癌の為に入院して死にかけていて、死んでからの遺産相続だと税金が掛かるから自分が生きているうちに生前贈与をしたい、と代理人を通じて関係者が集められたところから芝居は始まる。
30億の資産だけでも驚くのに、いきなり種違いの兄弟が登場し、実は母親は再婚で駆け落ちだったと知らされたり、兄嫁の実の父親は女装趣味の変身スナックの店長であり、しかも兄弟の両親そろってその店の常連であったりと、いきなり付き付けられる情報量の多さに、全ての伏線を回収できるのかと心配になってしまいました。
確かにどのようにでも膨らませられる内容ではあると思うが、それをあえて『あっさり』としたところが良かったように感じました。
30億の資産を巡ってドロドロとした人間模様を描いたり、逆にキャラクターの心情を全面に出してコメディにしたら、音と映像と芝居の丁度良い関係性が崩れてしまっていたように思います。
全ての原因を作りだした母親は一切登場せず、父親も登場しないまま、30億の資産もいきなり増えた親族も、ほとんど受け流して物語は進められて行く。
最後の最後で南フランスの母親から『資産は次の事業に使うから遺産相続はやっぱり取りやめ、ごめんね』の電話で騒動は終わりになるのだが、遠く離れた南フランスにいて声も姿も登場しない『母親』に、振り回されるだけ振り回される人々の喜(悲)劇、この振り回され感がこのお芝居の中核なのかなと思いました。
『まあ、あの人なら仕方がないか』で済まされてしまうあっさり感。
軽い雰囲気の芝居を楽しませてもらいました。
ペンション尾根2号館 ~誘引速度アップアップ!

ペンション尾根2号館 ~誘引速度アップアップ!

劇団だっしゅ

萬劇場(東京都)

2010/04/15 (木) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★★

面白いけど、観る人を選ぶかも
とにかくお客さんを笑わせようとしてくれて、サービス精神旺盛な内容でした。
下ネタ苦手な人にはキツイかもしれないですが、面白くて肩の力を抜いて観る事ができました。
下手なお笑いライブ行くよりも面白かったです。

ネタバレBOX

初見だったのですが、前説から下ネタや客いじり、楽屋ネタが多くてびっくりしました。
上演中も役者同士でいじりあったり、突っ込んだり、観客も巻き込んでストレッチしたりとアドリブだらけでしたがキチンと本筋に戻って芝居を進行できているのが凄いと思いました。
アドリブが多いために本通りに進行できず、毎回尺が違うとの事でしたが、2時間半があっと言う間で楽しませて頂きました。
コメディだけの勢いだけかと言ったら、内容もしっかりしていて芝居としても面白く、多少強引ではありましたがラストも纏まっていました。

後で思い出し笑いする程、ロケットパンチがツボでした・・・。
肩に力が入っている時にまた観に行きたいです。
観終わった後には肩の力が抜けて、次の日も適当に頑張れるような気分にさせてくれる、そんな芝居でした。
寒い国から来た魔女

寒い国から来た魔女

羽生一家玉組

ザ・ポケット(東京都)

2010/06/23 (水) ~ 2010/06/27 (日)公演終了

満足度★★★★

素敵なファンタジー
深い森の中にある洋館を舞台にした、現代ファンタジー。
煌びやかな衣装、ダンスシーンあり、殺陣ありでたくさんの要素を詰め込んでありました。
本もよく練りこまれていて、とても面白かった。
最後もハッピーエンドで終わって、観終わった後にニコニコできる作品でした。

ネタバレBOX

滅多に人が踏み込まない奥深い森の中に立つ洋館。人をヒキガエルに変える事が出来ると言う魔女。敵国に命を狙われる王子。王子の近くに仕え、王子を守る使命を帯びた親友。
ファンタジーの舞台としては申し分ない。
そしてここまでファンタジーでお伽話なのだから、当然ハッピーエンド。
本も最後の最後でどんでん返しで、とてもよく練りこまれていて面白かったです。
役者さん達の演技もみんなとてもしっかりしていて、引き込まれて観てしまいました。
殺陣がもうちょっとしっかりしていたら、もっとよかったかなと思います。
もうちょっと広い舞台で、もうちょっと長い時間観たかったなと思いました。

芝居内容とは関係ありませんが、観客のマナーが悪すぎました。
しかも子供ではなく、40代50代かそれ以上と思われる大人。
暗闇の中で何度も携帯と開く、観劇中にずっとガムをくちゃくちゃ、バタバタと音をたてて扇子を扇ぐ、隣の人と話たり観劇後はフライヤーを席に投げ捨てて帰る等、ちょっとびっくりするくらいマナーの悪いお客さんが多く感じました。
初めてその劇団を見た新規のお客さんの心象が悪くなったら、劇団にも迷惑がかかってしまいます。
応援している劇団なら尚更、観客としての観劇マナーもよくして欲しいと思いました。
吸血鬼

吸血鬼

ネルケプランニング

PARCO劇場(東京都)

2010/06/04 (金) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

満足度★★★★

好みは分かれるかも
グリング版の『吸血鬼』を見逃していたので、今回の観劇になりました。
実際の事件を下敷きにしたとの事ですが、事件そのものを知らなくても舞台をみるのには支障はないと思います。
演出も面白かったですし、ラストの話の転換も驚きました。
天気の良い休日の昼間に観たせいか、観劇後は劇場内と渋谷の街の雰囲気のギャップに立眩みさえ起きそうでした。

ネタバレBOX

観劇後は落ち込むかと思って覚悟して観に行ったのですが、ラストに多少の救いがあって気構えていたよりは落ち込みませんでした。
チンドンは練習したのでしょうが、やっぱりプロのチンドン屋さんではないので、少しだけ現実に引き戻されそうになってしまいました。
ノア版 桜の園

ノア版 桜の園

ノアノオモチャバコ

サンモールスタジオ(東京都)

2010/06/10 (木) ~ 2010/06/14 (月)公演終了

満足度★★★★

面白い演出でした
役者の体を使った演出方法、とても面白かったです。
照明効果が上手く、スポットの当て方、タイミングもよくて素晴らしいと思いました。
あの長々とした原作をよく纏め上げたと驚きました。
チェーホフ作品を他団体の芝居で観た事がある私と、観た事がなく原作も知らず、とりあえず『あらすじ』は知っている人との観劇後の感想の違いが面白かったです。
リメイクの醍醐味であり、挑戦を見た気がします。

ネタバレBOX

導入部の土岐の老いていくシーンの演出は素晴らしかったです。
引き込まれました。

原作を読んだ事がある自分は、土岐のキャラクターに少々あざとさを感じてしまいましたが、一緒に観劇したチェーホフを知らない人間には、土岐というキャラクターはとても重要に映っていたようです。
本筋は変えずに、でもとても思い切ってリメイクされていたので、もっと出演人数を削って中心人物だけにして、そのキャラクタに集中するような方法にしたら、もう一段階凝縮された世界が見られたのかな、とも感じました。

松や山岡の熱演も素敵でした。
面白い世界を体験させて頂きました。
ありがとうございました!
「霞葬(かすみそう)」公演終了しました。

「霞葬(かすみそう)」公演終了しました。

劇団印象-indian elephant-

吉祥寺シアター(東京都)

2010/07/16 (金) ~ 2010/07/19 (月)公演終了

満足度★★★★

清涼感のあるお芝居
舞台セットや照明、お芝居も全てがシンプルで純粋、すっきりとしていて素直な印象を受けました。
それぞれの役者さんも力があり、演出も一貫していてとてもよく纏まっていた芝居だと思いました。

ネタバレBOX

イワナガ(イワナガヒメ)とサクヤ(コノハナサクヤヒメ)は共に古事記や日本書紀に登場する姉妹の神々であり、日本書紀では人間が短命になる切っ掛けを作りだしたと記されている二人の神が、人間の乳幼児を拾って育てると言う展開もちょっと皮肉なようであり、面白かったです。
神々の世界でただ一人の人間『ミカ』を演じたベク・ソヌさんの演技も秀逸でした。
つかまり立ちもできない幼児から、99歳で老衰で死に舞台から降りるまで見事に演じ切っていたように思います。
幼児や老人期は気にならなかったのですが、成人期の演技では日本語発音のたどたどしさが少し気になってしまいました。

『生きるという事』『死ぬという事』人間としての『限りある生』について考えさせられました。
99歳になったミカの寿命を止める提案を受け入れようとしたサクヤも、考えた末に受け入れない決断をしたイワナガも、清々しく死に向かったミカもそれぞれのキャラクターがとても素敵でした。

芝居の冒頭と最後のシーンで、天の羽衣を使用しイワナガが空を駆け地上に向かう演技と演出は、ミカの一生を見守った後だからこそ映えるシーンでした。
シンプルで押しつけがましくなく、それでいて心に残る内容でした。

このページのQRコードです。

拡大