１２人の生まない日本人

笑の内閣（京都府）

公演に携わっているメンバー：7人

【団体紹介】

　２００５年、高間響を中心に京都で旗揚げ。最初５年くらいは、実寸大のリングで本当にプロレスするプロレス芝居をしていたものの、最初は人間対掃除機のようなふざけた試合をしていたのが、皆上手くなりすぎて怪我のリスクが高まったため、時事ネタ風刺劇団へ衣替えした。

　北は北海道から、南は福岡まで、全国各地で公演するほか、韓国でも公演をしたことがある。「差別問題」「ジェンダー問題」「ハラスメント問題」など、さまざまな時事ネタを馬鹿馬鹿しいコメディにする作風から宮台真司氏や内田寿氏など文化人のファンも多く、風営法によるダンス規制の問題を扱った作品では、福山哲郎参議院議員の招きで、改正反対派の議員への説得材料として永田町で公演したこともある。

東浩紀氏が立ち上げた出版社、ゲンロンの動画プラットフォームである、シラスにてチャンネル開設中　　https://shirasu.io/c/warainonaikaku

　こりっち舞台芸術まつりでは、２０１４年に「ツレがウヨになりまして」で準グランプリを受賞。

【応募公演への意気込み】

　笑の内閣32回目の公演は、ショーペンハウアーやデヴィット・べネターといった哲学者たちが唱える「反出生主義」について解説する討論劇です。

　反出生主義とは「すべての親は、子供へ許可を取ることなく子供をこの世に誕生させる。これはとても反道徳的な行いではないか、人類はこれ以上子供を作ることをやめ、最後の一人の寿命がつき流ことで滅亡していくべきではないか」考えです。大ヒット漫画「進撃の巨人」の作中で、主人公エレンの異母兄ジーク・イェーガーが唱えたことで広く知られるようになったこの考え。親ガチャという言葉が流行り、「生まれてこない方がよかった」と思う人が増えた現代、その考えを否定せず、さりとて絶対肯定もせず、お客様に問いかけます。

　今まで、笑の内閣は、時事ネタと言いながら、照れ隠し的に、チープでおちゃらけたコメディを作ってきましたが、今回は12人の怒れる男、以来の伝統である12人による「密室、リアルタイム制討論劇」という、役者にとっても演出にとっても逃げ場のない、「きっちりしっかり作る」という作品に挑戦していきます。

【将来のビジョン】

　COVID-19の流行と、昨今の物価高で劇団の方針もずいぶん変わりました、２年前のこりっちの将来ビジョンでは勇ましくフランス公演が目標と書いていましたが、円安ユーロ高で夢のまた夢。動員はC O V I D−１９前には戻らず、支出は高騰。助成金バブルも終わって、大幅な赤字に苦しんでいます。

　まずは持続可能な劇団活動を再構築するところからスタートしなければ早晩潰れるという危機感の下、ローリスク中リターンでやっていきたいです。

　劇場で公演がしにくくなった２０２０年に行った、「もし戦国時代にZOOMがあって織田家臣団がリモートで軍議をしていたら」という設定の「信長のリモート」というZOOM演劇を配信。ラサール石井氏をはじめ、全国から多くの著名な役者４０人以上が自宅から配信する時代劇や。メロスが京都の街を走っている様を中継する「走れメロス」など、大きな支出なしでやるアイディア勝負な公演は好評を得ていることから、そういった発想勝負を強化していきたいです。