めっこの観てきた!クチコミ一覧

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ナノ クライシス ポルノグラフィティ

ナノ クライシス ポルノグラフィティ

演劇集団 砂地

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2009/10/21 (水) ~ 2009/10/26 (月)公演終了

満足度★★★★

生々しさこそアート
なんともいえない高揚感で目が離せない。営みは日常であり非日常、当事者でもあり傍観者でもある。舞台を見下ろす形での客席だったが決して覗き見風ではなく、事例紹介されているような気分だった。

ネタバレBOX

セックスに対する考え方、心構え、人との関わり、関係の保ち方、など事例に沿って解説された感覚。次々と出てくる二人が、その二人なりのセックスを見せていくだけ。特に盛り上がりがあるわけでもなく、暗めの照明の中進んでいく。

それだけなのになぜか眠くもならず、見入ってしまう。

男も女も身勝手で、ひとごとと思って見るとかなりありえないのに、二人の間ではありだし、いとおしくさえ見えてしまうんだろう。なんだか濃い時間だった。

四方囲みの客席。ソファが見える場所がお薦め。
ともだちのいもうと

ともだちのいもうと

RONNIE ROCKET

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/10/20 (火) ~ 2009/10/25 (日)公演終了

満足度★★★★

信じつつ、疑いつつ。
話が進めば進むほどぐいぐいと引き込まれました。前半、ややもったいぶった感じでなかなかどうなるやらわからず、もぞもぞしましたが。これ、お芝居よりも映像のほうが向いてるんじゃない?なんて思ったり。が、ふっとたぐり寄せるべき糸が掴めてから、するするっとこの世界にはまり込み、最後には不覚にも涙が出そうになりました。

リアルじゃない部分がとってもチープで、それが妙に心を惹く感じでした。

ネタバレBOX

バンドの演奏シーンがぐっと来ました。ギター以外エアだったりダンボールだったりっていうのがものすごくよかった。

俳優さんの表情を見るならば奥や手前の席は不向き。真ん中辺がいいと思います。
深情さびつく回転儀

深情さびつく回転儀

電動夏子安置システム

サンモールスタジオ(東京都)

2009/10/16 (金) ~ 2009/10/25 (日)公演終了

満足度★★★★

脳みそフル回転で
がんばっても掬いきれないややこしさ。癖になります。でも深追いせずにさらっと観てもたぶんおもしろい。むしろその方が観終わった後すっきりするのかも。追いかけすぎると拾い切れなかったところが気になってもやもやしちゃうから。私は追いかけて追いかけて、謎は残ったけど、最初から最後まで夢中で観てしまいました。

追いかけたければ当パンをよーくよーく読んで頭に入れてからがいいかと思います。

これだけのややこしさの中で、見事にコメディに作り上げる俳優さんたちは見事。シリアス部門とコメディ部門と役割分担があるのかと思いきや、、、だし。

エンディングは偶然に任せて6通りあるそうです。気になってリピートしたくなりそうだったら早めに行っておかないと。

ネタバレBOX

ルーレットの出目を利用して偶然と必然をぐじゃぐじゃとかき回すのは、かなりどきどきです。ルーレットっていうアイテムはちょっとなじみがなくわかりにくさを増してるので、ルールを説明するのに少し手間取っている感じはしますが。

賭けるチップに書いてある言葉でさらに縛りが発生するって言うのはおもしろかったけど、種類によってはよくわからない部分もありました。人が入れ替わるSWITCHはよくある手ではあっても俳優の味が発揮されて笑えましたが。MAGNETとかSPEAKERとかせっかくおもしろいのに、メインでなくパーツだったからおまけ的になっているのがもったいないというか。やるならやるでもっと遊んでる姿が観たかった気もするし、メインテーマを考えると脱線な気もするし。
それだけでも一つ話ができそうな感じ。

やっぱり拾いきれなかったっていうストレスがあるので、公演終了後にでもネタバレ答え合わせ大会みたいなのがあったらいいのに。実はあの場面、誰が何してた、と。もしくはDVD発売時に副音声で解説が入るとか(笑)。
カムパネルラ

カムパネルラ

Oi-SCALE

SAI STUDIO komone(東京都)

2009/10/08 (木) ~ 2009/10/13 (火)公演終了

満足度★★★★

意外!
「残された人間/ジョバンニ」を観ました。Oi-SCALE は数作品観ましたが、今回が一番好き。どこかの片田舎の不良たちのその後、的な世界を描く劇団かと思ってましたから。まさか宮沢賢治の世界を描くとは。そしてそれがここまでしっかりきっちり出来上がるとは。題材の意外さと、Oi-SCALE らしい映像や照明の使い方がぴったりマッチして、一気に観ることができました。

ネタバレBOX

銀河鉄道の夜は大昔に読んだっきりで、正直そんなに覚えてないくらいのまま観ました。だからそれを堪能といった形では楽しみは少なかったかもしれないのにも関わらず、すごく素敵な世界に浸れたんです。

まさかOi-SCALE に素敵、っていう形容詞を使うとは。

サークルの顧問が亡くなり葬儀のために集まった仲間が、そこに向かう途中で事故で亡くなり、一年後にその道のりを再度たどっていく。事故当時と一年後がクロスし、収束していく。

絡んでいく過程に並ぶエピソードやアイテムがいとおしい。傘やりんごといったモノたち。

林灰ニさんの世界が俄然気になりました。時間さえあったらもう一方も絶対行ったのに。ちょっと悔しい。
て

ハイバイ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2009/09/25 (金) ~ 2009/10/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

増席ですって。
どこのどの場面を切り取ってもハイバイはハイバイで、笑って泣ける。家族って普遍的に通用するもので、一見特殊な他人の家族なのに、登場人物の誰かは自分で、どこかに強烈に共感してしまう。不思議です。作品自体は吸引するよりも突き放してくる印象なのに。

来週末しか観られない方は今がチャンスのようで。また予約をうけつけてるみたいですね。

ネタバレBOX

初演を観ているせいか、家族が全員集合する場面でもう涙があふれてきます。普通に集まったってだけなのに。呆けた祖母、はしゃぐ父、黙って見つめる母、全く無視する長男、おろおろする次男、カラオケを強いる長女、いやがる次女、傍観する人たち。どの人間を見ていてもおもしろく哀しい。誰にスポットをあてるのかは観る人しだいってとこが演劇としての醍醐味。だからおそらく何回観ても見どころ満載なんでしょう。


初演同様対面に客席ですが観難い席はまったくなさそう。どこに座ってもちゃんと看取れる気がします。

トラベリング・オン・ザ・シャーレ

トラベリング・オン・ザ・シャーレ

カムヰヤッセン

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2009/09/02 (水) ~ 2009/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★

脚本の力。
開演前から始まってる芝居。俳優としての北川さんのもつ空気がすごく胡散臭くて思わず近寄って行ってしまいました。
タイムトラベルものでしたけど、設定や作品の中でのルールがきれいにまとまっていて、それが見えた瞬間に物語に引き込まれました。オチがすとーんと入ってきます。
切なくて温かくて、泣きながらなんとなく幸せな気持ちになれました。

花とアスファルト

花とアスファルト

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2009/08/01 (土) ~ 2009/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★

心地よく、そしてきゅんとくる。
この世界観はどうにも抗えないです。すーっと染み入ってくる不思議な説得力。団地の住人にクマがやってくるっていうのに。ありえないじゃん、嘘にも程があるじゃん、そんなメルヘンにだまされるほど純粋じゃないんだよ、って逆らいながらも、それでもクマと住人の交流に胸を打たれてしまうんです。うそっこやら作り物やらに飽き飽きしてても、ふんわり浮かび上がらせられちゃいます。

ネタバレBOX

団地の自治会っていう妙に生活に根付いた場を舞台にしているのも鍵なんでしょう。そこに出席している人々の生活は群像として生々しく描かれます。新参者としてクマが参加するようになって、少しずつ意識や関係性が変わっていくのが、クマがいるっていう突飛さを超えて伝わってきました。

さらにそこにクマさんの、メルヘンでありながら異形としての存在っていう心理がかぶってきて、切なくなるんです。人間社会に溶け込もうとする努力やそれが叶わない孤独、関わってくれる人をとても大事にして、でもやっぱり自分の元のコミュニティも大切で。そういう気持ちが実直な表情からじんじん伝わってきます。変装すらしてないのにちゃんとクマに見えるマジック。

黒澤世莉さんと吉田小夏さんのアフタートークを聞いて、私がこの作品を好きだと思った理由がおぼろげながらわかった気がしました。
交流する人間の密度というかコミュニケーションの濃さっていうか。そういう部分を重視した見せ方をしてらっしゃるとのこと。だからなのか、クマを演じた荒井志郎さんとクマと親しくなる住人役の羽場睦子さんの印象がすごく残る。設定や会話の中身ではなく、そこにおける俳優同士のあり方に引きつけられてたのね。
3人いる!

3人いる!

リトルモア地下

リトルモア地下(東京都)

2009/07/31 (金) ~ 2009/08/12 (水)公演終了

満足度★★★★

やっぱりいい。
けど、なんか思ったよりフツー。12バージョンあればオーソドックスな日もあるってことなのかしら。一幅の絵のような視覚的な美しさと、一匙のホラーテイストを感じました。

ネタバレBOX

今日は普通の女子2名男子1名。男子がややなよっと系な雰囲気で。その女性よりな感じとろうそくの炎がキレイにマッチしてはいましたが。

どこか設定への説明くさい印象があったのが残念。
73&88【満員御礼!】

73&88【満員御礼!】

カニクラ

アトリエヘリコプター(東京都)

2009/07/15 (水) ~ 2009/07/19 (日)公演終了

満足度★★★

もう一息。
アイディアとしてはとってもおもしろい。俳優同士が会話を繰り広げる中で出来上がっていったという脚本は、どこまでが俳優本人でどこからが虚構なのかっていうのも探り探りでとってもそそられます。

ただ、それだけで終わってしまった感じも。もっとお話としても盛り上がりがあって登場人物4人ががっつり向き合うシーンがないと、もったいない。

ネタバレBOX

稽古の中でできあがっていったという電話やテレパシーでの会話を顔を見合わせながら、照れたり相手の様子を伺ったりっていうのはすっごくおもしろいです。電話はともかく、テレパシーはある日突然全く知らない相手とつながってしまう。そこで広げられる全く損得や駆け引きのないムダ話。その楽しさは伝わるのですが、そこからの人間関係の広がらなさにストレスを感じました。

たった4人の登場人物。それぞれ2人ずつはテレパシーでつながり、 現実の世界でも2人ずつつながっている。それが観客側からはくっきり見えてるだけに、その関係性がそのまま終わってしまうっていうのが。。。
絡まりあっている4人の関係性をもっともっと濃くこんがらがらせてみてもいいんじゃないかなぁと思ってしまいました。

男同士のテレパシーの最中に片一方が事故にあって意識を失う。そこで初めて現実の世界でもつながらなきゃと奮闘するのに、それが中途半端に終わってしまっているのが、あれって感じでした。頭の中の世界と現実の世界っていうものは、切り離して考えているようで実はリンクしてるっていうのをふわぁっと感じられそうでふっとしぼんだような。
ジプシー

ジプシー

ゲキバカ

新宿シアターモリエール(東京都)

2009/07/11 (土) ~ 2009/07/20 (月)公演終了

満足度

やっちゃった。
期待が大きかっただけにちょっと評価は厳しめです。ほんとどうしちゃったの?というくらいに私には合いませんでした。前回の劇団員だけの男芝居が好みだっただけに、すごく辛かったです。

ダンスシーンの切れはすばらしかったです。

ネタバレBOX

芝居を書こうとしているシェイクスピアが自分の娘やその友達のために、っていうストーリー自体や、そのファンタジックな雰囲気はいいのですが、どこか既視感のある部分部分が不満です。変に客席に絡んでくるのも、これをやれば笑うだろう、って言う押し付け感があり、どうにも笑えませんでした。

せっかく劇団員の方々が十分おもしろくて魅力的なのだから、もっと生かしたお話が観たかったです。
キドクラッチ

キドクラッチ

MCR

中野スタジオあくとれ(東京都)

2009/07/08 (水) ~ 2009/07/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

すっばらしい座組みでかわいいお話。
めっちゃお気楽に観に行きましたけど、こりゃすごいですわ。あたたかくてやさしくて暴力的でぶっとんでて。どの切り口をとってみてもいい。

あまりに好みの俳優さんだらけだったのでつい2回観に行きました。笑えればそれで満足、的な甘甘な目線でした。けど、そんな期待を大きく外して、笑わせながら物語として包み込んでくれるっていう、主宰櫻井氏のすごさを思い知らされる作品でした。

一言一句逃さずに楽しみたい。そしてそこに込められた想いを感じたい。

ネタバレBOX

七夕らしい恋のお話です。

結末に向かうヒントが前半からぱらぱらと散らされてます。一度観てげらげら笑った挙句はっとして、二回目結末わかった上で観たらどこもかしこも切なくなっちゃって。笑いたいし泣きたいし、ぐるぐるといろいろな体験をした気分です。

有川マコトさんの笑顔があんなにかわいらしく見えてしまうのはマジックでしょう。有川さんとあずきさんのカップルはシリーズ化して欲しいくらいにキュートでノスタルジック。

今回は男性がとってもいたいけで抱きしめたくなるほどピュア。ごっつい強面ばっかりなのにね。大切な人を思う気持ちって、人をこんなにかわいらしくしちゃうんですね。

櫻井さん自身がこんなにストレートにいい人キャラを演じてるのが不思議です。いつも露悪的に見える役ばかりなのに。それもまたよし。
奇ッ怪

奇ッ怪

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2009/07/03 (金) ~ 2009/07/20 (月)公演終了

満足度★★★★

さすがですっ!
七夕の夜にとっておきの怪談を楽しませていただきました。音や光の効果で客席から声が上がるほど。池田成志さんと小松和重さんのゆるゆるコンビはすばらしいです。

ネタバレBOX

イキウメ前川さんのテイストはふんだんにあり、奇妙な世界に迷い込んじゃった感覚。全5話の構成がホラーでもありミステリーでもあり愛の物語でもあり、いろいろな形でドキドキしました。

池田さんと小松さんがすばらしすぎて、仲村さんの男前感覚が中途半端でもったいない。
イヌ物語

イヌ物語

劇団サーカス劇場

シアター711(東京都)

2009/06/24 (水) ~ 2009/07/05 (日)公演終了

満足度★★

入り込めるかと思ったのに。
サーカス劇場のテイストと思って観ているから、途中まではついていけました。俳優さんの味はかなりいいし。けど、どうにもアングラ色とリアルな背景のバランスの悪さをもてあましてしまいました。

ネタバレBOX

こういうものだと思っていても、違和感が拭えなかったんです。

マンションのゴミ捨て場で繰り広げられる諍い。それ自体ありえそうで出てくる人もいそうなのに、直後に出てくるロックのおじさんの存在、それを受け入れる人々の感触がどうにも変。もっとぶっとぶならぶっとんでくれてたほうがファンタジーとして受け入れやすかったのかも。
ヨシザキ、カク語リキ

ヨシザキ、カク語リキ

バジリコFバジオ

劇場MOMO(東京都)

2009/06/19 (金) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★★

相性が良い
福原さんとバジリコのテイストって意外に合っちゃってる。それは脚本の佐々木さんが苦労した結果なのかもしれないけど。ギャグマンガをそのまま舞台に載せたって言われてもそうだよね、って納得してしまうくらいのバカバカしさが、バジリコのいつもの雰囲気を壊さずに流れていく。爆笑じゃない変にこみ上げてくる笑いが楽しくってしょうがない。客演もキレイにはまっていて。

ネタバレBOX

ピチチにしてもバジリコにしてもMOMOのようなあまり高さのないような劇場をどう扱うのかってのも気になったけど、そこはそれなりに天井からケンタッキーがぶら下がってきたり、書き割りやスクリーンを使ったりで、セット的にも楽しいです。

人形劇団が登場するから、人形を操る俳優の姿も見えたりして。細かく操作できるようになってる人形の精度の高さにちょっとびっくりしたりも。

空耳タワー

空耳タワー

クロムモリブデン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2009/06/16 (火) ~ 2009/06/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

観れども観れども。
飽くことなく。先がわかってしまうマイナスを差し置いてもこれはいろんな角度から何度も味わうべき作品。

いつもながら抜群の俳優さんたちの魅力を緻密にこつこつと積み上げた結果出来上がった、タワーの土台をこの辺叩いてみたらどう?くらいにこつっと叩いてみたら意外なほど大きな衝撃が生じちゃった、っていうのを、てっぺんでくらくらしながら味わう感覚。

ネタバレBOX

前半でのストーリーの流れとぼそぼそと繰り返されるつっこみだけでも十分なくらいのクロム的楽しさなのに、その後に待ち受ける渦が上がっていくようなエンディング。幾通りにでも解釈できるその後半は、どんな想像も許しながらすべてをはねつける力強さを感じます。

振り込め詐欺と演劇との組み合わせも絶妙で、変に納得しちゃった。

観劇マニアとしては心が痛くなる台詞も多々あったけど(笑)。

主宰青木さんのブログでの役者が華やげばそれでいいのです、の言葉どおり、俳優さんはどのパートをとってもおもしろすぎです。コンテンポラリーダンスを踊る森下亮さんやら、回を重ねるごとに怪しさを醸し出す金沢涼恵さんやら、ゲイのチヒロさんやら、バナナを食べる木村美月さんやら、息子を思って涙ぐんでる奥田ワレタさんやら、穴にはまってるクボカンさんやら、なまいきな小娘といいつつ少年にしか見えないとかげさんやら、かわいらしい小悪魔なのにすべて動きがおかしい幸田尚子さんやら。クロム俳優の大ファンの自分としては、十分堪能させていただきました。
「孤天」第一回 : 『例えば、皮膚』

「孤天」第一回 : 『例えば、皮膚』

コマツ企画

RAFT(東京都)

2009/06/11 (木) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

傑作だったかと思います。
二度にわたって書くのもなんか気が引けますが、恐ろしくよかったので。構成、わかっていてもぞくぞくする。自分にしかできない作品を自分で書いて、すべて自分でっていうのはかなりの冒険でしょうが、これは成功。究極の自己表現。

ネタバレBOX

絡み合って絡み付いて気持ち悪いまでに追い込まれていく後半のテンポが最高で、怖くて怖くて。

くだらないキャラばかりでさんざん笑わせられたのに、そのキャラがすーっと一つになっていく謎解きみたいな気持ちよさ。その人物たちが一つになっていく流れにはしっかりとしたメッセージを感じます。

終わってしまったのが残念でなりません。いずれ、その時の気持ちに沿った形で再演してほしい。
LOVE2009 Fujimi preview 

LOVE2009 Fujimi preview 

東京デスロック

富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ(埼玉県)

2009/06/10 (水) ~ 2009/06/10 (水)公演終了

満足度★★★★★

条件反射なのかしら。
このところデスロックを観ると、涙腺の緩み具合と笑いの噴出ぐあいが我ながらおかしくなる。ふとした瞬間に笑っちゃうし泣いちゃう。自分でもわからない部分でくすぐられる気持ち悪さがあります。今回も、LOVE自体初体験でしたけど、幸せなひとときになりました。愛を感じては泣き、感じられなくて泣く。どの部分をとってもデスロックの基本路線であり、集大成でした。

ネタバレBOX

人間としての根本的なコミュニケーション。それが演劇になってしまうっていうのが脅威です。出てくる人たちは、普通に目を見合わせ、そこでの意思疎通を喜んで笑い、意思疎通ができないことで怒る。戯曲はなくそれだけなのに、不思議に引き込まれてしまいます。

踊り暴れる俳優さんたちの影が壁に映し出されるのが、すっごくおもしろい。コミュニケーションはリアルなのに、影ばっかりわいわい楽しげなのが夢みたいで。

アフタートークで多田さんが言ってましたが、周りの人の反応も楽しみたい。隣の人がなんで笑って、なんで泣いて、なんでいびきをかいてるのか。どの人も反応を起こす場所が違うって言うのがあるから劇場に行く意味があるってとこですよね。このプレビューでもいびきをかいてる人がいて、それにおいおいおい、って突っ込んでる人がいたり、暴れるシーンで地団太踏んで声上げてる人がいたりしたけど、それすらもおもしろくなっちゃいました。
「孤天」第一回 : 『例えば、皮膚』

「孤天」第一回 : 『例えば、皮膚』

コマツ企画

RAFT(東京都)

2009/06/11 (木) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★

セルフプロデュース力の高さにびっくり。
俳優・川島潤哉のおもしろさはコマツ企画を観ても、どの客演先を観ても明らか。だから一人芝居になっても当然キャラ押し、演技重視で来ると思ったら。。。見事な形で裏切ってくれました。構成・脚本・演出、ちゃんと自分の見せ方を知ってるからできる表現。当日パンフにもありましたが、一人芝居というよりは一つの表現の形として成立したおもしろい作品でした。

ネタバレBOX

もちろんキャラ使いもものすごく上手。4人でのトークしてみたり、はがきアーティストとして一人しゃべりしたり。女の子を口説いてたり、選挙活動してたり。個々のシーンでのしゃべり倒し、これだけ書けるのか、っていうのもびっくり。

キャラメインのショートストーリーの組み合わせかと思いきや、緩やかにつながり交錯する男たち。無理もあるかもしれないけど、照明をうまくつかった転換で妙な感じでつながっていく。後半での行ったりきたりのテンポのよさも。その飽きさせない構成力も見事なんです。

ただ、俳優さんとしての得意部分攻めばかりのようにも思えたので、どこか違う面が観たかったって意味で☆一つマイナスしてみます。
「リサイクルショップ『KOBITO』」

「リサイクルショップ『KOBITO』」

ハイバイ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/06/05 (金) ~ 2009/06/16 (火)公演終了

満足度★★★★

混乱の具合が
すごくそそります。おもしろいもの、作りたいもの、みたいもの、みせたいもの、そのあたりのバランスの取りかたに少し迷いっていうのか、振れ幅があるように思います。だからどう転がっていくのかがひどく気になる。

全体を通して引っ張れられるっていうよりは、あ、ここ、っていうポイントがいろいろなところに散りばめられていて、どれだけ拾えたか、気になっちゃう。

ネタバレBOX

おばちゃんという生き物に対する岩井さんの視線が、おもしろくもあり、締め付けきつくもあり。表層をなぞるわけじゃないから敢えて女装して、リアルに見せたら生々しくて辛い部分をきちんとたどっている。

すっごく嫌な気分も浮かんでくるのに、こんなおばちゃんになりたいとも思えてしまう。

アフタートークで五反田団の前田さんが、切るべきところなどを指摘しながら、それは「大人の意見」だから、と言っているのが興味深かったです。すっきりさせるため、とか形として成立させるため、とかっていうテクニック上の問題なら解決方法はいくらでも浮かんでいるはず。そこをわかっていながらもあえて拾い上げたい部分を捨てないっていうのを、今回公演のおもしろポイントにしているところが気になります。
花のゆりかご、星の雨

花のゆりかご、星の雨

時間堂

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/06/02 (火) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

ストレート過ぎるくらいの想いにほろり。
本当に素敵な空間。芝居を観に行ってこんなにもてなされてる感を味わえることはそうそうない。(椅子のすわり心地は悪いけど。)心からくつろぎたいと思いながらの開演。本当に素直にゆったりと空間に浸り、びっくりするくらい切なくもまっすぐなお話に心洗われました。

外部での演出も多い黒澤さんなので、どのあたりで差別化していくのかも興味があったけど、劇団としての再出発にあたってのあり方、作風、見せ方、しっかり考え抜かれてこうした、という感じの信念を感じ、これなら追いかけて行こうと思いました。さらけ出してこうなんだよ、って言われて、こっちも開かなくちゃいけないようなどきどきと、そうしても大丈夫と思える安心感、両方を感じることができました。

時間堂カフェがあるとは知らずに行ったのはちょっと失敗だったな。その気で行ったらもっと楽しめたのに。ビールやジュースだけじゃなく、お薦めワインや自家製梅酒、コーヒー紅茶まで揃っているのは素晴らしい。何度も観て毎度入り浸りたい雰囲気でした。

ネタバレBOX

私が母娘ものに弱いっていうのもありますが、後半の娘が母・祖母の人生を振り返るシーンには大河ドラマのようなロマンを感じました。前半とのバランスをどうとったのか、気になるところ。結構しっかり雰囲気を変えるので。私は前半が若干長く思えましたが。

少人数の劇団員でまわしていたこともあり、現代の役と回想シーンの一人数役。そこも含めて俳優さんの魅力が形を変えて伝わりました。私は女優さんは回想シーンが、男優さんは現在のシーンがおもしろかったです。

いろいろな道具を使った生音もよかった。ギャラリーならではの姿の消し方と音の使い方が。

脚本としてはいろいろなところでの再演がみられたらおもしろそう。

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