スイングバイ 公演情報 スイングバイ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-20件 / 35件中
  • 満足度★★★★★

    柴幸男ワールド全開!
     前回の「わが星」で星の誕生から滅亡までをちょっとコミカルな5人家族で表現した柴幸男が今度は「スイングバイ」で人類の歴史を超高層ビルに見立て、悠久の営みを会社での仕事に置き換え、独特のリズム感で表現した。

     初日ゆえの堅さもあってか、完成度ではまだ「わが星」に及ばないものの、岸田戯曲賞受賞というプレッシャーに負けず、自由奔放に演出している様子が伺えてうれしかった。端々に独特の感性と感受性が感じられ、今、時代と共にある劇作家の代表である。見逃してはいけない作家だ。

    「わが星」で完成させた柴流のリズム演劇が、今回も見事に機能し、オープニングとエンディングの会社の風景はまるでスポーツ中継を観るかのようなわくわく感でいっぱいだった。

     役者では部長を演じた菅原直樹が独特の魅力があった。新人サラリーマンを演じたいしおと、その恋人でエレベーターガールを演じた菊池明香がさわやかだった。

    ネタバレBOX

     場面転換で役者達が一斉にくるりと宙を舞う。これがスイングバイだと思った。回転しながら加速度を生む運動。このスイングバイで芝居全体にリズムを作り、そのリズムの中で物語にきらめきを持たせる。

     柴幸男はまるで化学者のように、新たな実験を次から次へと始めた。我々は錬金術師の産み出す化学変化をただ、楽しめばいいのである。
  • 満足度★★★★★

    懐かしいなー
    初めてままごと観たのがこれでした。誕生日の前の日でしたねーこの日も楽しい日だったなー

  • 満足度★★★★★

    柴幸男さんの才気に一目惚れしました
    今まで、こういう風にしたくてそうできない芝居は数々観た記憶はありますが、こういう風にしたくて、こういう風に見事に具現化できた芝居は、たぶん初めて目にしました。
    まさに、大袈裟に言えば、演劇の果てしない可能性を実証した公演。こんんなに、才能ある演劇人がこの世に存在したんだと、興奮冷めやらない思いで、恍惚感に胸溢るる思いで、帰路につきました。
    それに、柴さんの佇まいがとにかく素敵!!普通な感じが。(笑)
    今まで、せっかく後味良い芝居に感動しても、そのすぐ後に、これ俺様の仕事だぜ的な、したり顔の主宰のアフタートークなどに、げんなりした経験が数多いので、最初、柴さんが舞台に登場された時は、一瞬その嫌な経験がフラッシュバックして、心配になりましたが、良い意味で、存在感のない方で、ほっとしました。客に不快感を与える主宰だと、どうも100%その劇団のファンにはなれないのですが、ままごと、初見にして、大お気に入り劇団になりました。
    今年の☆5つでは足りない舞台3作目。
    この作品の素晴らしさを言葉で伝えるのは、非情に困難です。まさに、奇跡的実験劇の秀作。実際、体感して頂くのが、一番だと思います。

    今日の、柴幸男さんとの出会いは、私の長い観劇人生の中でも、きっと生涯忘れられない思い出になりそうです。

    ネタバレBOX

    お客さんが、座り終わった頃を見計らい、タイムカードを押して、出社してくる社員達。もう、そこから、既に、この大人版おままごとが見事に幕を明け、客席の気持ちを、まんまと、舞台に参加させてしまいます。
    手渡される社内報、一緒に歌える、元気な社歌。そういう、お膳立てが、まさにまま事遊びそのものなんです。
    会社に見立てた人生には、だから、戦争や貧困は一切登場しないのは、想定内のことでしょう。だって、これは、おまま事なんだから。
    裸舞台で、セットや小道具は一切ないのにも係わらず、説明的な台詞も前振りもなく、瞬時に、その場面の舞台を客に理解させてしまう、柴さんの手腕に心底舌を巻く驚きをもらいました。
    オペラのように、登場人物が全員舞台上にいるのに、瞬時に、その場面の登場人物だけに照明を当てるかのような、演出の才には、度肝を抜かれました。
    まるで、それだけでも十分美しい緻密な設計図によって、類稀ない職人達の技巧によって、建築が成った、世界遺産的な美術建築を目の当たりにしたような、スゴイ体験でした。
    役者の個性で見せる演劇とは異質の、綿密に計算された、作劇の妙に、感嘆させられっぱなしの90分でした。
    全てに、破綻がなくて、もう見事なまでの職人芸!!
    堪能させて頂きました。

    これと言ったストーリーがないかのように見せて、実は、登場人物の人生模様も、見事に活写されていて、秀逸でした。
    小梁さんと奥さんの会話シーンでは、涙がこぼれました。そこに射す夕日の美しさに、胸がいっぱいになりました。
    最後に、エレベーター係の鬼頭さんと、新人社員の大石のカップルが、実際またタイムカードを押して、実際のエレベーターに乗り込み、退社するシーンが、また何とも言えない余韻で、胸に沁みました。
    これから、ままごとは絶対見逃しません。
  • 満足度★★★★★

    ビルの記憶
    悔しいことに「わが星」は観に行けなかったので、これがままごと長編初観劇。
    好きだ嫌いだという以上に、ままごとの言葉の温度と見据える視野は自分の感覚のあどけない部分ににしっくり馴染んで心地がよい。そして観終わって充足感がこぽこぽ沸き起こる幸せな空間の作り。
    これがこれだけ面白くて、じゃあ皆の評価が高い「わが星」は一体どんだけなんだと今からワクワク期待が高まって仕方が無い。
    「わが星」待ち遠し。戯曲は買いたいけど公演まではぜったい読まない!

    ネタバレBOX

    人類が経てきた数千年ぽっちの年月を具象化したビルという建造物。
    観客は、ビルが経験してきた(経験する)記憶のあちらこちらを観ているのだなあと思った。
    「物語」を真正面から肯定できるほど素直な世の中に育ってきていないと自負している立場として、明確な「物語」でない、このスタイルだからこそすんなりと受け取れる要素があるのではないかと考えることが多い。
    例えばそれは、この作品が「働く」ことに関して肯定してゆくもの。
    掃除のおばちゃん、熱い新人。過去、今、未来の中でバトンを受け渡す者として映し出される彼らは、「今」の中での意味に追い回され息切れする肩を「いいんだよ」とポンと叩く。
    この視野は、誤解を恐れずに言えば宗教のふところに似ているのだと思う。

    自分も近頃「働く」ことに関してグルグル考え出す時期が始まり、度々この「いいんだよ」というまなざしを思い出しては深呼吸する。
    この舞台を必要とする人は、確実にどこかにいるだろう。だからもっと色んな人に観てもらいたい、と強く思った。
    とにかく、観ることができてよかった。
  • 満足度★★★★★

    観ました
    よかった。ワイルダーですね。

  • 満足度★★★★★

    遅くなりましたがアップします。
    鮮烈な舞台空間。
    あの使い方を思いつく演出家が何人いるだろうか。
    舞台片隅で固唾をのんで見守りつつ参加して座っている柴さん。

    舞台芸術自体が新しく感じられる素晴らしい舞台だった。

    途中から台詞にキレがなくなったことが残念といえば残念。
    物語をもう少し分かりやすくすることで、より多くの人を引き込めたのでは。
    柴さんという方はそこを望んでいないのかもしれないけど。

    総合的に、とてもよかった。

  • 満足度★★★★

    すがすがしいポップ
    つらさとか、真理とかをえぐるだけが、芝居じゃない。
    それよりも、社会をつくっているだけで、ちゃんと大丈夫なんだよって
    言ってもらえたような気がしたのが、ほんとにうれしかった。
    システムとコンテンツのバランスから言えば『わが星』の奇跡と比べられるから、きっと分が悪いと思う。
    でも本質はそこじゃなくて、きわめて個人的なテーマ選びから、いっきに普遍的な広がりに持って行ける大胆さと、伸びやかな清廉さだ。
    いつまでも等身大のことばかり考えているわけにいかなくなった演劇に対して、柴さんはちゃんと彼なりに、アプローチしている。
    ままごとという、虚構を虚構として認識し、その上で、現実との境界を再構築する遊びを、きちんと果たしている。
    彼が、想像もできないくらいの大きさの時間や空間をおもちゃにして遊ぶとき、わたしたちは自分の相対的な小ささを認識する。
    そしてわたしたちの悲しみや寂しさはちゃんとわたしたちのものとして返ってくるのだ。

  • 満足度★★★★

    おもしろいのは確か
    私的にはかなりのヒット作。
    ★4つか、★5つかで迷う。
    昨年のアワードで第一位になった旗揚げ公演は観てないのだけど今作も着想は似てるのでしょうね。

    開演前に配られるあれで、そして進行の過程で、そこに書かれた方をリスペクトしてるのだなと分かる。

    突っ込みどころにはあえて突っ込まず、見せてくれたところをそのまま楽しむのが良いのかな。

    わたしは大好き。DVDに残しにくい構成だよね。それに、きっと残さないよね。

    今作の演出・濃密さは、アゴラ劇場ならではで、これ以上大きな劇場になると希薄になってしまう気がするけど、どなたかも書かれていたように次回作品は、動員・集客数も考えて、池袋・東京芸術劇場あたりがいいかも。

  • 満足度★★★★

    ニンゲンの輝ける歴史をシンプルでポジティブに
    めまぐるしく状況が変わるが、理解しやすい演出がなされていた。
    ただ、このポジティブさがちょっとだけ気になった。

    ネタバレBOX

    チケットがタイムカードで、機械にガチャンと通してからの入場だったり、会社のオフィスの体で、注意事項を説明したり、なんていう雰囲気が楽しい。

    楽しく、リラックスした雰囲気で始まるのがとてもいい。
    社歌も楽しかった。むやみにパートが分かれていたりして。

    地上は2010階以上あり、地下は300万階あるという、ACとBCを分けて地上と地下に建っているビルが舞台。
    この設定で、これが何なのかはすぐわかるようになっている。

    ある職場の一日が描かれるのだが、そこに関係する人々の人生の一部でもある。そしてニンゲンの歴史でもある。

    人は仕事をする。その仕事で人と出会い、別れていく。別れは一時的なものであったり、永遠だったりする。
    退社することは、死ぬこと、早退は、自らの命を縮めること。
    仕事=人生(生きること)な世界。もちろん、比喩的なのだが。

    会社員という設定に背中を預けての、世界観を披露しているのだが、どうもポジティブすぎる。
    早退しようとする、痩せた男も出てくるのだが、それは彼のみが抱える問題のように見え、それ以外はポジティブさが溢れているのだ。まるで、何の問題もそこにはないようだ。

    生きることはポジティブであれ、ということが根底にあるのだろうが、仕事をするということは、それだけではないだろうと思う。
    どうも高度成長時代の会社員たちを見ているように思えてならない。

    これって「2010年」の階ではないんじゃないの? という気持ちがどうしても出てきてしまう。
    「働く」ことの不安や障害がないのだろうか。楽天すぎやしないだろうか。
    何も派遣切りやリストラが溢れる現在の労働状況を描けというのではない。

    働くことには、やはり何かの問題がつきまとうのではないだろうか。どんな仕事をしていても、常に順風満帆というわけにはいかないだろう。
    ネガティブと言わないまでも、大変さや苦労は、やっぱりあるんじゃないかと思う。単純に言えば、通勤ラッシュから始まる肉体的苦痛と、上司や部下や同僚との関係などなどなどなどなど。

    軋轢や壁を乗り越えることが人を大きくするのではないのだろうか。
    「仕事」を軸にして、ニンゲンというものの歴史を描くのならば、そうした一面もきちんと織り込むべきではないのだろうか。
    つまり、早退した男は、そうした軌道に乗れずに、自ら敗退してしまった、敗者のように描かれてはいなかっただろうか。

    ここが、2010階ではなく、高度成長期時代の階のように感じてしまった一番のところだ。
    ・・・幕開きの前の音楽は、スーダラ節など、まさにその時代を象徴するようなクレージキャッツの歌だったりしたし。

    大変な仕事をどうやってこなして、どう生きていくのか、あるいは生きてきたのかという視点で、ニンゲンの歴史を見てほしかったと思うのだ。
    それがあってのポジティブさならば、違和感は感じなかった。

    もちろん、この職場の設定が広報誌を作っていて、それは誰も本気で読んでないとという、組織の歯車としての会社員の虚しさはあるが、結局は、どの人も単純にそれは飲み込んでいってしまうのだ(ただ1人は異動していくようだが)。

    歯車というのは、ラストで、書類を手渡しながら、全員がくるくると現れ消えていく様子に集約されていたようにも思える。
    それが「虚しそう」なのではなく「楽しそう」なのだ。

    楽天的とも言える。これは、どうしてなんだろうか? と考えざるを得ない。ひよっとして、作・演出の柴さんが、がっつりの会社員経験がないからたのだろうか(実際はどうなのか知らないが)、だから歯車になったときの「虚しさ」や歯車としての、組織的な動きの連帯感などからくる「楽しさ」というレベルまでに達していないのではないだろうかと思う。

    結局、本当は、作・演出の柴さんが(たぶん)一番楽しんでいるのだはないだろうかと思った。
    シーンごとの、柴さんのチーンベルの合図とともに役者たちが動き、台詞を言う、そんな様を稽古のときのように近くで、柴さんは眺めている。しかも、稽古とは違い観客というプラスアルファの要素(しかもギュウギュウの満席で)まであるのだから。

    私の席からは、柴さんの顔は見えなかったが、間違いなく、幸福に満ちた顔をしていたのではないかと思う。
    実際、この舞台が設定している本当の観客は、演出家である、柴さんだったのではないかと思ってしまったり。

    人の歴史は、地下300万階から連綿と続いているが、新人が上司になり、また新しく新人が入りという繰り返しの中にわれわれは生きている。
    「仕事」という生活を毎日繰り返している。

    そんな繰り返しの中で、確実に、次の世代に手渡していくものがある。
    それは、何なのか、具体的には示していなかったが、先にも書いたように、書類を手渡しながら、登場人物たちが全員でくるくると現れ消えていくときの「書類」、例えば、それは、人間としての「DNA」だったり「智慧」だったり、「二足歩行」というヒット商品だったりするわけだ。

    ここのところには共感できる。

    次世代にそんな「書類」を手渡すときに、相手の動きを反動として、より強く、より早くなっていく。その様がタイトルの「スイングバイ」じゃないかと思った(舞台では早くなっていたようだが、最初からスピードがあったので、明確には表現しきれていなかったようだけど)。
    スイングバイっていうのは、人工衛星が惑星の引力を使って速度を増したりする方法だ(ボイジャーとかが使ってた)。

    ニンゲンの歴史は、そうやって、「スイングバイ」しながら、加速度的に進化続けていくのだ。

    だから全体のトーンがポジティブなのはわかるが、しつこいようだが、それだけでない「カゲ」となる部分(マイナスという意味ではなく)が、ニンゲンにとって有用であることも否めないという視点もほしかったのだ。

    帰りにもタイムカードを押して会場を出るのだが、実際に会社員だったりすると、自分の会社に出社してタイムカードを押すときに、ちょっとこの芝居を思い出したりするのだろうか、なんて思ったり。
  • 満足度★★★★

    入場時から楽しい
    遊びごころが随所にあって楽しい。

    まさしく、ままごと、ごっこ遊び、です。

    難しく考えず、見たままに楽しい雰囲気を
    味わうのが良い気がします。





    ネタバレBOX

    チケットがタイムカードになっていて入場時から楽しめます。
    人類の歴史を会社組織とビルに見立てる発想が面白いです。
    エレベータや夕日を模したライティングも雰囲気があってよかったです。

    開演前に植木等の歌が流れていましたが、
    こういう窮屈な時代だからこそ、
    肩肘張らず、もっとリラックスして会社生活(=人生)を送ろうという
    メッセージかなと感じました。
    だから、敢えて会社生活の暗い部分はあまり見せなかったのかなと。

    社内報の編集や倉庫の整理、掃除のおばちゃんといった、
    地味な仕事にスポットを当てているのも
    華やかな部署や世界だけで会社(=社会?)が成り立っているのではない、
    というメッセージと受け取りました。
    後半の「xxxの仕事をしています」のセリフをリレーしていく場面にも
    通じているのではないかと思いました。

    終盤、バインダーをリレーしていく場面で
    役者がごちゃついていましたが、
    楽しそうな感じは良く伝わりました。
    乱れているという見方もあるでしょうが、
    これはこれでありかなと思います。

  • 満足度★★★★

    さわやか
     人類・社員は、社員としては個人ですが、人類としてみると、ある職種の総体であり、その総体はさらにこまかな職種から成っているはずで...と、自己相似的な世界が見えてきます。

     人の体のなかで、ちいさな人が働いているという絵があるじゃないですか(胃袋で食べ物を鍋で溶かしていたり、腹の中で栄養素取り出したり、エネルギーの素を体中に運んだり...っていう、アレです)。
     この舞台、そんな絵を見ているような感じでした。

     競技場のような舞台上で、ボールをやりとりするようにファイルを受け渡してゆくシーンは、スポーツ観戦をしているようでした。見ているだけでワクワク。

    ままごと「スイングバイ」は性善説に基いているのか、全員さわやか。まあ人類史上の善悪なんて、後の世で勝手に決めつけたよーなもので、絶対的な善悪なんてないのかも。(ウイルスが悪とされるのは、たまたま人体に有害だからで、ウイルス本人には何の悪意も責任もないのと同じ)

  • 満足度★★★★

    蟻の大群!
    ここでのリーマンが働くビルは普通のビルではない。おそらく高さという概念もない。それでも空虚すら感じるその壮大なビルは天空のもっと上のオゾン層までも届いている感覚のある高さだ。だから300万階のビルの窓からは雲が下に見え、雨は降らない。笑

    要するにアニメ的な描写の世界。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    オープニングが楽しい。そして同じような風景で幕を下げるのは、昨日と同じような仕事をして、今日と同じような仕事をするであろう明日のリーマンの習性のようだった。

    キャストはリーマンらしくない。リーマンらしかったのは板倉チヒロといしおくらいだ。まあ、トーゼンと言えば当然だ。彼らは現実にリーマンなんてやったことないだろうから・・。これらのリーマンが働く企業の本社はは300万年の歴史を持ち60億の支店を抱え、これまた30万階の巨大な超高層ビルだ。つまりは地球規模の企業だが、エレベーターの階が2010年3月16階とか2018年3月17階などと表示してあって、過去にも未来にも行けるドコデモドアー!!みたいな状況だ。

    そんなビルの中で働くリーマンはまるで蟻のような存在に見える。社内広報課やら食品流通部やら総務やらで社員は働き、何処の会社でもある似たような人間関係を構築している。新入社員はあまりにも広すぎるビルの中で右往左往し、あたふたとしてしまう。気づくと何も仕事をしていなかったように思え、はたまた、本当に仕事をしない窓際族も居る。会社を不満に思う中堅ドコロの社員は退職し、それでも会社が困ることはない。かつての同士は今日と同じように何も変わることなく明日も働く。同じ道筋を決して逸れない蟻のように・・。

    物語が反転する度にキャストらも反転する。この区切りは会社で働く人間の感情にも思えて可笑しくもあった。ただ、この反転が舞台上で最後までずっと続く。だから、少々飽きる。序盤は引き込まれて終盤に飽きるパターンだ。

    これらは自らの意思で動いてないリーマンが軌道を逸れないように頑張っているようで哀れにも思えるが、ちょっと考え方を変えれば楽なのだとも思う。言われた事をそこそこコナシ、必要以上に成績を上げることはしない。テキトーに働けば良いだけだ。これが長く勤めるコツだ!なんつってリーマンを見下げてしまう事もあるが、実はワタクシもレッキとしたリーマンなのだった。

    まあ、蟻も大群になれば世界を滅ぼす機動力になるのかもしれない。
    頑張ろう!リーマン!世界は我々が動かしてるーーー!!!

  • 満足度★★★★

    2度目の観劇!
    やっぱり、オープニングが楽しい!(^0^)
    そうしてリーマンタワーを作って社訓!なんつって体育会系のノリ。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    今回は2度目ということもあって、全体的にゆるりと観た。で、やっぱり芝居の前半はものすっごく楽しい。勢いがあるからだ。社訓やら「わが社」社歌を合唱する場面。幼稚園の運動会みたいだ。

    そんでもって後半。小梁の妻のあの眠たくなるような言い回しが、実際、眠くなる。あのキャラクターは後半の流れを一気にせき止める感覚があってリズムが狂うのだ。しかも流れが遅い。で・・・眠くなる。

    それでも今回、キャストのターンのちょっとしたミスがあって、そこで目ざとく中村(チヒロ)が「ドンマイ!」なんて掛声する。やっぱ運動会のノリ。
    更に宮澤さんのギリギリの近すぎるターンやら、北川の5時男のノリでも楽しむ。

    結局薬局、私的にはコミカル感満載の流れで突っ走って欲しかったのだと感じる。どうだ!リーマンはダサいけれど見方によってはそこそこ楽しいんだぞ!っと、思えるように。笑
  • 満足度★★★★

    これはすごい
    時代と人と仕事が見事に重ね合わさって見えた。

    どんな些細な仕事にも歴史があり、社会を作る欠かせぬ
    一片であり、また誰かに代用がきくことも確か。
    しかし家族だけは代用の効かない唯一の絆。

    一見前衛的な演出にも見えるが、ジレンマをシンプルに
    繊細に紐解いた気がする。お見事!

  • 満足度★★★

    目から鱗
    良い意味でポカーンとさせられました。
    あぁ、これが噂の柴演出なんだ~。
    わたしが今まで観た中の、どの芝居にも似ていない独特の表現。
    ストーリが無い訳ではないけれど、
    ストーリーを伝えるものではないんだと思いました。。
    柴さんの見せたかったのはテーマではなく表現自体なんでしょうね。

    役者が、動きの所為で台詞の語尾が流れるのが少し気になりました。

    ネタバレBOX

    タイムカードのチケットや、入場時にそれを押すという趣向も
    まさに「ままごと」(ごっこ遊び)のよう。
    今回は観客を巻き込んだ壮大なテーマの会社ごっこですね。

    人類の歴史をビルに見立てていましたが
    もし、戦争のある時代のフロアに行ったらどうなっているんだろう。
    柴さんならどんな風に演出するのかチョット興味があります。
    まあ、ごっこ遊びだから辛いことや悲しいことはスルーなんでしょうね。

    役者の運動量がハンパ無いです。組体操まで登場するとは驚き!
  • 満足度★★★

    オシャレ演劇
    オシャレでポップだ。最初の方は役者たちの動きのリズミカルな感じに心躍らせたりしていたが、そのうち眠くもないのに瞼が重くなってきた。
    ビルの外側から、会社の中で行われていることを覗いて、それを今風にオシャレにポップに描いてみましたという感じ。外側から覗いてばかりで、全然内側に入りこむ様子がない。表現しようとしていることは何となく分かるが、それを表現しきれたところで一体何なんだろうという気がする。軽すぎて、心に響くものが何もない。所詮おままごとという気もしたが、劇団名を考えると、それでいいのか。
    賞を取った『わが星』は、観ていない。有名な賞を取るくらいだからきっと素晴らしいのだろう。来年再演されるらしいから、ぜひ観たいと思う。けれど、今回の『スイングバイ』を観る限りでは、次の公演をまた観てみたいとは思えなかった。

  • 満足度★★★

    アイディアいっぱい!でも物語自体があまり。。。
    今回の公演だが
    はっきりいうと、ちょい期待はずれだった。
    ままごとの過去の作品
    「あゆみ」→線、 「わが星」→円と球 だとしたら
    今回は 積み重なった面(ミルフィーユ) だと思う。


    確かに舞台の構成とか小道具等アイディアいっぱいで興味深いんだけど
    その中身の物語自体があまり面白くないので
    正直後半疲れる。

    それに
    こまばアゴラ劇場の狭い空間にあの人数の役者が常にいると
    迫力というか、なんか窮屈。
    会場の都合と言ってしまえばそれまでだが
    もう少し広々やれた方がいいんじゃないのかな?


    よく考えれば
    前作「わが星」もそこまで内容の濃い物語ではなかったけど
    三浦康嗣さん(□□□)の音楽、色々なアイディアがうまく融合して凄い勢いになっていた。
    今回は、その時感じた疾走感みたいのがあんまなかったかな。

    まあ、第1回公演だし、今後が楽しみ。
    2011年4月に「わが星」の再演も決まったみたい。
    ↑これは、傑作!なので絶対観にいった方がいい。

  • 満足度★★★

    分かり易くて
    優しい作品でした。

  • 満足度★★★

    すべりこみ
    キャンセル待ち22番で3階席に何とか入り込む。

    ネタバレBOX

    まあ、仕方のない話だが、ちゃんと前売り券を買ってみるべき作品だった。
    3階席とはブースの横で照明の梁などもあって、非常に見えづらい。体を何度もよじって覗き込むように観劇。
    ここを読んで知ったタイムカードの入場もできなかったし。

    作品はさすがですね。
    岸田戯曲賞をとる才能というのは、こーゆーことなのだろうな。

    わが星も見たかったなあ。
  • 満足度★★★

    お姉さんの方が好き
    入場時のタイムカード。裏面には公演案内。
    チラシの公演スケジュールも、タイムカード仕様。こだわりと遊び心。

    中身は、前作『わが星』の姉妹編みたいな作り。
    ルーペを覗きこんで、ミクロとマクロを遠近法。
    お姉さんの方が好き。
    でも、いつでもアゴラの2階へ行けば、彼らがそこにいて動き回っているんじゃないかと錯覚する瞬間があったのは確かなこと。

    演出ばかりに片寄ってるわけでなく私戯曲ぽいところもある。

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