私たちのイブたち 蝕~岸田理生作・戯曲「私たちのイヴたち」より~ 公演情報 私たちのイブたち 蝕~岸田理生作・戯曲「私たちのイヴたち」より~」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    セリフが立つ演出
    “アングラ劇=ビジュアル偏重”のイメージを大きく裏切る一作。

    衣裳や美術へのこだわりを最小限にとどめる代わりに役者が織り成す陣形=フォーメーション、そして舞台隅の楽師による音効を兼ねた打楽器演奏で美を生みだし、それらとセリフのみで魅せるシンプルな劇世界にグイグイ吸いつけられました。

    そうした演出はおのずから役者のセリフに聞き入らせ、リオフェス参加作のうちアゴラで上演された三編の中では、巧み抜かれた理生言語を最も堪能できた。
    その美しい言語に酔えたのは、年輩者主体の役者陣による重厚で説得力あふれるセリフ回しによるところ大だったことは、ここにしっかりと記しておきたい。


    物語はアナーキスト・大杉栄の一代記。
    その女性関係を軸に話が展開するのは、その革命思想について知りたかった大杉初心者としてはやや物足りなかったけれど、そのような戯曲の上に本作が成り立っている以上、これは致し方のないことなのでしょうね。

    ネタバレBOX

    本作では、ナレーターを含め色んな役回りを色んな役者が兼任。

    この趣向が功を奏し、演じ手によって大杉栄がただの女好きなロクデナシに見えたり、ただの女好きなロクデナシに見えたり、ただの女好きなロクデナシに見えたり...や、本作を観るとまず第一にそうした印象を受けるのだが、でも時に廉直な熱血漢に見えたり、ウジウジしたさみしがり屋に見えたりと様々な大杉像を観客にもたらし、この公演をより豊かで広がりのあるものにしていたと思う。
  • 満足度★★★★

    甘粕事件
    甘粕が語りました。

    ネタバレBOX

    2013年11月に上演された『さらば八月の大地』(新橋演舞場)で描かれた満映理事長甘粕正彦は、日本人と当時満人と呼ばれていた中国人を差別せず、満人のための映画製作を標榜していたため決定的な民族対立なども無く、お芝居自体は逆に盛り上がりに欠けるものでした。

    それくらい甘粕はいい人でした。今回本作品を観て、満州で諜報活動をして夜の帝王と呼ばれていたという部分はさて置き、甘粕本人の口から大杉栄や伊藤野枝を虐殺した甘粕事件の首謀者ではなく、身代わりで服役していたことが語られました。『さらば八月の大地』で、満映解散式のようなパーティの後に自殺した事情が、甘粕事件や諜報活動の真相を闇に葬るためだったということも理解できました。

    配役がオモテとウラで二人ずついて誰が誰だか分かりづらく閉口しましたが、甘粕から真相を訊き出すことによって公表された歴史と真実の歴史を統合する趣旨ということが分かり一応納得しました。

    それにしても、思想というより恋愛と嫉妬で結びついたり離れたりの人間関係、大杉を刺した神近市子が戦後国会議員を努めていたとは何とも凄まじいイヴたちでした。

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