第三回小さいSF演劇祭in阿佐ヶ谷アルシェ 公演情報 第三回小さいSF演劇祭in阿佐ヶ谷アルシェ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★

    うめめ『ふじき』・初夜の会『水星の如く』・ニュートンズ『SとF』を観た
    第1回・第2回は、地方から参加している劇団の公演日が限られていることから、全団体を観ることが難しかった。
    今回はそうではなかったので、全団体を観ることができた。
    全団体を観た観客は、いいと思う団体2つを選ぶことができる。
    「2つ」というのがとてもいい。
    今回は面白い作品が多く迷った。
    次回もこれぐらいのレベルを期待したい。

    ネタバレBOX

    今回も役者やスタッフなどのクレジットがない。
    団体紹介のVTRにはあるのだが、見終わってからそんなものは覚えているわけでもなく、劇団員以外に客演もあったりするので、コピー用紙1枚でいいから全団体のクレジットを配布してほしい。


    H うめめ『ふじき』★★★★
    導入部分は惹き付けられるが、どう展開するのかと思っていたら、変な両親だけではなくさらに1つ上の展開に笑った。恋人同士の普通感があるから、両親の一見普通なのに、が活きてくる。台詞の噛み合い方や、突っ込み具合がとても上手い。
    緑顔の弟の人が良すぎる。とぼけ具合がいいのだ。
    え? ということは、両親とその娘は……というラストのさらなる展開は面白いのだが、もっと効果的にオチとして見せる方法があったのではないかとも思う。
    そこがドカンとくればなあ、と思いつつも笑ったのだが。
    チープな宇宙船も良かった。
    この劇団も本公演が観たくなった。


    A 初夜の会『水星の如く』★★
    延々と続くモノローグには退屈した。わずか20分程度の作品なのに。
    そのモノローグは、ほぼ説明台詞なのでモノローグにする意味が感じられない。
    渋いモノローグと変な男の対比にして、その落差で面白くしようと思ったのかもしれないが、そうはならなかった。もっとセンス良くまとめれば、奇妙なストーリーを楽しめたのかもしれないのだが。
    まあ、変な男の話もそんなに面白くない。水かけるタイミングの÷さや、男の奇妙さの出し方が上手くないからだ。
    そもそもペットボトルロケットは口が下。自転車の空気入れで空気を入れるなどの、それらしさを見せないと台詞だけの説明では面白くならない。


    C ニュートンズ『SとF』★★
    オープニングから最初の話は面白くなっていったのだが、オチが読めすぎた。
    それよりも、テレビ番組の『世にも奇妙な物語』の音楽である。
    1本目のあとにこれが流れて呆れた。あまりにもダサイではないか。使い古された人のコンテンツを使って。しかも上手く使うわけでもなく、文化祭でのクラスの出し物レベルである。使うならアイデアをプラスしてほしい(2本目のラストで、それらしいアイデアがあったのだが、それは詰まらなかった)。というか、全編テレビのパクリとかならば、面白みも出たかもしれないのだが、この曲だけを「SF演劇祭」の公演で、ただ単に使うのは思考停止だ。
    2本目も完全な一人芝居ならばそれなりの面白さも出たかもしれないが、中途半端である。テンポが悪すぎて短いのに飽きてきた。
  • 満足度★★★★

    Eヒューマナムー『カット・エンド(略)』・Iたすいち『透明人間、消える』・Fハイバネカナタ『啼き声は大体うるさい』を観た
    必ず前の回が押すので、必ず開場は遅れる。
    第2回のときとは異なり、スタッフが開場の時間を告げるのはいいのだが、観客はどう待つのかの指示がない。
    仕方がないので、観客同士がなんとなく話したりして列を作るのだ。
    札幌ハムプロジェクトの東京スタッフは4人のようで、明らかに手が足りていない。
    お手伝いの人もいないようなので、出演する劇団の人たちの手を借りてはどうだろうか。ローテーションを組んで。そうしないと、次回もっと観客が増えたりすると、観客同士のいらないトラブルが発生する可能性もある。

    ネタバレBOX

    E ヒューマナムー『カット・エンド・カット・エンド・カット・エンド・ハイパーラヴロマンス・カット・エンド・ディストピア』★★

    タイトルがなんか凄そうなので期待したのだが、さほど面白くない。
    ゼンマイのようなものを巻かないと動かない人間そっくりのロボット。
    それで人間が何かを体験するという話。
    舞台の上だけで、つまり自分たちだけで完結してしまっているようだ。
    もう少し観客にも感じさせてほしい。
    彼女が何を得ようとして、得られなかったのか、あるいは得たものを。
    さらに彼女はなぜそれを得ようとしたのかが、きちんと伝わり、少しででも共感できるように。

    I たすいち『透明人間、消える』★★★★
    「透明人間モノかぁ」と思ったが、なかなかセンスがいい。
    展開も意外で、面白くなっていく。
    ただ、透明人間になっても透明人間は見えないのになぜストーカーはやって来たのか、また、ストーカーはなぜ主人公が透明人間になったことを知り、さらにその理由を知っているのかは不明だが、スピードに押し切られた。
    展開として、「なぜ透明人間になったのか」が重要になってくるのだが、「光に嫌われている」の理由がとてもいい。まさかそんな展開とは予想がつかなかった。
    プログラムの都合で、この作品は2回観ることになったのだが、2回目はテンポが良くなって、役者さんたちが乗っているのがわかった。観客の反応がいいからだろう。

    F ハイバネカナタ『啼き声は大体うるさい』★★★
    非常にラフな導入から、演劇的な緊張感の高まりが上手い。上手く役者を分けて使ったな、と思う。
    ただし、構成がイマイチ。そもそも教授からスタートしてストーリーを展開していったのだが、中盤から無口の女が登場して、教授とはうまく絡めないまま、助手との会話になっていく。いったい教授はどうなったのだ、と思いながらのラストである。結構面白くなりそうなものなのに、雑然としていて、きちんと整理されていないので、観客に伝わりづらいのではないか。もったいない。
  • 満足度★★★★

    第1回から第2回、そして第3回と回数を重ねながら良くなってきた『小さいSF演劇祭』
    観客が10人程度で、しかもほとんどが身内ではないかと思われた第1回から比べると、観客の数も増え、なによりも個々の作品の内容が確実にアップしている。

    G 劇団回転磁石『ことづて』・D いぶくろ『宇宙人、争奪』・B モーレツカンパニー『トアル会議』を観た。

    ネタバレBOX

    前回のあまりにも酷すぎる、冒頭やセットチェンジに流す団体紹介のVTRの出来も良くなり、毎回のセットチェンジに同じVTRを流すという拷問も解消された。
    さらに全員にスタンプカードを渡すことで、全作品を観て、投票することに促す仕掛けも出来た。
    もちろん問題がないわけではないが、こうなると次回が楽しみになってくる。


    G 劇団回転磁石『ことづて』★★★★
    とても熱い。熱いのに鬱陶しくはならないのは、3人のバランスが良いことと、演出できちんと演技などがコントロールされているからだろう。
    熱さがやや一本調子ではあるが、短い時間の作品であるのと、役者がいい感じなので引き込まれていく。
    ぐいぐいスピードを増していきつつ、時間を猛スピードで突っ走って到達するラストの感じもなかなかいい。
    普段の公演ではどんな感じなのか気になった。


    D いぶくろ『宇宙人、争奪』★
    いかにも、お芝居してますという演技。
    ものすごく学芸会。
    突っ込みがことごとく効いていない。
    それは突っ込み役の女性が悪いのではなく、突っ込むための相手の台詞(脚本の台詞自体)が面白くないからでもある。
    ある程度面白さがなければ、突っ込んでも面白くないし、突っ込むことで観客に面白さが伝わるような仕掛けが脚本になければならない。
    ストーリーも面白くない。

    B モーレツカンパニー『トアル会議』★★★★
    非常に手慣れた感じ。とっても面白い。
    登場人物たちが、きちんその役になり切っているので、とても自然に観ることができた。新人AD役の女性の初々しさと声のトーンと、他の人のトーンとの違いが良く、作品内の設定とぴったりだった。
    もし、全員が配役を入れ替わっても、どの役者さんもぴったりとあてはまることができるのではないかと思わせる上手さを、役者さんたちに感じた。
    ただし、ラストが弱い。ラストに爆笑したかった。多くの観客はそう思ったに違いない。
    舞台上に「人」が出てこないから爆笑にはなりにくい。出ないのならば、もっと短く爆発的な何かがほしい。
    この劇団は、本公演も観たいと思った。

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