たなかひが投票した舞台芸術アワード!

2009年度 1-10位と総評
青空

1

青空

劇団こふく劇場

障碍を持つ人とそうでない人がそれぞれの
持ち味を出して、人生の切なさや哀しさを
ここまでうまく表現できたのがすごい。

死なない一生

2

死なない一生

劇団きらら

もともとあった「ドイツ風」の味わいに加え、
「星の王子さま」から取り入れている「フランス風」の味わいが
程よく混ざっているラテン満載の「加齢物語」に仕上がった。
年をとらなきゃ見えないものやことはたしかにあるのです。

消す癖

3

消す癖

ゼロソー(Neutral Phase Company)

「消す癖」でひとつのお話を「実際的」な世界と「内面的」な世界と
いう二つの切り口でうまく見せた流れを受けて、
「ギムナジウム」で「閉鎖的にならざるを得なかった」世界が
「外に出る必要性」と「受け入れがたい必要性を
受け入れる痛み」を感じることで出てきた変化を
不思議なくらいすんなりと見せたことがすごい。  

馬鹿やろう、そこは掘るな

4

馬鹿やろう、そこは掘るな

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

「ボスがイエスマン」では「自分で自分の食い扶持」を作る
大変さ、団結力持つ凄みを、
「馬鹿やろう、そこは掘るな」 では
大阪と福岡の世界観が程よく混ざって懐かしくて、
何とも言えない空間ができた。
いろいろな意味でこのカンパニーの持ち味ができた一年。

『スピーカー』 ※土曜完売、日曜残わずか!!

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『スピーカー』 ※土曜完売、日曜残わずか!!

グレコローマンスタイル

「第三章」ではいろいろな人生をいろいろな角度で見せて、
「スピーカー」では「コミュニケーションって何」ということを
ものすごくうまい見せ方で表現出来ている。

砂の楽園

6

砂の楽園

FOURTEEN PLUS 14+

「兄弟舟」も「加納の鼻」もみんなここにつながってしまう。
 「異様な世界観」をひたすらに淡々とやれることが
正直、すごいのです。 

饒舌な足裏

7

饒舌な足裏

劇団HallBrothers

「青い体温」 では「無常の世代」が「わたし」をつかむところの
葛藤をうまく描いた流れを受けて、このお話では
その次の段階で起きることを無理な力を入れず、
ホンもプレイヤーも「元からある力」を十分に使えていた。

LOST CHILD

8

LOST CHILD

謎のモダン館

「言葉遊び」から一つ先に踏み込んで、
「わたしはわたしの人生、あなたはあなたの人生」と
ある種、ぽん、と突き放した世界がスパイスとして
効きはじめるようになった。

宵の唇

9

宵の唇

さかな公団

本家である「飛ぶ劇場」より面白いものを作ったな。

アーリー・myラブ

10

アーリー・myラブ

座”K2T3

「s.e (エス・イー)」から
「ルールブック〈カラフル版〉」までの流れは
ものすごく良かったけれど、
何か妙に力が入りすぎてしんどかったのが残念。
肩の力がもう少しいい感じで抜けていたらもっと良かった。

総評

ランクには入らなかったけれど良かったもの。

非・売れ線系ビーナス 「千鳥ヶ池」 +「20世紀累ヶ淵」
  「九人姉妹」と演出家コンペの妙なしくじりから
うまく立て直すことができてなにより。
2009年は「たさか歌舞伎」のスタイルを磐石のものにできれば。
応用編はその後でも遅くはない。

風三等星 「クロノス」
 全体のエネルギーはすごかった。
ハコがそのエネルギーを受け止められず、
変な緊張感ができて見ていてきつかった。
福岡に200人クラスのハコが欲しいと、初めて思った。

 劇団C4 「改訂版 大地に根をはって」 +「改訂版 大樹の影で」
 家族の持ついろいろな葛藤や、切なさが北九州の空気と
程よく混ざって、うまく表現出来ていた。
・・・というか制作さんが変わったのか、このサイトに
「改訂版 大樹の影で」の公演情報が載っていないことが
ものすごく心配でした。
(大至急入れてください、お願いします〉

アルカス演劇さーくる 「春の鯨」
 この国は「野球の国」だったのだ、と感じさせる出来。
「野球」というツールを使ってここまで人は連帯出来るのだ。
あと、成功とはいったいなんなんだろう。

 飛ぶ劇場 「彼女のすき間」
 技量はたしかにいい、妙な重苦しさを「腑に落とす」のが
このカンパニーの持ち味だったのに、落とし具合が足りない。

劇団ぎゃ。 「奇妙奇天烈ファンシーハウス」
「玉ノ井家のエンゲル係数」
 人生の「真実」というやつが過激に表現出来ていた。
あとはこのスタイルを基本形にして、いろいろなバリエーションを
増やして「組み立て」で見せられることができれば、
いろんな場所で戦える。

新しい流れとして

village80% 「覗」
 ああいう「演劇」もありなのだなぁ。
不思議な密室感。

雨傘屋 「2090年、子どもの領分」
 「ファシズム」って本当に怖い。

のこされ劇場≡ 「えだみつ演劇FESTIVAL」
 「演劇と地域」の幸福な関係ができたらいいな。

  の三つを挙げてみる。


 「新しい12年」の最初のサイクルも半分終わった。
サイクルの前半で「私たちの持ち味」をつかんで
その持ち味を携えて「少し大きなところ」で試した結果
できたものを「本来の場所」で使い始めた流れが目立った一年。

あるところは劇場を飛び出して生活感溢れる場所で
少しのお客さん相手にやり始めたり、
またあるところは「手応え」をつかんでより広い場所に
たたかいの場所を求めようとする。

2010年はそういう方向性をきちんと固めて、
2011年、鹿児島からの新幹線が熊本通って、
博多にやってくる、その流れに即した
「対外(たいそと)」を意識した自分なりのやり方を
「作っていく」一年になりそうだ。

 自分も熊本GKKに出たし、ショウケースで
一つ作品作ってやったわけで。

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