マクベス

King's Men（東京都）

公演に携わっているメンバー：8人

【団体紹介】

「King's Men (キングスメン)」は、シェイクスピア作品を中心に名作を舞台化する演劇ユニットです。公演メンバーはそれぞれの劇団等に所属しており、公演ごとに集結してひとつの作品を創り上げます。代表を務める平澤智之は、俳優・演出家として、役者だけでなく一般の社会人にも演劇の指導、そして公演の場を作ってきました。
営利を目的とはせず、本当にすぐれた文化芸術を創出することと、同時に、演劇には縁遠い層の心にも訴えかける力をもったステージを創り、演劇そのものの普及にも貢献できることを目指しています。
出演者には、プロのシェイクスピア俳優だけでなく、舞台経験の少ない若手の俳優や社会人、また、障がいを持つ俳優を積極的に起用することで、多様性のある役者の共演を実現し、様々な事情を持つ人々が俳優として活躍できる場を広げる契機となれれればと願っています。

【応募公演への意気込み】

2024年5月に上演される『マクベス』は、シェイクスピア悲劇の代表作の一つとして人気の高い作品です。王を殺害して自らが王となったマクベスは、王位を守るために次々と殺人を重ね、最後には暴君として滅ぼされてしまう――そのマクベスを、従来のように悪の化身として描くのではなく、人間の本質的な心の闇、善良であるがゆえの弱さ、このような両義的な存在として舞台上に浮かび上がらせます。
素舞台でも観る人の心を引き込む圧倒的な演技力に加えて、更にプロジェクタを使用して舞台全体に絵画のような美しい世界観を投影する、全く新しい劇場空間を実現し、舞台と客席の一体化をはかります。甘美で、暴力的で、詩的な空間。観客は五感でこの世界を体験することでしょう。
世界には、絶対的な善と悪のボーダーが、本当に存在し得るのか。疾病、不況、戦争、この不安な時代に翻弄され続ける世界の脆さを、容赦なく再現していきます。誰も観たことのない『マクベス』の世界を、一人でも多くの人に体験してほしいと願います。

【将来のビジョン】

私達が目指すのは、演劇の自由です。古典劇とはこうである、とか、舞台美術はこう作る、とか、演劇業界に関わる人々は知らずと一定の先入観にとらわれています。私達はそれらをすべて排し、総合的な芸術として演劇をとらえ直していくべきだと考えます。
役者の年齢、性別、障がいの有無、そのような制約には一切かかわらず、優秀な人材は積極的に起用し、あらゆる立場の人々に演劇活動の機会を提供する契機になりたいと願っています。そのような取り組みが、多くの演劇関係者に希望を与えると共に、製作する舞台そのものに新たな可能性や芸術性を付与していくことにもなるはずです。
また、私達は似たような世界を繰り返し作り出すことには終始しません。絶えず新しい試みを取り入れ、総合芸術としての演劇の新しい可能性を常に提示していきます。シェイクスピアだけでなく、様々な地域や時代の作品の数々を、この時代に最もふさわしい形で再生していきます。
私達の作り出すものが、観てくれる人の根源的なよろこびとなり、また爪痕として残ることとなれば、こんなにうれしいことはありません。