catharine3の観てきた!クチコミ一覧

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「霞葬(かすみそう)」公演終了しました。

「霞葬(かすみそう)」公演終了しました。

劇団印象-indian elephant-

吉祥寺シアター(東京都)

2010/07/16 (金) ~ 2010/07/19 (月)公演終了

満足度★★★★

清涼感のあるお芝居
舞台セットや照明、お芝居も全てがシンプルで純粋、すっきりとしていて素直な印象を受けました。
それぞれの役者さんも力があり、演出も一貫していてとてもよく纏まっていた芝居だと思いました。

ネタバレBOX

イワナガ(イワナガヒメ)とサクヤ(コノハナサクヤヒメ)は共に古事記や日本書紀に登場する姉妹の神々であり、日本書紀では人間が短命になる切っ掛けを作りだしたと記されている二人の神が、人間の乳幼児を拾って育てると言う展開もちょっと皮肉なようであり、面白かったです。
神々の世界でただ一人の人間『ミカ』を演じたベク・ソヌさんの演技も秀逸でした。
つかまり立ちもできない幼児から、99歳で老衰で死に舞台から降りるまで見事に演じ切っていたように思います。
幼児や老人期は気にならなかったのですが、成人期の演技では日本語発音のたどたどしさが少し気になってしまいました。

『生きるという事』『死ぬという事』人間としての『限りある生』について考えさせられました。
99歳になったミカの寿命を止める提案を受け入れようとしたサクヤも、考えた末に受け入れない決断をしたイワナガも、清々しく死に向かったミカもそれぞれのキャラクターがとても素敵でした。

芝居の冒頭と最後のシーンで、天の羽衣を使用しイワナガが空を駆け地上に向かう演技と演出は、ミカの一生を見守った後だからこそ映えるシーンでした。
シンプルで押しつけがましくなく、それでいて心に残る内容でした。
8割世界番外公演『欲の整理術』×『ガハハで顎を痛めた日』

8割世界番外公演『欲の整理術』×『ガハハで顎を痛めた日』

8割世界【19日20日、愛媛公演!!】

ART THEATER かもめ座(東京都)

2010/07/07 (水) ~ 2010/07/11 (日)公演終了

満足度★★★

やっぱりコメディ寄り
内容も上演時間も異なる作品の二本立てでしたが、明暗もはっきりと分かれてしまっていたように感じました。
あえて二本立てにした狙いは何だったのだろうと考えてしまいました。
『コメディ劇団がコメディじゃない芝居を上演する』と明言していたので、もっと硬派な芝居を見せてくれるのかと思っていましたが、かなりコメディ寄りでした。
外部から脚本家を招いたのですし、最初からコメディ路線で行く事を考えていたわけではなく、演出で8割世界らしさを引きだしたと言うことでしょうか。
8割世界のカラーは出ていたと思いますが、先に繋がる可能性を広げて見せてくれたかと問われると、ちょっと疑問を感じてしまいました。
どちらか一本に絞って、本腰入れて公演したらまた違ったものが見られたのかなと思います。
せっかくの面白い試みなので、次に繋げて欲しいです。

ネタバレBOX

『欲の整理術』
数年後の日本と言う国が、日本人ではなく知能を付け始めた豚に支配されていて、支配に対し抵抗しようと立ち上がった革命家達の話。
脚本は面白いと思いましたが、なかなか入り込めませんでした。
一番気になったのは、音の演出方法です。
音を演出する時は『何を聞かせたいのか』一番大切で、『音はあって当たり前。無いと違和感。気付いて欲しい時は大きい音』を念頭に置いて演出するのだと考えていますが、このお芝居ではとにかく全部の音が必要以上に大きかったのです。
全体的に音量が大きいのではなくて、個々の音全てが大きいので、どこに注目して欲しいのか解りにくく、役者の台詞や演技を殺してしまっているように感じました。
音と言う意味では、支配者でありまだ上手く日本語を話せない『豚』の、言葉の選び方や節回しは独特で面白かったのですが、日本語発音が流暢だったのも現実に引き戻されました。
単語の意味と分節をしっかりと理解していないと発音というものを流暢には行えませんし、そもそも声は骨格に左右されるものなので、もっとたどたどしい言葉使いにすれば、知能発達の途中段階で人間とは解りあえない生き物の不気味さを表現できたのかもしれません。
普通に話すのでしたら、、ボコーダーやフランジャーをかけて機械を通したっぽい音声にしてしまうと、感情が削ぎ落とされた感じが表現できて、種族の壁を感じさせられると思います。

それぞれのキャラクターも立っているのですが、何だか小さく纏まって終わってしまった感じでした。
もっと尖がって際立たせたら、それぞれのコントラストで奥行きが広がったのかなと思います。
30分と言う短い時間で、最終的に着地点まで持って行けたのは素晴らしいと思いました。
でもこの作品、観終わった直後よりも、日数がたってからの方がじわじわと面白さを感じられる内容でした。

『ガハハで顎を痛めた日』
民間からの社会人経験者を中学教師として採用し、人生経験を生かした指導を行って貰おうという名目で集められた、初授業を明日に控えた新人教師達がロールプレイのシュミレーションを通し心情を明らかにしていく場面と、現役女子中学生の日常場面が絡み合いはしないけれど一つの舞台で展開されていくお芝居。
こちらは脚本も解り易くもあり、素直に面白かったです。
先生役の役どころも、押しつけがましくも熱血、斜に構えた皮肉っぽいクール、明るく能天気な体育教師、教師になるのは夢だけどそれをはっきりと言わない当たり障りのない先生、息子が自殺未遂して命の大切さを伝える為に教師になった人、と様々なタイプを用意してあってそれぞれの役者さんが見事に演じきっていて、それぞれのキャラクターの持ち味がはっきり伝わってきました。
女子中学生の二人も、視線の送り方やちょっとした仕草、結論のでない(今考えると)くだらない話を真剣に思いつめて話す演技等、素晴らしかったです。
芝居上での絡みはありませんが、現役女子中学生の焦りや不安を含んだ日常と、新人教師の不安と希望のコントラストも見事でした。
最後の事件報道と、楽しくじゃれ合う女子中学生の二人の姿に集約されているのかなとも感じました。


会場内はとにかく暑かったです。
満員のお客さんに、梅雨時期特有の湿気で座っていても汗が出てくる。
しかも、選挙投票一日前に青梅街道沿いと言う事もあって、芝居の合間に選挙演説が聞こえてくる。
仕方ない事なのかもしれませんが、救急車の音も聞こえていました。
芝居に入り込みにくい環境なので、劇団側もお客さんも大変なだったのかもしれません。
☆は二つ合わせての平均評価で付けました。

開場で購入した『勝馬』のDVDをさっそく見てみましたが、やっぱりコメディは秀逸だと思います。
次回の本公演も観に行きたいです。
空いっぱい

空いっぱい

アンティークス

OFF OFFシアター(東京都)

2010/07/01 (木) ~ 2010/07/05 (月)公演終了

満足度★★★★

ちょっとせつない
脚本は面白かったです。
商業演劇で派手な効果を用いるならともかく、小劇場でのパラレルワールド物は難しいと感じました。

ラストは寂しさもあるけれど、素敵な終わらせ方だと思います。

ネタバレBOX

目新しさはないけれど、多数の複線も最後にはちゃんと回収されていて、よく纏まっていていい脚本だったと思います。
ただ、舞台よりは映像向きかなと感じました。
舞台も映像もどちらも『良い箇所・悪い箇所』はありますが、今回の作品は舞台よりも映像化に可能性を感じました。

空を見上げて星を探す。すぐには見つからないかもしれないけれど、じっと見ているとだんだん見えてくるものもある。
見えないからとすぐに諦めるのも、見えるまで見つめてみるのも、同じ自分。
見方を変えるだけで、たくさんの今まで見えなかったものが見える事もある。
素敵なメッセージが込められた作品だと思います。
寒い国から来た魔女

寒い国から来た魔女

羽生一家玉組

ザ・ポケット(東京都)

2010/06/23 (水) ~ 2010/06/27 (日)公演終了

満足度★★★★

素敵なファンタジー
深い森の中にある洋館を舞台にした、現代ファンタジー。
煌びやかな衣装、ダンスシーンあり、殺陣ありでたくさんの要素を詰め込んでありました。
本もよく練りこまれていて、とても面白かった。
最後もハッピーエンドで終わって、観終わった後にニコニコできる作品でした。

ネタバレBOX

滅多に人が踏み込まない奥深い森の中に立つ洋館。人をヒキガエルに変える事が出来ると言う魔女。敵国に命を狙われる王子。王子の近くに仕え、王子を守る使命を帯びた親友。
ファンタジーの舞台としては申し分ない。
そしてここまでファンタジーでお伽話なのだから、当然ハッピーエンド。
本も最後の最後でどんでん返しで、とてもよく練りこまれていて面白かったです。
役者さん達の演技もみんなとてもしっかりしていて、引き込まれて観てしまいました。
殺陣がもうちょっとしっかりしていたら、もっとよかったかなと思います。
もうちょっと広い舞台で、もうちょっと長い時間観たかったなと思いました。

芝居内容とは関係ありませんが、観客のマナーが悪すぎました。
しかも子供ではなく、40代50代かそれ以上と思われる大人。
暗闇の中で何度も携帯と開く、観劇中にずっとガムをくちゃくちゃ、バタバタと音をたてて扇子を扇ぐ、隣の人と話たり観劇後はフライヤーを席に投げ捨てて帰る等、ちょっとびっくりするくらいマナーの悪いお客さんが多く感じました。
初めてその劇団を見た新規のお客さんの心象が悪くなったら、劇団にも迷惑がかかってしまいます。
応援している劇団なら尚更、観客としての観劇マナーもよくして欲しいと思いました。
ブスとたんこぶ

ブスとたんこぶ

cineman

ワーサルシアター(東京都)

2010/06/24 (木) ~ 2010/06/27 (日)公演終了

満足度★★★★

最後に救いがあった
母親と子供って、難しい関係。
お互いに不満を持ったり、ののしりあったり、でも最後に前を向いて歩いて行ける、希望があってよかった。

ネタバレBOX

ブス(娘)とたんこぶ(母親)の話。
母親は娘の事を『あんたはブスだ』と言い、娘は母親の事を『あいつは私の眼の上のたんこぶだ』と言う。
母親の破天荒な性格と、浴びせかけられる言葉によって娘はどもってしまい、目を見て話す事すらできず、筆談でしか会話ができなくなってしまう。
始めはこのままどこに着地するのか、救いはあるのかとドキドキしましたが、最後はよかった。
母親は口は悪いが、娘を大切に思う気持ちは本当で、ただ言葉が悪かったり、勢いで言ってしまう言葉が多かっただけ。
近いからこそ言ってしまう言葉。
近いから態度も隠せない。
少しの思いやりと、話をしようとする姿勢で関係は良好になる。
自分の母に思いを馳せました。

母親の基子の前向きな性格と『すごくいいわよぉ』の口癖が好きでした。
娘の喜子役の戸塚なをみさん、芝居では凄く地味に見えたのに、パンフレットを拝見したらとても可愛らしい。
照明も雰囲気がよく、演出にも合っていました。
派手さはないけれど、いい芝居でした。
電車は血で走る(再演)

電車は血で走る(再演)

劇団鹿殺し

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2010/06/18 (金) ~ 2010/07/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

頑張るための応援歌
沢山の個性的な劇団があるけれど、この劇団の持つ雰囲気は独特で強烈で、このエネルギーを感じたければこの劇団の芝居を見るしかないと思わせる何かがある。
観終わった後は、少し切なく寂しくもあるけれど、明日に向かえるパワーをもらえる、前向きになれる、そんな内容。
歌と踊りと劇中劇と、色んな要素を詰め込んでありました。
劇団と観客、両方に対する応援歌のような芝居でした。

ネタバレBOX

劇団の自叙伝的なエピソードも上手く取りこんでて、思わず『解るよ…』と言いたくなってしまう台詞もありました。
男前田ドクロの『芝居って作っても目に見えない。だから上手く作れてるか解らないし、不安になって逃げたくなる』やフルシアンテの『僕には書けないよ、知らないもん。思ってない事は書けない。僕に書けるのはこんな本しかないよ』等の人間としての弱さは魅力的でした。
劇団を解散しようかと迷っている三十路の人間の前に、子供の姿のままで現れた鉄彦は『応援してるで、頑張りや。だってできるって信じてるもん』と無邪気に受け止めて、応援してくれる。
自分のやりたい事を信じて、ひたむきに真直ぐにただ頑張る。
大人になってしがらみが増え、ただ素直にやりたい事を頑張れる事もできなくなっていた自分を気付かされました。
鹿殺しのメンバーは劇中の宝塚奇人歌劇団のように、ひたむきにやりたい事を追及しているのだろうなと思いました。

劇中劇を演じる劇団『宝塚奇人歌劇団』も面白い。
蒲田行進曲のパロディや、メタリカ、メガデス、クィーン、マイケル・ジャクソン等々の様々なナンバーに合わせてのパフォーマンス。
ロックでファンクでパンキッシュで、ワクワクしました。
衣装も道具も派手で、小ネタも一々関西的なノリ。
雑多で派手で元気がよくて、いい意味で関西を全面に押し出していました。

鉄彦が死んでしまう電車事故は、福知山線の電車事故を彷彿とさせる。
『電車は沢山の人を運ぶ。人は希望や思いを抱えてる。電車は人を運ぶと同時に思いも運ぶ。希望や未来も運ぶ。』
擬人化された電車車両の、楽隊電車の演出もよかった。
帰宅時に電車に乗った折、思わず鉄彦の台詞を思い出し、せつなくなりました。

でも、この劇団の芝居は言葉では上手く表せない。
ノリが合わない人には、煩いと感じるかもしれない。
実際、大音量なのでびっくりするかもしれません。
万人に薦められないかもしれないけれど、私は元気をもらいました。
ノア版 桜の園

ノア版 桜の園

ノアノオモチャバコ

サンモールスタジオ(東京都)

2010/06/10 (木) ~ 2010/06/14 (月)公演終了

満足度★★★★

面白い演出でした
役者の体を使った演出方法、とても面白かったです。
照明効果が上手く、スポットの当て方、タイミングもよくて素晴らしいと思いました。
あの長々とした原作をよく纏め上げたと驚きました。
チェーホフ作品を他団体の芝居で観た事がある私と、観た事がなく原作も知らず、とりあえず『あらすじ』は知っている人との観劇後の感想の違いが面白かったです。
リメイクの醍醐味であり、挑戦を見た気がします。

ネタバレBOX

導入部の土岐の老いていくシーンの演出は素晴らしかったです。
引き込まれました。

原作を読んだ事がある自分は、土岐のキャラクターに少々あざとさを感じてしまいましたが、一緒に観劇したチェーホフを知らない人間には、土岐というキャラクターはとても重要に映っていたようです。
本筋は変えずに、でもとても思い切ってリメイクされていたので、もっと出演人数を削って中心人物だけにして、そのキャラクタに集中するような方法にしたら、もう一段階凝縮された世界が見られたのかな、とも感じました。

松や山岡の熱演も素敵でした。
面白い世界を体験させて頂きました。
ありがとうございました!
吸血鬼

吸血鬼

ネルケプランニング

PARCO劇場(東京都)

2010/06/04 (金) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

満足度★★★★

好みは分かれるかも
グリング版の『吸血鬼』を見逃していたので、今回の観劇になりました。
実際の事件を下敷きにしたとの事ですが、事件そのものを知らなくても舞台をみるのには支障はないと思います。
演出も面白かったですし、ラストの話の転換も驚きました。
天気の良い休日の昼間に観たせいか、観劇後は劇場内と渋谷の街の雰囲気のギャップに立眩みさえ起きそうでした。

ネタバレBOX

観劇後は落ち込むかと思って覚悟して観に行ったのですが、ラストに多少の救いがあって気構えていたよりは落ち込みませんでした。
チンドンは練習したのでしょうが、やっぱりプロのチンドン屋さんではないので、少しだけ現実に引き戻されそうになってしまいました。
ア ペンション・プリーズ

ア ペンション・プリーズ

ウワサノ…

こった創作空間(東京都)

2010/06/03 (木) ~ 2010/06/06 (日)公演終了

満足度★★★

設定は好き
ゆるい雰囲気のコメディ仕立てのお芝居。
芝居の中での時間経過が多く、シチュエーションコメディという題目なのですが、場面転換が多い印象になりました。
素材としてはとても面白そうな内容なので、もっと練りこめばもっと面白くなりそうだと思いました。

ネタバレBOX

笑いを取ろうとしてネタに走るのはいいと思います。
ネタをネタとしてやりきって、あざとく笑いを取りに行くくらいならばいいのですが、ちょっとやりきりが足りなく中途半端な印象を受けました。
開始直後に最終的なオチまで解ってしまったとしても、オチに至るまでの筋道が面白ければもっと笑えたのにと残念になりました。
空気ノ機械ノ尾ッポvol.15~キカイ~

空気ノ機械ノ尾ッポvol.15~キカイ~

空気ノ機械ノ尾ッポ

シアターブラッツ(東京都)

2010/05/27 (木) ~ 2010/05/30 (日)公演終了

満足度★★★

感じる事ができなかった・・・
舞台の雰囲気は好きです。
ベンチを主役にしての二人芝居という着眼点、照明や音効も面白かったです。
ただ、感じる事ができずに、考えてしまいました。

ネタバレBOX

どうでもいい事を真面目に展開していく手法は好みなのですが、もうちょっと違う方向性に持って行けたらもっと面白くなるのではないかと思ってしまいました。
それぞれの理由でベンチに座り、初対面にも関わらず『ベンチに座る理由』で議論を始めた二人の男は、最終的には同じ方向を向いて、同じ結論に満足していました。
ベンチに座る理由が人それぞれならば、そのベンチから立ち上がる理由も人それぞれだと思うのですが、フライヤーに描かれている太陽と月のように、あえて全く違う結論に達したとしても面白かったのではないかと思いました。

芝居終盤に船に見立てた車輪付きベンチが、舞台狭しと動き回る力技演出面白かったです。
ちょっとやり過ぎで、しつこかった感じはありましたが、ベンチを押している方もベンチ上でポーズを取る役者ももの凄く頑張っていました。
マクベス-シアワセのレシピ-

マクベス-シアワセのレシピ-

THEATRE MOMENTS

シアターX(東京都)

2010/05/20 (木) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

こんなマクベスもあるのか!
素晴らしかったです。
本がいい!構成や演出が素晴らしい。
冗長とも思えるあの長編の原作を90分にすっきりと纏めて、観客を納得させてしまう。
こんなマクベスもあるのかと、目から鱗が落ちました。
観に行けてよかったです。

開演前の劇団主催の方のお心配りも嬉しかったです。
『観客との距離を縮める』『観客に楽しんでもらう』、言うのは簡単ですが、実践するのは難しいと思います。
細かい所にもきを配って頂き、大変楽しく観劇できました。
ありがとうございます。楽しかったです!

ネタバレBOX

開演前の即興コントが始まった時に、『前座なのでリラックスして観て』の言葉にリラックスして観ていたら、いきなり芝居の世界に引き摺り込まれた感覚でした。
導入部からして、やられた!と感じました。
舞台上はシンプルで大道具も小道具もほとんどなく、色とりどりの新聞紙と赤い紐、そして役者の身体表現で舞台上の演出は全て行われる。
シンプルな分、役者も観劇者も可能性が広がる舞台だったと思います。
マクベスの心の在り方が変化する度に、マクベス役の役者も変わるという手法も面白かったです。
最後の終わらせ方も秀逸。
『必ず幸せにするよ』
シアワセとは、言葉とは、自分の本当の望みとは、色々と考えてしまう舞台でした。
聖火の献立

聖火の献立

タッタタ探検組合

劇場MOMO(東京都)

2010/05/13 (木) ~ 2010/05/16 (日)公演終了

満足度★★★

面白かった!
開場予定時刻ちょうどくらいに劇場前に着いたのですが、すでに長蛇の列!
最終的には、通路に座布団を何枚も敷く程の大盛況。
小学生くらいのお子さんも多く、芝居の内容も子供でも笑える楽しい内容でした。

ネタバレBOX

舞台を上下に仕切るセットは斬新でした。
上部で芝居をしていた役者が早着替えで下部に表れて、ミュージカル仕立てで演技をする、また早着替えで上部に戻り芝居の進行をする。
これは確かに力技!
一人で何役もこなして、バタバタ芝居で、でもそれがとても楽しく感じられました。
ただ上部で芝居をしている時のキャラ設定が、インパクトに欠けている気がします。
その職業にしかできない設定があったら、インパクトに残ったのかもしれませんが、観終わった後で、上部で芝居をしていた時のキャラの役どころをはっきりと思い出せませんでした。
終わり方もバタバタで投げっぱなしでも、楽しく観終われたと思います。


子供が多く観劇に来ていましたが、開演して暗転になっても携帯電話をいじっていたり、飲食禁止と言われているのに親がジュースを与えていたりと、マナー面で少し気になる事がありました。
小さいお子さんが劇行に来て芝居を見る事は悪い事ではないと思っていますが、子供に観劇の世界を教えてあげるのならば同時にマナーも教えてあげて欲しいと思ってしまいました。
せっかくの楽しい世界に触れる機会を与えてあげるのならば、もっと楽しくなるように、芝居を作ってる人や周りの人への気遣いも教えてあげられるといいなと感じました。
たまねぎくさい山田2010

たまねぎくさい山田2010

しむじゃっく

アドリブ小劇場(東京都)

2010/05/01 (土) ~ 2010/05/03 (月)公演終了

満足度★★

もうちょっとで届く気がする
本は面白かったと思います。
いい意味でも悪い意味でもクセのない内容でした。
思いっきり振り切って、やりきったらもっと面白くなるように感じました。

ネタバレBOX

複数人の掛け違い会話はコメディでは定番の手法だとは思うのですが、台詞の内容はともかく、テンポや演技のメリハリが足りなかったので、せっかくの面白さがぜんぜん伝わってこなかったのが残念です。
田舎ものやカリスマ美容師等、キャラ付けが強烈なようでいて中途半端だったので、もっとステレオタイプなキャラ付けだったら解りやすかったのかもしれません。

それでも笑わせて頂きました!
癒し系のゆるーい笑いという宣伝文句には、間違いなかったのではないかと思います。
短めの公演時間と安価なお値段なので、ちょっと観に行って笑えて、演劇の間口を広げてくれる内容だったと思います。
ペンション尾根2号館 ~誘引速度アップアップ!

ペンション尾根2号館 ~誘引速度アップアップ!

劇団だっしゅ

萬劇場(東京都)

2010/04/15 (木) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★★

面白いけど、観る人を選ぶかも
とにかくお客さんを笑わせようとしてくれて、サービス精神旺盛な内容でした。
下ネタ苦手な人にはキツイかもしれないですが、面白くて肩の力を抜いて観る事ができました。
下手なお笑いライブ行くよりも面白かったです。

ネタバレBOX

初見だったのですが、前説から下ネタや客いじり、楽屋ネタが多くてびっくりしました。
上演中も役者同士でいじりあったり、突っ込んだり、観客も巻き込んでストレッチしたりとアドリブだらけでしたがキチンと本筋に戻って芝居を進行できているのが凄いと思いました。
アドリブが多いために本通りに進行できず、毎回尺が違うとの事でしたが、2時間半があっと言う間で楽しませて頂きました。
コメディだけの勢いだけかと言ったら、内容もしっかりしていて芝居としても面白く、多少強引ではありましたがラストも纏まっていました。

後で思い出し笑いする程、ロケットパンチがツボでした・・・。
肩に力が入っている時にまた観に行きたいです。
観終わった後には肩の力が抜けて、次の日も適当に頑張れるような気分にさせてくれる、そんな芝居でした。
「悲しくない?」  ~真珠色の連鎖(ネックレス)~

「悲しくない?」  ~真珠色の連鎖(ネックレス)~

劇団40CARAT 【第36回公演『ダーリン×ダーリン×ダーリン』9月15日[金]~9月17日[日]阿佐ヶ谷アルシェ】

アトリエフォンテーヌ(東京都)

2010/04/16 (金) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★

独特の雰囲気
受付や会場内スタッフも全員メイクをして、衣装を着こんで、劇中に流れる音楽は生バンドの即興。
確かに独特の雰囲気を持った劇団でした。

ネタバレBOX

『ロミオ様、あなたは何故ロミオ様なの~』『夜毎変わる月にあなたの愛を誓わないで~』等の台詞の引用も多々あったので、ストーリーの下敷きはロミオとジュリエットである事は確実なのでしょう。
ロミオとジュリエットを現代版にアレンジしたのだとしても、ちょっとストーリーに無理があったのかなと思います。
切なくて哀しい恋のお話なのに、肝心のロミオとジュリエットの切なくて哀しいエピソードが一つもない。
出会い→一目ぼれ→既成事実が一瞬で終わってしまい、後から『だってお持ち帰りしちゃったもん』の一言で観客は既成事実を知らされるのみなので、切なさが伝わってこなかったのだと思います。
ジュリエットも登場時は『ノンビリしてちょっと足りない感じの現代っ子』だったのが、突然本家ロミオとジュリエットのような台詞を発したり、偽装自殺の覚悟を毅然と決意したりとキャラクターに一貫性が感じられませんでした。
本家のロミオとジュリエットではないので、コメディー要素が不要とは思いませんが、バーの登場シーンの踊りと歌、コメディー要素の必要性は感じられませんでした。
音楽は好みが分かれるところですが、音楽のみ取り出して考えるのならば、60年代、70年代のアングラっぽい雰囲気は私は好きですが、この芝居を盛り上げるのに必要な音楽だったのかと考えると、ちょっと疑問を感じてしまいます。
正統派ロミオとジュリエットなのか、コメディなのか、アングラなのかそれぞれを融合させたはいいけれど纏まりきれていない感じを受けました。
完全オリジナル作品だと雰囲気を生かしきれるのかもしれませんが、面白い雰囲気の劇団なのでちょっと残念でした。
『吸血鬼ドラキュラ』『ベッドトークバトル』

『吸血鬼ドラキュラ』『ベッドトークバトル』

ショーGEKI

小劇場 楽園(東京都)

2010/04/14 (水) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★

実験的で面白い
一人で何役もこなしたり、舞台だけでなく劇場全てを使った芝居で、一度世界に入り込めるととても面白く観る事が出来ました。
入り込むまで一瞬、集中力が必要でした。
劇場内が暑くて、観客側も汗だくになりました。

ネタバレBOX

芝居の内容はブラム・ストーカーのドラキュラを下敷きに、大筋は忠実でスタンダートな内容でした。
前半部分のテンポ感や、ドラキュラ城にジョナサンが閉じ込められ脱出するまでのステージを生かした演出や演技は面白かったです。
後半に行くほど駆け足になってしまい、程よいテンポ感が収束してしまったので、上演時間を延ばしてでも一定のテンポ感を大事にして欲しかったと思います。
蝋燭やドライアイスを使った演出は内容にはハマっていたのですが、空調を止めてしまうために劇場内はとても暑くなってしまっていました。
精神病院に閉じ込められたカーミラの演出で効果的に照明を使っていましたが、暗転明けのタイミングが早いのか役者が位置に付く前だったり、はけ終わる前に照明が点いてしまったりしたのは残念。
1時間半という上演時間でしたが、狭い箱の中で効果音・音楽・照明を上手く使いこなして纏めている印象でした。

全体的に実験的な芝居ですが、とて興味深く、面白く観る事ができました。

ヴァン・ヘルシング教授って、あんなにテンション高かったっけ・・・?
ヴァン・ヘルシング教授は、凄い熱演でした。
ジョナサン・ハーカーの演技がよかったです。
大海原の小さなイェイ!

大海原の小さなイェイ!

カリフォルニアバカンス

OFF OFFシアター(東京都)

2010/04/08 (木) ~ 2010/04/14 (水)公演終了

満足度★★★

クスっと笑っちゃう
爆笑!ではないけれど、ずっとニコニコと笑いながら観る事ができた芝居でした。
最後はすっきり纏まっていて、まさに『世界の終末を明るさとばかばかしさで彩る世界再構築コメディ!』でした。

ネタバレBOX

始まりが一人語りだったので多少の集中力を要するのですが、そのまさに集中しようとすると劇場のドアが開く・・・。
何か已むに已まれぬ事情があって、5分程度の遅刻ならば劇場内に入りたいのも解りますが、2回も3回も観劇中にドアの開け閉めは気が散りました。
本編の内容は細かいコントの連続のような、テンポの良い芝居で面白かったです。
いきなり女海賊!?とか、何でタコ!??とか唐突感は多々ありましたが、それすらも『コメディだから』で押し切ってしまうような強引さが返って面白かった。
途中で少々中弛みを感じましたが、最終的には大団円で終了するのも好感が持てます。
女海賊の船長さん声が通っていて、とてもカッコよかったです。
楽しくなれる芝居でした。
CALLING

CALLING

Neo Mask

吉祥寺シアター(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

かっこいい
柳生十兵衛と八犬伝を上手く絡ませたストーリー。
広い舞台を使い切った殺陣。
影絵シルエットによる演出。
所々に織り交ぜるギャク要素。
固くなり過ぎず、中弛みもせずに楽しめた舞台でした。

ネタバレBOX

観終わった後に素直に『面白かった!』と言える舞台でした。
一つの舞台として纏まっていたので、観終わった後にスッキリします。
とても広くとった舞台で繰り広げられる殺陣はカッコよかった。
くの一のお二人と和唐成功さんの殺陣がお気に入りです。
それぞれの立場や生き方や、思惑が絡み合って芝居としても楽しめました。
BloodTYPE(ブラッドタイプ)

BloodTYPE(ブラッドタイプ)

山下幼稚宴

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2010/04/03 (土) ~ 2010/04/11 (日)公演終了

満足度★★

ミュージカルコメディ?
確かに歌って踊るし、随所に笑いどころを織り交ぜてはいたけれど、ちょっとどっちつかずの中途半端さを感じてしまいました。
『一生懸命』が全面に出ていて好感は持てました。

ネタバレBOX

登場人物が多いので、それぞれにキャラ立てをしようという試みなのでの『あだ名』だろうけど、無理矢理感が否めなかった。
名を現わすようなパフォーマンスが薄いように感じました。
キャストの演技力差や歌の得手不得手が透けて見えてしまって、アンバランスなところが気になりました。
ドタバタのタイムトラベル物としては王道だし、辻褄の合わなさを勢いで乗り切ろうとするのは好感が持てました。
ミュージカルとして心に残る曲が無かったのが残念。
ゴルゴダ・メール

ゴルゴダ・メール

劇団俳小

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2010/03/25 (木) ~ 2010/03/29 (月)公演終了

満足度★★★★★

とても素晴らしかったです
アスペルガー症候群という扱いの難しいテーマを見事に描ききった脚本、
真に迫った演技、劇中劇をリアルに感じさせる演出、すべてが素晴らしかったと思います。

「アスペルガー症候群にはこうやってこうやって接するべき」という押し付けではなく。
「ありのままの彼らの姿を観てどう思うか」という問題提起に重点が置かれているように
感じられました。

作品は終わっても実在のアスペルガー患者の人生は続いていきます。愛憎、嫉妬、偏見、同情…
そういったものを描いたいくつかの伏線をあえて回収せず、切り取るように終わらせたラスト。
完全にやられました、次期公演も期待してます。

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