latticeの観てきた!クチコミ一覧

161-180件 / 537件中
朗読劇「私立探偵 濱マイク」-我が人生最悪の時-

朗読劇「私立探偵 濱マイク」-我が人生最悪の時-

朗読劇「私立探偵 濱マイク」製作実行委員会

ヒューリックホール東京(東京都)

2021/02/17 (水) ~ 2021/02/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

もうコロナでもないだろうと久しぶりの観劇。
ざっと演目を検索しているとハードボイルドが目についたので深く考えずにポチってみた。

会場に着くと観客は若い女性ばかり。1席飛ばしでおよそ400人のうち男性は4-5人しかいない。ああそういう属性の俳優さん方だったのかとちょっと先行きが不安になった。

しかし舞台が始まってみると中身は正真正銘の私立探偵もので緊張感もあって飽かずに楽しむことができた。朗読劇なのでアクションシーンはないし、出演者は皆さん若いので陰影とか重みとかとは無縁である。そういうことはあるものの久しぶりの生身の演劇に私は概ね満足であった。しかしこれでは観客のほとんどを占める若い女性の方々は満足なのだろうか、歌とか踊りとかそういうサービスもあって良かったのではないかと余計な心配をしてしまった。

入場料が高いのでお得な券を探しましょう。

オリエント急行殺人事件

オリエント急行殺人事件

エイベックス・エンタテインメント

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2020/12/08 (火) ~ 2020/12/27 (日)公演終了

満足度★★★★

アガサ・クリスティーの1934年の作品。新興の大国アメリカで起こったリンドバーグの長男の誘拐殺人事件(1932)はイギリスでも大きく話題になったのだろう。その事件をバックグラウンドに取り入れ、舞台を中東を走る豪華列車の中に設定するというタイムリーで欲張りなものであった。当時の読者は謎解きと共に二つの異世界への興味を大いに刺激されたことだろう。反面、現在の読者にはその誘拐殺人事件についてはピンと来ないのも確かである。

オープニングの舞台にはオリエント急行の車体横部分があって並んだ窓から車内が見えている。この車体が上がると1階に食堂車、2階に客室並びが現れ、上方には車輪のオブジェがあって回転し雰囲気を醸し出している。

原作ではポワロが謎解きを語ったところで終わるのだが2017年の映画もこの舞台も一頻り正義について語る。まあ確かにミステリーはトリックの部分を除けば読むところはないので何か意義を付け加えたくなるのは分かるのだが取って付けたような白々しさは否めない。そこを軽くスルーすれば中々楽しい良い舞台であった。

観客の平均年齢は50歳以上ではないだろうか。そして開演前にパンフレットを買って読んでいる姿がかなり目立つ。この2,000円のパンフレットは読みどころが多くておすすめである。席は飛ばしなしのベタ詰めだがこの劇場特有の左右の横向き席を除けば9割くらいは入っていただろう。こういう演目はやはり強い。

途中でダンスが始まるかと思わせるシーンがあったがすぐに通常モードに戻ってしまった。まあこの配役では無理がある。しかしミュージカル「オリエント急行殺人事件」はありだなあと思わせるに十分な盛り上がりを感じた。このことを含めて全体におしゃれで軽いのは主催がエイベックスだからなのだろう。

*なお、この作品では誘拐殺人事件の犯人は逃げおおせているという前提になっているのだが実際の事件では犯人は捕まり無実を主張したが死刑が執行されている。

ネタバレBOX

原作で容疑者の人数は12人、お馴染みの陪審員の数である(*)。さすがにそのままでは水増し感がかなりあるのでこの舞台では数合わせを諦めて適切に減らしている。元々必要性の薄い医師は登場しない。そして本来登場機会のほとんどないアンドレニ伯爵夫人が最初から目立っているのが特徴であり、結末に少しの違いを生じさせる。

(*) ウィキペディアの「陪審制」によると
陪審の起源は、少なくとも、カール大帝の息子、ルートヴィヒ1世が、829年に、国王の権利について判断する際、その地方で最も優れた、最も信頼できる人物12人に宣誓の上陳述させるという制度を設けたことにさかのぼるという。別の説もあり。

登場人物
エルキュール・ポアロ:名探偵:椎名桔平
ブーク:鉄道会社の重役でポアロの友人:松尾諭
アンドレニ伯爵夫人:松井玲奈
サミュエル・エドワード・ラチェット:悪党:粟根まこと
ヘクター・マックイーン:ラチェットの秘書:室龍太
アーバスノット大佐:軍人:粟根まこと(二役)
メアリー・デブナム:家庭教師:本仮屋ユイカ
ドラゴミロフ公爵夫人:ロシアの貴族:高橋惠子
ヘレン・ハバード:超陽気なアメリカ人:マルシア
グレタ・オルソン:宣教師:宍戸美和公
ピエール・ポール・ミシェル:車掌:中村まこと

原作にあってこの舞台には登場しない人物
コンスタンチン博士:医師
アンドレニ伯爵:外交官
エドワード・ヘンリー・マスターマン:ラチェットの執事
サイラス・ハードマン:ラチェットに雇われた探偵
アントニオ・フォスカレリ:自動車のセールスマン
ヒルデガード・シュミット:ドラゴミロフ公爵夫人の女中
アクリルジャンクション

アクリルジャンクション

backseatplayer

俳優座劇場(東京都)

2020/12/02 (水) ~ 2020/12/06 (日)公演終了

ミュージカルだからと割り引いてもあんまりなストーリー、決して上手ではない歌。
なんだか気持ちが悪くなって途中休憩で駅に向かった。後半を見ていないので無評価。
もっとも、おかまバーのママの演技と葉っぱの守り人の歌には安定したベテランの味わいがあって救われた。
他の方には好評なので私が年をとったのだろうなあ。

尺には尺を

尺には尺を

新国立劇場演劇研修所

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2020/10/27 (火) ~ 2020/11/01 (日)公演終了

満足度★★★★

研修生の試演会ということでストレートで熱のこもった芝居が楽しめた。

大枠は単純な喜劇の作りなのだがしばしば起こる不調和な出来事によって問題作にも分類される。
最後のシーンでは原作に加筆して(?)あいまいで論の分かれるところをよりダークな方向に振っている。さらに長い余韻で締めくくることによってそれを強調していた。もっともここは私の記憶違いで加筆なんてなかったかもしれないが。

ヴィンセンシオ役の星初音さん、この中でこの役をやるのはこの人しかいないという圧倒的な個性の持ち主。期待に違わぬ熱演で観客を支配していた。今回、私が心を奪われそうになったのはマリアナ役の渡邊清楓(さやか)さん。ピタッと決まった時の美しさは西洋名画の輝きがある。しかし残念なことにその輝きは長続きせずすぐに影が差してしまうのだ。もっともセリフもしっかりしていて十分訓練された方なのでこのマリアナという微妙な役に合わせてわざとオーラを消していたのかもしれない。

メモ:「尺(measure)」とは判断基準のこと。題名「Measure for Measure」は「他人に使った基準を自分にも適用せよ」ということ。「目には目を」は「An eye for an eye」

真夏の夜の夢

真夏の夜の夢

東京芸術劇場

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2020/10/15 (木) ~ 2020/11/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

シルヴィウ・プルカレーテ演出というとちょうど3年前同じ東京芸術劇場プレイハウスで行われた「リチャード三世」を思い出す。奇抜な演出でそうすることの意味がさっぱり分からなかった。今回もああいうものなら嫌だなあと思っていたが全くそんなことはなかった。左右に移動する板に乗っての移動とか半透明のスクリーンに映し出されたリアルな映像とかの飛び道具は使われているがそれも含めて極めて分かりやすい。

野田秀樹潤色とあって「潤色って何?」となるが原作の大まかな枠組みは保持しながらも場所を日本に移し、悪魔メフィストを登場させ、しかも主役級の大活躍をさせる。ここまで崩すとあとはやりたい放題で言葉遊びの洪水である。「妖精に要請する」とかのダジャレ連発も良いが「口に出さずに飲み込んだ言葉はどうなるのか」なんていう話も嬉しい。

原作が何倍にも膨らんでいて理屈抜きに楽しい。どなたにもお勧め。

ミュージカル『ローマの休日』

ミュージカル『ローマの休日』

東宝

帝国劇場(東京都)

2020/10/04 (日) ~ 2020/10/28 (水)公演終了

満足度★★★★★

アン王女=朝夏まなと、ジョー・ブラドレー=加藤和樹、アーヴィング=太田基裕の回を観劇。

無名のオードリー・ヘップバーンが一躍トップスターに上り詰めた1953年の映画のミュージカル版。
さすが帝国劇場、席数半分にもかかわらず、たっぷりとお金をかけて次々と豪華なセットを登場させる。大赤字なんじゃないでしょうか。もちろん衣装も作りこんでいるし、スクーターを舞台上で走らせたりもする。ミュージカルとしては音楽が控え目であり、ストーリー重視と言える。そのストーリーは淡い恋愛と成長の物語であってなかなか感動的であった。すべてが高レベルで揃っていて、余裕の星5つ。B席4,500円で観させていただいて申し訳ないくらいだ。

常に外気を取り込んでいるので会場内は男の私でもかなり寒い。コロナには罹らなくても風邪をひいてしまいそうだ。毛布の貸し出しも今はしていないので女性は厚着で行くことをお勧めしたい。

ロートレック

ロートレック

Yoshiki Yamamoto Solo Musical

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2020/10/14 (水) ~ 2020/10/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

電子ピアノ、ウッドベース、ドラムの生バンドをバックにした山本芳樹さんの一人ミュージカルである。ロートレックの36年余の一生をナレーション、芝居、歌と八面六臂の大活躍で描いていく。燕尾服にシルクハットをかぶれば貴族であるお父さん、ショールを羽織えばお母さんとなり、テーブルを出して酒場を作り、足を上げればムーランルージュの踊り子となる。それにしても山本さん、一人芝居の悲壮感が全く感じられない。これはおそらくバンドが常に空間と時間を埋めているのでいつでも息抜きができるからではないかと思った。

ロートレックというとユニークなポスターの作者という程度の認識しかなかったが、人生も非常に面白いものだった。

この舞台、小さくまとまっていたと見るか適切なスケールと見るか迷うところだが悪くても星4つ半は固い。私の今年のベスト1だ!

「プヒのかあさん」の観てきたに何かピンと来て雨の中を新井薬師まで出かけて大正解。「プヒのかあさん」に感謝。

獣道一直線!!!

獣道一直線!!!

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2020/10/06 (火) ~ 2020/11/01 (日)公演終了

満足度★★

ドタバタギャグ満載というかそれだけ。前半で帰ろうと思ったが満席のため席を離れるのが面倒で断念した。

生瀬勝久さん、池田成志さん、古田新太さんの3人を目当てに行ったのだが池谷のぶえさん主演、宮藤官九郎さん助演という感じだった。

退出時も「エレベーター、エスカレーターは混みあいますので外階段をご利用ください」とアナウンスがあって本当に外階段に誘導された。ここは8階なんですけど(泣)

リチャード二世

リチャード二世

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2020/10/02 (金) ~ 2020/10/25 (日)公演終了

満足度★★★★

シェイクスピア作品の中ではマイナーな存在ということで期待していなかったためか結構楽しめた。ストーリーは「驕れるリチャード2世は久しからず」で分かりやすい。しかし展開が雑というか説明がまるで省略されている。その分、各場面が丁寧に描かれていてセリフがなかなか味わい深い。また暗転がなくスムーズにつながって行くのが非常に心地良い。他の舞台でも見習ってほしいものだ。もっとも膝から荷物を下ろすタイミングが前半90分間とうとう取れなかったのにはちょっと参った。

横田栄司さん演じる重厚なヨーク公が主役お二人をまるで子供に見せてしまう一方で、那須佐代子さん演じる奥さんにはまったく敵わないというのはお約束とはいえ落差の大きさに感心した。

トリプルコールのスタンディングオベーション、最近では珍しいなあと驚いて周りを見ると95%が若い女性だということに初めて気が付いた。最後のコールに答えるのはお二人だけ。

世界も三角、土俵も三角/特殊になれなかった者たちへ

世界も三角、土俵も三角/特殊になれなかった者たちへ

マチルダアパルトマン

王子小劇場(東京都)

2020/10/07 (水) ~ 2020/10/11 (日)公演終了

満足度★★★★

マチルダ・アパルトマンの描く若者の日常は非日常である。登場人物もネジが緩んでいてパッとせず、若い人が好むような職業にはついていない。部屋も汚い(笑)。その辺りが若者の日常を淡々と描いた他の演劇(おそらく主人公の部屋は奇麗)とは違っている。基本的にはその場その場の不思議な状況を楽しむべき作品なのだと思う。ただし「世界も三角、土俵も三角」からは極小偽テロリストの論理みたいなものを読み取ることはできた。

二つ目のお話は一つ目の後日譚ということなのだろう。しかし大きすぎるギャップを私は埋めることができなかった。一つ目の終わりが先行きを不安に思わせるようなものだったのならすんなり腑に落ちたのだが。そして彼の相方があの彼女だったのだろうかという疑問が浮かんでそのまま残ってしまった。

例のイラストを止めてしまったのがちょっと残念。

私はだれでしょう

私はだれでしょう

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2020/10/09 (金) ~ 2020/10/22 (木)公演終了

満足度★★★★

こまつ座のこの種の舞台はそれほど好きではないのだけれど、父が戦争に行っていたせいかついつい観てしまう。今回は記憶喪失した復員兵が話の一方の主役で父と同じような任務に就いていたことから昔聞いた話を懐かしく思い出した。幸い父は記憶喪失にもならず実家も空襲に遭わなかったので日本に着いてからはすんなりと帰郷できたのだった。

当時の基本的な用語や社会情勢がふんだんに盛り込まれている。軍の幹部が戦後のどさくさに軍需物資をわがものにする話が出てくるが、戦時中でも物資を不正に蓄え妾をかこっていた奴がいたというのは母がいつも憤っていたことだ。こういう話は井上ひさしの世代のリアルだったのだが私の世代ですでに伝聞であり若い世代には別の宇宙の話で理解は困難だろう。

ストーリーは二つの主題が交錯し、大小さまざまな伏線が張られ、歌あり、踊りあり、タップダンスまであり、とサービス精神旺盛である。私も面白かったで終わらせておけば良いものを、GHQに逆らうなんてそんな勇気のある人々がいたんだと調べ始めるととたんに困ったことになった。フランク馬場は実在するものの川北京子は見つからない。そしてフランク馬場が軍法会議にかけられた形跡はなく、それどころかそれ以降も日米で大活躍するのである。まあこの舞台は事実と空想を作者の頭の中で混ぜ合わせて熟成させたものなのだろう。

イベントの開催制限緩和が漸く実行されてこの舞台も1席飛ばしではなくなった。贅沢な時代の終わりは、関係者には怒られそうだけど、ちょっと残念。

ネタバレBOX

ジャガイモでサインを写し取って書類を通すなんてあるわけないだろうと言われるとその通りではある。
ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~【9月11日(金)開幕決定  / 公演中止 2020年7月12日(日)~8月30日(日)】

ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~【9月11日(金)開幕決定 / 公演中止 2020年7月12日(日)~8月30日(日)】

ホリプロ

赤坂ACTシアター(東京都)

2020/09/11 (金) ~ 2020/10/17 (土)公演終了

満足度★★★★

少年ビリーがダンスに目覚め、困難を乗り越え王立バレエ団のオーディションに合格するお話。

困難とはいってもダンスについては易々と上達して行く。私が作者ならビリーは育ちが悪いので優雅なニュアンスが表現できないとか余計な話を入れたくなるのだが、このお話のもう一方にはマーガレット・サッチャー首相と労働組合の戦いがあってそんな時間の余裕はないのだ。そして困難は主にその方面からやって来る。「こんな戦いのときに男がバレエなんかやってる場合か」などと父親を含む周りの人々から非難されてしまう。どうやら作者はビリーの物語と同等かそれ以上にサッチャー批判がしたかったようだ。日本の若い観客にとってはサッチャーって誰?だし、年寄りには何を今更となってしまう。少し無理のあるテーマの貼り合わせに思えるが意外に相性が良くストーリーに躍動感と緊張感を生み出し、3時間(含25分休憩)の長丁場を飽きずに楽しませてくれた。

ビリーのダンスは子供にしてはよくやっているなあという以上のものがあったが、親でも親戚でもない私を感動させるまでには至らない。そんな最初から分かっていることに文句をたれていてはいかんよと思うものの、成熟したダンサーの隙のない身のこなしがもっと観たかったという残念感がやはり大きい。ただしフィナーレの群舞は文句なし。これに匹敵するものをもう一つやってくれたら星5つだったのだが。

『浦島さん』『カチカチ山』 

『浦島さん』『カチカチ山』 

ヴィレッヂ

東京建物 Brillia HALL(東京都)

2020/10/04 (日) ~ 2020/10/17 (土)公演終了

満足度★★★

「浦島さん」を観劇
太宰 治「お伽草紙」の「浦島さん」を舞台化したもの。とくに中盤は会話の連続なのでほぼそのままである。原作は浦島太郎の物語を太郎と亀のくだくだとした会話で延々と伸ばしたもので、あらすじを書けばただの浦島太郎のお話になってしまう。したがって皮肉や揚げ足取り満載の会話を楽しむべきものなのだろう。ただし竜宮での生活はタイやヒラメの舞い踊りがない地味なもので作者の思いが感じられる。80分休憩なし。

いのうえひでのり演出ということで劇団☆新感線的な何かを期待してしまうが登場人物が3人という時点でそれは無理だと諦めなければいけない。とはいえ亀役の粟根まことさんの(いつもの)怪演がたっぷり楽しめるのは劇団☆新感線ファンには嬉しいところだ。その怪人粟根と渡り合う福士蒼汰さんは大変だったろうが一歩も引けを取ってはいない。しかし私の一押しは乙姫役の羽野晶紀さんである。出番は多くはないが実に個性的でチャーミングであった。今まで私の脳内ではあのお姑さんのイメージが邪魔をして正しい姿をとらえることができなかったが今回で払しょくできたと思う。

以上に述べた「ストーリーは浦島そのもの」「何事も起こらない」に気づくのが遅すぎた、と言うより終わるまで気が付かなかった(笑)ためあまり楽しめなかった。満足度は星3つ。

・会場の東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)について
池袋駅の東側、ヤマダ電機とビックパソコン館の間を抜けていくと小さな公園がある。以前は公園の向こう側に豊島区役所と豊島公会堂の古い建物があって急に寂れてしまっていた。そこにいきなりおしゃれな建物群が出現した。「東京建物 Brillia HALL」はその一つにある。それを見るのが第一の楽しみであった。ホールは3階構造で合計1,300席のほど良い大きさである。できたばかり(とは言っても2019/11開業)で小奇麗だがとくに目立ったものは残念ながらない。

十二人の怒れる男

十二人の怒れる男

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2020/09/11 (金) ~ 2020/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

9月の11本目。「行って、観て、書く」と年齢のせいか今年は昨年までの2倍疲れる。自粛による運動不足とマスクの影響もあると思う。

舞台すぐ横の、観客がフェイスシールドをさせられる席に座った。やはり近いは正義だ。このお話は映画や変種も含めかなりの数を観ていて、いつもはそんなアホなとかツッコミを入れてしまうのであるが今回は何も考えずに舞台と一体化することができた。

3番山崎一さん、10番吉見一豊さんの暴れっぷりはやっていて面白いだろうなあと思う。主役8番堤真一さんはオリジナルのヘンリー・フォンダ並みに正義の味方風味がきつくて少し鼻についた(まあ、そういうお話なのだが)。私の一番の押しは4番石丸幹二さん、理性的というか単純というか、機械のような人物を生き生きと描いていた。あれ、もしかして4番はAIでこれはSF劇だったのか?

かぶりつき席から観た満足度は星5つ。

私たちは全力でホラーに挑みます!

私たちは全力でホラーに挑みます!

ライオン・パーマ

駅前劇場(東京都)

2020/09/23 (水) ~ 2020/09/27 (日)公演終了

満足度★★★★

9月の観劇も10本目。ノルマは達成した。
構成がしっかり考えられていて気持ちよく決まっていた。と書きたいところだけれど、各パーツの噛み合い具合がもう一つだったというのが正直な感想。花村怜美さんの団地妻的物腰がツボだった。

ネタバレBOX

冒頭のバスの話は私の大好きな中崎タツヤ「じみへん」の35話と基本ネタが丸被りなのでしょっぱなから脱力した。まあバス通勤したことのある人ならだれでも考えることなので仕方がない。20数年前にTVで中崎タツヤ傑作集とかいう番組があってこの話も紹介されていた。絵はそのままで声が付いていたと思う。感動して彼の作品を買い集めたのだった。
おじいちゃんの口笛

おじいちゃんの口笛

東京演劇アンサンブル

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2020/09/23 (水) ~ 2020/09/27 (日)公演終了

満足度★★★★

9月の観劇も9本目。疲れてペースダウン中。
スウェーデンの作家ウルフ・スタルクの子供のころの体験を元にしたお話らしい。絵本は日本語にも訳されている。
CoRich の「説明」にすべてのストーリーが書いてあり、その通りを達者な役者さんたちが丁寧に描いていく。大道具小道具もしっかり用意されていて奇抜な演出もなく安心して観ていられる。

75分と短いこともあって私には物足りなさが残った。心構えを75分にセットして臨むのが良いと思う。

心の嘘

心の嘘

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2020/09/04 (金) ~ 2020/09/20 (日)公演終了

満足度★★★

9月の8本目。
「これって面白いんですか?」と観客の皆さんに聞いて回りたいくらい見どころが分からなかった。
家族を思い、ぶつかり、すれ違う。そういう物語ではあるのだが「それがどうしたの?」と聞きたくなる。大げさな演技、思わせぶりな言葉はたっぷりあるが実質の中身がない。どうも私はアメリカの現代劇との相性が悪いみたいだ。
年配の俳優さんの演技が的確なことには感心した。

ネタバレBOX

第二部の始まりは母と娘による亡くなった父の話である。ここは劇中劇的な作りになっている。しかし無駄な話が長い。椅子のギシギシ音がそこかしこから聞こえてきて観客が焦れていることが窺える。折角の秘密の暴露があるころには観客は集中力を失っている。
ツバメの幸福

ツバメの幸福

ツツシニウム

キーノートシアター(東京都)

2020/09/09 (水) ~ 2020/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

9月の観劇、オーバーペース気味の7本目。
「幸福の王子」の短い記述を作者の想像力で膨らませた秀作である。
縫子さんとその息子の話、劇作家の話、マッチ売りの少女の話、どれも原作では1ページ程度のあっさりとしたものである。そこに幸福度を計算する父親とその娘、娘の今の恋人と昔の恋人の4人を創造して3つの話に絡ませてくる。

たとえば原作では「マッチ売りの少女がマッチを溝に落としてしまう」としかないところを乱暴な男とぶつかってマッチを落としてしまうということにしている。この男は上記の昔の恋人であってかなり困った人物であることがここまでで観客に十分浸透しているのである。いつマッチを落とすのかと訝しんでいた私は「おおそう来たか」と大きくうなずいた。また作家がマッチ売りの少女に「あなたのことを小説にしても良いですか」と尋ねるところはまあそう書きたくなるよねと思わずニヤついてしまった。

最初の母と息子の話はドタバタギャグで会場では受けているものの私は完全スルーである。しかし不快感を持つ観客がいることも計算の内なのだろう。その後の二つは基本的に落ち着いたものであった。元々原作者はこのような書き加えを想定して簡潔な記述に徹したのではないかという気になるくらい説得力があった。そういうわけで脚本は星5つ。役者さんもみなさんうまい。ただ舞台があまりに貧相である。背景の一枚くらいはあっても良かったのではないだろうか。

コロナ対策は最低だった。澱んだ空気に気分が悪くなった。若い人々で赤字にするわけにはいかなかったのだろうと同情はするものの、またこういう会場設営であったなら行かないだろう。ここはマイナス1、本当はマイナス3にしたいところだ。

フランドン農学校の豚/ピノッキオ

フランドン農学校の豚/ピノッキオ

座・高円寺

座・高円寺1(東京都)

2020/08/28 (金) ~ 2020/10/03 (土)公演終了

満足度★★★★

「フランドン農学校の豚」を観劇。
9月の6本目。
あの文章からこのビジュアルが作られることに驚いた。オープニングとエンディングもしっかりできている。メッセージが子供に伝わるとはとても思えないが、まずは劇場に行くと何か楽しいことがあるよということなのだろう。セリフが聞き取りにくいところがいくつかあったのと豚の最終形態がよく分からないものだったのが残念ポイント。星は3つ半。

ネタバレBOX

大人には内容が単純で時間も短すぎるというのは事前の了解事項なのでしょう。
ひとよ

ひとよ

KAKUTA

本多劇場(東京都)

2020/09/03 (木) ~ 2020/09/13 (日)公演終了

満足度★★★

9月の5本目。
前日に映画版「ひとよ」をアマゾン・プライム・ビデオで観たのが悪かったのか笑いの部分が全然笑えず取り残されてしまった。映画版ではカーチェイスまであってやりすぎ感もあるが、細部まで親切に教えてくれて想像力に欠けた年寄りにやさしい。
映画版と舞台版とでは全然違う話と言って良いくらいで続けて見て混乱している現在は満足度の評価は保留としておく。
→後日記:全体では4つ星だが、長男嫁と外国人風人物の笑いは最も嫌いな笑いなのでマイナス1。

*本多劇場は2席ごとに仕切り板があって、換気もしっかりやっている。しかしその後に入った喫茶店では案内された席の両側の若者2人ずつがマスク無しでしゃべるわしゃべるわで、危険は少ないとは思うものの長居は無用と早々に退散した。

このページのQRコードです。

拡大