渋谷・コクーン歌舞伎 第十五弾 「四谷怪談」 公演情報 渋谷・コクーン歌舞伎 第十五弾 「四谷怪談」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
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  • 満足度★★★

    如何にも串田ワールド
    これは、私の想像に過ぎませんが、勘三郎さんが亡くなって以降、コクーン歌舞伎は、全て、串田さんの意のままで、上演されている気がします。

    だから、どんどん歌舞伎色が薄まって、串田ワールド色が色濃くなっている感じがします。

    これからは、本来の歌舞伎ファンには、敬遠されがちなコクーン歌舞伎になりそうな予感。それが、吉と出るか凶と出るかは、まだ私にはわかりません。

    ネタバレBOX

    最初のシーンが、蜷川さんご存命でしたっけ?という雰囲気。

    黒子や通行人が、背広姿の現代人だったり、如何にも串田さん風だし、所々は、別役さんも思い出したり…。

    だから、原作も大胆にアレンジしてあるのかと思いきや、意外とそうでもなくて、ちょっと肩透かし。

    もっと、直助とお袖の二人に絞って、全く新しい「四谷怪談」番外編にすればよかったのにと思います。もう南北の著作権はないんだから…。

    三角屋敷の場をメーンに据えて、串田さんの手を加えた、新四谷怪談を期待していたせいか、どうも、作品が散漫になった感が否めませんでした。

    国生君の小仏小平にちょっと感動!ついこの間生まれたばかりの気がするのに。(笑)
  • 満足度★★★★

    ネタばれ
    ネタばれ

    ネタバレBOX

    串田和美の【東海道四谷怪談】を観劇。

    故・中村勘三郎から20年来続いているコクーン歌舞伎である。
    今作は通し上演を前提に作られた北番である。

    誰もが知っている東海道四谷怪談は、お岩と伊右衛問との呪い?呪われた?という話に終始しがちだが、
    本来は、江戸城・松の廊下で、浅野内匠頭(塩治判官)が吉良上野介(高師直)に起こした刃傷事件が発端になっていて、
    その背景を知らずに、今作を観てしまうと面白さが半減してしまうというカラクリがある。

    当時は今作と仮名手本忠心蔵を二日間かけて上演して、
    一日目~忠臣蔵(前半)~四谷怪談(前半)
    二日目~忠臣蔵(後半)~四谷怪談(後半)~忠臣蔵(最後)
    という形態で上演していたらしく、そこに大いなる意味があり、表の仮名手本忠臣蔵、
    裏の東海道四谷怪談という事がテーマになっており、表と裏の意味を知ってこそ、面白さが更に増していくのである。
    そして刃傷事件でお家断絶になってしまった浅野内匠頭(塩治判官)が吉良上野介(高師直)を討ち入る日までの約二年間の物語である。

    今作を観て始めて知ったお岩と伊右衛問の関係、お岩は伊右衛問に殺されたんではなく、偶然死んでしまったという事実、
    伊右衛問は根っからの悪い奴ではなく、元々はお岩を愛していたという事実、
    そして直助というもう一人の主人公で出てくる事によって見えてくる吉良上野介(高師直)への討ち入り計画、
    直助が惚れた女はお岩の妹?などなど驚愕の事実が満載の作品である。
    まさしく今作こそが鶴屋南北の戯曲の面白さを垣間見れる作品ではあるが、
    そこに串田和美という演出家が手を加える事によって、更に奥深く迷宮な世界が見えてくるのである。
    そしてこの因果応報の因を探る事が今作の最高の面白さであろう。

    大傑作である。

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