嫌われる勇気 公演情報 嫌われる勇気」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★★

    舞台で見せた「哲学」
    「人は変わることができる」などというアドラーの心理学。自分で何とかできるところとできないところを区別し、自分のできるところをやり、ほかのところは他の人の仕事として目を向けない。

    上記の部分は正確でないかもしれないが、アドラー心理学を教える大学の先生が、それを説明するくだりだ。このように、とっつきにくいとも思われる哲学の本を、舞台の上で戯曲化してしまったのがこの作品だ。果敢に挑戦した脚本・演出の和田憲明さんにまずは拍手を送りたい。

    アドラーの教えを説明するところはあるが、この舞台の核心はそこではない。
    何よりも、特に難しいことを考えなくても、ずっしりと心に残る物語を見せてくれたことだ。相当な力量を持って演じきった利重剛、愛加あゆ、黒沢はるから俳優さんたちに、大きな拍手を送りたい。

    戯曲の力というものを見せてもらった気がする。

    ネタバレBOX

    ありのままの自分として生きていくためには、嫌われる勇気も必要だ。他人の価値観を変えることはできない。自分の譲れない部分を明確にして生きていこう。アドラーの言っていることを、私なりにまとめてしまうとこういうことかも。

    しかし、この舞台はアドラー心理学の説明だけに終始しているわけではない。現実の世界を生きる私たちにとって、「そんなこと言ったって」というささやかな反論も代弁してくれる。

    愛加あゆ演じる女性は、実の母親と義理の父親を惨殺して自首する。自首したのに彼女は警察で詳細を黙秘をするが、それは自分の身を守るためだった。事件の詳細を語って減軽されるくらいなら、死んだ方がいい、と。それは彼女の譲れない一線であったのかもしれないし、乗り越えていかなければならない一線であったのかもしれない。

    生身の人間が目の前で演じる物語の迫力。アドラー心理学よりも心に残るのは、やっぱり舞台の力なんである。
  • 満足度★★★

    アドラー心理学が原作の舞台
    どこかの劇場でチラシを目にして興味を持った舞台なのだが、ここでは説明が記載されていないので、簡単に付記。
    フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される、アルフレッド・アドラーの思想を易しく説いた大ヒット同名書籍を原作に、これをスリリングなサスペンスへとシチュエーションを置き換えて緊密な人間ドラマを描く舞台。

    ということで題材と一部キャストに惹かれて観に行った。
    原作未読だが、心理や自己啓発や宗教とか、人の教えや思いは様々。哲学と心理の間から見える救いを求める人間ドラマ、本音を突き詰めるほど小難しい人間になってしまう人たちの深い会話劇、と思えばよかったのかな。
    上演前のアナウンスで映像見切れる座席位置があり譲り合って〜、と前もって説明はあったものの、やっぱり最後のあの場面で読めないのはストレスたまった見切れ席(からの観劇)。舞台セットがよかっただけに残念。
    約2時間。

    ネタバレBOX

    中年の刑事が主人公?、同僚の若い刑事と共に殺人事件を担当する。
    事件の一方で刑事の娘が事故で亡くなる連絡が入る、それが自殺ではないかと疑念を抱く刑事。娘が生前通っていたという大学教授の研究室を訪ね、その話を聞いてみるが、教授が研究している「アドラーの心理」について聞けば聞くほど、すぐには理解しがたい話だった。
    同時に事件は進み、事件の犯人の女は、実の母親と義理の父親を惨殺、自殺を図るも死に損ない逮捕される。取調室では黙秘していたか思えば、豹変した態度をとったりと罪の意識が見られない。そうしたことには理由があるがその女もまた、生きる幸福を得ることができるのか。

    取り調べと教授との会話の場面が交互にある。
    かつて刑事の娘が教授のもとで学んでいたように、教授の部屋でアドラーの教えについて語り合うことになる。刑事が娘に向けた負い目、事件を起こした女の底なしの絶望人生、救いが見えない人たちの目には見えない悲劇の感情に「人は誰でも変わることができる、そして幸せになれる」と指摘する教授。その解釈によって岐路も変わっていき。救いのある終わりでホッとした。

    それにしても宝塚出身の女優さんっていっぱいいるんだな。宝塚の舞台を劇場で見たことがないので特徴ある名前の人たちが多い、としか覚えられないんだが、今回の女優さんも初めて演技を見る。犯罪を犯した女として静も動もどちらの豹変ぶりは凄かったけど、頬の肉付きかメイクをもっとシャープにしてくれてたら悲惨さが極まって、更に役に合っていたかもしれない。

    刑事と教授との会話中に、舞台スクリーンにまるで講義さながら各章の標題が出るんだが、これに取調室の照明が被さって読めない(苦笑)
    まぁ、これくらいだったら大体のイメージは掴めるから気にはならなかったんだけど、最後の肝心のアドラーの言葉が穴埋め状態で文字が隠れて読めないー!多分良いこと書いてあったんだろう、と脳内保管しておくが、でもこれってこの作品のかなり肝になる部分じゃないの?とモヤっとした終わり方に脱力。これはどう解釈すれば良いのか教えて、アドラーさん!
  • 満足度★★★★

    『目的』に注目せよ!
    小劇場界きっての美女・黒澤はるかさん目当てに観に行きました。アドラー心理学を扱うということでしたが、想像よりも分かりやすく楽しめました。ちょっとくどい演出(プロジェクター)が気になった。

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