コナンの観てきた!クチコミ一覧

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オーガッタジャ!

オーガッタジャ!

発条ロールシアター

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2022/11/03 (木) ~ 2022/11/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

廃墟…滅びゆく「美」というのは分かる気がするし舞台でもその感じは伝わってくるのだけれど、実際には絶対近づきたくない場所
もし覗いて本作みたく魑魅魍魎とした(笑)人影を目撃しようものなら腰を抜かすに違いない
反面、観劇している分には面白い事この上ないのでした

いろんな事情を抱えた人達が、事情があるゆえに廃墟という特殊な場所に引き寄せられ、お互いギョッとしたり、腹を探り合ったりと基本はコメディー作品
その中に人間ドラマあり、ちょっとしたホラー風味もあって何とも不思議な後味
段々と人物が増えて混沌となりがちなところ、何気に廃墟マニアさんが整理してくれてフリーライターさんが可笑しくかき回してくれる

手作り感満載というか、発条ロールシアターさんの作品って荒削りなところがあって特殊な世界観なんだけれど(そういうのも含めて)根底に男の浪漫、熱い血が流れているのが良い

仮面音楽祭

仮面音楽祭

藤原たまえプロデュース

「劇」小劇場(東京都)

2022/11/02 (水) ~ 2022/11/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

そうだよね、自信がなきゃ投げ銭方式にはしないよね、もうすごいっす!超絶面白い!

カラオケボックス的な相席屋で繰り広げられる男と女のラブゲーム
お店側の段取りから初対面にかけての何とも甘くて、しょっぱくて、ただれた空気感
かつては劇団ポツドールの独壇場だった分野だけれど本作も全然負けてない

そしてもうひとつの特色、歌の効果絶大、めっちゃ楽しい!
こんなに楽しいなら舞台世界と同じ 電車の始発時間が来るまでず~っと観ていたい
ただし良い子のみんなが観るのは、ちょっと早いかも

間違いなくクチコミで満員御礼になっていく公演
早い者勝ち、これを見逃すのは絶対に損だと思う

インディヴィジュアル・ライセンス

インディヴィジュアル・ライセンス

24/7lavo

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2022/10/27 (木) ~ 2022/10/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

どこにでもありそうな家族
どこにでもありそうな家族を守っている、どこにでもいそうな中年主婦
こんな「どこにでもありそう・いそう」っていう言葉が何とも陳腐に感じてしまうほど誰もの人生が非凡でスペシャルだと気付かせてくれる公演
他人の赤裸々な日常場面を生々しくも客観的に観ることが、こんなにも楽しく共感・反発心を引き出して、やがては温かく染み入ってくるなんて・・・演劇ってやっぱり、イイ

一見冴えない中年の主婦をあの新井友香さんが演じるのは「ミスマッチでは?」と一瞬思いましたが、日常の蓄積に埋没させていた感情がジワジワ噴き出てくる様子なんてもう痺れるほど良い感じ、何て味のあるお母さん
全体的にも脂の乗った役者陣と若手の役者陣とが魂でぶつかり合って見事に融合
オモシロ演劇の神様がず~っと定着しているシアター・ミラクルでの、これがひとつの集大成 といった感がありました

ダイアナ

ダイアナ

×劇作家企画

劇場HOPE(東京都)

2022/10/25 (火) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

予想していたのと違ったスタートシーンだったので、すかさず頭の中をリセット
彼等の身の上や関係性、そして人となりがスルスル入ってくるのがめっちゃ小気味良い
やがては剥がしに剥がされ露わになった素性がどんどん流れ込んでくるというお楽しみも待っているのだけれど、どうにも笑ってしまうなぁこの3人、とにかく絶妙に巧い
作・演出ブラジリィー・アン・山田氏による当日パンフでのコメント「人間の業と可笑しみを描いた“苦笑系喜劇”です」は、確かにっ!と思えるドンピシャな表現
この超濃厚で愛おしい人間臭さを体感できるのが、まさに小劇場の醍醐味

ちょっとした台詞にもそこに表情が乗っかる事で新たな意味が生まれてくるもので、いわゆる”察する”というやつでしょうか
察して苦笑して、察して痛みを感じとって、察して思わず吹き出して、もう台詞以上の情報量(感情)が伝わってくるのですから、これは結構な見応え
とても70分作品だったとは思えない満腹感、充実感
そして演技に引き込まれるというのはいろいろと脳内変換されるものだと実感
素舞台だったはずなのに、今思い返せば舞台はリアルセット“取り壊しを控えた廃校”にすっかり記憶変換されているのでした
よほど“人”の方に引き込まれていたのでしょう

アイ・アム・ア・ストーリー

アイ・アム・ア・ストーリー

シベリア少女鉄道

シアター・アルファ東京(東京都)

2022/10/12 (水) ~ 2022/10/23 (日)公演終了

実演鑑賞

「シベリア少女鉄道」通称“シベ少”
コリッチができるず~っと前から賛否両論の噂(クチコミ)が駆け巡っていた超異色劇団
その絶賛と酷評のふり幅の大きさは、現物を観ていなくても感想だけでご飯3杯はいけそう
遂に初シベ少、自分はどっちか? そしてどんな仕掛けが待ち受けているのか・・・

開演前の作・演出家さんの前説からしてもう異色な事だらけ
当日パンフ 何これ、ど~ゆうこと

終演後の観客のこんなざわめき方、見た事ない
なるほど、演劇界の無法者ですね(笑)

ネタバレBOX

どうやら設定とかネーミングの響きから、とある有名作品のパロディーではないかと察したのだけれど、自分はその作品を見た事がない
しまったなぁ これはハンデになるのでは、と思いきやそうでもなかった
連続テレビドラマにありそうな“ほのぼの感”と深夜アニメにありそうな“クセの強さ”をミックスしたミスマッチ感が独特だけれど、それも味となって うん、面白い!
シーンごとに登場人物がどんどん増えていくけれど、プロットの作り方が上手いのか、積み重なって拡がっていく感じもあって うん、中々面白いですよ
でもこのままのわけが無いよね、絶対何かやらかしてくる
そんな思いが強くなってきた頃、それはちょっと出しから始まった
ちょっと出しから段々顕著に、そして露骨に表現し出した
う~ん、このやり方というか笑わせ方、好きじゃないです(苦笑)
笑い声は会場のあちこちで起きていたので、これはもう完全に好みの問題だけれど、自分には合わないなぁとちょっとガッカリ
でも、その延長線に全く予想できないモノが待っていたのでした
なんだ、この現象(?)は、ちょっとブルッときて・・・こわ面白い
それは段々顕著に、そして露骨に強くなっていっていくのでした
あっぱれなるクレイジーっぷり(笑)
そうか、ここに繋がる為にあの苦手部分必要だったのか、そうか、そういうことかー

初シベ少、自分的には★★★★4つ
ガ~ン、全然振り切って無いじゃん
いや、これは均等な星4つではありません、プラスとマイナスが激しくせめぎ合っての星4つ、全然普通じゃないのです

テノヒラサイズの人生大車輪2022

テノヒラサイズの人生大車輪2022

BALBOLABO

シアターKASSAI(東京都)

2022/10/20 (木) ~ 2022/10/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

理由も分からずに監禁された!という集団心理と、個々が背負っているターニングポイントが絶妙に織り交ざった攻め攻めのエンターテイメント
ひとりひとりのエピソードが演じられる毎にパズルのピースが見えてくるのだけれどそれと同時に、そうなると犯人は誰、どうやってこれらのピースが収束していくの…と思うところがどんどん増えていくし、脱出の方も進展をみせてますます引き込まれていくという仕掛け
とにかく生の迫力が良い
演技力だけでなく身体能力とかリズム感といったパフォーマンス力も必要だろうし、こんなに面白く賑やかに転がっていく疾走感は中々味わえない

登場人物7人全員が主役と言って良いほどに重要で、それぞれが主張しサポートしあいながら様々な組み合わせで物語の大車輪を回すという見事なバランス力
『テノヒラサイズの人生大車輪』という経歴は、きっと演者としての勲章になると思えるのでした

「Post Tenebras Lux. (ポスト・テネブラース・ルークス)」

「Post Tenebras Lux. (ポスト・テネブラース・ルークス)」

Antikame?

雑遊(東京都)

2022/10/18 (火) ~ 2022/10/25 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「見かえしたかっただけ」を観劇

コロナ禍で相次ぐ非常事態を生きていく中、本作のように遂にこじれてしまった夫婦・カップルはきっと多いと思う。
この二人には もう優しく交わる時間など来ないのだろうか
静かだけれども軋むような心の叫びがとても痛々しくて、カサブタをゆっくり剥がされていく様だと感じながらも舞台(そこ)からは逃れられないし、目をそらす事もできない。
ならばその先には

台詞の無い場面の所作であるとか、台詞を受けている姿・表情とか、そんなところにも刺さるポイントが
楽しい内容ではないし、万人向けじゃないかもしれないけれど、「楽しい」を超える響きがそこにはあって、自分なりにそれを受け取る事ができたのではないかと確信
今もって熱いものが残り続けています。

ぴえろ

ぴえろ

タクフェス

サンシャイン劇場(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

再々演となる作品だそう
初演時も今回同様、休憩無しの2時間20分だったのか定かではないですが、おそらく役者さん達が豪華になって見せ場が沢山増えた結果ではないかと推測。
特に柴田理恵さんやモト冬樹さんといった猛者の良さを引き出すのがめっちゃ上手い
バラエティー豊かな顔ぶれが魅力のタクフェスは、元々の泣かせ上手に加えて増々笑わせ上手にもなってきている様子

テルという男に勘違いされたまま、いつまでこの心地良い“嘘”は通用するのか
そして目の前に横たわっている借金問題の行方は・・・
ボリューム満点の本編に加えて開演前のお楽しみ系前説、おまけに開演後のダンスタイムまで、もう目一杯楽しませてくれるのでお腹いっぱいになって帰れる事は間違いなし

月は夜をゆく子のために

月は夜をゆく子のために

トランスレーション・マターズ

すみだパークシアター倉(東京都)

2022/10/08 (土) ~ 2022/10/19 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

食えない人ばかり、その我の強さには狂気すら感じてしまうほど
遺産が入ってくる青年と良からぬ評判のある娘(バックには強欲な父親)との恋の駆け引き。
ロマンチックの欠片もない、こんな空気感の中 一体どうなる事かと思いましたが

前半での怒涛のやり取り、後半に突入して台詞量は減ったというのに濃度が一気に上がっていく感じ
時代やお国柄の違いもあって共感という点ではついていけない部分もありましたが男と女にはいろんなカタチが存在すると痛感
漆黒の中に綺麗を探り当てる刹那
二人の運命が絡み合う濃厚な一夜がそこにはありました、圧巻

きっとこれもリハーサル

きっとこれもリハーサル

エイベックス・エンタテインメント

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2022/09/29 (木) ~ 2022/10/13 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

このキャスティングで、お葬式モノで、演出が劇団MONOの土田英生さんとくれば面白くない訳がない…しかし(特に演劇には)絶対という事はない、などと思いながら向かいましたが、案の定めっちゃ面白かったです
お葬式(リハーサル)が醸し出す可笑し味に沢山笑って、結局ホロリとやられました。

言動のひとつひとつにまとわる石野真子さん特有の空気感、これが付加価値となってより魅力的な作品に仕上がっていたのは間違いなく まさにベストキャスティング。
鈴木福くんを見て「いや~、大きくなったなぁ~」という親戚みたいな感覚が湧き起ってくるのもある意味効果的。

タイトルを意味づける台詞をガッツリ任された役者さんの演技が素晴らしく、引き締まることこの上なし。
気持ちしっかり届きました。
(ネタバレに繋がるかもしれないので“役者さん”としておきました)

”ラクエンノミチ”

”ラクエンノミチ”

演劇サークルact

吉祥寺櫂スタジオ(東京都)

2022/10/08 (土) ~ 2022/10/10 (月)公演終了

実演鑑賞

深夜ドラマくらいのいかがわしさ、そして観心地の良さ。
ふむふむ、ファッションヘルスってこんな感じで営業しているのか、中々リアリティーあるなぁ、中々勉強になるなぁと思いながら観ていました(笑)
(店内の受付け&お客様待機エリアが舞台です、念のため)

このお店 繁盛していないのに妙に雰囲気が良くて、切り盛りしているのはどこか人の良い店長と、気を許せそうな予約受付のゲイ男性。
お店の女の子達も、程よく距離間を保って程よく仲が良い(これは重要)
”現実”を直視しないで、毎日をこんな感じで過ごせていれば確かにここは”楽園”のようにも見える。
見えていなかったモノがうっかり露呈された途端、あっという間の連鎖で汚れ崩れ落ちていく楽園だったけれども・・・

大きな幸せなんて望まないから。

こんな日々がいつまでも続きますように。

思わぬショッキング感に驚きましたが後味はそれほど悪くない。
中々やりますね!20周年おめでとうございます。

仮名手本吉原恋心中

仮名手本吉原恋心中

ネコダマシ

ブディストホール(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/10 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

意識の高い劇団さん というイメージを持って向かいましたが、これはすごっ!美意識の高さはひょいっと予想を超えていました。
素人目にもクリエイトな和衣装が艶やかでカッコ良く、劇中に織り込まれた殺陣・歌・踊り・三味線演奏、もう全てが一級品。
だからと言ってお高くとまった系でもなく、なるほど 銘打たれたドラマティック時代劇という表現に大納得、まさにジャパニーズエンターテイメント!
「ロミオ&ジュリエット」「曾根崎心中」にヒントを得た と説明文にありましたが「吉原炎上」のエッセンスも色濃く入っていたと思います。

三味線&唄にのせての“狐”の口上、冒頭から一気に妖しげな世界に引っ張り込み
若い役者さんが多いのでいぶし銀とはいきませんが、時代劇の基本(発声や所作等々)がしっかり出来ているのと、それぞれの役どころをキッチリ演じられているので ず~っと観ていても心地良い状態、その世界観、物語が織り成す機微を楽しみ尽す事が出来ました。
嫉妬・打算・裏切り、物語の行方はコロコロ転がって愛と憎しみの雪だるま
王道とも言うべきジャパニーズドロドロたっぷりの時代劇を思いっきり堪能したい!という方には超おすすめの公演です。

ネタバレBOX

主役のお二人は華だけでなく好感度も備わっていたのが良かった(これは重要)
脇を固める役者さん達のキャラも演技もしっかりしていたので正真正銘 隅々まで楽しめました。
ただ些細な事ですが気になった点がひとつ
出入りする舞台袖のスペースがちょっと狭いのでしょうか
たまにですが舞台から引っ込む際に注意力が一瞬そちらに移ってしまうというか素になってしまう瞬間があったように感じられ、それってほんの1秒あるかないかなのですが、ここまで良く出来た作品であればこそ気になった点といえます。
「没入すると怖いよね、恋愛」の略で没愛

「没入すると怖いよね、恋愛」の略で没愛

ガレキの太鼓

OFF OFFシアター(東京都)

2022/10/05 (水) ~ 2022/10/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

自身の結婚観が掴めないまま30代後半に突入するも東京ライフは絶好調な主人公。
そんな絶好調オーラ効果もあってかキラキラ地方青年が彼女に一目ぼれ。
客席に向けて主人公女性の心の内がダダ洩れてくる感じが超面白い。

この物語 実話だそうで、地方出身の自分からすると「さもありなんだなぁ~」と思えるところ多数
というかほぼ「うん!うん!」の世界、ヤバいですねー(笑)
恋愛ホラースペクタクルと銘打たれ、容赦なく主人公に降りかかるホラー展開がお気の毒でありながらバンバンそれらを笑いに変換していく力量は本当にお見事。
脂の乗りまくった役者さんばかりなので抜群の安定感で楽しめました。

無神論

無神論

表現集団 式日

麻布区民センターホール(東京都)

2022/09/30 (金) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

開演前に当日パンフを読んで、演出かつ主演を演じられる佐白啓さん自身(かなり精神的に追い詰められていた時期)を投影した作品である事を知りました
端正で繊細、佐白啓さんは虚ろな幽霊、主人公を熱演
その時期彼が如何に「死」とギリギリなところで揺れ動いていたのか
アーティスト、クリエイターとしての苦しみがどんなものか共有する事はできないにしても、
こちらの共感を狙った言葉選びをするでもなく、まさに心のままに、
更には仲間達の心の叫びも鈴なりとなって…衝撃的でした。

主人公の幽霊があちこちを彷徨いながら 失った自分を見出そうとしている中、並行して彼の死因に納得していない元刑事が真相を探っていくもうひとつの側面がミステリー風味
そして主人公とは対極キャラ「どすけべな幽霊」の存在感。
コミカルな立ち位置のようでいて実は哀しい境遇でもあり不思議な味付け。

照明はスポットライト中心の独特な見せ方で
たまに役者さんの動いた影が目の片隅をよぎっていくのにドキッとしてしまうのも計算のひとつだったのでしょうか
分かりやすい優しい作風ではありませんがキラッと個性的、不意に感情の塊が突き刺さってくる渾身の公演でした。

クロスフレンズ 2022

クロスフレンズ 2022

LOGOTyPEプロデュース

光が丘IMAホール(東京都)

2022/09/29 (木) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

懐かしい感じのアメリカンでポップな世界観と90年代J-POPの組み合わせ。
観る前は日本のヒット曲色の強い音楽劇みたいな公演をイメージしていましたが、予想以上に作品の世界観が強く、アメリカ映画をも彷彿させるミュージカルな公演になっていました。(普通のミュージカルともちょっと違う)

女子高生3人組に昆虫採取少年、ドラッグクイーン等々、最初は中々にカオスな様相で、どちらかというと歌のシーンに比重を置いて観ていましたが、彼等がダイナ―の一か所に集まってくると次第に物語も立ち上がって来て惹きつけられます
登場人物にまさかのシリアルキラーが…この後どう絡んで、どう出て来るのか
これにはヒヤヒヤさせられました

やっぱり全員での歌唱シーンは圧巻。
センターのみならずサイドや奥の方の役者さんも皆めっちゃ楽しそうに歌ってる♪
軽快な楽曲が多く、楽しいものを観てきた感圧勝の公演でした。

新訳「あわれ彼女は娼婦」ワークインプログレス

新訳「あわれ彼女は娼婦」ワークインプログレス

NICE STALKER

スタジオ空洞(東京都)

2022/09/21 (水) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

小学生の時、教室で「お楽しみ会」っていうのがあったな~と、会場の配置がまさにその「お楽しみ会」で気持ちの距離間がすごく近いのと、この次何が飛び出すの!?感が全体に溢れていてとても楽しい。
衣装が良い塩梅に凝っているのも心憎かった。

演目の「あわれ彼女は娼婦」はなんと1630年頃の作品。
ちゃんとやれば3時間超えの超大作だそうで、あらすじも知らずに行きましたが、これが笑っちゃうほど分かりやすい。
本来いかに説明的にならずに状況把握させていくかの演劇だけれど、もうバンバン説明(解説)しちゃってるし(笑)
物語の基本をおさえつつ、凄く残酷なシーンを見事に笑いの湧き起るシーンに変身させたり、「NICE STALKERさんって普段こんな感じで演出をつけているのか?」とちょっとだけ舞台裏が垣間見えたり、
一歩先の展開がどうなるのか読めなくてもナビゲートに身を委ねていればちゃんと楽しめるという何とも快楽的な流れになっていました。

実際、この演目に関しては今回の見せ方があってこその「面白い」の部分が多く
「途中過程」という名の完成形と言えば良いのか、ここまで「あわれ彼女は娼婦」を楽しみ味わいつくせば、絶対的に「全編公演」を目指さなくとも、とりあえず賢者タイムで良いのではないかと個人的には思うのでした。

ネタバレBOX

観終わった後「面白いものを観たなぁ」と思えた一方
終盤での熱演、本気モードのエンディングシーンが用意されていて、そこは別腹にしておきたかったのだけれど、「面白いものを観た」の混沌に吸収されていった感じがして、そこは勿体無いような気がしました。
ワチャワチャ感も大きな魅力だったので悩ましいところです。
パレードを待ちながら

パレードを待ちながら

演劇企画イロトリドリノハナ

テアトルBONBON(東京都)

2022/09/21 (水) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

紛れもなく戦争を捉えた作品 でありながら戦闘シーンは一切なし。
描かれるはご近所同士で集まった国防婦人会の面々。
さぞかし連帯感ある女性達の集まりかと思いきや冒頭のダンスシーンでそうでもない事が直ぐに判明。
このダンスシーン、当然台詞は無いのだけれど登場人物達の個性や微妙な関係性が容易に見て取れて妙に面白い。

観進めていく程に彼女達のバックボーン(夫が出征しているとか志願中であるとか)が実に多様であり、それぞれの事情や思惑が絡み合って何かと摩擦が起きやすくなっているのだと徐々に理解。
前半ではそうした内情をひとつひとつ汲み取っていくのに必死だったけれど休憩を挟んでからの後半、それらを踏まえたうえでの展開にはグッと引き込まれ怒涛で駆け抜けていった感じ、そのあまりの体感時間の違いは驚くほど。
女性だけのキャスティングだからと言う勿かれ、華やかさやドロドロ、弱さも強さも全部入り混ざってめっちゃ女性を描いたドラマになっていました。

何と言っても個性のぶつかり合い
ダブルキャストの(息子の身を案じている)同じマーガレット役でも
田原みずほさんの場合はナチュラルに嫌味を滲み出しながら堅物そうでいて実はむっつり何とかの一面にニンマリ
森下知香さんの場合は辛口発言の連発、どこか引っ掻き回しを楽しんでいるふしがあるコミカルな策士といった感じで全然違った印象。
そこに絡む相手(シングルキャスト)の印象まで変わって見えるのだから実に面白い現象だと思いました。

真っ赤なブルー

真っ赤なブルー

U-33project

王子小劇場(東京都)

2022/09/15 (木) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

脚本の取り替えっこ、演出の取り替えっことも言えるけれど結果的に 「生きること」と戦う少女2連作みたいになっていて興味深かったです。
確かに違う個性なのだけれど、何か凄く似た者同士じゃん!的な部分も同時に感じられたり
それぞれに自身が書いたものと同じくらい一体化した状態で落とし込まれているんだろうなーと思いながら拝見しました。

生きていくうえで主人公少女が挑む相手として1作目 結城さん脚本では少女自身(自分の内面)なのに対して2作目平安さん脚本では社会(特に大人)に目を向けているのが特徴的
1作目は自分の意志というものが全く無い自分をとことん見つめ直して追い込んで、結果 自意識をめっちゃ肥大させながら(笑)自身のあるべき姿を追い求める結城さんらしい作風。
2作目、これを観ている自分って少女からピストルを向けられる立場にあるのだなぁと、ちょっと哀しくもあるけれど、そうかもね、そうだよね、頭の片隅でそう意識しておいた方が良いよね、と
周りの同級生よりちょっと真面目で繊細と言えば良いのでしょうか、こちらの少女も生きづらそう、でもってハードボイルドファンタジーな世界観

やっぱり主人公と同年代の人が観ると(頭で考えてじゃなく感覚的に)同調できる部分があるのかなと、そんな目線からの感想も聞いてみたいと思いました。
女子高生を対象に上演するっていうのも良さそう。

笑顔の砦

笑顔の砦

庭劇団ペニノ

吉祥寺シアター(東京都)

2022/09/10 (土) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

隣り合った二つのアパート部屋。
ストーリーが展開するというより二つの生活そのものが営まれていたと言った方が全然しっくりくる演出。
しかもストーリーよりもずっと強く感情を揺さぶってくるのだから凄い、何なんだこれは!という感じ。

生活の匂い、凍える寒さにとる暖、無遠慮な会話、人と、家族と生きていくという事・・・
観進めるほどに五感が研ぎ澄まされていく様で、皮膚感覚ごと舞台世界へと引き込んでいくなんて相当。

86歳認知症役の女優さんがカーテンコールでシャンとした立ち姿だったのに何だかホッとなる。まるで別人。
フライヤーの人がリリー・フランキーぽいと思っていたけれど、やっぱりちょっと似てた、と言うかちょっとフランキー似の本物の漁師にしか見えなかった。
これは全ての役者さん然りで「あてがき」なんていうレベルを超えていたのも凄いと思った。

舞台「学徒隊」

舞台「学徒隊」

NPO法人文化活動支援会まつり

南大塚ホール(東京都)

2022/09/09 (金) ~ 2022/09/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

第一幕はレトロでのどかな学園風景。
ちょっとコミカルにも感じるショートショート集からは、校内での人間関係や人物像が浮かび上がってきます。

そして第二幕、沖縄戦に動員された彼等の姿が
当然ながら第一幕での恋バナなど微塵も無くなって、戦場の描写はこれでもかと容赦ない。
敗戦の匂いを充分に感じながら戦っている彼等
いや これがもし優勢であったなら、という問題でもない。
観ていてとても辛い、辛いけれど最後まで見届けなければ
せめてこの時代に彼等は何を体験したのか、いや させられたのか、目に焼き付けておかなければと観続け、そして燃え尽きました。
フラフラになって外に出て、暑さも和らいだ日常風景に有難さの実感。
若い役者さん達、凄く頑張っていました。

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