満足度★
寄せ集まる自分たち
一歩外へ出れば、星の数ほどある劇団たちがバトルロイヤルを繰り広げる、弱肉強食の世界。でも、同時にそれは、繭の中から出る必要もない、ぬるさの漂うもの。学生演劇は、この両方のせめぎあう所だ。
さて、この「やねまでとんだ」はといえば、こわれて消えそうなタイトルからも分かる通り、自分の繭の中から出ない作品。この劇団としては最初の公演のようなので、まだそれでもいいだろう。次の公演予定は来年の夏とある。ゆっくりとしたペース。きっと、それが、最後のチャンスだろう。世の中は、それほど、ゆっくりとは進んでくれない。
脚本と演出は悪くない、のに
宇宙飛行士として飛び立った息子との交信が途絶えた。連日マスコミが家の前に集まるけど、事実を知りたいのはむしろ自分達だ。ひとまず無事だと信じて待っている。だって、待つしか出来ないから。そんな残された家族と、その周囲の人々の話。
学生演劇も相当な数を観てきましたが、脚本と演出はある一定の水準を越えていると思います。めちゃくちゃ面白いとまでは行かないけど、破綻していないし描こうとしているものはちゃんと見える。しかし、役者の扱いに難アリ。自然体な演技を目指す人と、高校演劇の様な過度なリアクションの演技をする人が混在しています。そんなコミュニケーションツールの異なる人々の遣り取りなので、対話が成立していない印象を受けました。勿体無い。
昨日観た別の芝居で、空調の不適合な条件が演目を体感するのに影響を与えたとコメントしました。その点、それに関してこちらはかなり適していました。居心地の良い状態でした。制作の方、ナイスです。