観てきた記録。
夏にたまたま『安部公房の冒険』を観ていたのも影響したかもだけど、
観られてよかった、っていうのが一番の感想かも。
冗長な部分もあったけど時代かなと。
ダンス部分はよくわからなかったけど(ごめんなさいダンス表現を観るのは苦手)
それ以外は、ぞっとしました。
満足度★★★★★
虚人伝説
人間の生に対する執着…究極には、見栄や外聞もなく虚勢を張ってでも生き抜く。その魂胆が見て取れる秀作だと思う。
あまり書き過ぎると、自分が透けて見えるようで恥ずかしく、また怖い。
全てにおいて印象深い公演でした。
満足度★★★
日本人の姿
戦中から戦後にかけての物語ですが、戦争の悲惨さを訴えるのではなく、人の欲望や無責任さが描かれていて、現代にも通じる内容でした。
とある東北の村を舞台に1945年と1960年が並行して描かれ、戦場に出ている息子が戦死したら結婚しようと約束している男女を中心に展開し、ある同様の出来事で2つの時代がクロスする物語でした。
前半は展開が緩慢で退屈感を少々覚えましたが、休憩を挟んだ後の後半は中心となる男女それぞれが息子との関係で大きなジレンマを抱えるシーンが続いて緊迫感があり引き込まれました。
緊張感の高まる場面でも時折笑えるやりとりが行われ、シニカルな雰囲気があったのが良かったです。
舞台全面に打たれる映像(プロジェクションマッピングも行っていました)がほとんど色を使わず、控え目な表現だったのが良かったです。
アンサンブルによる少々長めの身体表現のシークエンスが数回ありましたが、雪の中を進むシーン以外は中途半端に感じられました。
電子音と弦楽器による曲自体は良かったのですが、音楽を多用し過ぎているように思いました。音楽で盛り上げなくても演技だけで十分伝わると思いました。カーテンコール時の曲には違和感を覚えました。
満足度★★★★
荒廃か、それとも現実主義か
ダイダラボッチの存在とは?これに尽きるかなと思います。
作りとしては、オーソドックな演劇ですが、早替わり(?)の黒身を工夫した抽象で埋めたという感じです。後付け感がやや不快要素かも知れません。
「戦争」(敗戦気配も感じていたはず)の最中の人間が、自身のその後の身の行く先を利己的に求める姿は、世相の荒廃と断じる事は容易いですが、「生きる」という本能に従うとしたなら、それは別問題なのかも知れません。
相存在する「観念」と「本能」を「善」と「悪」と断じきれるのか?矛盾に満ちた人間の「生」を見つめた作品だと思います。
川口さん、中野さんの役者魂は若い世代の表現者のまさに手本となる演技でした。
老齢の観客層が多く、いびきが聞こえたりしていましたが、是非若い世代が観るべき内容だと思います。
満足度★★★★
下司野郎とそれに従う女の国
“だんだらぼっち”という呪いを唱えて不如意な自らのアイデンティティーを誤魔化し続ける日本人の典型を、その醜悪な迄に滑稽極まるゴヤの巨人のような巨大なイマージュと誇大妄想によってアイロニカルに描いた安部公房の作品の舞台化だ。
満足度★★★
無責任の論理
息子が戦死したら一緒になろう・・
こんな約束が出きる親、それが通る時代って何であろうかと考えさせられました。俳優座劇場の長所、回転舞台が効率よく活用されていて、素直に良いなぁと思ってしまった。中野誠也の演技も良かった。
満足度★★★★
世間の目!
前半はやや眠気を誘う展開、休憩挟んだ後半見違えるほど面白くなりました。
戦中、戦後という特殊な時代が生んだ目に見えない巨人、
世間の目から自分を守る為には息子も助けられない異常な時代でした。