白魔来る-ハクマキタル- 公演情報 白魔来る-ハクマキタル-」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.8
1-12件 / 12件中
  • 満足度★★★★

    リアル
    いつものラビット番長とは違うテイストの作品。飛び散る鮮血や熊に襲われて障子から飛び出す人間の部位などなかなかリアル。その障子が貼り直される手際も見事。

  • 満足度★★★★★

    素晴しい! (Bキャスト拝見)
    本当に素晴しい公演...というのが第一印象である。その理由は大きく3点。

    第一、脚本と演出が見事にかみ合って、話のモチーフ等が鮮明であった。
    第二、キャストのキャラクターや役割が明確で違和感がなかった。
    第三、良い意味で過去のハートフル公演を裏切り、骨太・重厚な芝居に仕上げた。

    そして、チラシ説明に”刺激的な芝居”である旨を記されており、制作サイドのPRが功を奏した。観客に観てもらう、という工夫と努力する姿勢がまた良い。
    自分のなかで、ますます目が離せない劇団になった。

    ネタバレBOX

    脚本はしっかりとしたテーマ性(「差別」「共生」など)を捉えて、人間と熊(自分では自然・環境そのものも捉えているように感じた)のどちらが侵略者で理不尽な行為を行っているのか、そんな問いが投げかけられたと受け止めた。その象徴として、熊の襲撃が描かれる。主張すべき話の展開にしっかり演出ができている。確かに刺激的な描写があるが、それは必然的なものであり、どう印象付けるか…その点も観客の許容範囲が違うため難しいところであるが、自分としては絶妙だと思った。

     
    キャストは役割を与えられているから多少、大人数が舞台にいても不思議ではない。劇団では若手育成にも力を注いでいることから、過去公演を見ると役割がはっきりしない人物もおり、違和感を持つことがあった。今回も大勢のキャストがチラシに印刷されていたが、一部ダブルキャストにすることで、その課題に対処する工夫をしていた。
    ただ、演技について細かいことを言えば、兵士が外で暖をとっていた焚き火缶を素手で軽々持ってハケるなど出来ない(これは一例で他にもあった)。どんな役柄でも観客は観ている。その状況に身を投じているというイメージ作りが重要だろう(このシーンは、終幕後、他の観客も指摘していた)。


    自分が観てきた公演は、どちらかと言うとハートフルコメディという枠の中で、その時々の社会的なテーマを取り込んで観せてきた。今作はそんな既成劇風を打ち破るようなバイオレンス・フィーチャアーである。

    失礼な書きようであるが、本当に劇風が広がったようで、今後ますます公演が楽しみになってきました。
  • 満足度★★★★★

    障子の向こう
    いかにも重く暗いイメージが嫌というほど匂って来る。こういう救いのない話は好きではない。しかし、観終わってみれば、体に力が入ってしまっている自分がいた。この作品、まったく話がどう流れていくのか?“熊”が怖いという感覚が遠いものだから、最初はぴんと来ずいた。が、次第にじわじわと押しせてくる恐怖感。熊が人を食らう擬音がどんどん生々しく感じられた。なんとも嫌な苦味と血生臭い話、それなのにどっぷり使ってしまった。
    始めの若者達と老人の会話の際の照明がかなり印象的だった。あの微妙な薄暗さは絶妙!またセットの使い方もシンプルな作りなのに、左右・全面と次々使い分けられる。そして障子、開けられるのが怖い・・・なのにその向こうが知りたいという気持ちを引き寄せる使い方。温かい家族のいる家の雰囲気から悲劇を描く血のキャンパスまで、開け閉めしているだけのものにいろいろな感情が移っていたように感じた。いつものラビット番長とは違う。しかし、次回もこういう“イイ裏切り方”をして欲しいと期待する。





  • 満足度★★★★★

    リアルホラー回?
    もう陳腐な表現しか出来なくて申し訳ないのですが、ああ、重い作品だった。
    自分の家族とか、置き換えて想像出来てしまう程ヤバイのではないだろうか。
    気のせいでなければ役者さんもきっとかなりキツかっただろうなぁ。

    普段の作品と違う、との事だけど、だから期待外れだった、とかいう人はそうそういないと思う。
    やはり、他の作品も気になります。

    ネタバレBOX

    や、そこをあんまり強調してもなんだけど、事故があった。
    多分、障子の稼働が引っ掛かったのかなんなのか、手がぬっと出てきて一瞬どういう表現なんだろうとびっくりした(笑)

    あれは凄い目立ったので、残念な部分ではある。

    書いていてふと思ったのだけれど、勝手にこちらは事故と思っているけれど、あれ役者の誰の手でもなかった、とかだったりすると、途端にリアルホラーだな。。!ヽ('ー`)ノ!

    そんなものが出てきても不思議ではない作品、だったかなぁ。
  • 満足度★★★★★

    【Bキャスト】観劇
    最後まで観終えて本当の素晴らしさに気付きました。

    ネタバレBOX

    2.7mにも及ぶ巨大人食いヒグマによって多くの人が殺傷された実話に着想を得て作られた物語。

    当日パンフレットには三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)の簡単な概略が書かれていました。雪の中で迷い小屋に避難してきた学生たちに、題名でもある白魔が所謂ホワイトアウトなどの雪の恐ろしさのことと説明し始めた老人が、過去を思い出すように話し出す展開に、冬場に実際に起こった獣害事件の恐ろしさが描かれるのだろうと思いました。

    そして、人食いヒグマ事件が実話通りらしく描かれ、そこに北海道に開拓者として入らざるを得なかった人たちの苦悩、当時はアイヌとロシア人の混血児が多かったことや彼らの疎外感、威張り散らす軍人の習性、そして、ヒグマに襲われたと騒いでいるが、そもそもアイヌやヒグマの土地を入植した和人が侵略したというのが真相ではないかなど背景となる状況も織り込まれていました。深みのある素晴らしい出来に仕上がってはいましたが、結局のところは実話の範囲を超えるものでもないという感じがずっとつきまとっていました。

    しかし、学生の中に潔癖症の女子がいた理由が明らかになるラストの展開に、子グマは殺さないというアイヌの掟や、ヒグマに食われた母体から生き残った赤子が生かされた結果が今日になって本当に悲惨な悲劇に繋がっていたことに驚き、歴史に忠実と思わせておいて単なる史実ではないフィクションだったことが分かり、作者の技量に大いに感心しました。

    綿入れ防寒具がいかにも新品で光沢があったり、役者たちが稚拙だったり、舞台の狭さなど不満な点もありました。いい役者といい舞台で演じたらもっと素晴らしいスタンダードな作品になると思いました。
  • 満足度★★★★

    なかなかでした。
    どれほどの描写かと思って観ましたが、
    なかなかのものでした。
    あそこまで注意書きするほどのものかなあ、
    と感じたのは自分の許容範囲だったからでしょうか。
    苦手な人は苦手ですもんね。

    舞台ならではの見せ方で、見応えある襲撃シーンでした。
    舞台セットは障子の開け閉めを上手く使っててよかったですねー。

    ストーリーなど、
    いくつか「ん?」となる点はありましたが、力作だったと思います。

  • 満足度★★★★

    Aキャスト
    実際の事件をモチーフにしつつ、差別の問題も取り入れた作品、見応え充分でした!軍人役の悪態振りがいい役割をはたしていました。

  • 満足度★★★★★

    素晴らしい
    内容も深く、迫力ある演技、演出どれをとってもすばらいものでした。
    今年見た中では一番といえる舞台でした。

  • 満足度★★★★★

    最後まで釘づけ!
    小劇場ならでの臨場感、舞台セット、衣装、小道具なども含め、効果音など演出が繊細かつ、大胆。映像とは違ったリアル感がいい。
    事件に当時の問題を絡ませた脚本も興味深い。
    ラビット番長のまた新たな一面を観ることができ、幅の広さを感じた。

    ネタバレBOX

    第一の襲撃場面で血しぶきが障子に飛び散る場面は、映画やテレビではよく見かけられる場面だが、小劇場で観られるとは!
    生まれた血まみれ赤ん坊もグロテスクで好み。
    ラストのどんでん返しは予想できていたが、”エサ”が他にもいたのには想像を超えていた。こういう予想をちょっと超えた見せ方が”らしさ”なのだろう。
  • 満足度★★★★★

    素晴らしい
    「天召し」「ギンノキヲクfinal」と安定感を見せる劇団だが今回の「白魔来る」はタッチが違えど抜群の出来。
    もちろん好みで分かれるだろうが私は今回の作品が一番。
    凄惨な描写が苦手な方もおられるだろうが、それよりも根本に流れる残酷なテーマが心打つ。

    もう一度見たい。

  • 満足度★★★★★

    秀逸です。(観ないと損します。)
    ただ、恐ろしいだけではない芝居でした。メッセージ性もあり、演出、俳優陣も素晴らしい。濃密な100分でした。(個人的には今年のベストになるでしょう。)

  • 満足度★★★★★

    アンリ バビュルスの地獄(Aキャストを拝見)
     雪の降る時、惨劇が起こる。開演前、舞台はかなり昏めだが、天井からは植物の枝葉が垂れ下がり、への字のように作られた縁側、障子の辺りの枝葉は下手から青のライトで照らされ、オープニングでは、不気味な風の唸り、津軽三味線の太棹の音。明転すると若者達が、漸うの体で転がり込んで来た所である。彼らの背後には、三味の音の後、影が、音も無くこちらへ回り込んでくる。若者達は、怖気をふるうが、この古びた家の者であった。

    ネタバレBOX

     物語は、この老人が、何故、この村には、人が居なくなり、この老人は、何者であるのかを明かすに至る昔話を語る、という形で進められる。
     時は、約100年前、日清・日露戦争後もまだ多くの農民が貧困に喘いでいた。そんな農民の前に開拓をすればその土地は自分のものになる、という話が聞こえてきた。場所は北海道だという。飢饉があれば、年頃の娘は売られ苦界に身を沈めねばならないような時代である。若く自分の土地を持たない多くの者が開拓地に夢をはせた。
     貞夫一家も、そんな夢を負ってこの地に入植してきた一家である。貧しさ故、ここ迄辿りつく為に持ち金の殆どを費やし、新しい土地を農地にする為に必要な牛馬の手当てなど思いもよらない。だが、村長以下、先に入植していた者達は、この一家の為に馬を購入、新入植者への贈り物として与えてくれた。無論、馬は大変高価なものである。村人達が新たな入植者にかける期待の大きさと好意が並大抵のものではないことが、この一事によって示されている。{無論、まだまだ他に多くの一筋縄ではゆかない問い掛けが潜んだ作品ではあるが、上演中である。頗る敏感な人も居るであろうから、ネタバレは取り敢えずここ迄(追記2015.3.12)}
     この後、人々の大きな心の傷が描かれる。その具体例は差別されることによって己の居場所を失くし、自らのアイデンティティーを自らの属する社会(既に失われているので見出しようが無い)に於いて見出せない者。アイデンティティーが成立する為には、二重の前提が確保されねばならない。即ち、社会の類的存在として確立されるべき自己自身の内面と社会の中である役割を果たし認められて在る自己との無矛盾の統一性である。然るに、自らの属する社会全体が、マジョリティー乃至は力ある者から否定され尚且つ自らが属すべき社会からも拒絶されているとあれば「自分」とは、無限の崩壊過程以外何者でも無い。この現象は自らの認識に於いては、無限に深まりゆく虚無感でしかあるまい。平吉の抱えている地獄はこのような四面楚歌であり、自らを自らであると措定できない、まさしく地獄なのである。平吉が狂わないでいられたのは、当に彼が天才マタギだったからであり、狩られる羆に敬愛の念を持ち得たからで、人間界などの及びのつかない世界をアイデンティファイの場として持ちえたからである。逆に、老人が狂気に陥った原因こそ、平吉のような被差別体験を他の人間との関係の中で殆ど味あわなかった為、養い親の平吉を失った後は、寧ろ羆と精神の一体化を果たし、人間にとっては錯誤であることが、彼には条理であったという結論も、意味深長である。
     もう一つ、見落としてならない点がある。貞夫が助かった自分の子(即ち語り手の老人)の命を共同体である村に捧げなければならない、と考えている点である。このような発想は、欧米的な個人意識とは相いれない。日本型村社会乃至は近世迄の道徳律であろう。同時に貞夫の判断に内在する狡さにも注目しておきたい。即ち己の家族を守れなかった罪の意識や弱さ、情けない無力感を、生き残った赤子を魔と規定することによって転嫁し、殺害しようと目論む論理に実に日本的な狡さを見るのである。これこそ、村社会を支える滅私奉公の論理、安倍の目指す国家優先の論理に連なる欺瞞そのものを表象していると見ることができる。つまり、滅私奉公の論理とは、責任転嫁によって更に陰湿に隠されたより凶悪な魔を隠す擬制の論理と見るべきなのである。安倍如き下司は、イスラム国を批判できるだけの内的倫理の統一性を持たぬが故に、非難する資格は無い。無論、イスラム国の蛮行は非難すべきであるが、彼らを生み出した先進国の欺瞞にも同時にキチンと公平・公正な批判の目を向けるべきなのである。

    おまけ:観方によって、イスラム国成立の背景まで読み取れる作品である。少なくとも自分はそのように観ていた。

    さて、おまけに記したイスラム国成立についても少し話しておこう。イスラム国の中心メンバーには、イラク、フセイン政権時代のバース党出身官僚や軍人、警察官などが居るということは以前コリッチの別な所で書いた。無論、現在も彼らの動きを見ていれば、それが単に烏合の衆ではなく、相当実務に秀でたメンバーが居ることは間違いない。で直接的にはそのように優秀な人々が何故このようなムーブメントを起こして行ったかである。最も直接的な最近のきっかけは、アメリカが国際法に反し、単に自分達の利益の為にイラク戦争を強行し、フセイン政権を倒し、バース党関係者を追い払ったこと、その後暫定政府を立てさせ選挙を行わせて、シーア派のマリキを首相として傀儡政権を操ったこと、マリキの下でクルドの民兵組織、ペシュメルガは、シーア派と共闘して秘密警察のような役割を果たし、スンニ派を捉えては酷い拷問や虐殺を繰り返したこと。アメリカが開戦の理由とした大量破壊兵器等無かったにも拘わらず、チェイニーやらラムズフェルド、ウォルフォウィッツらネオコンは、イラクの豊富な石油から上がる利権に群がり収奪したばかりでなく、チェイニー等は、復興を大々的に請け負い大儲けした。更に、軍を民営化したブラックウォーターメンバーらは、レイプ、略奪、虐殺等何でもしたい放題やって居た訳だ。ブラックウォーターの社長エリック・プリンスは、SEAL要員だったと言われている。またアメリカ軍の特殊部隊員・CIA暗殺要員に暗殺の仕方を教えたりとCIAエージェントとしても関わっていたとの情報もある人物だ。非公式ではあるが、サブラシャティーラ虐殺の理由とされるレバノンのハリリ暗殺は彼に関わりのある事だと言うし、パキスタンのブット暗殺に関わっていたとの情報もある。何れにせよ、糞野郎だ!! 公式国家レベルに戻ると、英米は、バクダッド等の都市部でも大量のDU(劣化ウラン弾)を使用した。その影響としか考えられない奇形、白血病や癌等の極めて深刻な症例が多発している。因みに、DUから出た核種で長い半減期のものは44億7千万年である。
     更に、米英等イラク戦争で客観的な戦争犯罪を犯した連中は、荒らすだけ荒らし、奪うだけ奪って、キチンとケアもしなかった。その結果、イラク国内に残されたのは、痛みと不可能、混乱と破戒、貧しさと悲惨、不信と恐怖、病と飢え、死の蔓延と絶望であった。このような混乱とカオスからイスラム国は生まれ落ちたのである。即ち、イスラム国を作ったのは、第一にアメリカ、第二にイギリスである。無論、イギリスには、サイクス・ピコ秘密協定の前科もあるのだ。アメリカ、イギリスに、DUというトンデモナイ兵器・弾薬群を使用した戦争犯罪の罪を問うべきである。そして、被災者総てと親族に対し、一人1億ドル(この額は間違いではない、仮に人類の末裔が、44億7千万年後まで残っていたとして、遺伝子破戒による悪影響を半減期だけでも適用する必要があろう。実に控えめな額なのである。実際、寿命を60年で計算すると44億7千万年の間にヒトは7千4百5十万世代を経るから一世代辺りの保証額はたった、1ドル34セント強でしかないのだ)程度の賠償金を支払うべきであろう。それほど被害は酷いのだ。
     
     これらが、我らヒトに負わされた負の性向であるならば、それを現前化させる為に、井保氏は重層化した人間関係を多面的に描くことによって演劇という表象に結実させたのである。


     

このページのQRコードです。

拡大