レドモン 公演情報 レドモン」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.6
1-20件 / 25件中
  • 満足度★★★★

    鑑賞日2016/04/09 (土)

    演出はあんまり好みじゃなくて、柱とかチューブとか最後までよく分からんかったし、登場人物が多くて拡散気味だったけど、設定の上手さと俳優の力技で終盤ボロ泣きしてしまった。ちょっとズルいぞ辻貴大。あと小林樹は、ああいう役やらせると抜群に映えるな。印象強烈過ぎ。

  • 満足度

    説得力が見出せず
    人間の主人公がレドモンの妻を持っていることを、後ろめたいと思っているのか、本当は大切なのか、最後までわからなかった。後者だと信じたいと思って観ていたけれど、主人公のあらゆる言葉、行動に説得力がなくてわからなかった。

    ヨーロッパでの移民排斥運動、日本での在日韓国人へのヘイトスピーチ問題などが白熱する中で、差別や隔離の問題はこれからもっともっと、私たちの暮らしに切実に迫ってくる問題のはずだ。でも、この作品を観て、そうした問題を一緒に考える気持ちにはなれなかった。「作家」は、観客に現実を教えて啓蒙してやる偉い人間などではなく、社会の矛盾や人間の薄汚さに敏感な弱い存在だと思うし、だからこそ、彼らの生み出す言葉は観客に響く。今作のような、底の浅い家族観と異人種への差別・隔離描写では、作品で描こうとした真の問題意識は伝わってこなかった。詳しくはネタバレBOXをご覧下さい。

    ネタバレBOX

    主人公は新聞記者という職業柄、本音と建前を使い分ける必要があるのだが、その設定に無理があったのではないだろうか。なぜ娘を置いていくのか。しかも塾の担任に預けて。それって身勝手すぎないだろうか……? 子どもを置いていくほど、妻を愛していたようにはまったく見えない。厚生省の女と、レドモンの男との関係の描き方もよくなかった。セックスしないまま(=レドモンの証拠であるしっぽを見せないまま)、情報の漏洩をさせるのはハニートラップの化かし合いにしてはリアリティがなくて少し冷めてしまった。
    ラストシーン、天上に吊られた舞台美術が降りてくると、両親に置いてゆかれた娘(人間とレドモンのハーフ)と、初恋の男の子(人間)を隔てる柵になった。柵は、アウシュビッツに張り巡らされた鉄条網を模していた。でも、それだけの重みも人種差別の切実さも感じられず、安全圏からそれっぽいモチーフを並べて社会問題に取り組んだようにしか見えず、残念だった。
  • 満足度★★★★★

    レドモン
    好きです。とても良かったです。人を思いやるという気持ちの大切さを教えてくれる、重要な作品と思います。ありがとうございます。

  • 満足度★★★

    現代のSF
    地球外知的生命体<レドモン>と地球人とその混血<マジリ>の物語に、人種差別やヘイト問題や難民問題が透けてくる……現代的なテーマ性ある壮大なSFを演劇で、という意欲を感じる舞台でした。とはいえ、肝になっている家族のドラマが薄く感じられ「これが散りじりになっていく家族だろうか?」という印象のまま終わってしまいました。座った席が寒く、途中で一番後ろに移動したのですが(スミマセン)、上から全体を見渡したほうが、地下まで使った舞台美術がよく見え、ロープで境界線をあらわしていく演出が面白く感じました。

  • 満足度★★★

    宇宙人との共生を描くSFに現代を映す
     地球にやってきた宇宙人“レドモン”と人間、そしてその混血(マジリ)との共生の可能性を、ホットかつウェットな人間ドラマで探っていく近未来ファンタジーでした。地球人の体制側がレドモンを母星へと強制送還させようとすることで、人々の暮らしに大きな亀裂が生まれます。初演は2007年ですが、今、まさに起こっているヘイトスピーチなどの人種差別や難民問題と、ヴィヴィッドに重なっていきました。

     ガランとした天井の高い空間に、鉄骨のような背の高い柱がそびえたつ舞台美術でした。柱と柱の間をつなぐ透明のホースが、目には見えない境界線を示すかのようで、俳優がホースを外したり、つなげたりして場面転換をするのも含意があって良かったです。

    ネタバレBOX

     冒頭の、レドモンと人間の歴史について説明する群舞がとてもわかりやすく、絵的にも見栄えがする場面になっていました。赤いスカーフをレドモンの赤い尻尾に見立てて踊るのもきれい。暗黒舞踏にたとえるギャグも可笑しかったです。

     新聞社という企業の中の人間関係や、サラリーマン家庭の普段の暮らしを描くので、観客は「自分がもしレドモンだったら…」と想像しやすかっただろうと思います。目の前で起こるフィクションを通じて自分自身について考えるのは、観劇の醍醐味です。私は特に通称レドモン法(純潔維持法)の賛否の議論や、施行後のことを想像できて面白かったですね。レドモンは強制送還されるけれど、人間の血が通っているマジリは地球にとどまることができます。つまり家族は引き裂かれてしまう。血って一体何なのか、そんなに価値があるのだろうかと、自分のルーツである日本や地球の歴史について振り返って考えられました。

     ただ、脚本および演技には疑問点が多く、それらが喉に刺さった小骨のように引っかかったまま、最後まで観劇することになってしまいました。
     主人公の立川(辻貴大)は新聞社に勤める30代ぐらいの男性です。彼はレドモンの妻(穴泥美)とその間に生まれた14歳の娘ルルカ(ししどともこ)と三人暮らしですが、会社では独身だと偽っています。大手新聞社で家族構成を隠せるわけがないから、彼は非正規雇用の人材なのかも…なのになぜ、あんなに上司に対して自由に発言できるのだろう…などと余計なことを考え続けてしまいました。

     ルルカは尻尾を脱色する事件を起こします。それが原因の親子ゲンカは腑に落ちませんでした。立川はルルカに対して「(親の気持ちも)ちょっとは考えてくれよ!」と言い放ちます。それは娘のセリフですよね。混血として生まれて尻尾が生えてきたばかりの思春期の娘の方が、地球人の父よりもずっと複雑な状況を生きています。なのになぜか母(=立川の妻)までもが自分のことを棚に上げ、ルルカに「(お父さんに)謝りなさい」と言い出す始末…。立川はその後の場面で「反抗期だから、(ルルカは)聞く耳なんか持ちませんよ」とも言っていました。ここまで幼稚で身勝手な親なら、娘は最後に離れ離れになって良かったなと思いました。私のこの受け取り方は、脚本の意図からはきっと、かけ離れているだろうと思います。

     終演後に関係者から、初演では立川の子供は5歳の男児だったと聞きました。それは大きな変更ですね。単純に考えて子育て経験が約10年も違うことになりますから、立川とその妻のキャラクターづくりは刷新する必要があっただろうと思います。

     出演者の中では厚生労働省の“純潔維持課”で働く女性、成城なつめ役の工藤さやさんが良かったです。仕事の内容も、隠れレドモンの中塚記者(木山廉彬)への恋も信じられたし、おとりになって彼を騙す場面もスリリングでした。
  • 満足度★★★★

    泣けるSF
    ちゃんとテーマ性もありつつ設定が練られていて楽しめた。こういうSF的な世界観は舞台ならではの自由さがあっていい。

    個人的には親子の物語に感動した。

  • 満足度★★★★

    もう少しリアリティが欲しい
    人類と宇宙人との地球上での共生という題材は、否応なしに現実の人種差別やヘイト問題を思わせます。

    本作で描かれる、人類社会にいつの間にか紛れ込んだ「レドモン」と呼ばれる宇宙人たちも、発見され次第、故郷の星に強制送還させられるという設定です。赤い尻尾があること以外は人類と全く変わらない姿と知能を持ちながら、市民権を得られず、差別され、排斥されようとしているという設定から、現実の社会問題を想起させられた観客は少なくないでしょう。

    しかしどういうわけか、登場するレドモンたちからは、いつ捕まってもおかしくない、捕まれば強制送還させられるという緊張感が全く感じられません。悠々と食事やおしゃべりを楽しんでいたり、レドモンと人類の混血である「マジリ」専用の塾に子供を通わせたりと、レドモンである事を秘匿している様子すら全くありません。

    恐らく、宇宙人という設定に気をとられがちですが、そこに必然性は無く、本作の真のテーマは家族愛だったのではないかと思います。家族の絆の物語としては、本当に良い作品です。ただ、設定にもう少しリアリティと必然性が欲しい。そうすれば、物語はより説得力を持ち、もっと泣ける作品になったでしょうし、主人公が最後にとった選択にも納得がいったのではないでしょうか。

    再再演して頂ける事を強く希望します。ただ、その際はもう少し設定に深みを与えた上でお願いしたいと思います。

  • 満足度★★★★

    良いお話し。
    社会性のある骨太なテーマを、
    SF味を加えさらりと見易くした感じのヒューマンドラマ。
    共に生きる、血のつながり、尊厳の戦いが、
    ほのぼのした愛の物語につつまれ、判り易く解きほぐされてゆく。
    他者との関係性、考え方、差別特別の捉え方など、
    自分とは異なる思考部分もあったが、
    物語の展開としてのエンターテインメント性が優れていて見ごたえがあった。
    展開的には結論への導きが性急で、
    流れがアリバイ的になり残念な部分もあったが、
    舞台美術や場面転換の手法など、
    テンポの良い展開と演出はカッコ良かった。


    ネタバレBOX

    会場が大きかったのか、このキャパを考えた演出でなかったのか、少々残念。
    下手ブロック中段からは上手のBARの展開が見えず、台詞もききとりにくい。
    物語終盤、施設に収容されたルルカと幸太郎の切ないとても良いシーンで、
    ルルカが全く見えず…。明転後しゃべり始めるまで存在も判らなかった。
    舞台上の事だけでなく、
    観客がどう見るかどう見えるかも演出に生かしてほしいと思います。
  • 満足度★★★★

    レドモン
    そもそもレドモンが地球に来たのは何年前なのか?その時地球人はどのように彼らを迎えたのか?その後レドモンはどのようにして地球人の中に入って行って家族まで持つようになったのか。帰される星で生きて行けるのか?・・・等々。普通ならこういう事が気になってしまうたちなのですが、今回はそんなことは全く気にせず見る事ができました。家族のあんなやりとりはどこにでもあることです。地球人、いえ、日本人同士の家族でもなかなか難しいのだからまして・・・。宇宙人でなくても、他国の人じゃなくても、日本の中にでも差別はあって、自分はそんなことないと思っていても、気がつかないところで差別したり憎んだりしているのかもしれない。宇宙に行けるんだと、何も知らずにはしゃぐデルを見ていたら涙が止まらなくなりました。

  • 満足度★★★★

    軟弱すぎる嫌いが有るものの
    重すぎず、滑稽なものをギリギリのところで楽しくセンスも光る作り。
    小劇場を中心に活躍する大好きな劇団が吉祥寺シアターで公演を打つと、往々にして良さを失いそこの独自性が薄らいでしまい退屈な作品が多い。
    そんな中、最後まで飽きさせぬ工夫が為されていたと思う。

  • 満足度★★★★

    考えさせられる
    これ、地球人と宇宙人のお話なんだけど、
    これを現在の社会問題等に置き換えられます。
    なので、見ていて色々と考えさせられました。
    クライマックスも好みが分かれるとは思いますが、
    私は涙目でずっと見てました。
    面白かったです。

  • 満足度★★★★

    表層的には地球人と地球外生命体(=レドモン)の共存共栄が成り立つのか、そんな投げ掛けがされているようだ。この投げ掛けは異文化との関わりであり、卑近な例をとれば移民・難民問題を提示していると思う。

    さて移民などの問題に関して、自分は、正義と秩序の守護神とされるギリシャ神話の女神・テーミスのように公平無私になれない。さしずめフーコーの振り子のようにその考えが定まらない。もっとも国レベルの政策から個人レベルの思いまで、各段階でもその捉え方は様々かもしれない。
    本公演は、対象となる者(地球外生命体として)と距離を置くことで客観的に物事を捉えている。その核心について考える材料を提示し、観客の思いに委ねている。

    なお、作品自体がSF風であることから、世界観を重視し物語(筋)における多少の違和感は卑小なこととして楽しんだ。

    ネタバレBOX

    舞台セットは、鉄骨(金属パイプで足場組み)という無機質な物で外形を作り、その内に人や地球外生命体という者の活動が見える。また上手側の主舞台から数段下に張り出したスペースを作り、酒場カウンターを設える。酒場という憩いの場が、この公演では思念の確認場のように思えた。

    核心と思える場面が、子供たちの学校での議論である。子供の無意識に発せられる本音、そのやり取りに思わず頷いてしまう。
    社会が異文化を前向きに受け入れること、その反面、差別や緊張感も併せ持つことも分かってくる。子供の物怖じしない”文化の違い”の言い合いは、無邪気ゆえに本質を突く。その中に、大人(両親など)の会話の受け売りが雑じり”公平無私”ならぬ”工兵無視”という怖い側面が見えてくる。その大人の立場が、新聞記者・行政(厚生労働省)さらには警視庁刑事という、一見良識と思えるような職業の視点で描くところが興味深い。

    レドモン=移民・難民の問題をユーモアと諧謔(かいぎゃく)でオブラートに包みながら、巧みに物事の本質に迫ろうとする。作・演出の北川大輔氏の人に対する鋭い洞察力をもって描き上げた作品を観客(自分)がどう受け止めるか?その思いは既に記したように曖昧だ。
    物語に潜ませた事は、時を越えても色褪せない普遍的なテーマのように思う。理性とユーモアを交え、思索を重ねて捻り出した結晶のような作品…秀作である。

    次回公演を楽しみにしております。
  • 満足度★★★★★

    差別?区別?
    社会派のテーマ(差別と区別)と家族愛を軸にしたSFチックな作品。ただ、SF感はそれ程なく、宇宙人として人種差別を扱った様に感じた。設定にいくつか疑問を覚えましたが、役者陣の熱演で見応えのある舞台でした。特に各人の心情の動きが垣間見れ、背負うもの、考え方の違い等での齟齬が、観ていて苦しくなる場面もあった。
    ロープを使った演出には、賛否両論ありそうですが、個人的には面白い演出だと思います。
    この作品の初演が7年前という点も驚きで、今でも色あせない作品だと感じました。

  • 満足度★★★

    「共存・共生」というテーマ
    「共存・共生」というテーマは1年半前に観た「未開の議場」と同じだ。ただ前作は1つの場面でスリリングな論戦が続いたのに対して、今作は頻繁に入れ替わる場面で流れが分断されテンポが悪い。次の場面に移る際、役者が舞台上で椅子、支柱、ロープなどを移動させるのが見えて転換の切れの点で気になった。さらに道具を多目的に用いる点は転換の効率の面でも良いのだが、支柱やロープがじゃまだと感じる場面もあった。SFベースの割にストーリーはやや単調で、もう少し事件性や意外性が欲しい(逆に過剰なキャラと思える人物設定もあった)。登場人物の心理描写は立川家の3人をはじめとして役者さんが自然にそして的確に表現されていて素晴らしかった。

  • 満足度★★★★

    120分弱
    犬畜生と同じ弱肉強食の世界を志向しつつあり、弱者までがそれに気づかず弱肉強食化に加勢しつつある現代日本への警鐘。
    できるだけ多くの人に観られるべき作品。

    ネタバレBOX

    弱者がより強く被差別意識を持っている分、劇世界のほうが現代日本の実社会よりいくらかマシだと感じた。
    結末にもう少しキレがあれば。。。
  • 満足度★★★★

    対象を見る目
    異物を排除し差別する人間を描いたSF作品だが、
    台詞に繊細な人間関係がにじむところがリアル。
    例えば厚労省の女と新聞社の男、夫と妻、親と子、そして少年少女・・・。
    ただ差別の根深さは解るが、設定があいまいな伝わり方だったのではないか。
    最後の小さな台詞に決壊した如く涙があふれた。

    ネタバレBOX

    舞台上高い位置に宇宙空間が広がるようなセットがあり、暗転の時が美しい。
    中央のスペースのほか、両脇の舞台下も上手く使っている。
    送電線のようなロープとそれを結びつける支柱のようなH鋼は
    人間関係の距離感を表すのかもしれないが、無くても十分表現できている。
    流れるような場面転換が素晴らしく、尺を感じさせないスピーディーな展開。

    しっぽがあるということだけが人間と違う地球外生物「レドモン」。
    排除しようとしたり、共存しようとしたり、紆余曲折を経て
    ようやく今は混血である「マジリ」を法的に認めようという声も上がって来ている。
    今はまだレドモンであることが露見すれば強制送還(?)されてやがては死ぬ。
    だが現実的には、密かにレドモンと結婚している人間も多い。
    新聞記者立川もその一人だが、思春期にある娘のルルカをめぐって悩みは尽きない。
    そんな時同僚の男が不正な方法で国の情報を入手、
    そこから社会も立川も大きな変化に飲み込まれていく…。

    「マジリ」の子どもはみんな「ひかり学習会」という塾に通っている。
    それは社会的に秘密裡ではなさそうなのに、
    レドモンと結婚していることは職場に隠す、という設定が良く解らなかった。
    マジリが法的に市民権を得ても尚、親であるレドモンが強制送還される、
    という結末もイマイチ心から納得できなかった。
    “差別なんてしない振りして、実は差別する”人間の本性を描いているのか?

    人間であろうがレドモンであるが、描かれるキャラクターがリアルで身につまされる。
    出来過ぎない父親立川(辻貴大)、おおらかに受け止めるその妻(宍泥美)、
    そしてピュアで利発なルルカ(ししどともこ)が秀逸。
    塾の先生も人間味があってとても良かった。
    帯金ゆかりさんは出てくると場をさらうようなその破天荒なキャラが
    もう一人の教師である温厚な渡邊りょうさんと絶妙なバランス。
    立川家とママ友の笠井里美さんが、潔く温かい母親を演じていて素敵だった。
    差別する側の代表である公安の男(小林樹)のいやらしさが光っていた。

    妻の命を守るため、市民権を得た娘を置いて両親は逃げる。
    「お前は大丈夫だ」と父が繰り返せば繰り返すほど、その根拠のなさが心細い。
    ラスト、ルルカは大好きな少年(橋本博人)に「どんな食べ物が好きなの?」と聞かれ
    「お母さんのお弁当」と答えながら涙声になっている。
    それを聴いて私も一気に涙があふれた。
    物語の冒頭、反抗期のように母の作ったお弁当を拒否してみたりしたルルカが
    両親と別れた今、どんな心細い気持ちだろうと想像するとたまらなくなる。

    対象を見るとき
    「違いを数えるより、同じところを見つけよう」
    そんなメッセージが伝わってくる作品だった。






  • 満足度★★★★

    差別
    少し劇場が広すぎたのではないかということ、「レドモン」と人類の関係がいまひとつあやふや。というスッキリしない部分はあるのですが・・・それを忘れてしまいそうになるくらい、台詞の微妙さが上手い!特に人の心の中の曖昧さを表す台詞、間合いもいい。対し、痛いくらい疑問をぶつけてくる子供の言葉の痛みも感じる。異物を怖れ、嫌悪する、それは別人種だけでなく、すぐそばにもあること。“差別はしない”そう言いつつ、現実社会に起こる差別。観ながらいくつもの差別が頭の中に浮かんだ。

  • 満足度★★★★

    うちゅう人
    物語の中の宇宙人が様々な立場で苦しんでいる在日外国人と重なって見えた。

    ネトウヨやヘイトスピーチが大手を振る昨今、この作品の問いかける意義は大きい。

    高史明さんの息子で12歳で自死を選んだ岡真史さんの詩「ぼくはうちゅう人だ」を思い出した。

    ネタバレBOX

    設定はとても素晴らしいと思うが、内容には不満が残った。

    全体として、予想していた物語を裏切らなかった。物語を単純に構造化しているため、人間の複雑さの細部までは描かれていない。そう思ったが、おそらくそれは、私がこの作品を、現在の社会問題と重ねて見すぎているせいだと思う。それに私が批判的に見た部分こそが、エンターテイメントとしての完成度を上げている点でもあるのだから、必ずしも悪い側面だけではない。

    また、最後に両親が娘をひとりにして逃げるが、その点にリアリティが感じられなかった。この作品に描かれる親が、そんなに簡単に娘を残して逃げられるとは思えない。状況から、他に選択肢がないにしても、本当ならもっともっと痛みをともなうはずだ。その点において、父親が相当冷酷な人に見えてしまった。そこに人間の冷淡さ(両義性)を描いていると言われれば納得するが、全体として他のシーンはそういう複雑さを内包していないため、そこだけが変に引っかかってしまった。

    と、厳しいことを書いたけれど、この設定で作品化したの意義はとても大きいと思う。
  • 満足度★★★

    レドモンとは
    舞台を幅広く、うまく使っている印象でした。

    ネタバレBOX

    レドモンとは生物の名前だったのですか。自分たちと異なる種を受入れることは難しいのですね。シーンの切れ目、切り替わりが絶妙です。2時間の長さですが、長さを感じなかったです。残念なのですが、足音が大きいのが気になり、また、ところどころセリフが聞き取りにくい箇所がありました。
  • 満足度★★★

    もっと気持ち悪くしてほしかった。
    比較的穏当な内容。
    今回初めてカムヰヤッセンの作品を拝見し、小劇場演劇に特有の「訳の分からなさ」が少ないことに驚かされた。ストーリーと構造がはっきりしていて、その点、少し期を楽にして見ることができた。

    ネタバレBOX

    思春期の娘と家族をめぐる関係、大衆の差別意識、ひいては西山事件(外務省機密漏洩事件)と様々な要素をきれいにまとめていたように思う。

    ただし、あくまで内容は差別を扱っているだけに、はっとさせられたり、居た堪れなくなったり、気持ち悪さを感じたりする部分も多い。
    だが、穏当さゆえか、(良くも悪くも)割とあっさりとした印象を受けた。

    冒頭で小学生向け教育立体映像の試演があったが、その延長、と捉えるとちょうど良いように感じる。
    初演の様子や雰囲気、それとの比較も含めるともっと良かったのかもしれないが、一見の私としては、いささか物足りなさを感じた。

このページのQRコードです。

拡大