巨人伝説 公演情報 巨人伝説」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.9
1-8件 / 8件中
  • 観てきた記録。
    夏にたまたま『安部公房の冒険』を観ていたのも影響したかもだけど、
    観られてよかった、っていうのが一番の感想かも。
    冗長な部分もあったけど時代かなと。
    ダンス部分はよくわからなかったけど(ごめんなさいダンス表現を観るのは苦手)
    それ以外は、ぞっとしました。

  • 満足度★★★★★

    虚人伝説
    人間の生に対する執着…究極には、見栄や外聞もなく虚勢を張ってでも生き抜く。その魂胆が見て取れる秀作だと思う。
    あまり書き過ぎると、自分が透けて見えるようで恥ずかしく、また怖い。

    全てにおいて印象深い公演でした。

  • 満足度★★★★

    小賢しい
    平時には平時のやり方が、有事には有事のやり方があるってことでした。

    ネタバレBOX

    戦後のドサクサに乗じて金儲けしたり土地を手に入れたりした話は聞いていました。昔は若死にすることも多かったので、嫁が死んだらその妹が嫁ぎ、さらに夫が死んでその弟と一緒になったなどという話も知っています。

    戦死しそうな一人息子のいる後家さんとねんごろになって、自分の子供のためにひと財産を築こうとする男がいたとは、凄いね、有事の悪知恵とはこういうことかとはたと得心しました。

    自分の息子は脱走兵になって自殺したため息子には財産が残せませんでした。それどころか、男はこの土地から逃げ出さざるを得ませんでしたが、戦後15年経って舞い戻り、戦争から帰還した女の息子を殺してとりあえず自分ののための住処は確保しました。

    食堂の壁のカビびっしり感が伝わって来なかったのは惜しかったです。
  • 満足度★★★

    日本人の姿
    戦中から戦後にかけての物語ですが、戦争の悲惨さを訴えるのではなく、人の欲望や無責任さが描かれていて、現代にも通じる内容でした。

    とある東北の村を舞台に1945年と1960年が並行して描かれ、戦場に出ている息子が戦死したら結婚しようと約束している男女を中心に展開し、ある同様の出来事で2つの時代がクロスする物語でした。
    前半は展開が緩慢で退屈感を少々覚えましたが、休憩を挟んだ後の後半は中心となる男女それぞれが息子との関係で大きなジレンマを抱えるシーンが続いて緊迫感があり引き込まれました。
    緊張感の高まる場面でも時折笑えるやりとりが行われ、シニカルな雰囲気があったのが良かったです。

    舞台全面に打たれる映像(プロジェクションマッピングも行っていました)がほとんど色を使わず、控え目な表現だったのが良かったです。
    アンサンブルによる少々長めの身体表現のシークエンスが数回ありましたが、雪の中を進むシーン以外は中途半端に感じられました。
    電子音と弦楽器による曲自体は良かったのですが、音楽を多用し過ぎているように思いました。音楽で盛り上げなくても演技だけで十分伝わると思いました。カーテンコール時の曲には違和感を覚えました。

  • 満足度★★★★

    荒廃か、それとも現実主義か
     ダイダラボッチの存在とは?これに尽きるかなと思います。

     作りとしては、オーソドックな演劇ですが、早替わり(?)の黒身を工夫した抽象で埋めたという感じです。後付け感がやや不快要素かも知れません。

     「戦争」(敗戦気配も感じていたはず)の最中の人間が、自身のその後の身の行く先を利己的に求める姿は、世相の荒廃と断じる事は容易いですが、「生きる」という本能に従うとしたなら、それは別問題なのかも知れません。
     相存在する「観念」と「本能」を「善」と「悪」と断じきれるのか?矛盾に満ちた人間の「生」を見つめた作品だと思います。

     川口さん、中野さんの役者魂は若い世代の表現者のまさに手本となる演技でした。

     老齢の観客層が多く、いびきが聞こえたりしていましたが、是非若い世代が観るべき内容だと思います。
     

    ネタバレBOX

     ダイダラボッチとは生きる営みを高所から客観視するためのツールなのでしょうか??そんな気がします。
     と、すれば、作者はここでうごめく人物たちを否定的にのみ捉えたのでは無いと思いました。
     醜い姿がバイタリティーという好意の横文字に置き換えられた戦後民主主義の姿を危惧しているのか。
     それにどっぷりと浸かって、ある程度良い想いをした老年層は今さらそれを悔いる事はしないのでは?
     だから、これから人生を進める世代が観る必要があるのだと思います。
  • 満足度★★★★

    下司野郎とそれに従う女の国
    “だんだらぼっち”という呪いを唱えて不如意な自らのアイデンティティーを誤魔化し続ける日本人の典型を、その醜悪な迄に滑稽極まるゴヤの巨人のような巨大なイマージュと誇大妄想によってアイロニカルに描いた安部公房の作品の舞台化だ。

    ネタバレBOX

    面子を守る為に、罪もない一家の家に放火する。理由は、朝鮮系というだけだ。女、小さな子供を含めて、一家全員が焼け死んだ。それを村長は、脱走兵を出した村の村長という非難から逃れる為に、村の巡査と共謀して実行したのだ。今も、この見苦しい精神構造は変わらない。事実をキチンと観ることより、建前を重んじ、利害だけを優先し、自らのアイデンティティーを曖昧化することによって倫理的責任を逃れようとする下司根性は一切変わっていないからだ。
    日本人は、自分の胸に手を当てて、深く考えてみるべきだろう。
  • 満足度★★★

    無責任の論理
    息子が戦死したら一緒になろう・・
    こんな約束が出きる親、それが通る時代って何であろうかと考えさせられました。俳優座劇場の長所、回転舞台が効率よく活用されていて、素直に良いなぁと思ってしまった。中野誠也の演技も良かった。

  • 満足度★★★★

    世間の目!
    前半はやや眠気を誘う展開、休憩挟んだ後半見違えるほど面白くなりました。
    戦中、戦後という特殊な時代が生んだ目に見えない巨人、
    世間の目から自分を守る為には息子も助けられない異常な時代でした。

    ネタバレBOX

    村長選挙立候補者の戸田音吉と農協の組合長の木村と結託して、職権を乱用して金儲けを考えていた。そんな時、突然元巡査で理由ありの大貫が久しぶりに村へ戻った。大貫は戦時中に夫婦約束した女主人との仲を息子に認めさせる口利きを戸田に頼む代わりに、村がすべて見渡すことができる食堂を選挙事務所にしようと考えていた。息子は内緒で勝手に決めた大貫に怒りを示したが、村の青年団の友人が大貫が息子が死ぬのを望んでいたという言葉になぜか猛烈に腹を立て友人を追い出す。
    住むところがない大貫は3人で暮らそうと息子を説得するが、息子は大貫とは一緒には住まないと言い張る。
    食堂女主人は目の見えない片足の息子か、恋人の大貫かの選択で悩む。最終的に男同志で女主人がいない場所で決めようとなる。夜灯りのない中での争いは目の見えない息子が有利で戻ってくると思っていたが、食堂に戻ってきたのは大貫だった。大貫は世の中は思った通りに行かないのが常と嘯き、女主人に息子の死は自殺だと口止めする。

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