としの観てきた!クチコミ一覧

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三人魚姉妹

三人魚姉妹

劇団だるめしあん

APOCシアター(東京都)

2014/09/18 (木) ~ 2014/09/21 (日)公演終了

満足度★★★

ごはんをおいしく食べよう。
そう思う舞台でした。
観終わってから、モヤモヤと色々な事を考えてしまう。
そんな舞台は、良い舞台だと思うのです。

もう一歩踏み込んだ所を観たかった!
とも思うものの、
そうなっていたら、この絶妙なモヤモヤは無かったかもしれない。

アンバランスにバランスが良いのかもしれません。

詳しくはブログで。

怪獣使いの娘たち

怪獣使いの娘たち

味わい堂々×バジリコFバジオ合同公演

駅前劇場(東京都)

2014/06/18 (水) ~ 2014/06/24 (火)公演終了

満足度★★

ストーリーをがっつり観たかった。
どっかの島で、
破滅する事すら出来なかった人たちの、お話。

想像力をキーワードにした物語や世界観はなかなか面白かった。
が、しかし、「これ面白いのか?」と巨大なクエスチョンマークが浮かぶギャグの応酬。
ストーリーがちょっと進んでは脱線してギャグ、なかなか戻って来ない、
という展開に疲れてしまった。
好みの問題だろうけど。

2時間あったが、タイトに75~90分くらいで観せられていたら、
わりと好きだったかもしれない。

人形が有名と聞いていたが、
なるほど、パペットの出来は凄まじかった。

ネタバレBOX

生まれつき想像力を持たない男・ジト。
妻を「人間が突如ウサギ(しかもキモイ)になる病」で失った彼に、
夢を失わせないべく我がままを言いまくるゼルダ、ニキ、ゾゾの養女三姉妹。

ウサギを滅ぼそうとするジトに、こっそり反旗を翻し、
ウサギを匿う男・ミミス。

島に咲く、謎のデカイ花・バカレシア。

割と面白くなりそうな対立要素が揃っているのに、
いまいち機能していなかった感がある。

バカレシアの語りでなんとか落としていた感があるものの、
ウサギは生きたままの人間の脳を食べると人間に戻る、という件だとか
想像力を持たないジトだけが、
夢を見ることが出来ず、ウサギ化しなかった云々のエピソードが、
もうちょっとつつけば面白そうなのに、物語を完結させる為だけに
足早に消費されてしまった感がある。

「人間が突如ウサギ化する病」はどことなくイヨネスコの『犀』を思わせるし(ほとんどストーリー覚えてないけど)
「想像力の産物かもしれない怪獣」は、楳図大先生の『漂流教室』における怪虫騒ぎを彷彿とさせる。

想像力は人を死に至らしめるのか、
集団催眠(ウサギ化はバカレシアの花粉による幻覚だった、ような…)にかかるのが幸せか取り残されるのが幸せか、
とか、その辺りの何かがもうちょいピックアップされてたら、
ものすごいダークなファンタジーになっていた、ような気がしなくもない。

しかし、こんな事を考えそうになるたび、
(申し訳ないが私には面白さがわからなかった)コメディシーンが長々と続き、
脳味噌のシャッターが降りて行くのを感じるのだった。
ツッコミがぬるいように感じたが、問題はそれだけではあるまい。
私のギャグセンサーが死んでるという説もあるが、それは、あえて棚に上げておこう。

役者では、比較的濃い演技の方が多くお腹いっぱいな中、
ジトの兄・ダフネ(田中嘉治郎)のサラリとした演技が光っていたように思う。
最近、ラーメンよりもうどんやそばがうまいと感じるのと、何か関係があるのかもしれない。
カスパーホイザーメア

カスパーホイザーメア

イナセナ企画

赤坂エノキザカスタジオ(東京都)

2014/06/18 (水) ~ 2014/06/22 (日)公演終了

満足度★★★

上げて攻めるか落として攻めるか
お仕事が地獄のように忙しくててんやわんや、
ギスギスしてくる、同じ職場の三人の女性のお話。(雑な説明)

ドイツで大人気の演目だとか。

三人の女優が出ずっぱりで消耗していく様が勇敢。

ネタバレBOX

長台詞が多く、またそれがえげつない内容なので、
パッションが籠ると上げて、上げての攻め方が多くなってくる。
氏家・長田はこの攻め方が果敢で気持ちがいいが、やや単調に聞こえる部分も生じてしまっているように思える。
反面、増岡は落として、落として攻めてくる。
もちろん上げる所は上げてくる(バカかと思うくらい上げてくる)が、
その分、落とすとこを半端なく落としてくるので、つい見てしまう。
増岡め、ずるい。

なんにしろ、上げ攻めが続くと、聞く方も相当のがんばりが必要である。
気を抜くと、簡単にジェットコースターから振り落とされそうだ。
三人が抱えているストレスが相当、という部分は
えらく味わえるのだが、そのストレスの根がどこか、と考えて観るには
ジェットコースターは私には少し早すぎた。

所々、戯曲の指示かは知らないが、
ト書きを読みあげたり、
「~場 何日」
って紙を掲げたり(この紙のクオリティは、もうちょっとどうにかならんかったものか、とも思うが、手作りでかわいいような気もする)と、
ポップ、というか私好みな展開が盛り込まれている。

内容がえぐい分、ある程度のポップさを持って臨んだ方が
逆に内容際立つ系の戯曲かしら、と思う。
マイク、もう一歩なにかの使い道があれば、ロリポップ、いや、よりポップか。

宣伝文に
「悲劇的コメディー」とあるが、
笑えない悲劇が成立しているように思えた。

俳優が、もう気持ち、役から距離を離す瞬間なんかがあると良いんだろうか。
いやいや、切実に迫った方が、悲劇すぎて嗤っちゃうんだろうか。
コメディーは難しいんである。

タイトルの「カスパーホイザーメア」
多数の保護児童の案件を「海」にたとえている
とチラシにある。なるほどなるほど。
保護児童案件の海に沈んでいく三人の女性。
観ていて、
仕事しまくって帰る場所を失ってしまう、
本来の場所を失った出自不明の大人たちが山ほどいるわよ、
ってなあれもありかしら?
などとうっすら考えたが、
ロビーで売ってたビールを飲んで、気持ちよく忘れた。
夏葉亭一門会vol.9

夏葉亭一門会vol.9

夏葉亭一門

王子小劇場(東京都)

2013/11/25 (月) ~ 2013/11/25 (月)公演終了

満足度★★

もっと面白くなるはず!
お三方とも、非常に達者でいらっしゃった。
それは、わかります。
舌もよく回り、落語家っぽい雰囲気を醸し出していらした。

ただ、それだけ、で止まっているように私には思えたんです。

誰の演目が、という訳ではなく、三人とも、
上手く喋ること、に終始していたのではないかと。

滑らかな台詞回しでリズムよく、次々に言葉を発していく、
しかし、出てくる台詞が実に味気ない、空っぽの手触り。
台詞が話し手の中に落ちていない、実感のない言葉、そんな感覚でした。
だから、噺の中でどんな展開になろうと、
そこに驚きやおかしみ、人のぬくもりが感じられない。
落語の筋で、人物で笑わせるのではなく、
時折盛り込む小手先の小ネタでウケを取りにいっている、
そんな風にすら見えてしまいました。

落語の世界に、あんなにも馬鹿馬鹿しくて、滑稽で、ずるくて、
でもなんだか憎めない奴らが沢山いるんだから、
もうちょっとそいつらの事信じてやってもいいんじゃないか、と。

落語との付き合い方、というんでしょうか。
「俺、この噺、すげぇ好きなんだよ」とか
「俺、面白い噺知ってんだぜ」とか
そういう愛が観たかった。

「どうです?私、落語、上手く喋れるでしょう?」
「落語してる私も面白いでしょう?」
そんな顔ばかりが見えてくるようで、
肝心の噺が悲しい顔してるように思えました。
綺麗に話せるのは良い事だし、立派な事、難しい事だとは重々承知してます。
でも、綺麗に話せるだけで良いんでしょか、ってのは私が常々思ってる事でして。

今日観た落語、言い方は悪いですが、
落語を上手に喋れるマシーンが高座に上がって喋っているように見えました。
登場人物に、そして噺家自身に、実が、存在感が、愛情、愛嬌が、あれば!!!



続きはブログに書いておきます。
http://blog.livedoor.jp/byoubyoubyou/archives/52247472.html

恋は慎重に

恋は慎重に

劇団 風来ズ

シアター風姿花伝(東京都)

2013/10/04 (金) ~ 2013/10/06 (日)公演終了

満足度★★★★

わ…笑って…いいん…だよね?
娯楽として演劇を楽しめる人には胸を張ってオススメしたい。
高尚なテーマや芸術的な演劇表現、というものとは縁遠いが、
日常の中の面白い事、ハプニング、
そういう事に演劇スパイスをふりかけ、
微妙な異次元に連れて行ってくれる。

くだらない事を真剣に、些細な事を大げさに、
心の声がだだ漏れに。
全力で舞台に立ってる人たちを観るのは、僕は好きだ。

所々、
「え、このシーン、笑っていいの?」
みたいな微妙な空気感が客席を包む。

舞台上の人物たちは、大真面目に、
精一杯に生きて、喋っている。
ただ、どうも、言ってる事とか、様子がおかしい。

「笑っていいの…?なんか面白いんだけど…いやいや…」

この、どこに気を遣ってるんだか微妙な緊張。
それが、誰か一人のクスリという笑い声をきっかけに、
堤防が決壊するように溢れ出す。

「あ、やっぱ面白いと思ってる人いるんだ。良かった。」

この、妙な安堵感。

かの桂枝雀氏の著書『落語 DE 枝雀』に、繰り返し出て来た
「笑いの基本は緊張と緩和」
という言葉を思い出す。

客が勝手に緊張して、勝手に緩和されて、笑い出す。
この状態は一体なんなのか。

この、妙な空気感と笑いこそが、
風来ズの魅力だと思う。

今回も、その魅力は健在。
迷惑で、おかしくて、でも愛おしい。
そんな人物たちを、役者陣が好演していた。
なにより、今までこの劇団最大の飛び道具だった山下ポニーさんが、
レギュラー出場、
不器用で、まっすぐで、憎めない、鳶職の親方を怪演。
これ、この人にしか出来ない、ズルい。そう思う。

「クス…クスクス…アハ。」
そんな笑いを楽しみたい方、オススメします。

他にも色々書きたい事あるけど、続きはブログで。

僕にしてみれば正義

僕にしてみれば正義

箱庭円舞曲

ザ・スズナリ(東京都)

2013/08/30 (金) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

地震、原発、戦争
『僕にしてみれば正義』ってタイトルほど、「何が正義なのか?」
みたいな事は考えずに観ちゃった。
けども、「正しい」と思ってやってた事が、
結果的によく分かんなくなっちゃうような、
やってる事の先に何が待ってるのか、って事への
想像力の欠如、のような、
モヤモヤした感じ。
が漂っていて、
軽妙な会話劇なのに、
なんだかとても不安になる。
この先どうするんですか、というか。

そして、立ち入り禁止区域、というものの、
この先どうするんですか、がまた重なって、
なんとも言えない。

「俺が育った町の空気吸っちゃいけないってどういう事」
目に見えない何かで窒息しそう。

中盤~終盤は、極めて密度が高いやり取り。
行き場のない感情を長音に乗せて、放つ感じが、
好き。


地震と原発と戦争、こういう事態が、
この先起こり得る可能性は十分にあんのよね、
と思うと肝が冷えます。
先にあるもの、を見据えて行動せねば。

隣人予報

隣人予報

企画集団マッチポイント

ザムザ阿佐谷(東京都)

2013/04/04 (木) ~ 2013/04/07 (日)公演終了

満足度★★★

パワーは充分
すごい親切な隣人が、
ある家庭にどんどん浸食してきて、
さて、どうなるのかしら、なお話。

何かが侵入してきて、
何かが壊れたり、何かが変わったり。
という、なんとなくピンターみたいな演劇。


一人の老人は、家族よりも親切な隣人を頼り、
愛するようになり、
その様子を見た家族は、少しづつ、何か変わっていく。


ラスト周辺の怒涛の力押しは迫力があり、
特に、文学座の坂部文昭さんのパワーには驚いた。


ただ、なんとなく、力押し一点の演出なような気がして、なにやらもったいない気がするのでした。
パワーがあるのはすごく良いことだけど、もっと、
繊細な何かも観たかった、そう思います。

帰郷 -The Homecoming-

帰郷 -The Homecoming-

Runs First

シアター風姿花伝(東京都)

2013/06/15 (土) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★

喪失感
「ロンドンの下町に男だけで暮らす労働者ファミリーのもとへ、学者としてNYで成功した長男が数年ぶりに帰郷した。結婚後、実家に帰るのはこれがはじめてである。彼が妻を連れてきたことに、父、叔父、弟たちは色めき立つ。その結果…。」

じっくり観られる、濃密な二時間の会話劇でした。
翻訳がすごく耳に入ってきやすく、また、役者に馴染んでいて好印象。
また、役者陣が巧みで、ドライな中に激情を忍ばせた台詞のやりとりが印象的。

台詞と役者の動きの双方から、「こいつ何考えてるんだろう?」って部分が丁寧に立ち上がってきていて、一挙手一投足から目が離せない。
色んな人が地球儀クルクルするシーンが好きでした。
中央にある椅子は玉座のようでもあり、
そこにステッキを手にして座る父(中嶋しゅう)は、
さながら一国の王。この芝居はシェイクスピアですと言われても疑いのない存在感・粗野粗暴な雰囲気が素敵でした。

ネタバレBOX

長男の嫁(那須佐代子)の存在感が半端なく、そして美しかった。

長男の嫁が家に来て、ウッヒョーイ女だー、てな所から段々話はおかしな所に進んでいく。
長男(斉藤直樹)が居る前で、弟たちは嫁を押し倒したりなんだり。
当然怒るだろ、と思うも、長男は、ただ見ている。
冷ややかな視線にいささかの苛立ちは感じられるものの、
より大きく、軽蔑に近い何かが漂うような雰囲気。

家族はエスカレートし、嫁を売春婦としてこの町で働かせて金を儲けよう、という段に。

長男はもうすぐアメリカに帰る。
妻に対しては「残りたければ残れば」といった感じ。

この、家族・夫婦のやり取りが、妙。
人間ならば、愛し合っているならば自然に起こるであろう嫉妬や憤り、
そういったものなしに、あるいは、思いが強いからこそ出てこないのかもしれないが、
とにかく、表面的な爆発無しに話が進んでいく様が、
何とも不可思議。
決定的な何かが失われてしまっているような、
人間を見ているのに違う生き物を見ているような、
あるいは、人間の、極めて人間らしい側面を見ているような、
一概に「これ」と言えない奇妙な感覚を味わった。

母のいない家に、帰ってきた何か。

ラストシーンは、父の玉座に長男の嫁が座り、
その膝に末息子が顔を埋める。
ルネサンスの聖母子を描いたような神々しい、しかし、何かが違う、
見た事のない絵であった。

表面に決して出てこない何か、
あるいは、決して出すまいと努める事により、
人間は、思ってもみない妙な方向に向かっているように見えた。

こんなことありっこない。
そういう異世界を見ているようでいて、
この『帰郷』の世界にある冷たい戦いは、
たしかに、この世のものなんだ、と感じる。

家に戯曲のコピーがあるから、読み直そう。
良い舞台でした。
虚像の持つ希望が歩き回るよう

虚像の持つ希望が歩き回るよう

劇団オトナイ

シアターバビロンの流れのほとりにて(東京都)

2013/06/28 (金) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★

惜しい!
初日のせいか、変な緊張感があって、なかなか響きあわないように感じた。
役者が文体に踊らされてる感のある箇所もちらほら。

書き方としては、
ナレーションというか、小説の地の文というか、
そういう物を多用していたり、
時間軸を前後に揺さぶったりと、面白い事に挑んでいるように思う。
その辺りを、上手く立体化する演出的発明がもっと欲しかった所ではある。

全体的に、ジャパンホラーめいた雰囲気はあったものの、
それが雰囲気だけで終わってしまっている印象。
演出も役者も、もっと空気感を突き詰めるか、
あるいはカラッとドライに攻めるかしても良かったのでは、と。
ウェットな演技ってのは、時として芝居に酔ってるだけで
客席に閉ざされたものになりやすいように思う。

もっと、客席に何かが向いてくるとよいのではないでしょうか。
緊張が取れるだけでも、まだまだ面白くなると思います。

ネタバレBOX

一人の小説家の死の、真実に迫る話。
時間軸入り乱れての展開が面白いが、同時に話を見失いやすい。
評論家みたいな人が、作品解説に夢中になるとことか面白かったが、
ギャグってるのかなんなのか、微妙な空気感で変な浮き方をしてるように見えた。
冒頭喫茶店のシーンの巻き戻しとか、なかなか面白い。
もっとタイミングやら何やら丁寧になってくると、より。

あんまり関係ないんだろうけど、
観てて映画『インセプション』が脳裏によぎりました。
贋作マクベス

贋作マクベス

夢幻舞台

アートスタジオ(明治大学猿楽町第2校舎1F) (東京都)

2013/03/15 (金) ~ 2013/03/17 (日)公演終了

満足度★★

楽しみ方
私が大学時代に所属していた演劇サークル・夢幻舞台。

その卒業公演を観に行ってきた。
出演しているのは、もはや顔を合わせた事もない後輩たち。

どういうスタンスで見ればよいのやら戸惑った。

出演者はとても楽しそうである。
それは良い事なのだが、その楽しさが、はたしてこちらに伝わってこない。

演劇の楽しさ、というよりは、
サークルの楽しさ、なのである。


それが私は楽しめなかった。

誰に向けられているのかも朧気な台詞たち、
人前に、舞台に立っているという事に無自覚な俳優たち。

と、こんな事を書いてみた所で、
結局「演劇」というものに求める理想とか楽しさみたいな物が、
私と彼らとでは違うのだろうから、
ただの口うるさいOBとなってしまうのだろう。

しかし、これだけは言いたい。

人様の時間をもらって舞台に立つわけだから、
それ相応の覚悟を決めた方がかっこいいぞ、と。

マクベス夫人(井内友理恵)は結構良かったんだが。


しかしこの『贋作マクベス』という戯曲、
私が高校の頃の時代の空気がすっぽり閉じ込められている。

J-PHONEに届かないメール、モーニング娘。、踊る大捜査線。

知ってる人にはよく分かる話だが、
今の高校生とかは、この戯曲とどう向き合っているのだろう。

中高の演劇部にはなかなか人気の戯曲だろうから、
これがどう上演されているのか、非常に気になる所である。

時代絵巻 AsH 其ノ弐 『紅月~あかつき~』

時代絵巻 AsH 其ノ弐 『紅月~あかつき~』

時代絵巻 AsH

ワーサルシアター(東京都)

2013/05/21 (火) ~ 2013/05/26 (日)公演終了

満足度★★

時代小説を読んでいたい
時代の解説に終始していて、
人間が全く見えてこない。

説明台詞のオンパレードで、どうも苦手だった。

人間と人間の葛藤、みたいなものをもっと観たかったが、残念ながら…。
題材的には十二分にそういう事が出来るはずなだけに、もったいない。

時代の説明を見るならば、よっぽどドラマや小説を読んでいた方が、
よくわかるし、面白い。
そういう物に勝つ為には、生の人間のやりとりで勝負するしかないはずなのだが。

ネタバレBOX

役者が全体的に、台詞を自分の言葉で喋れてないので、
加えて用語解説が多いので、残念な感じがぬぐいきれない。
幕末好きな作家に、とりたてて好きでない幕末の事を喋らされている、という感じが…。
で、どうにも埋まらない間を埋めようと役者が色々がんばってて、
それは非常に良い事ではあるのだが、
それぞれのがんばりが作品世界と絶妙に食い違い、
結果、それが痛々しい程に逆効果を生んでしまっている場面がちらほら。
いやいや、そんなにだんご食わなくても、黙って見てた方がまだ傷が浅いぞ、みたいな。

役者は、人前に立っているという自覚をもっとして欲しいし、
でも、役者はがんばっていたとは思うんだが、
やっぱり、苦しい中でも何かしら輝く術を探さなきゃいかんと思う。

それよりなにより、演出家は何をしていたんだろう、
何を見て稽古に臨んでいたんだろう。
様々な所に破綻の色が見え隠れしていて、
なんだか悲しい舞台でした。

カーテンコールが長いのが、非常に辛かった。
芝居を作る、という事が何かを、問い直していただきたい。
疑問を持たずに進んでは、ダメだと思うのです。

客席が椅子でなかったのも、ちょっとした違和感。
人を多く入れるためかしら。
仮の部屋

仮の部屋

ユニークポイント

atelier SENTIO(東京都)

2013/03/09 (土) ~ 2013/03/17 (日)公演終了

満足度★★

穴の話
客の想像力任せ、って点は好きですが、

芝居全体の芯が薄いように見えたのはあまり、ですな。


シアトリック要素を盛り込んでみたり、

なんかアングラめいてみたり、

そういう手法があまり戯曲とあってないように思えました。

やりっぱなし、のような感じ。

あれ無かったら、もう少し芯、通るんじゃなかろうか。



ふやふやしたものを観た感じで損した気持ちと、

こんだけ色々考えさせてくれてありがたい、という気持ちと、

二つが同居しますな。



この芝居、一言で言うなら、

「穴から穴への物語」



命のリレー的な何かを感じました。

ネタバレBOX

自分が住んでる部屋に、過去に住んでた人達が次々にやってきて好き勝手に過ごしていく。

その人たちはそれぞれ、自分の秘密の「穴」を部屋の中に持っていて、

その穴の中を覗くと死体が一杯。

一方、穴なんてない!

と言い張る現・住人。



やがて、部屋にやってきたデリヘル嬢に、穴を見出す…という。



この、「穴」って一体何なんだろう、と、

観劇後に大分頭をひねりました。



行き着いた私なりの答えは、

「穴」は、歴史とか、御先祖様とか、

そういった類のもの。

人それぞれ、それまでの歴史があり、

生きて、死んでいった先祖がいて、

私たちは無数の屍の上に立って生活している、と。



そういうもの、大事にしたいなと思いましたね。



関係ないけど、

『ジョジョリオン』の「壁の目」を思い出しましたよ。



物語の冒頭、

頼んでしまったものの、キャンセルしようと思ってたデリヘル嬢を、

最後には受け入れ、

下ネタだけど、彼女の穴に興味を持ち始める。



男の、一番の変化はここでしょうか。

「穴」

ってのは、きっと、先祖だけじゃなく、

子孫にも繋がるものなんだと思います。



観る人によって無数の解釈の仕方があるような書き方なので、これは私なりに考えた事。

作家は全然違うこと考えてるのかもしれません。



アフタートークがあったんですが、どうもパッとせず、

「なんか書いた本人も良く分かってないんじゃないか」

という匂い。



もちろん、「わかってる」なんて言葉ほど重い事は誰にも言えるもんじゃないし、

自分の書いたものを「わかってる」と言い切るほど怪しいもんもないですけど、

内容がミステリアスな分、もう少し話の持って行き方に方向性があったら良かったんじゃないかと。

役者も、言葉がどうも上滑りしていたように見えた。

青鬼(コンクール特別版)

青鬼(コンクール特別版)

劇団印象-indian elephant-

「劇」小劇場(東京都)

2013/03/06 (水) ~ 2013/03/09 (土)公演終了

満足度★★★★

チャーミングなイルカさん
私は劇団印象の『青鬼』を観劇してきた。
演出家の鈴木アツトさんは、日韓リーディング『海霧』において、骨太でストレートな芝居を見せてくれた。
鈴木さんの芝居は他に観たことがなかったので、勝手に骨太なイメージを持っていたのだが、
チャーミングな中にチクリと刺さる、シュールな作品世界を展開していて驚いた。

ある夫婦。
夫は極地でイルカを食して以来、味がクセになり、
密輸しては家の巨大水槽でイルカを飼育・捕食している。
ある日の事。
人格を持ったイルカが水槽から脱出。以来、そいつをペットとして飼う事になる。
食べたい気持ちよりも愛情が勝り、次第に心を通わせていく。
が、日に日に夫が生臭くなりイルカに、
イルカは言葉を覚え、人間に近づいている事に気が付いた妻。
この進行を防ぐためには、イルカを食べる他無い…。

人の世界に馴染んでいくイルカがキュートで、
うろたえる夫婦がおかしく、
会場に漂う喜劇の雰囲気。
それをしっかりラストはシリアスに持っていく脚本の采配が見事。
演出は目新しさよりも、心理面を大切に、笑いを大切に、という丁寧さが目立った。

最優秀賞は逃したものの、観客投票による観客賞を受賞、というのは、合点のいく、クオリティの高い芝居だった。

この妙な世界観は、なかなか癖になりそう。

韓国現代戯曲ドラマリーディングVol.6

韓国現代戯曲ドラマリーディングVol.6

日韓演劇交流センター

シアタートラム(東京都)

2013/02/20 (水) ~ 2013/02/24 (日)公演終了

満足度★★★

『海霧』『白い桜桃』
『海霧』
経済的な危機にある漁船の乗組員たちが、
密航者を運搬するビジネスに手をつけた。これで一獲千金!のはずが、思いも寄らぬ悲惨な事態に。

船の上、というまさに密室空間で起こる、逃げ場のない惨劇、
行き詰まる密閉感。
まずは、ハンパなく良く出来た戯曲であった。
人間同士が信じ合えなく、わかりあえなくなっていく、
ユージン・オニールの海洋物を彷彿とさせる作りだ。

その戯曲を、奇をてらわず、体当たりの真っ向勝負での演出。
リーディングなのに…あるいは、リーディングだからこその空気の濃密さ。
語られていく言葉に、しっかりと引き込まれ、集中させられる。
リーディングを観て、
面白かった!という手応えを感じたのは実に久しぶりだった。

やってる側も、観てる側も、
最大限の集中力・表現力・想像力を駆使しなければ成り立たない表現芸術。
垂れ流しで芝居を観てしまうよりも、よっぽど有意義でクリエイティブな時間・空間が、
そこには確かに存在する。


『白い桜桃』
同じく、韓国現代戯曲ドラマリーディングの今年のラインナップ。
こちらは『海霧』とは対照的に、日常を描くタイプ。
チェーホフみたいな感じだろうか。
山里の住宅を舞台に交錯する人間模様。

演出面でも、ほぼ動きのなかった『海霧』とは対照的で、
身体表現をふんだんに取り入れた作り。
全員で一カ所に集まってみたり、わらわらと移動したり。
リーディングと呼ぶには難があるんじゃないかしらと思ったが、斬新。
さらに、様々な楽器の演奏を組み込むことで、
また、出演者の多様な年齢も相まって、
舞台上を様々な音色が飛び交う作りだった。
特に後半、下総源太朗さんの存在感凄まじく。印象的だった。

この『白い桜桃』に『海霧』、そして私が出演させていただいた
『朝鮮刑事ホン・ユンシク』
が加わり、2013年の韓国現代戯曲ドラマリーディングという催しでした。
3演目とも観た人に、是非感想を伺いたいものだ。

リーディングの可能性、というものはどこまでも無限に広がっている。
ただ、小手先の目新しさにのみ終始してしまうと、
どうしても言葉・本が疎かになる。
リーディングにとって、それは本末転倒なのだろう。
演者と観客のセッションこそが、リーディングの最大の魅力なのだろうから。

KOEKIMO×名作文学【終了しました。ご来場、ありがとうございました。】

KOEKIMO×名作文学【終了しました。ご来場、ありがとうございました。】

声を出すと気持ちいいの会

キッド・アイラック・アート・ホール(東京都)

2013/02/14 (木) ~ 2013/02/19 (火)公演終了

満足度★★★

コエキモの成長を感じる
コエキモの役者たちそれぞれが、
脚本・演出・主演で好きな文学作品を舞台化する、という企画。

後藤祐哉×坂口安吾『白痴』
草野峻平×宮沢賢治『よだかの星』
石綿大夢×芥川龍之介『藪の中』
穂高みさき×グリム兄弟『白雪姫』

そして、山本タカ脚本・演出による、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』

『よだかの星』が抜群に良かった。
コエキモならではの身体性も一番面白く使えていたのではないかと。
『白痴』『藪の中』は、どちらかというとストレートに攻めた印象。
スリリングさでは『白雪姫』

4つの演目が終わり、なるほどなー、と思っていると、
今までのキャラクターが総登場するかのような『銀河鉄道の夜』が始まる。

4つの物語が1つのまとまりとなり、
うわー、やられたー。となる。
知らぬ間に、コエキモによる文学旅行に連れ出されていた訳だ。
声を出すと気持ちいいの会の、次のステップへの野心が感じられる。

イノセント・ピープル “原爆を作った男たちの65年”(再演)

イノセント・ピープル “原爆を作った男たちの65年”(再演)

劇団昴

あうるすぽっと(東京都)

2013/01/30 (水) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★

泥沼をどこまで進めばよいのやら
原子爆弾の開発に従事した科学者ら5人の、その後の生涯を通して、
アメリカ人の視点から戦争を見つめる。

まず、この戯曲を日本人が書いてる、という点が驚いた。
原爆を正当化して生きている科学者たちの生活が丁寧に描かれていて、うおお。
正当化、という言葉自体がもはや日本目線なのだが、私日本人だし。
いわゆる「原爆が戦争を終結させた」という視点の人物たちが多く出てくる、そして、「リメンバー・パールハーバー」という言葉も。

そんな中でも、自分がした事を悔いる人も出てくるし、
開発者の娘は平和運動に走って日本人と結婚したり、
息子はベトナム戦争行って半身不随になって還ってきたり。
さらには、原爆開発に携わった人間が、
イラク戦争の劣化ウラン弾に憤慨したり。

もはや、国の問題ではなく、戦争と人間、って所を見つめにゃならんのだと深く感じる。

物語クライマックス、
開発者が広島を訪れた際に質問される。
「どうお考えですか?謝罪はないのですか?」
どうしても謝れない開発者、謝罪の言葉を聞きたい日本人。

もう、掘り返していくとキリがない。
正しい事を突き詰めようとしていく果てに、
誰が、どの国が正しい、とかそういう結末は訪れるんだろうか。

報復に報復が重なり過ぎた、世界史の果ての現在。
『インデペンデンスデイ』じゃないけど、
人類が一つになるには、もっと大きな敵が必要なのかしらん。
悲しいけど。
そうなったらさらに泥沼宇宙戦争だろうけどさ。

お互いがお互いを許し合うにはあまりに多くの血が流れていて、
それを乗り越えるにはハンパない覚悟と決意が必要。
と観てて思った。

シェイクスピアの『タイタス・アンドロニカス』
を想起させる内容でした。

という訳で、昴さん、タイタスやってくれないかしら。
すげぇ観たい。
ってか、出たい。
シェイクスピア万歳。

最近の昴のラインナップ、魅力的です。

次回はサルトルの『汚れた手』だとか。
本読み会第一回で扱われた、思い出深い戯曲です。

月の剥がれる

月の剥がれる

アマヤドリ

座・高円寺1(東京都)

2013/03/04 (月) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★

生きろ
観終わって、一番頭に浮かんだのは、
「生きろ」っていう、『もののけ姫』のキャッチコピー。

ストーリーに派手さ、ドラマチックさ、あるいは盛り上がり
みたいなものは薄いが、その分、
劇場を出て、色々とああでもない、こうでもないと考えてしまう。
それは、とてもとても良い作品だった証んんだと思うのである。

ネタバレBOX

話の構造としては、主に二つの時空が描かれるわけで。

「散華(サンゲ)」という組織の活動を通して描かれる世界Aと、
「怒り」を放棄した人間が暮らす世界B。

おそらくBは、Aの未来であり、「散華」の事は、モノーガタリとして語り継がれている。いろんな事があった結果、私達は「怒り」を放棄したんだよ。
その大きなきっかけは「散華」なんだよ。
ってな具合。
それを学校で語り聞かせる教師と、色々考える生徒たち。

この学校でのモノーガタリから、「散華」が活動していた時代に、また学校に、
と物語の時空はシフトしていく。

で、さっきから何度も書いてる「散華」ってのが、
「自国の軍隊が人を殺したらば、その数と同じだけの散華メンバーは自決しましょう」
という理念を基に、世の争いを撲滅しようとしているわけ。
「銃口の先に自分の家族がいると思えば、引き金を引けない」と。
なるほどねー、と思う反面、
引き金引かなかったら、相手に引き金引かれちゃうよ、とも思うが。
この「散華」ってのが、わりとグローバルに活動してるっぽいので、そんな心配もいらないのかしら。

命の抑止力、とも云うべきこの集団。
賛否はもちろん出て来て、「散華」の解散を求めるために命張っちゃう人なんかも出て来て。
こうなると、もう、どこまで言っても止まらない。

この「散華」の話と「学校」の話が、いろいろ織り交ざる構成が上手い。
そして、誰の、何が正しい!という答えが描かれないのが、また良い。

こういう事がありました。
こういう事になりました。

そこで何かを考えなくちゃならないのは、私たちなんであるから、
戯曲の中で曖昧にぼかされている部分は、観客が持ち帰れば良いと思う。

私個人としては、
「まだ生んでもらってないよー」的な台詞が一番響いた。
「学校」サイドにやってきた転校生が、どうも不思議な存在感だったのは、
ここに繋がるのかしら。

自決したり色々ある中で、
生まれてくるはずだった命の視点から見ると、そういう行為はどのように映るのかしらん。
「生きてる」ものより「死んだ」ものの方が強い、とはいえ、やっぱり「生きる」が大事なのよね、と。
劇中に度々、赤ん坊のイメージが散りばめられていたり、
原生林を思わせる冒頭だったり、
もう、私の頭の中が「生きろ」といったら『もののけ姫』みたいになってた事もあり、
装置がどうにも屋久杉に見えてしまったりと、大分偏った思考になってしまったが、
とにかく、『月の剥がれる』からは、
死のイメージよりもむしろ、豊穣な生のイメージが感じられた。

そんな中、引っかかるのは、
「怒り」を永久に放棄した国の生徒たちの姿。
「燃えてるねー」みたいな台詞が何度かあったが、
あの台詞が、尋常ならざる事態を前に出ている台詞だとしたら、
とても怖い。

どっちがいいとかじゃないが、「怒り」ってのは、自然な感情なんだな、と。


こんなに長々と色々書いた上で、結局何もまとまらないのであるが、
この舞台を通して、色々考えさせられた、という事実は、プライスレス。

観て、単純に感動して、涙流してスッキリ!
みたいな作品ではないが、こういう物がもっともっと増えていくといいなぁ。
劇場出て、景色が少し違って見えるような。
冬物語

冬物語

劇団AUN

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2013/01/23 (水) ~ 2013/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしいの一言に尽きる。
素晴らしかった。

『冬物語』がこんなにも泣ける話だとは思わなかった。

好き勝手なプロットだが、
役者が皆、細かな心情の積み重ねをしっかりと演じているから、
物語の面白さがちゃんも伝わってくる。

硬派で、しかもちゃんと笑えるシェイクスピアを観られるなんて、素敵過ぎる。

吉田鋼太郎さんの名演は、嫉妬深すぎる感のあるリオンティーズを、
愛嬌のある、矛盾のない人物として作り上げていた。

前半の暗さ、後半の明るさは、
まさに破壊から再生の光を見せてくれる
「冬」の物語だった。

パブリック・リレーションズ

パブリック・リレーションズ

JACROW

OFF OFFシアター(東京都)

2013/01/07 (月) ~ 2013/01/14 (月)公演終了

満足度★★★★

初JACROW
初めてJACROWを観た。 売り文句にあったように、とても濃密 な空気感。

クインテットPRというPR会社と、東京テレビというテレビ局の双方の人々を描く。
クインテットPR設立から始まり、会社が、人間関係がどんどんと壊れてい く様はなかなか重みがあった。
濃密な会話劇に引き付けられたが、自分の好みが、リアルよりも、より演劇的な物を求める方向に行ってるのだな、とも思い知らされた。

東京テレビの衿川プロデューサー(寺十吾)が、ぶっ壊れた人物ながらとても魅力的で、
この芝居はこの役が回している、と言えるくらいの存在感を放ってい た。

真実が何なのか、様々な人が様々な事を語るが、
結局、その人が信じた物が真実となる。
実際にはどうだったにしろ。

その中で、企画の面白さだけをとにかく追い続ける衿川プロデューサーの、心意気に打たれた。

魔法処女★えるざ(30)

魔法処女★えるざ(30)

劇団だるめしあん

タイニイアリス(東京都)

2013/01/11 (金) ~ 2013/01/14 (月)公演終了

満足度★★★

しんどいけども、前に進む!
今年の初観劇。
魔女はセックスすると魔法が使えなくなる、
という設定で、主人公はなかなか良縁に恵まれない、
30歳、処女の魔女・えるざ。

でも、周りには見栄を張って、20歳で魔女を卒業したと嘘を吐いてる。

そんなとき、えるざのもとによさげな男が現れるが…


魔女の宅急便の20年後、みたいなノリで展開されるストーリーはなかなか面白い。
加えて、色んな所に嘘を吐いて自分の首を絞めていく感じが、なんか『間違いの喜劇』みたいな雰囲気で愉快。

ネタバレBOX

最終的に、魔女の力を大切にするか、処女を卒業するか、
みたいな決断を迫られるえるざ。

自分だけが前に進んでいない感覚、というのを「扉が閉まっていく」と例えていたのはなかなか響いた。

そして、決断。
「迷っても、どっちかに決めつけて進むしかない」
私も、決断の遅い人間なのでとても心にずしんときた。

決断の末に色々うまく行かないえるざであるが、
箒に乗って飛ぶ姿からは、なんらかの勇気をいただいた。

冒頭、皆で歩くとことか、ドアをぐるぐる移動させるのなんかは観てて飽きない。
ドアの位置関係やなんか、もっと色々だったら良かったなー。


全体の芝居のテンポ、空気感がかなりまったりしていたのは気になる。
観たのが初日だからだろうけども、もっとテンポ良ければもっとオモロイはず。

うじうじした話だが、私は結構好きでした。
この作品で活動再開という、劇団だるめしあん。
その覚悟みたいなものは伝わってくる公演でありました。
だるめしあんの飛躍を願います。

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