満足度★★★★★
苦し重い
なんといったらいいか分からない。
作者の思いが切々と伝わってくる。
どこまでがフィクションでどこからがノンフィクションなのか。
それを問うのが恥ずかしくなるほど。
観客目線を超越してしまった作品。
ぶっちゃけ、超問題作です。
満足度★★★★★
Tokyoでナンバー1(暫定)
「私小説」ならぬ「私演劇」は、メタ構造を用いて三人の夏井さん(作家)が登場する。それらが格闘し、浸食して行く様は、普遍性を持ってぼくらの領域まで浸透する。
スタイリッシュであることや、過去の生々しい自己たち、「ヌーヴェルヴァーグを始めた」ことなどに触れつつ、全ての観客が脱落しないようにフォローして、それがユーモアにまで昇華してることが素晴らしい。
メタ構造って言ったら、頭使いそうだけど、これくらい頭は使って当然。村上春樹の小説を読むときくらいの頭の使い方はしたいよね、演劇見てても。2008年、東京でナンバー1。
この独特な劇構造が、くまなくフォローされている客観性に一役も二役も担っているだろう、ドラマトゥルクの長島確さんにも心からリスペクトします。剥き出しなのに美しいギリギリを攻めてる。
満足度★★★★★
想像以上
reset-Nの特異な/得意なスタイルはそのままに、「劇作家・夏井孝裕」がより色濃く滲む、いやむしろその全てを支配するような、新作。
もちろん良い意味です。
扱われている内容は私小説に近い。
でも、台詞で「あのとき」とか「あのこと」とか言われて「あれか」ってすぐ想像ができるくらい限定的なのに、演劇というジャンルに属するものすべてにあてはまるんじゃないかと思うくらいの普遍性をもっていたように思う。
何より、夏井さんはめちゃくちゃに闘っていると感じた。
当日パンフレットには気にかかる言葉がいくつか並んでいましたが、何としても闘い続けて欲しいと思う限り。
なんか回し者みたいであれですが、「たたかう劇場」を名乗る王子小劇場がこの作品をどう評価するかも、気になります。
演劇関係者の方、とくにおススメします。
反対側の座席でもう一回観たい!
満足度★★★★★
人生最高観劇
と思うのはあたしが演劇関係者だからでしょうか。
でも正直、これまでの人生最高観劇とまで感じました。
傑作だとあたしは思うんです。
何が?どこが?そういうことじゃないんだー
そう思ったんだー
これが、ナマで観る演劇のいいとこなのかもしれない。
そう感じたんだー
途中から空調が止まるので涼しくなれる格好で。
劇場に入るとすぐ譜面台が立っています、そこも見えやすい場所に座れるとよりよいです。
Don't think!
Feel!
満足度★★★★
おもしろい作品だと思ったけどね。
おもしろい作品だと思った。
クリエイター?クリエイティブ?な人にはこんな時があるもんだ。よね?
劇作家の「書けない」「書かない」。
「書かない」ってのは分からないけど。
「書けない」ってのは、いろんな職業に通じる共通点。
たとえば数学者の「ひらめかない」ってのは実に致命的なコトで、トニー賞を受賞した『proof』は閃かずに壊れた数学者を描いてる。
満足度★★★★
壁。
メタ構造の作品として非常に好感を持って見ることができた。
私演劇というスタイルもスリリングな状況下を作るものとして効果的だろう。
(ウィキペディア的な知識程度の自分からすれば、と注釈をつけるが)
ヌーヴェル・ヴァーグと呼んでもいい作品ではないかと思う。
ただ、一つ大きな問題がある。
物を作った経験のない者が、諸手を挙げてこの作品を受け入れる状況を
僕は想像することができなかった。
創作者の深い共感を呼んでも、未創作者に「あるあるネタかよ」と
吐き捨てられてしまう状況を、この作品の成功と呼ぶことはできないだろう。
そもそもあるあるネタがこの作品の魅力なんかじゃないと思う。
その壁を飛び抜けるだけの何かを見せてほしかった。
(僕は創作経験者としてこの舞台を見たことを記しておきます)
それにしても、このあとに夏井孝裕はどうするんだろう。
冷房が効きすぎていたわけではないだろうが、ちょっと寒気がした。
そして、次作をこれほど渇望する作品も珍しい。
満足度★★★★
共感できました。
とてもとても共感出来ました。
でもそれが、私が演劇関係者で遅筆の脚本家を相手に戦った経験があるからなのか、ただ追いつめられた人生を一生懸命生きているという点で共感出来たのかわかりませんが。
でもここまで共感できた演劇は初めてです。
満足度★★★★
難しい
感想を書くのが難しい。。
話も構成も、説明はさほど難しくないけど、感想を書くのが難しい。
共感できた部分があったのは、みなさん書いてるようにものを自分が作る人だからだろうか。
夏井さんという男の人も、劇団も初見なのになかなか面白いと思ったのは、それが理由なんだろうか。
一つ思うのは、作ってる本人も、客の反応を予測して作ったのでは、ということ。
フライヤーの文章を見ると、こんな感じでもおかしくはない。
でもこんな曖昧な文章を書きつつも自分が、
面白いと思ったのが一番ハッキリした事実だったり。
満足度★★★
虚構と現実の狭間で・・・
演出家を側面からサポートするドラマトゥルクと一緒に作り上げた作品だから、ちと違った感覚が漂っていたな・・・
苦悩の果て作品を作り上げている劇作家を身近に感じているからこそ、演劇関係者には共感されると思うが、裏事情を知らない観る側にとってこの作品はどう感じるのかな・・・って思ってしまう作品でしたね。
ただ、舞台端から役者さんを観ていた夏井さんの表情は印象的だったな・・・
満足度★★★
戦う作家
初日に見てきました。当日パンフから夏井氏の苦悩と心意気が感じられ、とにかく「作家」としての自分の存在と苦悶の表情を浮かべつつ格闘している、ということが伝わってきました。
芝居の構成も斬新。その分一般受けはしないと思われます。あくまで実験作品。演劇関係者のウケはいいんでしょうね。
メタ演劇の構造をふんだんに盛り込んで不思議な舞台が展開されるけど、正直思わずウトウトしてしまった。
舞台を四方から囲みますが、夏井氏が入り口付近に立って話を進めるので、奥に陣取って見るのがよいと思います。この芝居は夏井氏の姿が見れるのと見れないのでは大きく意味合いが異なってくる気がします。
満足度★★★
「私演劇」じゃなくてもよかった
●「私演劇」じゃなくてもよかった
約4年ぶりのreset-N観劇。
なんだか悲壮感に満ちた感じで
「挑戦している」「苦境を打開しようとしている」
気合が漲っていた。
けど、俺は夏井さん個人やreset-Nの内情には興味が無くて
単純に4年前に観た作品『Rose』が素敵で、
今回時間とお金の都合がついたから観に行ったのだった。
だから、「ヌーベル何とか」という宣言や「私演劇」という新提案は
むしろ無いほうが素直に物語を愉しめたなぁ。
というのが観劇後のストレートな感想。
夏井さんパートを全部カットして、舞台上の
2組のカップル・先生・劇団員の女性だけの物語にしたら……
きっとreset-Nとしては「たいして新しくない」のだろう。
でも、無理して「新しく」しなくてもいいのにって思う。
夏井さんパートがなければ☆☆☆☆☆だった。
フライヤーに「皆さんの期待をかきたてるような
何かを書かなくてはいけない」と書いてあった。
劇中にも「自己ベストを更新してゆかねば」(?)
みたいな台詞があった。
「ベスト」や「期待」は客が勝手に判断するもんやし、
好きなもん好きな時に書いたらええやんって思う。
(フランス寄りの考え)
これまでも、そうやって自らにプレッシャーをかけて
書いてきたのだろうけど、作家の無理してる感に
あまり好感が持てなかった。
ありえないことだけど、「私演劇」という今回の試み自体が
reset-Nの演技だったらトリッキーで気持ち悪くて面白いなぁ。
夏井さんのプライベートは全然違って、
実は離婚していなくて…とか。
でも、そんなことは当然ありえない。残念。
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●「私演劇」をやるなら
この作品の「私演劇」というフレーズが何故こんなにも
気になったのかというと、これを書いている自分自身が
最近「私演劇」ばかりやりたくなって、「演劇」を辞めた
からだと思う。
(さらに、現在ちょうど締め切りに間に合わせるべく新作執筆中)
「私演劇」の世界はけっこうドープで中毒性が高くて
たしかに魅力的。朗読のオープンマイクなんかに出ると
皆「私演劇」である。
交通事故で障害を負って、満足に身体が動かないことを
満足に回らない口で叫ぶ詩人がいて、感動した。
友人にも私演劇ばかりやっている者がいて、
自らのぜんそく治療体験なんかをネタにして劇中で独白する。
なので、俺は決して「私演劇」に否定的なわけではなく
むしろ興味関心があり、「私演劇」好きとして
実は今作を肯定的に観たかったのだ。
でも、なんとなく無理してる感&中途半端感があって、
それほど肯定的に観ることはできなかった。
どうせ「私演劇」とするならば、夏井氏自身が作家を演じ、
劇中に元妻とのシーンまで創り、町田カナさんも出演して
いたら本当にスリリングだったのにと思う。
それは中途半端じゃない。それはヤバイ。それは観たい。
四方を観客に囲まれた中で、本音を言い合うのだ。
夏井さんに興味がなくとも、そこまでリアルな企画なら
期待しちゃう。
でも、そんなことは当然ありえない。残念。
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※俳優陣のプレイ、スタッフワークは大変素晴らしく、
立派で、お金を払うに足るものだった。
特に客演の俳優さんの活躍が目立ち、うっとりした。
満足度★★★
色々なことをぶちまけている感じ
伏線じゃなくて予防線を張りまくった上で心情、風評、物語、事実等をペアの形に乗せて吐露して混沌とさせてまとめた雰囲気に。75分。
満足度★★
痛い
以前見たことのある劇団さん。
主宰のかたは英国に留学していたんですね。
見ての感想は・・・正直、痛かったです。それも悪い意味で。
昔、作家さんの苦悩を描いている舞台を見たことあるんですが、上手く機能していてバランスが良かった。
しかし、この作品はあまりにも作家さんの苦悩しかなくしかもそれが自虐的で見ていて「この劇団大丈夫なの?」と心配してしまいました。
それが狙いなら成功なんでしょうが私には受け入れられませんでした。
満足度★★
誰かの誰かの為の演劇
このサイトの評判が良かったので観劇してみた。
感想を一言でいうなら、これは作者を含めた限られた人向けの劇なんだろうなぁーってこと。
演劇関係者の一部にはうける事もあるのかな、と想像してみる。
少なくとも、自分はまったく共感できず。無念。
満足度★★
演劇関係者の為の演劇か。
終演後、私には拍手ができませんでした。
私は観るべき作品ではなかったのでしょう。
創作者の為の演劇。私は置いて行かれました。
満足度★
はじめてには辛い
これは、今までreset-Nを見たことがあって、かつreset-Nが大好きな人じゃないと受け入れるのは難しいのではないでしょうか?
はじめてreset-Nをみた私は、すごく置いていかれた気分でした。
満足度★
凡庸な劇作家の肖像
「傑作」「演劇にしかできないこと」。主宰の夏井氏がそう謳うからにはと心底期待したのだが、見事に裏切られた。メタという方法論に対する批評性がまったく欠如しており、斬新さは微塵も無い。創作の苦悩や愛の遍歴をモティーフに、劇作家の個人的な経験・視座を起点として、演劇という制度へ知的な揺さぶりをかける闘争=創造へまで昇華されているならば評価出来たのだが、まるでそのレヴェルには達していない。劇作家/演出家とその女、そして劇団の虚実を交錯させメタ構築した、ただそれだけ。ネクストスタンダードの追求を標榜するにしてはあまりにも凡庸で稚拙。観劇中、一瞬たりともスリリングな疾走を感じられなかった。平易で、退屈で、安全だ。
キャラクターの感情が昂る濃密な場面に差し掛かると、俳優の演技がしばしば破綻し、失笑してしまった。適正なトーンや焦点がズレてリアリティを喪失していた。「現実」を参照とする自然さ/不自然さ、ということでは無論ない。その劇場に、その演目で、そのキャラクターがそこに在るためのリアリティが、である。演技の巧拙とリアリティで言えば唯一、基準に達していると感じたのは原田紀行氏。
普遍的な「私演劇」への過程として
面白いか面白くないかで言ったら、面白かった
好きか嫌いかで言ったら、好きではなかった
(そもそも楽屋ネタ的なものを否としているので)
が、最後まで興味を持って観れたのは
さすがの構成力、さすが夏井さん
ただ“創作者”の話に見えてしまったことが
すごくもったいなかったのでは、と思います
後少し早くこの路線でやる、と決めていれば
もっと普遍的な何かを置きにいけたのではないかと
※ご招待で見させていただいたので★つけてません
おおっ!
素敵な空間。表に出てくる感情のエネルギー。一定の距離感を保ちつつ、引きこまれる瞬間が刺激的。積み重ねてきたものにあらがえない現実に胸が痛みつつ、それを受け入れるたくましさ。いろんな視点が詰まっている。