kikiの観てきた!クチコミ一覧

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実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/10/30 (日) 17:00

横浜的短編ミュージカル集というフレーズどおりに、崎陽軒やホテルニューグランドなど横浜らしいモチーフによる5つの物語を、生演奏と歌声に乗せて綴っていく。華やかで素敵な時間だった。1946年に建てられたダンスホールの建物自体も含め、過去と現在を俯瞰する面白さもあった。

Manhattan96 Revue~白昼のグリーンジャーニー~

Manhattan96 Revue~白昼のグリーンジャーニー~

Manhattan96

浅草九劇(東京都)

2022/10/27 (木) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/10/30 (日) 12:00

植物をモチーフにいくつもの物語とパフォーマンスが絡み合い重なり合いながら綴られていく。周囲の喧騒とは全く異なる世界が劇場内に生まれ、キャスト陣の技術や魅力を充分に堪能できた。

OJISAN'S4

OJISAN'S4

はらぺこペンギン!

赤坂RED/THEATER(東京都)

2022/10/19 (水) ~ 2022/10/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/10/23 (日) 16:00

20年前に町を救った4人のヒーローが普通のおじさんになった今、またあの町にピンチが訪れて、というチラシに載っていたあらすじがめっちゃ面白そうだったので観に行った。
期待通りのテイストで、期待以上の面白さだった。濃いキャラクターや展開にたくさん笑いつつ、ヒーローの誇りも平凡な暮らしの中でのプライドもそれぞれに胸にしみた。カーテンコールの挨拶も含め、拝見できて本当に良かった。

伯爵のおるすばん

伯爵のおるすばん

Mrs.fictions

吉祥寺シアター(東京都)

2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/08/26 (金) 14:00

2020年に中止となったMrs.fictions×劇団4ドル50セント『伯爵のおるすばん』。そのときの約束を守るためMrs.fictionsの主催公演として上演された今作は、4ドル50セントの前田悠雅さんを主人公に据えて、華やかに美しかった再演とはまた異なる魅力を備えて胸熱であった。

ネタバレBOX



展開や台詞が(ほぼ)変わらなくても、目に見える姿が変わることで受け取れる意味が変わってきたり。

再演と比べてキャストの人数が減り場面ごとに複数の役を兼ねる方がいる。

ただし、各時代の伯爵の思い人は他の役では登場しない。……最後の思い人であるコリスを除いて。

各時代で、伯爵に振られてしまうときにややコミカルな役どころを担ってきた岡田さんが、コリスを演じる。

だからこれは、伯爵の物語であると同時にコリスの物語でもあるのだ。

世界の終わりを目前にして「……あたしずーっと昔から、この瞬間を夢見てた気がする。」とコリスがいう。その人に寄り添って終末を迎えるために長い長い年月を越えてきたのだ。

物語の流れは変わってないのに配役だけで(いや「だけ」ではないけれど)こんなに見え方が変わるのは不思議だった。それだけ戯曲のポテンシャルが高いということだろう。
アイ・アム・ア・ストーリー

アイ・アム・ア・ストーリー

シベリア少女鉄道

シアター・アルファ東京(東京都)

2022/10/12 (水) ~ 2022/10/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/10/22 (土) 18:00

初のシベ少だったんだけど、タイムラインに「何を見せられたんだ」的な感想がいくつも流れてきてワクワクしなが、観に行った。
Dr.コトー的な物語がしだいに奇妙な展開を見せてきて、訪れる壮大なクライマックスまで一気に畳み掛ける。
好みは分かれるかもしれないが、個人的にはとても面白かった。

ネタバレBOX

ほとんどのキャストが複数の役を兼ねつつ進むうちに、役の切り替えが間に合わなくなってきて、そのうちにひとりのキャストがそれぞれの役を奪っていってしまう。
脚本上はDr.コトー的展開が続きつつ、舞台上に見える物語はまったく別の様相を見せてきて、多くの役を乗っ取った彼がラスボスめいた姿で現れる。その彼と対峙するため残されたわずかな役を駆使して戦ったりする。
もうね、どうしたらこんなこと思いつくのか、他の公演ではどんな芝居を見せるのか気になって仕方ない。
burst!~危険なふたり~

burst!~危険なふたり~

株式会社CULEN

日本青年館ホール(東京都)

2022/10/01 (土) ~ 2022/10/26 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/10/22 (土) 13:00

あなたの家に爆弾が仕掛けられている、という突然の電話。爆発を回避するため電話越しに続けられるスリリングかつ滑稽な会話により物語が進む。

広い会場の2階席後方席で、舞台に入り込みにくいかと思ったのに、あっという間に引き込まれ笑いの絶えない約100分。カーテンコールでのお2人のトークもたっぷり、開演前・終演後にも仕掛けがあって満足満足。

なくなるカタチとなくならないキモチ

なくなるカタチとなくならないキモチ

一般社団法人グランツ

駅前劇場(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/10/15 (土) 19:00

東日本大震災を経て再開された授産施設を取材する記者と施設のスタッフ、そして利用者の経験を細やかかつ温かい筆致で描く。
障害のある方もその周囲の方も、それぞれの暮らしや葛藤を抱えつつ、生きていくのだと思った。

A・NUMBER

A・NUMBER

サンライズプロモーション東京

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/10/15 (土) 12:00

70分に凝縮された父と息子(たち)の物語。クローンが題材のとのことでアイデンティティが主題になるかと思ったけど、それ以上に親と子についての寓意に満ちた二人芝居だった。戸次さんと益岡さんの演技に大満足。

天の敵

天の敵

イキウメ

本多劇場(東京都)

2022/09/16 (金) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/10/01 (土) 18:00

物語の面白さや奇妙さを成立させる登場人物たちの説得力。2時間を超える長尺ながら観る側の集中力も切れることなく、終わってしまうのが惜しい気持ちにさえなった。

MUDLARKS

MUDLARKS

GORCH BROTHERS 2.1

ザ・スズナリ(東京都)

2022/09/29 (木) ~ 2022/10/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/10/01 (土) 13:00

ヒリヒリするような緊張感。3人の若者が抱えるそれぞれの事情、それぞれの思い。そして起きてしまったこと。彼らが暮らしてきたその町の閉塞感が劇場の空気を支配し、キャスト陣の期待を裏切らない熱演が客席を物語に引き込んでいた。

デストルドー9

デストルドー9

デストルドー9製作委員会

光が丘IMAホール(東京都)

2022/09/22 (木) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2022/09/24 (土) 12:30

予想よりだいぶ好みだった。世界観や設定が次第にわかってくると絶望が深まると同時に感情移入しやすくなる。こういうシリーズものはリピートや関連作品の履修が進むとより楽しいはず。劇団しゅうくりー夢の横井さん、役柄以上に動きや声が印象的だった。

『田瓶奇譚集』

『田瓶奇譚集』

劇団肋骨蜜柑同好会

駅前劇場(東京都)

2022/09/16 (金) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/09/17 (土) 19:00

架空の町(田瓶市)を舞台にしたホラーアンソロジー。
ホラーだから怖い要素ももちろんあるけど、それ以上に各団体それぞれの個性と魅力が楽しめた。各作品をつなぐ枠組も良かった。

笑顔の砦

笑顔の砦

庭劇団ペニノ

吉祥寺シアター(東京都)

2022/09/10 (土) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/09/17 (土) 13:00

隣り合う2つの部屋。同世代ながらまったく異なる人生を送ってきた2人の男を取り巻く人間模様。それぞれの日常は淡々と、ときに楽しくときにやるせない。観劇後、人恋しさがじんわり。いつもながら舞台美術にも圧倒された。

ルドルフとイッパイアッテナ

ルドルフとイッパイアッテナ

オペラシアターこんにゃく座

あうるすぽっと(東京都)

2022/09/08 (木) ~ 2022/09/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/09/10 (土) 13:00

ワクワクハラハラしながらあっという間にラストまで観た。
たぶんこの先何年も一般公演や学校公演、子ども劇場等で上演され続けていく新しいレパートリーの誕生なのだと思った。
ダブルキャストの両チームを拝見したが、キャストによって本当に印象が異なるのも面白かった。

「巴」×「藤戸」

「巴」×「藤戸」

Kouda-kikaku

Earth+gallery(東京都)

2022/09/01 (木) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2022/09/03 (土) 13:00

能を題材にした舞台もいろいろあるけど、割とガッチリ能楽寄り。戦(いくさ)で大切な人を亡くした人物が主人公となる哀切な2つの物語により、争うこと殺しあうことの理不尽さが印象に残る構成となっていた。ことに巴を演じた七味さんの舞が凛々しく美しかった。

空蝉

空蝉

あやめ十八番

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2022/09/01 (木) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/09/01 (木) 13:30

『しだれ咲きサマーストーム』とよく似た冒頭で、同じ世界観(江戸風俗の続く現代)を背景に描かれるのは、この世と地獄をまたにかけ人情と欲とが入り混じる人間模様。馬鹿馬鹿しくも愛おしい物語に、生演奏や芸達者なキャストが揃って見応えあった。

2020

2020

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2022/07/07 (木) ~ 2022/07/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/07/16 (土) 18:00

客席に入ると、ステージ上には照明器具が低い位置まで下ろしてあって、あらこれはどうやって芝居するのか、と思ったりした。

と、上手側客席通路を通って、軽やかな足取りで彼が登場する。白いマスクをして(舞台に上がって少ししてから外してました)、白いシャツと黒いスラックス、黒い靴というシンプルないでたちだ。

照明器具は通常の高さまで引き上げられ、舞台上には抱えられるくらいの大きさの白い立方体(軽そうに見えるので、発泡スチロールかな、と思う)が、大量に積み上げられていた。

彼が「これ」と呼ぶ立方体は、後方には一面に積み上げられてスクリーンのように使われたり、積み上げた上に登ったり、崩してその上にダイブしたり、さまざまな使い方をされる。

「これ」を創ることが、人と他の生き物との違い、などと言ったりする。

物語は、地球上に彼と「君たち」の2人だけになってしまった未来に、彼以外の人間が個を失っていく過程を語るものであった。

「雄弁は銀、沈黙は金」と言いながら、それでも語り始めてしまった彼は、物語を続ける。

ネアンデルタール人の時代から、さまざまな時代と国に生まれ変わってきた彼。時代ごとに衣装を加えたりしつつ、客席に語りかけ、ときに踊り、ときに歌ったりもしつつ、膨大な言葉を紡いでいく。

金髪で彼と同じ服装のダンサーが、彼の語りの背後で、あるいは向き合いつつ、言葉を身体で補うように踊り続ける。

私たちはどこへ向かっていくのか。2020年を分岐点として。

いろいろな寓意を含んだやや重た目な題材を軽やかに語り続けるその人の魅力を堪能する約80分であった。

きゃんと、すたんどみー、なう。

きゃんと、すたんどみー、なう。

やしゃご

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/07/07 (木) ~ 2022/07/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/07/16 (土) 13:00

三人姉妹の暮らす家から次女と夫が引っ越しするのだけれど、知的障がいのある長女が見慣れない男性(引っ越し業者)を見て暴れたらしい。

長女が落ち着くのを待って手持ち無沙汰な引っ越し業者2人の他愛もない会話などから、しだいにそれぞれの事情やキャラクターが思いが伝わってくる。

次女と三女の互いへの微妙な気遣いと屈託も、次女の夫に対するわだかまりも、引っ越し業者の綿引と由香里、そして由香里の義理の兄で社長でもある山本、それぞれを思う気持ちも。

知的障がい者である長女とそのボーイフレンドの言い出したことが、その奇妙な一日にまたひとつ大きな波紋を呼ぶ。

授産施設の職員だって、その役割からはみ出す思いを抱えている。

大学教授だった次女の夫が起こしたらしいスキャンダルについての助手の言及。

戯曲の細やかな人物造形を手練れ揃いのキャストが見事に立体化して、作り物ではない生きた人間がそこにいる、という感慨がひとしおだった。

ドラマティックな「物語」ではなく、人が暮らすということや生きるということが丁寧にそして切実に描かれて、観客を惹きつける。

観終わって劇場を立ち去りながら、登場人物の一人ひとりのこの先の日々を思う、そういう舞台だった。

審判

審判

義庵

調布市せんがわ劇場(東京都)

2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/06/26 (日) 14:00

2時間半にわたって語られる壮絶な体験が、シアター風姿花伝での初演よりシンプルにヴァホフの言葉として聴こえた。

平静さも激昂も観客を置き去りにせず、苦しみと愛情とを余すところなく伝えてくる。

闇の中に、彼にだけが淡く浮かび上がる。その表情から目が離せない。

息の詰まるような緊張の時間、そして魂を揺さぶられる時間となった。

パンドラの鐘

パンドラの鐘

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2022/06/06 (月) ~ 2022/06/28 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/06/25 (土) 18:00

劇場に入ると、明るく照らされた舞台は素舞台という以上にむき出しで、舞台の向こうにある搬入口まで見通すことができた。

劇場の向こう側のコンクリートの壁や機構を照らす蛍光灯の白さを遠目に観ながら、これから始まる物語に思いを馳せた。

……まだ明るい客席通路をひとりの人物が歩いていく。

そのまま舞台に上がり、倒れ込むように床に耳を押し付けた。それがミズヲだった。

観られなかった昨年の上演では、ミズヲとオズを同じ役者さんが演じたそうだ。同様にヒメ女とタマキも一人二役だったらしい。

そちらも観てみたかったな、と思った。というのは、狂王と考古学者が一人二役なのを観て、他のキャストはなぜそうしなかったのか、と思ったからだ。

2つの時代を同じキャストが演じることで見えてくるモノもあるだろう。一方で変わってしまう部分もあるかもしれない。

2つの時代のうちのひとつは、上記のあらすじに「太平洋戦争開戦前夜の長崎」と記されているけれど、正直言って終盤までそれに気が付かなかった。服装も交わされる会話の中の固有名詞なども具体的にその時代を示すものはないよう描かれていたからだ。もしかすると意図的なミスリードではないか、とも思ったけれど、あらすじに明記されているのだからそれは考え過ぎなのだろう。

その時代なのだ、と気づいたのはパタパタとさまざまなピースが繋がっていくときだった。

古代の王国と太平洋戦争開戦前夜の長崎が、そしてミズヲの記憶と彼の名前の意味をはじめとするたくさんのモチーフが、それぞれにつながり怒涛の勢いで感情を揺るがしていく。パンドラの鐘に隠された秘密。太陽。水を求める人々。

そんな中でのヒメ女の決断。それを見守るミズヲ。

今回が初舞台だという成田凌さんから、舞台女優の代名詞のような白石加代子さんまで、キャストは皆さんそれぞれ魅力的で、個性的な登場人物たちが皆愛しく感じされた。

演出や美術も印象的だった。

冒頭で空っぽだった舞台に立てられた4本の柱。周囲には紅白横縞の幕が張り巡らされる。

4本の柱のひとつに太い綱でつながれた釣鐘はそのまま能の『道成寺』を思わせた。小鼓の響きも劇中で聴こえていた。他にも随所で和物のニュアンスが加わって、無国籍な古代王国の印象をこの国に繋ぎ止めていた。

ラストで、舞台の向こうの搬入口が開かれ、現実の現在の渋谷が見えた。

劇中で問われた何かが、現実の街に重なる。

ふと蜷川幸雄さんの演出を思った。そういえば、この公演はNINAGAWA MEMORIALと銘打たれている。演出の杉原邦生さんが意図的に蜷川さんのテイストを取り入れていらしたのだろう。

この舞台を観ることができてよかった、とまた思った。

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