芙由子の観てきた!クチコミ一覧

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白蟻の巣

白蟻の巣

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2017/03/02 (木) ~ 2017/03/19 (日)公演終了

舞台は戦後のブラジル・サンパウロ。コーヒー農園を経営する中年夫婦とその使用人夫婦を軸に物語は展開する。じめじめした熱帯雨林の湿度のように(行ったことないけど)、女主人・妙子の退屈と倦怠にまみれたじっとりとした情念に、ほかの登場人物たちそれぞれの情念が交差し重なり合い、徐々に緊張が増していく。中盤から物語は展開していく。2組夫婦のW不倫の描き方はエロスであった。

再び心中を図る女主人と使用人の夫。それを知った使用人の妻・啓子が主人の刈屋を罵倒すると、刈屋は啓子にありありと感嘆しその足にすがりつき、「お前は太陽だ、ブラジルの太陽だ」と繰り返す。そこ、その言葉にぐっときましたね。戯曲で読んでクサいな〜と思ったのだが、見事に立ち上り。刈谷の告白・独白が始まり、刈谷夫婦の過去や想いが語られる前の、分水嶺のような台詞でした。

わが兄の弟

わが兄の弟

劇団青年座

紀伊國屋ホール(東京都)

2017/04/07 (金) ~ 2017/04/16 (日)公演終了

平日の夜に1人で来てるサラリーマンがいる劇場、いいですね。マキノノゾミさん作の、チェーホフの人生・人間像を描く作品は、大人が楽しめるビターな味わいのエンタメ。19世紀末の大きく揺れる時代背景と、家族の日常がていねいに描かれ。ラストの変わり果てたニーナ役の女優さんの演技は真に迫っていて、周りからはすすり泣きが聞こえた。そしてまずもって、青年団の役者さんたちの声はよく通り、音のボリューム、高さも抑揚もバリエーションに富むという、声の表現力がすごいですね。プロの基本なのだろうけど。

忘れる日本人

忘れる日本人

地点

KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)

2017/04/13 (木) ~ 2017/04/23 (日)公演終了

冒頭から役者7名はカニ歩きをしながら熱量100%で発話。そしてそれらは、しばしの間ではなく劇のベースとして継続するのである。恐るべき基礎(身体)能力。
おととしのAAF戯曲賞を受賞した齢28の松原俊太郎さんの戯曲は、1つの物語というより世界の断片。詩のような、脈略があるようでないような、言葉がとにかく強烈に発せられては消える。
ラストシーンの、舞台上からこちらを一斉に見る顔たちにはぎょっとした。すごくメタフォリカルな印象的なシーンだった。
終演後は、芸術監督の白井さんと、地点演出の三浦さん、作の松原さんのアフタートーク。三浦演出の手法も具体的に聞けて、めっちゃおもしろかった。松原さんの戯曲が掲載された雑誌も入手した。

アトレウス

アトレウス

演劇集団 砂地

吉祥寺シアター(東京都)

2017/02/09 (木) ~ 2017/02/13 (月)公演終了

5つのギリシャ悲劇をもとに紡がれた物語。いかにも古典的に始まったあの冒頭からあの展開は予想できなかった。中盤以降、どんどんと衣装も発話も音楽も現代的になっていく。最後はZARA店内でかかってそうなダンスミュージックに乗せて劇場の外の現在の世界と同化するように、疾走感すら。あれはなんだったんだろうと、いい意味であと味たっぷりで劇場をあとにした。

娘を神々の生贄に捧げたギリシャ軍の総大将アガメムノン。その妻クリュタイネストラは、夫が不在の10年の月日を愛人との情事にふけることで慰め、凱旋した夫を娘の仇にと殺害する。その10年ぶりに再会する将軍と妻のシーン、迫力あった。大沼百合子さんという女優さんの、諦念と飼いならされた復讐心、嫉妬、鋭い狂気等々、女のエロスに魅せられた。さらにそのクリュタイネストラのもう1人の娘・エレクトラ役の永宝千晶さん(文学座)も、若く美しい女が、だんだんと女将軍のように強くたくましく威厳をたたえていくのが魅力的だった。

そして、途中からボーンと入ってくる音楽は、トリップホップ!Smith&Mightyの『Same』、MASSIVE ATTACKもかかっていたか。低音ベースラインがボーンと一拍目で入ると同時に、舞台空間が縦横大きく転換し、物語も大きく展開するというその一瞬間がたまらなかった(トリップホップ好きだし)。全然主眼じゃないだろうけど。。ギリシア悲劇と、トリップホップの空間を切り開くベースラインと浮遊感がめちゃめちゃ合ってるように思え、そんな”この一瞬”を観れたのが満足。

きらめく星座

きらめく星座

えずこホール 仙南芸術文化センター

えずこホール(仙南芸術文化センター)(宮城県)

2017/11/30 (木) ~ 2017/11/30 (木)公演終了

明るく、ずっしり、心に残る、見応え満点の3時間。
オデオン堂のネオンの灯り、きらめく星球、ピアノの演奏にうっとり。

秋山さんはパワフル、大人の女。
田代さん、山西さんのアクトの芝居、発する芝居に、
久保さんの引き算だけど、声がすっと入ってくる芝居、
木場さんのやわらかーい艶っぽい声にうっとり。
みさをさん、声がしっかり届く。
木村さん、いい味。
声も、歌も、身体の動き〜一斉のリアクションがピタッと揃う〜など、みなさん達者で気持ちいい。

お客さんの反応の良さ、
笑い、拍手、反応して「あーっ」と声だしちゃったり。
シリアスなセリフでも、言い方に笑ったり、
存分に楽しみに劇場に来てるなーというのが心地よい。

お父さんと竹田さんの中の良さが好きだった。
音楽が大好きな一家と周囲の人々の、歌わずにはいられないといった、音楽劇。
あたたかい気持ちが流れる。

一方で、響いてくるセリフ。
大義、大日本帝国の意思と個人の意思が一致しなくなる、その苦しみ、
「奇跡」のセリフ。
ラストの空襲警報、泥沼に落ち込んでいく戦争の影、
満州や長崎に散るオデオン堂の人々の、運命が案じられる。

心中天の網島-2017リクリエーション版-

心中天の網島-2017リクリエーション版-

ロームシアター京都

横浜にぎわい座・のげシャーレ(神奈川県)

2017/11/06 (月) ~ 2017/11/18 (土)公演終了

木ノ下歌舞伎、初めて拝見したが、うわーーー圧倒!!!
‪エネルギー、迫力、笑いのツボ、しっかりとしたドラマに喜怒哀楽。笑ったり涙目なったり、胸熱でした。‬
‪俳優さんたち皆さん芸達者も芸達者。サンプルの『ブリッジ』に出ててすごい好きだった伊東沙保さんと武谷公雄さん、やっぱいいっ!青年団の山内健司さんも味!もちろんほかの役者さんもど迫力&放出するのみならずぐっと芝居、すっと芝居。
舞台美術もユニーク!
今回はFUKAIPRODUCEの糸井さん演出だったが、今後も作品観たい!‬

ヴィテブスクの空飛ぶ恋人たち

ヴィテブスクの空飛ぶ恋人たち

劇団印象-indian elephant-

スラヴ料理 カフェアリョンカ(仙台)(宮城県)

2017/12/15 (金) ~ 2017/12/16 (土)公演終了

シャガールと妻・ベラの物語、すっごく言葉づかい、日本語が面白かった!翻訳の妙ですね。
物語は、色に包まれている日常の描写とか、人や物との距離感の感じられ方や視点なんかが、ユニークというかシュールというか。もちろんシャガールの絵を彷彿とさせ、さらに、自在に動く視点にはフェリーニ映画のカメラの動きなんかが想起させられるようで。
シャガールとベラが相手を想い合い、言葉を交わす2人だけの親密なシーンにはキューンとしました。そして、挿入されるイディッシュ語の響きは美しく、クレズマー音楽もツボでした。
役者さんとの距離も近く、言葉から描かれる情景が少しずつ、ときにぐいぐい空間を満たし、ラストはもう空間全体が、自分も含め物語にすっぽり収まったような体感ありました。
シャガールの展覧会に出かけたり、絵は好きでいたけれど、人となりや時代背景なんかをよく知ることもできました。

こじんまりかつあたたかい雰囲気のスラヴ料理アリョンカさんのディナーも、珍しいものたくさんで美味しかった♪

「シンデレラ」~おどる童話~

「シンデレラ」~おどる童話~

せんがわ劇場

調布市せんがわ劇場(東京都)

2017/12/19 (火) ~ 2017/12/25 (月)公演終了

満足度★★★★★

すごくユニーク、発想力にユーモアに、絶えず笑いました〜!
たくさんの子どもたちが、思わず声を上げたり、ジョインしてたのにも和まされ。
ダンスに歌に、リズムと言葉遊びとか、補足リズムとか、リトミック的要素もあり、
ふんわり膨らむカボチャの馬車や、影絵や、ユニークな仕掛けの数々もあり、さすがだなーとうなりましたね。それでいて、子どもだましというのではまったくなく、大人のずるさとかいやらしさなんかも盛り込まれていて、深みを生んでいると思いました。
ほんとうに楽しく豊かで、これからも拓朗さんの舞台は観続けたい♪

ロミオとジュリエット

ロミオとジュリエット

東京芸術劇場

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2016/12/10 (土) ~ 2016/12/21 (水)公演終了

満足度★★★★★

ロミジュリの物語を、逆回転で、つまりロミオとジュリエットが死ぬ場面から2人が出会う場面へと時間を遡って描くというもの。2階席で観たので、役者さんの表情まで細かく見えなかったが、舞台空間全体はよく見えた。

男性の役者が、数枚の可動式の壁を180度に伸ばしたり90度に曲げたり回転させたりして、その仕切りでできる空間で、流れるように自在に場面転換が行われる。時間の流れを追うように、生演奏の音楽に乗って舞台は流れるように進む。大きな時計も出てきて、時間は意識されている。舞台美術と役者の構成的立ち位置、そして照明が、ロマンティックな絵画のような世界を作る。

音楽がドツボで、一定に刻まれるドラム、ピアノ曲が印象的だった。元Olive好きには、大森伃佑子さんの衣装もたまらない。そして可動式の壁の中のその瞬間の様子が、外の壁にアンティーク風の映像で映し出されるという演出。なんというか、覗き見で、はかない在りし日の一瞬の映像を観ているような、ため息ものであった。

ロミオ役は看板女優の青柳いづみさん。少女のような声で嘆き叫びつづけるのは、ちょっと苦手に感じた。9月にマムジプのワークショップ公演を観たときも思ったが、全体的に俳優さんは、抑揚を抑えナイーブな感じで。ジュリエットの豊田エリーさんは若く瑞々しい限りでかわいかった。

終盤に、ロミオとジュリエットが出会うダンスシーン。少女たちが大森さんの美しいドレスで舞うのだけれど、そこまでの流れのままに、”哀”のしめやかな感情で空間が満ちたように思った。”喜楽”に満ち満ちたら美しさが、刹那の運命的な恋の美しさもいっそう増すのではないかと想像した。

かもめ/桜の園

かもめ/桜の園

地点

吉祥寺シアター(東京都)

2016/12/13 (火) ~ 2016/12/24 (土)公演終了

満足度★★★★★

初めての地点観劇。

開場と同時に劇場内ではニーナがティーサービスを始め、メドヴェージェンコさんが手伝い、トレープレフは「ニーナ!」と愛するニーナを目で足で執拗に追う。クラシカルな舞台空間に、マーシャが奏でる暗いピアノ曲、天井でくるくると回るファンと、壁に映るその影。磁場に圧倒される。開演前からそこには明らかに異空間が立ち上っていて、観客の入場に伴うざわめきも、その生成上で大役を果たしているかのようで、そこでまず感激。ティーサービスを行いながら、ニーナがロシアで『かもめ』を上演した際の逸話などを紹介してくれ、笑いが起きる。

そして『かもめ』。ほとんど、トレープレフとニーナの物語のようである。特にトレープレフは饒舌にしゃべる。「地点語」と言われる、アクセントやイントネーションが日常の私たちが使う日本語とは異なる、風変わりな発話で。時にそれはラップのよう。時にその絶妙な言葉のタイミングで、なんてことない言葉で笑いが起きる。なんなんだこれは。

トレープレフは常にものすごい熱量で動き回り、ニーナはふわふわしていて、アルカージナとトリゴーリンはゆったりと貫禄を持って歩き回り、マーシャとメドヴェージェフさんはほとんど動かない。メドヴェージェフさんは、サモワール(ロシアの壺)を持って終始一言も話さなかった(と思う)。

なんなんだこれは。とまず圧倒された(翌週の『桜の園』はもっと具体的に観れた)

「母さん、たぶん俺ら、人間失格だわ~キャンピングカーで巡る真冬の東北二十都市挨拶周りツアー♨いいか、お前ら事故るなよ、ぜったい事故るなよ!!編~」

「母さん、たぶん俺ら、人間失格だわ~キャンピングカーで巡る真冬の東北二十都市挨拶周りツアー♨いいか、お前ら事故るなよ、ぜったい事故るなよ!!編~」

劇団 短距離男道ミサイル

仙台市宮城野区文化センター・パトナシアター(宮城県)

2017/04/05 (水) ~ 2017/04/06 (木)公演終了

鑑賞日2017/04/06 (木)

すごーく敷居の低い(よい意味で!)芝居だった。初めて演劇を見るというような人でも、不慣れな空間でほっと安心できるようなウエルカム感を、3人の役者さんたちが出しまくっていて、それがまったく押し付けがましくもないし、いちいちおもしろい。

役者それぞれの”人間失格”が赤裸々に語られるのは、初見の人にとってはすごくよい自己紹介だし、旅公演で一気に多くの人がファンになった様子なのも頷ける。

随所に観客席を巻き込んだクイズなどのお楽しみコーナーが入り、パフォーマンスの要素も強いけれど、芝居でドキッとさせられるシーンもあり。

なんといっても役者さんたちのお客さんに愛されてる感が、いいなあと思った。

靴屑の塔

靴屑の塔

Baobab

せんだい演劇工房10-BOX(宮城県)

2016/10/18 (火) ~ 2016/10/20 (木)公演終了

カッコいいダンス、が感情の共有がほしかった?
 ダンスはとってもカッコよい。音楽もカッコいい。振り付けも独特で、絶えず変化し、そのバリエーションにうなる。特に北尾さんと中川さんというダンサーの美しい動きは目が離せず。クラブでこんなん踊れたらかっこいいなとか素朴な感想も。
 が、段々に、ダンサーと観客席との感情の共有の不在を思う。テーマとされている「靴」については、冒頭に2人のモノローグがあるものの、舞台上でどう存在がフィーチャーされているのかがよく分からず。カッコいいダンスは続いていくが、それは段々繰り返されるパターンとも化してくるかのよう。最初の興奮は、「シンゴジラ」を見るような、珍しいもの見たさ、すごいもの見たさの心持ちだったのだろうか。興奮も覚めやった中盤、どういう心持ちでこれを見ているのだろうと自らを省みる。
 舞台上と観客席との「感情の共有」が必要だと言っていたのは誰だっただろうか。そして、ピナ・バウシュのカンパニーのすごさはこういうことかとふと思う。たとえ無表情でも、その抱きつき方で溢れんばかりの愛を痛々しく感じるという、ダンス。

『不眠普及』/『止まらない子供たちが轢かれてゆく』

『不眠普及』/『止まらない子供たちが轢かれてゆく』

キュイ

せんだい演劇工房10-BOX(宮城県)

2016/07/15 (金) ~ 2016/07/24 (日)公演終了

有機的身体的というより神経螺旋的な
せんだい短編戯曲賞大賞作品ということで観劇。
1人の女性があるとき陥る不条理な?日常を、3人の役者によって話者が入れ替わりながら語られていく。

しばらく身体的な、ユニバース的な創作舞台に関わっていたので、その対比でも、すごく観念的な、なんだか1つの神経を執拗に使っていくような感覚の世界だなと思った。でも例えば東京のど真ん中で、マンションで1人暮らししてるときにふと陥る寂しさの感覚ってああいう感じあるかもと思ったり。ある意味現代的と言えるのでしょうか。でも途中の女のセックスシーンとか、1日何十人もとヤったと話す女とか、まったく身体のヒリヒリ感も温もりもなく、声だけがうつろに響いている感じで、今の自分の気分的には受け入れ難かった。

音や照明の感じは好きだなと思った。あと、役者さんの声が重なり合ってセリフをつないでいくのが面白い。

アフタートークで、これは本当は1人芝居?の脚本というようなことも言われていて、なるほどと思った。ほかの作品も機会があれば見てみたいです。

おとこたち

おとこたち

ハイバイ

仙台市宮城野区文化センター・パトナシアター(宮城県)

2016/04/29 (金) ~ 2016/04/30 (土)公演終了

満足度★★★★★

心地よくハマるセリフ、世界観
DVDで1作観ていたが、生で初観劇。
いやあ、おもしろかった。終わってしまうのが名残惜しかった。
全編を貫くテーマソング、チャゲ●スの追いかけて〜という曲を聞くと、すぐにおとこたちの世界がよみがえってくるようだ。

1つ1つのエピソードが深堀りしたいような分厚いものだけど、それがめくるめく、おとこたち4人4様に展開していく。
セリフがおもしろい、テンポがよい、で、気持ちいい。

おとこたちの成長とともに物語は切なさもはらんでくる。
リアルにありそうな、子供との確執、妻の介護、若者からのいじめ等、おとこたちのカラオケボックスでの騒々しい饗宴とは対比的。

たのしかった!

ロクな死にかた

ロクな死にかた

アマヤドリ

シアター風姿花伝(東京都)

2016/04/27 (水) ~ 2016/05/01 (日)公演終了

満足度★★★★

街の描き方など、瑞々しい時空間
せんだい演劇工房10-BOXで観劇。
東京の街のど真ん中で事件が起きるシーンや、満員電車など、自分もその場に立っているようなリアルな感覚を覚えた。
それから時折入る全員での群舞的な動き。明るく透明に照らす照明効果もあってか、えらく瑞々しくキュンとしてしまった。忘れかけていた青春の時間軸を思い出すような。。

役者さんはセリフを聞いていて気持ち良い人と、大げさだったり野暮ったい人に分かれた。

それにしても、あの瑞々しさのゆえんはどんな演出にあるのだろうか。
ほかの作品もまた観て見たい。

子どもの頃から

子どもの頃から

演劇企画集団LondonPANDA

小劇場 楽園(東京都)

2015/01/16 (金) ~ 2015/01/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

繊細・ていねいに描かれる、家族の物語。
物語で設定されている、いわゆる東北地方の田舎町に生まれ育ったので、舞台セットの茶の間は「あるある!」となじみ深い光景。
兄、姉、妹の3兄弟と、姉の旦那、兄の友人らの、ごく日常が繰り広げられるが、ごく日常は、こんなにもたくさんのものをはらんでいるのかと、思わされた。とても繊細・ていねい。思わず笑いが漏れ起きるテンポよいシーンも端々にあり。引き込まれたあっという間の100分間だった。

淡々とした日本映画のような印象を受けるのは、オレンジ色に差し込む照明と、静かに流れる美しいピアノ曲の効果か。

兄妹、血のつながったものだからこその愛憎。
関係性の妙。家族。
なんだかんだ人が集う茶の間から、ピシーっと自分の日常に刺さってくるような言葉もあり。
最後は登場人物たちにえらい親近感。
若い(自分と同じ30前後?)役者さんたちもえらくハマっているというか、いい味わいですてきだった。

男尊女卑な感じとか、田舎のよくも悪くも共同体的な感じとかも描かれているが、賑わう東京・下北のど真ん中で、東京(都市)出身者の人はどう観るのか、など興味深い。

1つ言えば、お芝居のチラシから、お芝居の中身がイメージしづらい?!

小劇場楽園という地下の濃密な空間は、真ん中に柱があり、2方向から客席が舞台を囲む空間。舞台、役者さんが本当に近い!セットの作り方もユニーク!
どちらかというと正面の左の席もいいが、右手の席は”姉”の表情がよくみえて、こちらで観てもまたいいです。両方でぜひ。

アフタートークはおおいに笑いありで楽しかった♪(17日公演)。

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