コナンの観てきた!クチコミ一覧

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イノチボンバイエ

イノチボンバイエ

劇団男魂(メンソウル)

ザ・ポケット(東京都)

2016/08/24 (水) ~ 2016/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

浅野温子さんの魅力が最大限に発揮
男魂×浅野温子のタッグ、もう大成功じゃないでしょうか。 
大人がこんなにも真剣にバカを演る勇姿を笑わなければ失礼でしょ。と思うくらいに熱かったです。 
まあそんな事考えなくても、前から、横から、斜めから笑いの矢が次々と放たれ、とことん笑いまくりました。 
そして笑えるシーンとシリアスなシーンのギャップが凄く巧いです。 
赤子の腕をひねるように、すっかり心をもっていかれました。 
なにより小劇場でも全身全霊で役を演じきった浅野温子さんに感服します。
大人が充分に楽しめる演劇です。

『ダークダンス』

『ダークダンス』

尾米タケル之一座

ウッディシアター中目黒(東京都)

2022/12/07 (水) ~ 2022/12/14 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

中身が入れ替わってしまった”悪”と“ヒーロー”のその後
それぞれが模索する2つの流れ(生き方)
元ヒーローはさすがヒーローをやってきただけあって実直な行動
その一方で元悪の行動がちょっと薄気味悪く・・・
この2つの流れを見ていると”正義”“悪”といった概念が こんがらがってくるようで興味深く、2人の距離の間で飛び交っている見えない緊張感に惹きつけられます

そして事件から時を飛び越えること20年、自堕落オジサン(実は遠い過去にヒーローとの繋がりアリ)に降りかかる第3の流れ
この第3の流れが一番多くの笑いを含んで、更には作品の世界観がより立体的に
“笑い”といってもドタバタ系のそれではなく、登場人物達の人間性が醸し出す”笑い”なので、どちらかというと「ストーリーを楽しんでいるうちに結構笑っちゃってたね」的な面白さ
なので開演前にあった「声を出して笑ってくださいね」笑い押しのアナウンスはかえって違和感となり残りました

人は記号ではないし、今見えている姿が全てというわけでもない
自分の中で納まりの良い、自分に都合の良いモノの見方には気を付けないと…
笑いだけでなく自身にいろいろ問い掛けてくる公演でもありました
(こうして客観的に観ていても、なかなか難しい課題だなぁと思いますが)

ヒーロー、悪の怪人、自堕落オジサン、3者それぞれに流れの中心となって活躍されていたなか、それらを支える役者さん達の活躍っぷりといったら
アンサンブルが実に見事でした

償い

償い

teamキーチェーン

d-倉庫(東京都)

2016/12/01 (木) ~ 2016/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

想像力を駆使させる恐怖
悪ガキだった頃の名残がある元同級生たち。 
それぞれが好きなように生きており、各自の生活のピースが小気味よく繋がっていきます。 
どの演出効果がそうさせているのか分からないのだが、そのピースのひとつひとつに邪悪な「何か」が息を潜めているような気がしてなりません。 
結局、その正体を知りたいが為に集中力が高まり、どんどん舞台にのめり込んでいってしまう感覚が新鮮でした。 
若者の爽やかさとミステリーのコントラストも魅力的です。 
表現手段として暴力的なシーンを露骨に観せる事は無いのですが、確かに存在する残酷さの輪郭がハッキリと頭の中で形を成していき得も言われぬ恐怖がジワ~ッと襲ってきます。 
何だかすごく償いの度合いが不平等で理不尽だなーと思いながらも、ラストに向けては鳥肌が立ちまくりでした。 
観終わった後には心地良い疲労感。 
舞台ならではのサスペンス、こわ面白かったです。

ネタバレBOX

追記 
後々まで残るモヤモヤっとしたものが前記タッキーさんのネタバレ文章で解明できスッキリしました。 
もしも舞台セットがリアルなものであったら細部の「?」な部分に囚われ、ともすれば入り込みにくかったのかもしれない。 
しかし今作品の不安定でとりとめのないセットが何か時空の歪みを連想させ、全体的に悪夢を観ている様な感覚になっていたのだなーと。 
リアルタイプの物語でありながら何か地に足がつかない感じの不安感。 
どうしようもなくこの作品に魅了される理由がわかってスッキリしました。 
感謝です。
ものすごい覚せい剤

ものすごい覚せい剤

宇宙論☆講座

スタジオ空洞(東京都)

2016/07/16 (土) ~ 2016/07/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

唯一無二の劇団
初見ですが通常の演劇の枠内に収まりたくない挑戦的な感じが好感度大でした。 
音楽と演劇の融合が特色の劇団のようですが、それだけではない独自のカラーを沢山持っている劇団だと思います。 
今回は、あまりにも色々な仕掛けを詰め込み過ぎて収集がついていない印象もありましたが、やりたい事がありすぎて溢れ出ているといった感じでしょうか。 
覚せい剤モノという事で、役者さんは危険な香りをそれぞれに醸し出していました。 近づかれるとやばいなと思ってしまうほどの人もいたし。

ネタバレBOX

演技を中断して、役者がもめる感じの処があり観客としては、それをハラハラしながら見守るという大好きな展開があるのですが、自分にはちょっと途中から台詞っぽく聞こえてしまい演出が透けて見えてしまったのは残念。 
あたかもトラブルが起こったような迫真の演技はかなり難しいと思うのですが今後もスキルアップが望める劇団だと思いますので、またあの感じの事をやってほしいです。 
また声を潰してしまったという役者さんがいてエクスキューズを入れたうえ、観ていても何だか不自由な対処法で進めていたのに、実は嘘で、いきなり伸びやかな声を発したのには、本当にびっくりしたが、そこまで犠牲をはらってまでこのドッキリをしたかったのかと。
ただ、ポンコツだと思わせておいて実は計算ずくという趣旨はとても好きです。
わたしを、褒めて

わたしを、褒めて

旋風計画

ザ・ポケット(東京都)

2016/10/26 (水) ~ 2016/10/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

冒頭は、ある女優の腐乱死体の現場から
とにかく脚本が超絶面白い。 
多重構造になっているのに、すごく解りやすい。 
解りやすいが故にどれだけ巧い脚本であるか、より実感できます。 
冒頭の女優の死体は誰なのかラストまで明かされません。 
謎解きでありながら、しばしそれを忘れてしまうくらい興味深い、女優やスタッフたちの思惑が渦巻く演劇制作現場を目撃できます。 


ネタバレBOX

朝の連ドラ主演後、鳴りを潜めていた女優が復帰作として抜擢されたのは、女優の情念を描いた清水邦夫の名作「楽屋」。 
共演者はかつて そこそこ輝いていたのに現在はパッとしない女優やアイドル達。
何やら実名が浮かんできそうな興味深い方達ばかり。 
そこに大型商業演劇 初挑戦の女性演出家。軽薄なプロデューサー。採寸命の衣装担当等々、制作に関わる一連のスタッフ達も加わり、結構なあるあるを盛り込んだリアリティー満載の制作現場が展開されます。 
演出家が気負えば気負うほどに状況はこじれ混沌とする様は観ていてハラハラしながらも人間ってつくづくおもしろいなーと笑えてきます。
これだけでも充分面白いのに、演目「楽屋」と女優達の生き様、立場が徐々にリンクしていき渾然一体となり面白さ倍増。 
この中で後に死体となり発見されるのは誰なのか?そして犯人は?
女優達の背景が実在しそうなほどイメージしやすく、各役職のスタッフ達が典型的なステレオタイプである事が、劇中に入り込みやすい要因のひとつかと思います。
事件を捜査するベテラン&若手刑事コンビの好演も随所に差し込まれ、そして突き止められた真相は感慨深い。 
とても上手く創られた舞台だと思います。

 
百枚めの写真 一銭五厘たちの横丁

百枚めの写真 一銭五厘たちの横丁

トム・プロジェクト

俳優座劇場(東京都)

2016/08/15 (月) ~ 2016/08/17 (水)公演終了

満足度★★★★★

貴重な写真とルポルタージュを基に創られた作品
長男であり夫を戦争に召集され見送った、父母妻妹家族。 
とても誠実に、この家族の生活模様が描かれています。 
実際に苦労の末、完成したルポルタージュが基になっている為、台詞のひとつひとつに説得力がありダイレクトに心に突き刺さります。
今後、何度でも再演してほしい価値のある作品だと思います。

痴女を待つ

痴女を待つ

スマッシュルームズ

シアター711(東京都)

2016/12/21 (水) ~ 2016/12/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

見事なまでのゲスっぷり!清々しさすら感じます。
理想の童貞喪失を痴女に託しながら現実女性にも恋する青年。
不安を感じながらもヤリチンと同棲を続ける薄幸女性。
等々、それぞれの人間描写力は底意地が悪いほど的確で、全ての行動・関係性はまるで定められた運命を辿る様。
クリスマスどきになんですけど「何だか今の恋愛、間違っているかも」という方には特に観に行って頂きたい。
底辺な恋愛模様を客観的に眺めると、案外主観では見えなかった事が見えてくるかも。
男性・女性どちらの観点からも対応していますよ

ネタバレBOX

神様のアドバイスがあり、これがまた達観して良いこと言ってます。
神の御加護があらんことを・・・
ビートバン・ゴー!ゴー!

ビートバン・ゴー!ゴー!

ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン

上野ストアハウス(東京都)

2017/01/11 (水) ~ 2017/01/17 (火)公演終了

満足度★★★★★

全く異なる3つのオムニバス。
金子みすずじゃないけど「みんなちがって、みんないい」
オムニバスで全てが遜色なく面白いのは意外になかなか無い。
作品ごとにセットは素早く入れ替えられ、役者さんの使い回しは一切なく、何とも贅沢に楽しめました。
全ての役者さん各自に、最も得意とするキャラクターが与えられている様子で、生きたキャラクター陣は観ていて心地いいものです。
絶妙なシチュエーションの鉱脈を探し当てているのが3作品の共通点。

ネタバレBOX

第1話 市民プールの事務室
Hな記録手帳の存在が若者の性欲をざわめかせる。
プール監視員のコスチュームが妙に生きる。
淫靡な雰囲気にちょっと気まずいけど、すごく面白い。

第2話 パチンコ店の駐輪場
欠落感ある人達の、いかがわしさ漂う出会いの数々。
ちょっと不幸、でも何だかおバカで平和な空間。

第3話 産婦人科病棟の一室
相部屋ゆえの感動と滑稽の混沌。
昔何かのイベントで加藤鷹がゲストで来ていて、完全なカリスマ的存在として君臨していた妙な空気感を思い出します。
カミサマの恋

カミサマの恋

ことのはbox

シアター風姿花伝(東京都)

2017/01/18 (水) ~ 2017/01/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

お見事としか言いようがない人間賛歌。
神に救いを求めにやって来る人達の様子を傍観するのは不思議な気分でしたが、いろんな人生を垣間見る事ができて、とても面白いと思いました。
「神様」の概念については人それぞれだと思いますが、私には神様と人間の正しい関わり方のひとつを今回のカミサマを通じて見せてもらえた気がします。
そして観終わった後、カミサマから幸せを分けてもらった様で何とも爽快な気持になりました。

ネタバレBOX

近所の人に悩みを聞かれてしまっても全く気にしないオープンな付き合いは現代ではとても珍しい光景。
近所のおばあちゃんが、他人の息子の良縁を一緒になって神前でお祈りしている姿は微笑ましくも笑ってしまいます。

お告げの8割くらいはカミサマ本人の人間力から発せられてられている様に映りました。
カミサマであるためには、やはり一家団欒を持てない身でなければならないのかと孤高の哀しみを感じます。
ですが、ほんのひと時でも本物の恋が確実に存在し、それがカミサマとして生きる道へと繋がり、ずっと恋人から見守られていたのならば救われた気持ちになります。
厚い雲に覆われた光

厚い雲に覆われた光

演劇企画集団Jr.5(ジュニアファイブ)

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2016/08/02 (火) ~ 2016/08/08 (月)公演終了

満足度★★★★★

いい役者がいっぱい
いい芝居を観た後は幸福感に包まれ身体が軽くなった様になるのですが、この作品はまさにそれでした。 
チラシに掲載された役者が急遽一部代わっているまさに綱渡り感や、劇団員が積極的に会場案内や物販を行っている「がんばってるなー」感も含めて。 
ストーリーはチラシのイメージで、災害地から娘一家を救出する話かと想像していましたが、被災後もその島で生活する人々の姿を、兄妹家族を中心に描いた内容でした。 
ストーリーがシンプルな分、ヒロインを取り巻く人間関係が時には滑稽に、時には生々しく表情豊かに描かれていたと思います。 
凛として生きようとするヒロインの心情の変化も納得の出来ですが、その兄の憎めないクズっぷりが見事、泥臭くていい演技でした。 
時系列でちょっと解りにくい箇所や、兄が最後フェイドアウトしてしまった感等、気になった所はあるにはありますが、それを差し引いても魅力的な公演でした。

ネタバレBOX

兄役の奥田努さんが暴力を受けるシーンには迫力があります。
身体能力が高くなければ怪我をするんじゃないかと。
ただ転がり落ちたガラスのコップが足元にある状況で熱演するシーンがあり、熱中するあまり、あのコップを踏んでしまったりしないかヒヤヒヤしてしまいました。気付いていないんじゃないかと思えるぐらい熱演だったのでよけいヒヤヒヤします。 頼む、あのコップどうにかしてほしい。
『ニュー俺ラップ~韻フンデミル?~』/『心優しき野郎ども』

『ニュー俺ラップ~韻フンデミル?~』/『心優しき野郎ども』

すわいつ企画

テアトルBONBON(東京都)

2016/09/21 (水) ~ 2016/10/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

まさかの・・
ラップを聴いているとムズムズしてきて、やがてこっ恥ずかしくなってくる。 
つまり苦手なのですが、演劇の中に取り込むとなると話は別で新機軸な意欲作を観ようと行ってきました。 
ただ、出掛ける前に見たレビュー評価が意外にも低めだったので、ちょっとハードルを下げた方がいいのかも・・・とも。 
さえない中年の父親と若者ラッパーとの本来混わらないはずの交流が面白く、テンション高めで攻めてくる笑いも良いけど、こういうすっとぼけた笑いもすごく好きだなーと思いました。 
内容は荒削りなところもありますが、中途半端に整っているよりも、とにかく面白い方へ展開していくのならアリでしょ、とそんな感じで見入っていました。 
そして見入っていると、突然ポロポロと涙が・・ 
ちょっと自分でもビックリしてしまいました。 
演劇で泣いてしまうなんて、ほとんど数える程しか無いのに。 
父親の家族を想う心情が一気に伝わってきて、めちゃくちゃ心を揺さぶってきます。
ベタと言えばベタなのですが、何とも心地の良いベタでした。 
公演を観終えてラップが好きになったとまでは言いませんが、とてもうまくラップが取り入れられていたと思います。いい公演でした。グスン

SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

壱劇屋

王子小劇場(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

面白かったー
通常アナログ感のある演劇をデジタル映像を3次元化した様に魅せる技術がすごい。
しかも視覚化の難しい設定なのに、演者のパフォーマンスと音と照明で説得力があるものになっていた。
これだけのものを創るには、相当頭と体力を使うんだろうなーと余計なことまで感心してしまいました。

ホシノヒト

ホシノヒト

演劇企画アクタージュ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2021/09/23 (木) ~ 2021/09/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今回も会場案内人は主催・作・演出の大関氏。
もはや演劇企画アクタージュ名物といっても良い“ほのぼの光景”なのですが、本当にこの方は「感じが良い人」。
わざわざアンケートを取ったりしなくても、この方が与える良い人な印象はもはや鉄板!
そして作品がこの大関氏から作られているという事を意識して観るとプラスαで面白く感じるのは私だけだろうか(一定数いると思う)

星降るペンションを舞台に冒頭はほんのりコミカルテイスト
からのSFファンタジー。
しかし話がさらに進んでいくと過去の殺人事件話が浮き上がってきて、何やらきな臭く・・・
そう、私はこの温厚な大関氏が意外とブラック(クリエイター)な一面を持っていると睨んでおります。
ファンタジーに光と影、このブラックが差し色になっての面白味。

2021年現在と因縁の1994年
アイデアが膨らむに連れ、役者さんの人数をもう少し多く、なんて思いもきっとあったのではないかと想像したりするのですが、7人の役者さんがフルに奮闘されてのパラレルワールド。
頑張っていたなぁと・・・エンディングも切なくエールを送りたい。

ネタバレBOX

因縁の1994年 母親を殺したのは誰?
犯人探しの楽しみが膨らんできた頃、思ったより早い段階で真犯人が判明。
しかし犯人が分かったココからが大関ブラックの爪が光り輝いて一番面白い。
映画「ゴースト」にも似た面白さとでも言えばいいのか、もうこの面白味でゴハン3杯いける。
真犯人にも良心があった事が分かったところでブラックの爪は閉じられる。
ちょっと名残惜しい。

タイムリープの際のルールがバックトゥザフューチャーに準ずるというのはとても分かりやすい(笑)
「あっ未来を変えちゃいかん」と慌てるお父さん。
めちゃ変えなきゃダメでしょ、あんた嫁殺しの犯人だと思われるんだよ!
ツッコミたい、とぼけたお父さん。
「緑のオウム亭ー1幕のグロテスク劇ー」

「緑のオウム亭ー1幕のグロテスク劇ー」

雷ストレンジャーズ

小劇場B1(東京都)

2017/03/01 (水) ~ 2017/03/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

外は革命直前の物々しい状況。にもかかわらずエンタメボケした貴族達が「犯罪人ごっこ」に現を抜かし、挙句の果てに右往左往するであろう姿を苦々しく楽しむ予定の観劇でした。
ところが実際には、どれが本当の犯罪でどれが即興芝居なのか区別がつかなくなり頭が混乱してくる中、これはちょっとヤバいだろうという状況になった時、なんと自分自身も一人の貴族と気持ちがリンクしてしまい「こんな面白い場面、めったに観られるものじゃないっ!もっともっと刺激をカモーン!」と欲求心に火がついてしまっていました。
これじゃエンタメ亡者じゃん!ガーン
もちろん劇中劇だと分かったうえでの感情ではあるが自分にもこんな野次馬根性みたいなモノが潜んでいたとは。
我ながら滑稽であるが、ちょっとショックでした。
演出の術中にはまったという事なのでしょうが。

観客席は小劇場B1ではお馴染みの舞台から見て正面と左手の2方向。それに加えて右手にも一列だけ設けられています。
舞台デザインからしてどの席から観ても面白そうで、どこに座るか非常に悩ましいところ。
全体をまんべんなく楽しむなら当然中段~後方になりますが、劇中の混沌に巻き込まれるなら(舞台からみて)右手一列と貴族席近辺がお薦めです。
なんだか劇中の演出のひとつとして活用されている気がしますが、それを含め普段の観劇では中々無いアングルを楽しめます。

ネタバレBOX

盗んできた宝飾品を女達がキャーキャー物色している場面で、チョイ太目の貴族が近くに座っていた女性客に「貴女も参加しませんか」と話しかけたのが聞こえてきて笑ってしまいました。
んなっっ出来るかっ!(笑)
裏の泪と表の雨

裏の泪と表の雨

BuzzFestTheater

ウッディシアター中目黒(東京都)

2016/12/08 (木) ~ 2016/12/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

生き生きとした人物像
体臭や安物の香水が臭ってきそうな程、人物がリアル。 
実際、舞台であるお好み焼き屋はお好み焼きの匂いが漂い、場末感も含めて完璧だし飲食や喫煙は全て本物。 
細部にわたってリアルを追求していた様に思えます。 
そして人物。方言効果もあり人間味溢れる人物達。 
そもそも役者さんそのものに味のある人が多いのではないかと思いました。 
今まで人の表層から「それは間違っている」「そんな事をする奴は悪人だ」と言い切ってしまえたものまでもが、そう単純ではない事を思い知らされました。 
あいりん地区の不器用な人生模様、深いなーっ。

ネタバレBOX

自分だけが家族の業を背負い、自分を犠牲にしてきたと思い詰めていた兄が、数十年ぶりに再会できた弟の人生を知る。 
両親が離れ離れとなる時、子供に課せられる運命の選択。 
父親について行った弟の幼く単純な想いがあまりにも哀しい。 
それでも十分に希望の残るラストで良かったと思います。 

子供はいる「設定」かと思いきや、ちゃんと子供も登場し感服しました。
いつまでの森

いつまでの森

劇団演奏舞台

九段下GEKIBA(東京都)

2017/04/14 (金) ~ 2017/04/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

開演前、しっかりした当日パンフに目を通す中、何気なくかかっていたラジオ番組が見事な伏線に…
めちゃくちゃテクニシャンな劇団さんでした。
鳥居のある雄大な森をイメージさせるフライヤーとは裏腹に、舞台は森近くの小洒落たおでん屋台。
その様子はさしずめ「おでん屋の愉快な仲間たち」
奇妙な音響効果を味方に面白おかしいやり取り(伏線含有)から徐々に深刻な問題に突入していく一連の流れは、どこをとっても見ごたえがあり自身のリテラシーがいかほどか問いかけてきます。
以津真天(イツマデ)の伝奇をうまく取り込んでミステリアスな一面もあり、気が付けば雄大で深刻な森のイメージが頭いっぱいに広がっていくのでした。実にテクニシャンです。

バカから醒めたバカ

バカから醒めたバカ

INUTOKUSHI

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2016/03/05 (土) ~ 2016/03/11 (金)公演終了

満足度★★★★★

見ごたえあるコメディー
いい感じの下品さで終始笑えた。
思考停止した人の脳内って本当にこんな感じなのかも。
コストパフォーマンスの良い公演だと思いました。

パラサイトパラダイス

パラサイトパラダイス

ワンツーワークス

ザ・ポケット(東京都)

2016/06/23 (木) ~ 2016/07/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

納得の高評価劇団
受付けの丁寧さ、無料パンフレットの配布、ブランケットの貸し出し等、開演前からすでに劇団の配慮が感じられる。 
実際の舞台も、役者さんの実力はもちろんのこと、映像のカット割りでは絶対できない舞台ならではの表現が随所にあって引き込まれた。 
セットも見やすく計算されており、とにかくこだわりのてんこ盛り。  
観客も他よりマナーの良い人ばかりだった印象。 
まさに良質な大人の娯楽の王道。
難をあげれば、座席が横一列繋がっていて、力伝導が非常に良く、人が身動きするたびに揺れて一瞬気がそれてしまうことぐらいか。 
とにかくそれぐらいしかケチの付けようが無い公演でした。 
こういう劇団がいっぱいあるといいなとも思いますが、稀有で他にも色んな劇団があるからこそ演劇は面白いんだろうなと思いました。

ネタバレBOX

引きこもりの息子に論破された父親が、自分の日常を表現したダンスシーン。 
老人達が、夜中に電話しても受け入れてくれる友人がいるのか確認しようと試みるも絶望するシーン。 
妙にジーンとくるシーンでした。 
父親は凡庸なイメージながら見習いたい箇所がいくつもありました。
「66~ロクロク~」

「66~ロクロク~」

円盤ライダー

シダックス カルチャービレッジ6階(東京都)

2016/10/08 (土) ~ 2016/10/10 (月)公演終了

満足度★★★★★

演劇を超えた演劇
過去にはカフェやホテルラウンジで公演しているそうで、その場合、店の雰囲気や装飾品がそのまんまリアル舞台美術として機能するだろうが、今回はこの場所、非常に不利ではないだろうか。 
入室して、まずそう思った。
無機質だし、特に舞台照明もなく、天井のLEDが部屋全体をまんべんなく照らしている。当然音楽も無し。 
近代オフィスのお洒落さはあるが、あまりにもリアルな空間すぎて、とても演劇を鑑賞する雰囲気ではない。 
ステージ予定スペースにはテーブルも無いのだから会議モノじゃなさそうだし。 
結論から言うと円盤ライダーはこの不利な状況を、全て身体ひとつで覆してくれた。 
開演。ドヤドヤと入ってきた役者さん達。 
どうやら男達は、協力し合って会社を設立し、このオフィスを手に入れるところまで漕ぎ着けたようである。 
全員が達成感で高揚しハイテンションである。 
私は冒頭からハイテンションの芝居はちょっと苦手で、どうしても一歩引いてしまうクセがある。(世界観に入れた後なら全然OKだが)
たとえ最前列であっても座席と舞台の境界は明確で、距離を勝手に感じてしまう。 
なのに本作では距離など意識することは無かった(できなかった)。 
舞台と客席の境界は存在せず目の前、後方の夜景、ガラスパーティション、倉庫、とにかく会場のすべてを味方にして役者のパッションが炸裂する。 
客イジリなど一切無いのだが役者熱が力づくで演技の世界へ巻き込み、そして完全に引きずり込んでいく。 
よく体感型というが、これもまさに体感型である。 
ストーリーは当然存在するが、それよりも役者ひとり一人の生きざま、人間そのものを観てくれと言わんばかりのガチ魂。 
こういう演劇を何歩か超えたようなスタイルは何と表現すれば良いのだろうか。 
企画力+実現力+演技力そして熱い役者魂。すべてが揃わなければ不可能な公演。お薦めするしかありません。 
あっ、あとすいません。この公演コメディーです。

URASUJI 2017 ちんもく

URASUJI 2017 ちんもく

敦-杏子(TON-ANZU)プロデュース

ザ・スズナリ(東京都)

2017/12/16 (土) ~ 2017/12/28 (木)公演終了

満足度★★★★★

もともと必殺仕〇人の最高級パロディーな感じで始まったURASUJIもすっかりオリジナルの世界観を確立。
初演からほぼ欠かさず拝見していますが、今回もゲストの魅力を貪欲に取り入れたお楽しみ満載の超豪華版。
多方面から集まったオリジナルメンバーも相変わらず健在。(このメンバーだけでも既に充分濃ゆい)

定番悪役リーダー格、深沢敦さん 藤田記子さんに、2度目の登場 小川菜摘さんが加わってギラギラ怪しさ倍増。
(注)このヤバめ毒素のあんばいが中毒性の源
劇中歌ではプロの歌手である杏子さん 池田有希子さん 元モー娘。新垣里沙さん達は当然として、小川さん 天宮良さんも聴かせて魅せます。

毎回 大盛況人気公演ゆえ、既にチケット完売かと思いきや平日夜はまだ残っているそうです。
ダークでコメディーでダイナミックで、とにかく見どころ満載なので観て損はないと思いますぜ。

ネタバレBOX

ストーリーが進むごと華麗に役者さんが登場する展開は興奮します が、岩﨑大さんが出てくるの、さすがに遅すぎなのでは。
てっきり、あれっ今回はオリジナルメンバー1人欠場だったっけ?と思いましたぜ。

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