初雪の味 公演情報 初雪の味」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-20件 / 34件中
  • 満足度★★★★★

    【会津編】
    2013年、初観劇
    毎年、繰り返される大晦日の風景
    少しづつ語られて行く、家族の関係と、変わりゆく人々の状況を興味深く楽しめた。本当なら一族として、昔から永延と繰り返され、これからも繰り返されるべき風景であるなずなのに・・・
    この後の【鎌倉編】も楽しみ♪

  • 満足度★★★★★

    【会津編】母の言葉
    【会津編】を観劇。
    “万感の思い”という言葉が浮かんだ。
    ふるさとの「家」は「家族」であり「母」である。
    これらいずれ喪うであろうものに対して、切なる寂しさを抱く人にとっては
    吉田小夏さんの台詞と役者の力の前に、涙せずにはいられないだろう。
    ”言外の思いが聴こえる台詞”が素晴らしく、
    思い出すと今も泣きたくなる。

    ネタバレBOX

    舞台に広々としたこたつのある居間が広がっている。
    横長のこたつのほかにはテレビもなく、会津の民芸品が飾られた棚がある。
    市松柄の障子戸の向こうは廊下で、上手は玄関、下手は奥の部屋へと続いている。
    八畳間の清々しい空間。

    この家には母(羽場睦子)と次男の孝二(石松太一)、それに母の実弟で
    結婚せずに役場勤めをしている晴彦(鈴木歩己)が住んでいる。
    長男賢一(和知龍範)と長女享子(小暮智美)が帰省してくる大晦日の夜を、
    4年間に渡って描く物語。
    最初の年の瀬、母は入院していて留守である。
    次の年、その次の年と母は家にいるが、最後の年は葬儀の後初めての大晦日だ。

    ふるさとの「家」は「家族」であり「母」である。
    そこでは毎年お決まりの会話が繰り返され、それが”帰省”を実感させる。

    母は次第に弱っていくが、比例するようにその言葉の重みは増していく。
    しばらく帰省しなかった長女が、その理由を話そうとして話せずにいるのを見て
    「無茶するな、でもどうしてもしたいことなら無茶すればいい」
    という意味のことを言って明るく笑う。
    享子は顔を覆って泣いたが、その包み込むような言葉に一緒に泣けてしまった。

    死後幽霊となって弟晴彦の前に現われた時は
    「旅をしないのも勇ましいことだ」と彼に告げる。
    町を出ず、結婚せずにずっと自分を支えてくれた弟の生き方を肯定する言葉に
    晴彦は涙をためて姉を見つめたが、私は涙が止まらなかった。

    初演は8年前、これが4度目の再演だというこの作品で
    羽場睦子さん1人が初演からの出演だという。
    この人の体温を感じさせる台詞が素晴らしく、
    役者が年齢を重ねることの意味を考えさせてくれる。

    弟晴彦役の鈴木歩己さん、素朴で実直な独身男の不器用さが
    そのたたずまいからにじみ出るようで秀逸。
    姉を喪い、家も買い手がついて、この人のこれからを思うと
    どれほど寂しいことだろうかと、私の方が暗澹としてしまう。

    次男孝二役の石松太一さん、「キツネの嫁入り」でも素晴らしかったが
    定職にもつかず母と同居して、何かしなければと焦っている様がリアル。
    女に振られる辺り、多分したたかな女に振りまわされたのだろうと充分想像させる。
    素直で世間ズレしていない感じがとても良かった。

    吉田小夏さんの作品には、いつも滅びゆくものに対する哀惜の念を感じる。
    部屋のしつらい、繰り返される行事、慣れ親しんだ習慣、そして方言。
    何気ない家族の会話がひどく可笑しいのは、このおっとりした会津方言の
    音やリズムのせいもあるかもしれない。
    タイトルの「初雪の味」のエピソードも、人生の苦味を感じさせて味わいがある。
    じわりと変化する照明も巧いと思う。

    アフタートークには田上パル主宰の田上豊さんが登場、
    今回方言翻訳・会津編演出を担当した「箱庭円舞曲」の古川貴義さんとこたつで対談。
    田上さんも熊本の方言で芝居を書くそうで、方言の演出についての話が面白かった。
    標準語を方言に直すと句読点の位置がずれるという。
    個人の言語感覚の根底にあるのだなあと改めて思った。

    私の2012年のラストを飾る1本は、
    言葉の美しさと台詞の妙、役者の力がそろった作品だった。
    滅びゆくものたちへの言葉、それはまさに演じては消える生の舞台の宿命にも似て
    だからこそ私たちはまた劇場へと向かうのだろう。
    儚いものを目撃するために・・・。
  • 満足度★★★★★

    てがみ座長田さんと小夏さんトークセッションもたのしい♪鎌倉編、超混雑ヒット中!!
    正面の廊下ので入りが演出のポイントになっています。演出小夏さんが心を出し入れしてみせたところなのかもしれない。夢や人間のたましい、過去と現実が去来。家族の歴史と痛みの歴史。かわらないのはいつも「いま」の泣き笑いが絶好調なことお。そしてことしも暮れてゆく。

    ネタバレBOX

    笑いのポイント満載ですよ!!
  • 満足度★★★★★

    去年今年貫く・・・・・雪の鎌倉 
    年末の慌ただしさ、突発の仕掛りに振り回されて、ようやく正月気分の4日にアゴラを訪ねた。とうとう年賀状も年末ぎりぎりになり、舞台の人物と自分が重なってくる。なんとか、お芝居を観る時間をひねり出せた自分を少しは認めてやり、豊かなぬくもりを共有させてもらえたのが嬉しかった。そうそう、これが青☆組ファミリー何だわいとほくそ笑んだ。今回も小夏作品独特の世界に引き込まれてしまった。敬服!また、新しい一歩を踏み出そうと思った。ありがとう!!

  • 満足度★★★★★

    鎌倉編
    とある家族の大晦日を何年かにわたって描いた秀作、家族・親族の情がまんべんなく漂い、大晦日感もたっぷり。
    そしてユーモラスながら一抹の寂しさ(第3場の「あと何回こんな年越しができるのだろう?」な想いが身にしみる)もあり、よき観劇初めとなる。
    観ながら会津編のキャストを重ねてみたりもして。

  • 満足度★★★★★

    会津編
    基本的には同じ脚本・同じ装置なのに、アタマの中に広がる「外の景色」が全然違うのは不思議。これぞ方言の成せる技か。
    それにしても赤べこなどの小物が違うのは気付いたが、こたつの電源コードがない(=掘りごたつ:布団に隠れて見えないが、装置もちゃんとそうなっていたそうな)とか、台詞の中の「スクーター」が「軽トラ」になっているなんてところまでは気付かなかったなぁ。あと、台詞に出てきた「飯盛山のさざえ堂」が懐かしい。

  • 満足度★★★★★

    【鎌倉編】観劇
    切ないです。とりあえず、今年の正月も帰省します。

    ネタバレBOX

    数年に亘る大晦日の話。

    親がかすがい、家がかすがいですね。

    人生の時期ごとに家族、特にきょうだいの意味合いが異なってきます。一緒にいるのが当たり前の時期から、エネルギーを使わなければ集まれない時期へ、ある時はエネルギーを使ってでも集まりたいと思ったりと変貌します。

    母親が亡くなり、実家も売り払うとなると、同居していた叔父さんのアパートに集まることになるというのですが、さて、来年の大晦日は集まるかもしれませんが、どうでしょう、次の年は微妙です。決してそれが悪いわけではありません。各自の人生のステージにおいて当然の帰結ですが、ちょっと切ないです。

    ところで、幽霊物は好みではありません。8年前の作品なので今の吉田小夏さんなら恐らくそうはしなかったとは思いますが、亡くなった母親の登場場面は幻想にしてほしかったです。特に、向こうには向こうの約束事がある的なフレーズは確信犯で、こちらとしても幻影に置き換えることはできませんでした。ふと気づくと長女と入れ替わっていたなんてことができれば最高だと思いました。

    アフタートークでてがみ座主宰の長田育恵さんが話された鎌倉の小町通りは井上ひさしさんとの思い出の地だった発言はとてもとても印象的でした。
  • 満足度★★★★★

    鎌倉編
    何気ない日常を扱っているが、青☆組というか吉田小夏ワールドというか、独特のテイストが感じられる作品。大人の童話的な、なんともいいがたい、心のひだに染みこむ舞台。大晦日に観たことで、リアリティさえ体感できた。

  • 満足度★★★★★

    初・青☆組観賞
    15時会津編→鎌倉編2本を1日で観ました。こんな観劇初めてだったので非常に面白かったです。方言の違いはあるとは言え、同じ脚本、同じ装置なのに違う家族を観たかのような気分です。でも本来家族はみんな違うので、それが自然に感じられたのが面白かったです。1本ずつ観たり、観る順番が違ったらどう感じるのかまた興味深いですが、2家族それぞれに感情移入しました。途中、劇場の前を火の用心が通り、その音さえも年の瀬を感じさせ舞台と一体化して透明で静かな時間を過ごせました。

  • 満足度★★★★★

    母親の穏やかさが身に染みる
    鎌倉編堪能。家族の輪郭はつくづく母親が作るものなのだと実感させられました。母親が優しく穏やかであること、これが家族の雰囲気をもっとも理想的に形作るのかと感じました。ここでの典子さんは菩薩のような母親で、その周りに居る家族たちも、みんなが少しずつ思いやりを持って接している様子が素敵でした。年に一度しか戻らない長男と長女ですが、その繋がりの深さも読み取れて、優しい救いのある舞台でした。

  • 満足度★★★★★

    静かな感動
    鎌倉編を観劇。ささやかな日常を切り取った話ではあるのに、引き込まれてしまう。何気ない会話のやり取りなのに、胸に強く響く。小夏作品、そして青☆組の舞台には独特の空気が漂う。何なんだろうこれは…なにか美術品を観ているような…。
    青☆組の役者さん達は流石!!そして羽場睦子も加わり、更なる深さが。
    おじ晴彦を演じた藤川修二は、あの人ならではの味で可笑しさ、哀しさを醸し出す。
    この寒い季節、心にほっ!と暖を得たような、そんな優しさと余韻の残るすばらしい作品でした。

    ネタバレBOX

    ひとつとても残念だったことは、季節がらダウンの上着を着たまま観劇している方が、動くたびに、ザワザワザワ!とこすれる音がして度々集中を妨げられたことです。しかも静かな余韻や間を楽しむところで。せめてそういうところでは動かないで。おねがいします。

    追記:翌日会津編も観ました。キャストの違いや方言の持つぬくもりに素朴な味わいを感じながら、二編の違いをたっぷり楽しみました。それにしても羽場睦子、大西玲子の変貌ぶりには脱帽。その技量は特筆に値すると思います。それぞれに深い味わいがあり、両方を観たことによってより心に残る忘れられない観劇となりました。 (あえて言うならば、鎌倉編がより好みでしょうか)
  • 満足度★★★★★

    無題563(12-306)
    19:30の回(小雨)。少し早めに着いたのでマックでコーヒー。アゴラまでならなんとか傘をささなくても行けそうだったので歩く。と、会場前で声をかけられ、振り向くと今夜のアフタートーク・ゲスト長田さん。先日「青のはて」をみたばかりで、ようやく宮澤作品を読むことにしましたとお話する。来年のミュージカル「by the sea(長田さん作・脚本・作詞)」は予約済み。
    「長田さん」「鎌倉」で今夜の公演を選びました。受付していただくとチケットには整理番号。開場時間まで奥の部屋で温まっていると、てがみ座の今泉さんがいらしたので少しお話。

    19:10開場。広い畳の和室、白いのは雪のイメージでしょうか、四角く敷かれた畳、大きなこたつ、湯のみ、年賀状、辞書。畳の辺、外と内との境には囲うように白木、その外には白い玉砂利が敷かれ、雪が積もったようであり神聖な趣。左右に3本ずつの木柱、これも白、みな長さが違います。能舞台の柱に近いものなのか...。奥には白い障子、ところどころ抜けていてそこは黒、廊下の向こうは黒...大晦日の夜。下手にえんじ色の台、こけし、毬、鳥笛、陶器、雑誌??。上手は台所へ通じ、えんじ色ののれん。限られた色の舞台。19:24吉田さんによる前説(95分)、空調がとまり開演~21:07終演、21:13~21:36アフタートーク。駅まで傘をささず歩く。

    何とか会津編も、和知さん、みたい。


    ネタバレBOX

    アフタートークでも、鎌倉、横浜という地名がでて、質問されたお客さんも鎌倉ということ。個人的に...生まれたのは横浜市(但し小さすぎたので記憶なし)、育ったのが鎌倉市。北鎌倉駅で降り、円覚寺、葉祥明美術館、建長寺、明月院、横から八幡宮へ、鎌倉小町通りを歩き鎌倉駅へ、海まで歩いても、江ノ電に乗って江の島へ行っても、これがお気に入りのコースでした。

    先日、その実家を引き払ってきました。何十年も住んでいた家、何もなくなってしまった家。周りの風景が、物心ついた時からのことが、幾重にも幾重にも、繰り返し、思い出されます。

    遊んだ場所、通った道、今もかろうじて残る商店街の片隅のお店。

    いつもと同じ大晦日、そうではなくなった大晦日。静かな舞台と演技は、深々と降っているであろう雪に包まれたような感覚にさせてくれます。

    ときどき聞こえていたのは除夜の鐘...横浜は船の汽笛ですね。

  • 満足度★★★★★

    こたつのぬくもり
    会津編を観劇しました

    方言という、「音」の流れの中に垣間見える、
    こたつのようなぬくもりが、心地良い作品でした

    大晦日という、終わりであり、始まりのよるに、集まる家族たち
    「失う」ことを、乗り越えるでも、立ち向かうでもなく、
    受け止める物語だと受け取りました

    「歩いてみると、結構長いのね。あの坂…」
    私にはとても響きました
    まるで「人生」のことを言っているかのような

    私自身も28歳の長女で、実家から出ています
    とてもきょうこに共感を覚えました

    家族に話せない事だっていっぱい抱えている
    しかし、どこかで聞いてほしくて、心配してほしくて…


    こたつの中のぬくもりのように、
    心にしみる4年間の大晦日でした

  • 満足度★★★★★

    会津編と鎌倉編
    上演時間95分。大晦日の茶の間の風景が、雪の結晶のようにはかなく美しい。3年目の晴と母のツーショットはそれだけで泣きたくなった。場内は若干寒いので上着は預けない方がよい。

  • 満足度★★★★

    会津編(今年の初芝居)観劇
    たんたんと、坦々とした物語に感じました。
    ・・・ながらも、心に残る話でありました。
    <家族>という言葉がしんみりきました -1時間40分-

  • 満足度★★★★

    特別な日
    「会津編」観劇。愛しい100分の大晦日。描かれない364日がギュっと詰まった特別な時間と感情。一年が終わる大晦日は他の一日と同じ一日なのに、特別だなぁ。繰り広げられる物語は他愛ない日常なのに、年を重ねていく事の情感が込もっている。我々を取り囲む環境も、この肉体もこの瞬間も滅びていくのだけれど、この日常の一瞬一瞬はかけがえが無いなぁと思いました。

  • 満足度★★★★

    良質のホームドラマ
    鎌倉編。ワイルダーの「長いクリスマス・ディナー」の大晦日版の趣。今年の観劇納めにふさわしい作品でした。

  • 満足度★★★★

    会津編
    変わりゆくもの、変わらないもの、一年スパンの四幕にうまく詰め込まれていたのではないでしょうか!?日々の流れのなかでは気づかない変化も1年を隔てると大きく違っていたり、いなかったり..... 初雪の味は年毎に違うのでしょうね!

  • 満足度★★★★

    鎌倉編
    作品とは別なことですが、ここ数年、青☆組 という集団が創る作品が観たくて、この正月、やっと叶いました。

  • 満足度★★★★

    初春に大晦日の物語(鎌倉編)
    昨年も新春一作目は、ここ駒場アゴラ劇場で時間堂の『星の結び目』を観てきた。ことしもここ、こまばアゴラで幕開け。
    吉田さんの作品は静かに心に浸み入ってくる。本作も同様に青☆組劇団員の皆さんが一体となりから、舞台から語りかけてくる。
    本当にいい芝居を観れた。今年もたくさんの芝居を観いて行きたいという気持ちにさせてくれる一作であった。

このページのQRコードです。

拡大