latticeの観てきた!クチコミ一覧

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ガラスの動物園

ガラスの動物園

東宝

シアタークリエ(東京都)

2021/12/12 (日) ~ 2021/12/30 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

テネシー・ウィリアムズの自伝的名作。しみじみと人生の切なさに浸ってみたい人におすすめ。

配役が私の感覚とはちょっとずれていたかな。星4つ半

泥人魚

泥人魚

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2021/12/06 (月) ~ 2021/12/29 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

冒頭のオペラの歌唱が象徴しているのは唐十郎作品は演劇のオペラだということである。つまり芝居、音楽、衣装、美術の総合芸術ということ。違いは西洋的に洗練された方向ではなく日本的な猥雑な方向に向いていることである。そういうことが漸く私の腑に落ちた。問題はそれが自分に合うかどうかだ。

舞台はブリキのゆたんぽ屋の店頭から始まる。初演の2003年当時だってそんな店はすでになかったはずだ。何だろうと思っていると材料のブリキの畳一枚ほどの大きさの板を持った男がやってくる。それでひとしきり遊んでいるうちに5枚6枚と板が増えて行くと、そうこれは…。

お話は故郷の騒動から逃げるようにして都会で暮らす青年の日常である。彼のところに故郷の知人が次々と訪れてくる。彼らが起こすトラブルを大振りの演出で描いている。連発されるギャグは赤塚不二夫か松竹新喜劇かドリフターズか、そんなところを連想してしまう。

さて表題の「泥人魚」とは何か?宮沢りえさん演じるヒロイン「やすみ」は「ヒトか魚か分からぬコ」といわれる若い女性。ちなみに「やすみ」とは「安(い魚の切)身」ということらしい。そして、やすみを助けた船長の義眼が重要なアイテムなのだがその意味は?とか分からないことだらけである。しばらく考えたが結局分からずじまい。

今日の宮沢りえさんは化粧のせいだろうか、いつもの至高の美から至福の美とでもいうようなやさしい表情であった。ちょっと菅野美穂さんを連想した。

最初に書いた自分に合うかどうかだが、ちょっと合わないなあである(笑)まあそれは仕方がない。

ダウト 〜疑いについての寓話

ダウト 〜疑いについての寓話

風姿花伝プロデュース

シアター風姿花伝(東京都)

2021/11/29 (月) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素晴らしい役者さんによる素晴らしい会話劇。絶対のおすすめ。
「CoRich舞台芸術アワード!2021」の一位はこれで決まり!
ヴォンフルーさんのあおりに乗せられて良かった。ヴォンフルーさんに感謝。

ネタバレBOX

この劇は2004年に上演されました。その2年前の2002年に何があったかを「2002年 カトリック教会」で検索すると印象がかなり変わるかと思います。事態は校長が危惧したようにどんどん広がって行ったのです。
『欧州代表的カトリック教国の「汚点」』:長谷川良 2021/10/7 という記事を検索して読めば最近の調査結果が分かります。
誤解している人がいるようですがこれは神父による少年のレイプ事件であって、LGBTとは関係がありません。
海王星

海王星

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2021/12/06 (月) ~ 2021/12/30 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

寺山修司の大人のメルヘン。

再婚間近に事故に遭って死んだはずの男(ユースケ・サンタマリア)が生還してみると婚約者(松雪泰子)と息子(山田裕貴)が恋仲になっていた…というお話。もう少し書くと全部になってしまうのでここまで。それくらい話は単純。

オープニングは銀座のクラブの歌手といった風情の中尾ミエさんがブルース風の歌をしっとりと歌い上げる。おお良い調子と思っているといきなりロックバンドの爆音が響き渡る。こうなると歌詞がまったく聞き取れない。言葉を楽しむはずなのに誰だよこんな選択をしたのはとブチ切れてしまった。そういう気分のせいでもないだろうが皆さんの歌があまりうまく感じられないので困った。音楽以外も特に何かがあるわけではなく印象の薄い舞台であった。

松雪さんは何があってもいつも推しだが、今日の推しは伊原六花さん。やさしくしかも凛とした声に優雅な身のこなし、安定した演技で文句なしである。おっと歌はロックのビートに乗れていない感じがした(私の席がかなり後ろだったせいかもしれないが)。得意のダンスは特別にソロの場が用意されていた。とはいえ主役でもないのであっという間に終わってしまった。これからに期待。

彼女を笑う人がいても

彼女を笑う人がいても

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2021/12/04 (土) ~ 2021/12/18 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

表題の「彼女」というのは60年安保闘争で亡くなった樺美智子さんのことだが劇中では名前は出されず姿も声もない。そういう手法なのだろうが、他の人が語る彼女のことから彼女の存在が強く浮かび上がるということは私にはなかった。

舞台は安保闘争で学生たちに取材する新聞記者の話とその孫がまた新聞記者になり原発事故被災者の取材をする話との二つからなり交互に展開される。私には無関係な二つの話にしか見えないのだが、政府とその監視の役目を放棄したマスコミが悪いということを言いたいらしい。私が二人の記者について共通点を探せばどちらも取材対象にのめり込んで社会全体が見えていない(あるいはわざと見ないでいる)ということだ。

内容はともかく俳優さんたちの演技は緊迫感があってすばらしかった。

ネタバレBOX

後日追記
この作品では7新聞社の共同声明が言論を封殺したように描いているがそれは間違いだ。戦時中でもあるまいし、主義主張の異なる新聞社が揃って政府に忖度する必要なんてなかったのだ。右でも左でも新聞社も政党も選挙による多数派の獲得によって政治を変えるという議会制民主主義を守る点では一致していた。それくらい当時は民主主義が希望の星だったのだ。それに対して、過激な行動で社会に混乱をもたらし革命の起爆剤になろうという一部の勢力は共通の敵なのだった。

更に後日追記
安保反対を叫ぶ人に代案があるはずもなく、反対するだけで目的は政権の交代であった。朝鮮戦争(1950/6/25-1953/7/27)があったりしてアメリカとソ連の冷戦の真っただ中ではどちらかに付くしかなかったのである。(旧)条約を廃棄して非武装中立にするなどということは大多数の人はありえないと分かっていたので、新条約が成立し、岸首相の退陣というガス抜きが行われると運動も雲散霧消してしまった。マスコミが政府批判をしなくなったからではなく多くの人が落としどころを探っていたのだ。
 国会を取り巻いた人もほとんどは社会党や共産党の影響下の穏健派であった(共産党はすでに暴力革命派とは決別していた)。国会に突入したのは対立する一部の過激派であり、樺美智子さんもそちらの活動家であった。

蜘蛛女のキス

蜘蛛女のキス

ホリプロ

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2021/11/26 (金) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

メインストーリーに並行して女優オーロラの映画が回顧され、定期的に蜘蛛女(=死神)が表れる。それらがセリフと歌とダンスで綴られて行く。反政府組織の弾圧というシビアなストーリーに対して、ラテン系の元気の良い音楽(+安蘭けいさんの多彩な衣装の早変わり)という相反するものが絶妙なバランスで展開される。それはどれも尖っていないということでもあるし、さらに欲を言えばダンスシーンの人数がもっと多ければより楽しめたとは思う。しかし幸いなことにこの回はアフタートークがあったのでそれも含めて満点としたい。

THE BEE

THE BEE

NODA・MAP

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2021/11/01 (月) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ああ、この感じ、昔読んだ筒井康隆の世界だよなあ…と何の引っ掛かりもなくすんなりと入り込むことができた。普通に面白い筒井作品。

今回も抽選に外れ、一般発売はもたもたしている内に売りきれ、追加公演のチケットを訓練を重ねてようやくゲット。

TOKYO LIVING MONOLOGUES

TOKYO LIVING MONOLOGUES

DULL-COLORED POP

STUDIO MATATU(東京都)

2021/11/10 (水) ~ 2021/11/28 (日)公演終了

実演鑑賞

谷賢一さんの実験イベントである。

会場はビルの地下にあって降り口の扉に小さな張り紙がある。20分前になると出演者の一人が不動産の営業という設定でプラカードを持って案内に来るのでおとなしく地上で待っていよう。

地下の会場は小さな展覧会が開けるくらいの大きさで四つの角に2畳ほどの部屋があって住人がすでになにやら活動している。中央には20数席の客席がある。4つの部屋は以下のようにラベル付けされていて、最初の二つは一つのアパートの隣接した部屋だが他は離れた別のところのようだ。

「本だらけの部屋」伝統的な日本観の中年男性。陰謀論にもはまっている。
「女装部屋」若い男性、ブラック企業の重労働に疲れ、少女ヒーローのコスプレに癒しを求めている
「配信部屋」若い女性、セクシーボイスを立体音響で配信している(観客も途中で指示に従ってこれをイヤホンで聴くのだが会場の音と混じって効果はよく分からなかった→ASMR対応イアホンがおすすめだが普通のイアホンでも会場の音だけよりはまし)。
「ゴミ屋敷」別室で親の介護をしているが疲れて精神崩壊し、部屋もゴミだらけのアラフォーの女性。

これらの部屋で交互にあるいは同時に住人が行動を起こす。「ゴミ屋敷」ではビデオチャット系の配信を行うが乳首すら見せないので数人いた客も全員退室してしまう。「女装部屋」ではミシンで新しいコスチュームを作っている…。とかなんとか色々のちょっと変わったしかし大したことのない日常が展開される。

そんな部屋を観客がぞろぞろと動き回って覗きの快感を感じてもらおうというのがこのイベントの趣旨なのだろう。リアル「屋根裏の散歩者」か。さすがに初見の観客が動き回るはずもないので各部屋には複数のカメラを設置してZOOMで配信し、持ち込んだスマホやタブレットで自由に見て(覗いて)もらうという仕掛けになっている。

そんなわけで実験であって全体にストーリーがあるわけではない。現実に苦しんだ4人が最後にうっすらと連帯するような動きもあるが90分のパフォーマンスのエンディングを無理に作ったものだろう。強いて意義を考えると(単なる中継でない)配信による演劇の可能性を探ったとでもなるのだろうか。まあでも基本というか全部がエンタメだ!

入り口では目の周りだけの仮面が渡される。黒い服装が推奨されていたのと合わせて自分の好みで覗き回るときの匿名性を担保するためのものだろう。しかしもちろん普通の日本人は誰も自席から動かない。私も時々立ち上がって反対側を見るくらいだった。この仮面、覗きの気分を出す意味もあるのだろうが視野が狭められて不快である。しかし他の方が着けているのを見ると非日常的で中々良い感じなので結局最後までお付き合いした。

持ち込んだスマホやタブレットでZOOMの会議に参加するのだが、URLとパスワードは前日のメールで指定され開演と同時に開始される。皆さんちゃんとZOOMをインストールしてきていて画面にずらっと並ぶので驚いた(*)。観客は画面の場所が割り当てられるだけで顔が映ることはないのでご安心を。しかし画面が小さいと各部屋を見るのが難しいので10インチ以上のタブレットやノートパソコンを持って行こう。会場ではWiFiが提供されるのでモバイル通信までは必要ない。

以上評価は不可能、報告のみ。

*皆さんそんなに準備が良いというのは変ですね。自宅で配信を観ている人も一緒に並んでいたのでしょう。

パ・ラパパンパン

パ・ラパパンパン

Bunkamura / 大人計画

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2021/11/03 (水) ~ 2021/11/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

冒頭、松たかこさん演じる作家が新作のプロットだとしてアガサ・クリスティの「オリエント急行殺人事件」そっくりの話を始める。神木隆之介さん演じる編集者に叱られ軌道修正させられて妄想するのがチャールズ・ディケンズの名作「クリスマス・キャロル」の主人公、守銭奴スクルージが殺される「クリスマス・キャロル殺人事件」である。いやしかし、そういう設定の話なら誰かがすでに書いているだろうと調べてみると他ならぬクリスティが「ポワロのクリスマス」でクリスマス・イブに強欲な富豪が殺される話を書いているのだった(それで最初にクリスティーが出てきたのかと合点)。それは「もっと血にまみれた、思いきり兇暴な殺人を」という要望に応えて書かれた作品であるという(ウィキペディアによる)。本舞台はそれとは真逆で元ネタに近く、ほのぼのとした趣のものである。作者の藤本有紀さんはクリスティーとは違った「クリスマス・キャロル」のテイストを生かしたものをという思いでこの劇を書いたはずだ。

まあ松さんと神木さんが主演であるのだから見る前から楽しい舞台であることは分かっている。その期待は十分にかなえられ、さらに本格ミステリーとしても「ううむ」と唸らされてしまった。謎解きものなので詳しくは書けないがどなたでも楽しんでいただけることは請け合いである。

松尾スズキさん脚本・演出の「フリムンシスターズ」は全く私の好みに合わず前半で帰って来てしまった。二度と松尾ものは観ないと誓っていたのだが俳優さんの顔ぶれが良いのでそれを破ってしまった。本作は脚本が藤本有紀さんということが大きいのだろう、満足して観ることができた。藤本さんが脚本の作品を調べてみると黒木華さん主演のNHK土曜ドラマ「みをつくし料理帖」があるではないか(原作は髙田 郁(かおる)さん)。あれは繰り返し見たものだ。おっとここにも小日向文世さんがいる。

最初の歌と踊りで会場の音響が酷かったのが唯一の残念ポイントである。まあ音楽全般も期待していたほどではなかったのだが。

にんげん日記

にんげん日記

トム・プロジェクト

紀伊國屋ホール(東京都)

2021/10/27 (水) ~ 2021/10/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

昭和24年の休業中の銭湯が舞台。未だ戦地から帰ってこない孫を待つ主人(小野武彦)と幼馴染の2人(高橋長英、村井國夫)、そこに飛び込んできた母と娘(賀来千香子、大手忍)の5人が織り成す泣き笑いの1か月ほどの物語。定番の展開で驚くようなことは何もないが皆さんの珠玉の芸にすっかり引き込まれてしまった。小野さんの実直な姿、高橋さんのボケ老人ぶり、村井さんのちょい悪のダンディーさはさすがだ。賀来さんのわざとらしい演技(失礼!)もこの状況にはぴったりだ。大手さんの浮き気味の張り切りぶり、賀来さんとのぎこちないやりとりも最後にはああそういうことかと納得してしまった。

昭和24年と言うと私はまだ生まれていないが会場はすでに元気に活動していたと思しき方々で満席であった。

ジュリアス・シーザー

ジュリアス・シーザー

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2021/10/10 (日) ~ 2021/10/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

all male ならぬ all female のシェークスピア劇。それって宝塚では?と調べてみると2006年にロック・オペラ 『暁(あかつき)のローマ』- 「ジュリアス・シーザー」より -が上演されていた。しかし“シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」を原作にして、ポップな音楽をちりばめたロック・ミュージカルをお届けします。”とあるようにあちらはやはり音楽劇になるのであった。

開幕するとシーザーを真ん中に全員の行進である。シルビア・グラブさん、こういう重厚な役がぴったりだ。観ているこちらもテンションが上がり、この先の展開を期待させる。

いやあしかし、セリフが多い。しかも前半では早口のキャシアス(松本紀保)に対してゆっくり目のブルータス(吉田羊)という対比を付けて、決断を迫るキャシアスと悩むブルータスを表している。そして意思を固めるにつれてブルータスも早口になって当然の演出とは思うものの老人の耳には辛さが増して行く。セリフを追うのに疲れて2時間20分休憩なしが3時間以上に感じた。

何か物足りないのは女優さんが正統派の方ばかりだからだろう。引っ搔き回す人がいない。唯一、異質だったのは外出をやめると言うシーザーを翻意させるディーシアス(智順)である。おっさんがおっさんを説得するのだがここでは若い娘がおっさんをたぶらかすようなウキウキ感を出していた。こういう気分転換をもっと入れないと単調な舞台装置もあって飽きてしまう。1953年の映画ではデボラ・カー演じるポーシャの登場シーンが息をのむくらい美しい。むさ苦しい男ばかりのところに突然美女が現れるから効果的だが、女優さんばかりの本舞台ではそうも行かない。ここはall femaleの弱点かも知れない。また戦闘シーンがカットされていることもあって後半は盛り上がらない。本当はアントニー・オクティヴィアス軍もブルータス・キャシアス軍も互角の大軍なのだがこの舞台では最初からブルータスは落ち武者のようだ。

アントニー役の松井玲奈さん、見事なせりふ回しで光っていた。やや喉を傷めているような声であったが、それが却って説得力となっていた。

オリバー!

オリバー!

ホリプロ / 東宝 / TBS / 博報堂DYメディアパートナーズ WOWOW

東急シアターオーブ(東京都)

2021/10/07 (木) ~ 2021/11/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

歌と踊りは素晴らしいがストーリーは単純でつまらない。まあ、ミュージカルではよくある作りである。キャストの人数が多く、皆さん楽しそう。どうも観る側より演る側の方が幸せになれる舞台のようだ。

いのち知らず

いのち知らず

森崎事務所M&Oplays

本多劇場(東京都)

2021/10/22 (金) ~ 2021/11/14 (日)公演終了

実演鑑賞

初めての岩松ワールド、どう楽しんだら良いのか全く分からず。
思わせぶりで粘着的な会話が嚙み合わずに延々と続く。罰ゲームを通り越して拷問の2時間。どなたかうまく解説してくだされ。

トリツカレ男

トリツカレ男

ナッポス・ユナイテッド

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2021/10/16 (土) ~ 2021/10/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

王道の恋愛ファンタジー。一家で観に行ける安心の内容である。
ストーリー展開も役者さんの演技も「慣れている」感じだ。
しょうもない小ネタで笑いをとるのもうまい!

FESTƎ〜十二夜〜

FESTƎ〜十二夜〜

合同会社モダンタイムス

あうるすぽっと(東京都)

2021/10/14 (木) ~ 2021/10/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

音楽とダンスによる「12夜」。原作を大胆不敵に再構築したということだがいくつかのエピソードをつまみ食いしただけで全体像は見えない。初めての人にはちんぷんかんぷんだろう。そして主役4人が結局どうなったのかはカットして強引にフィナーレである。

まあシェイクスピアの看板だけ借りて自分たちのしたいことをしているのだろう。そう割りきって観ていればダンスもバラエティに富んでいて楽しめるのは確かである。

オルシーノ(公爵)は洋服店の店主という設定、何で洋服店かというとヴァイオラが男性と偽って名乗った名がシザーリオ、そこからシザー(ズ)⇒はさみ⇒服屋という連想らしい。もっともシザーリオという名前はローマのシーザーから来ているのではさみとは関係ないのだが調べてみると帝王切開という言葉の由来の説にはさみと帝王シーザーを混同したというのがあるのでそれなりに筋道の通った(?)連想ではある。

The morning rolls around~何者でもないワタシの道~

The morning rolls around~何者でもないワタシの道~

Story Dance Performance Blue

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2021/09/09 (木) ~ 2021/09/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

佐藤千夏さん演じる迷走中の兼業女優と宮田祐奈さん演じる後輩同女優との確執を柱として始まり、大内厚雄さん演じる中年男性の悲哀がもう一つの柱となって話は進んで行く。

佐藤さんと宮田さんは北島マヤと姫川亜弓のようなイメージがある(そういう選び方をした?)。あるいは白石麻衣さんと西野七瀬さんとか。あくまでイメージなので苦情は受け付けない(笑)。もっとも宮田さんは乃木坂46の映画「あさひなぐ」にも出演されているのでそういうイメージを私が持ったのも当然なのだった。佐藤さんはいつもの硬派な演技で全編揺るぎがなく、宮田さんの演技からは前半から後半にかけてのキャラの変遷が的確に感じられた。

衣装が良いなあと思ったらプロの仕事とのこと。ここも乃木坂46風と感じるのは私がおかしいのか?ついでにダンスパフォーマンスで佐藤・宮田がぶつかるところは白石・西野の「心のモノローグ」のMVを連想してしまうのもやっぱり変か。

題名の「The morning rolls around」はあの映画「ラ・ラ・ランド」から採ったという。
確かにオープニングの「Another Day of Sun」の歌詞にそういうところがある:
…歌詞省略
失敗しても朝が来るたびに頑張るぞという感じだ。
「ラ・ラ・ランド」と本作はオーディションに落ちまくり、生活のためバイトの毎日というところは共通だ。しかし、あちらはそんな中でも恋愛が大きな割合を占め、こちらは恋人はいないしすべてを演劇にかけているところが何とも切ない。まだ昭和なのか?
「Another Day of Sun」の歌詞の後半ではそのフレーズがこうなる:
…歌詞省略
自分が夢破れようがそんなことには関係なく太陽はまた昇るとかなりクールである。
そして、本舞台のメッセージはこの先を続ける。夢破れたなら転調してテンポも変えてまた最初から歌おうよと。

ミュージカル『衛生』~リズム&バキューム~

ミュージカル『衛生』~リズム&バキューム~

キョードー東京

赤坂ACTシアター(東京都)

2021/07/09 (金) ~ 2021/07/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ミュージカルとは言っても最初に聞こえてくるのが
〇ソ〇ソピッチャン、〇ソピッチャン♪
というフレーズなので推して知るべしである。不要不急を練って固めたような舞台だ。
クッダラネー、時間の無駄と思いつつも途中休憩で帰らず3時間もいたというのはそれなりに楽しんだのかもしれない。女性陣の歌声がなかなか良かった。
注:上の〇にはクが入ります。

29万の雫-ウイルスと闘う-

29万の雫-ウイルスと闘う-

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2021/07/15 (木) ~ 2021/07/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

素晴らしいドキュメンタリーであるだけに観ているのが辛かった。何をどう書いたら良いのかと悩んでいたら、かずさんの見事な記述がすでにあったのでほっとした。

いつものストップアンドゴーのパフォーマンスは防護服を着て行われるものもあって、束の間の安らぎや楽しみを得ることができる。

君子無朋(くんしにともなし)【8月29日公演中止】

君子無朋(くんしにともなし)【8月29日公演中止】

Team申

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2021/07/17 (土) ~ 2021/07/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

清の雍正帝(1678-1735、在位1723-1735)のユニークな統治手法をユニークな舞台手法で描いている(脚本 阿部修英、演出 東憲司)。先代の康熙帝と次代の乾隆帝は私でも知っているがその間のこの方の名前は記憶にない。かなりマニアックな対象で話に入っていけるのかと心配になるが、会話の中でそれから展開される内容の概略が語られるので初めて聞く逸話であっても自然になじんでいける。まあそれでもCorichの「説明」とWikipediaの雍正帝のところを読んで行けば「ああこの場面はあのことね」とより深く楽しめるだろう。

佐々木蔵之介さんは私の中では頼りない上司役の人というイメージで「リチャード三世」で悪を演じても何か似合わないなあと感じていたのだが、この舞台では強いイメージを発散し続けていて、なかなか素晴らしい俳優さんだったんだなあと見直してしまった。

かげきはたちのいるところ

かげきはたちのいるところ

Aga-risk Entertainment

サンモールスタジオ(東京都)

2021/07/16 (金) ~ 2021/07/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

久しぶりのアガリスク観劇。150分、換気のための中断が数分あり。

売り物の屁理屈は少な目で昭和のコントのよう。大いに笑えるが不満が残る。俳優を劇団員だけで固めていて味のあるベテランがいないせいか全体に単調だった。若い人ばかりでもナイゲンのように強烈なキャラ付けができていれば良いのだかそれも弱い。

お話はグローバル資本主義を打倒するために爆弾闘争を企図する過激派集団の2年間のシェアハウス生活。半世紀ぶりにこういうアジテーションを聞いた気がする。

珍しくキャッシュレス会計ができる。SUICAもpaypayもOK。
「現金のいらない小劇場演劇はアガリスクだけ!」

*初回のせいか俳優も観客も気まずくなる長い沈黙が2回ほどあった。

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