第一次審査(ネット審査)結果発表!

エントリー団体数

審査員がそれぞれに10作品を推薦し、1作品につき1票ずつ合計10票を投じました。票の入った作品について3時間に渡って議論を重ね、10作品を決定しました。

演劇を作って上演する「楽しさ」「自意識の発露」だけにとどまらず、作品を通して社会とどう関わろうとしているか、そのために戦える体力があるか、今CoRich舞台芸術!という場所を活用してファンを広げることがその団体にとって良いことになるか、という様々なことを考えて審査に臨みました。応募書類の「本公演の意気込み」「今後のビジョン」などを重視しましたが、結果として全10団体が初進出になったのはとてもよかったと思います。(選考には漏れましたが、いくつも興味を持った団体がありますので、観に行くのを楽しみにしています。)10団体の作風は様々に思えますが、これらの作品が新しい風をCoRich舞台芸術まつり!にもたらしてくれるかどうか。口コミの可能性が広がり、より作品と観客をつなぐ賞にできるかどうか。ここからは作り手の皆さんと、私たち観客の真剣勝負だと思っていますので、よろしくお願いします。
鈴木 ①「団体紹介」「本公演の意気込み」において、自らの創作活動の特性、次回公演の内容や企画の方向性を明確に表現できていること、②「将来のビジョン」において、集団としての課題設定を明確にしていること。以上2点を軸に応募書類に目を通しました。さらに審査会の場では、日程、会場、キャスティングなどの企画内容を、観客のアクセシビリティ、再演の可能性(再演支援を行なった場合の飛躍の可能性を含む)といった側面から検討、評価するための議論も行なわれました。通過した10団体はいずれも、自らの団体の個性や作品の魅力を、フレッシュかつ誠実に伝えてくれていました。また、過去の実績に甘えることなく知的かつ熱意にあふれた文章を寄せてくれたアマヤドリ、どうやら本気で社会の病(ヤミ)と格闘しているらしい宗教劇団ピャー! !を始めとする「あと一歩!だった作品」に選ばれた団体にも大いに敬意を表したいと思います。
高野 提出された文章類と団体の公演実績、受賞歴等を重視しました。再演される可能性があるので、応募作品の内容、独自性、意気込み等に注目すると同時に、2年後も活動を継続してくれるであろう、体制のしっかりした団体を選びたいと思いました。また、大き目の劇場や長期公演に挑戦している団体を推しました。首都圏以外の団体をなるべく多く取り上げようとしましたが、上演期間が短いために推し切れなかったのが残念です。グランプリ受賞作の再演時の公演期間は、3日間5ステージ以上であることが条件です。それより短期間の公演は一般のお客様にお勧めしづらいので積極的に推す気持ちにはなれませんでした。今年はダンス・カンパニーからの応募が少し増えて良かったです。名前も知らず作品を観たこともなかった団体の実績や作風は、CoRich舞台芸術!のクチコミからはかり知ることができました。CoRich舞台芸術!をアーカイブとして上手に使って欲しいと思っています。クチコミしてくださったCoRichメンバーの皆さん、ありがとうございました。
初めての劇団がほとんどでしたが、これまでの評判やCoRich舞台芸術!での実績ではなく、応募書類のテキスト内容で惹きつけられる団体、作品に絞り込んでいきました。それは、自分の仕事へのスタンスもあるかもしれませんが、作品に辿りついてもらう前の企画力、プレゼン力には、もっともっと力を入れて欲しいと、小劇場界に対して思うことが多いからです。団体、作品の“ウリ”“志”が明確で、そこにテキスト表現含めて差別化の狙いがハッキリしている応募作品に点を入れました。最終的には作品のクオリティだと思いますが、「観たい!」と思わせる仕掛けは、応募書類、ホームページの作りなどから始まっています。作品以外での工夫という意味では、本番までの宣伝や劇場での空間演出なども頑張って欲しいですし、総合エンターテイメントとしての舞台芸術の素晴らしさを堪能できることを楽しみにしています。
手塚 CoRich舞台芸術まつり!2014春に今年も多数の応募ありがとうございました。今回は新しい団体の応募がたくさんあり、そして選ばれた10作品もすべてが、最終選考に初めて進出する団体と新鮮さあふれる祭りになりました。 今回の第一次審査通過10団体は例年以上に多彩な顔ぶれとなり、ジャンル・方向性・年代までこれほど多岐にわたったことはなかったのではないでしょうか?とても楽しみです。第一次審査では、私はCoRich舞台芸術!の利用者を代表して、こりっちユーザーの支持する団体に票を投じました。最終審査においてもCoRich舞台芸術!での評判を元に審査を進めたいと思っています。どうぞ、応援、よろしくお願いします。
それでは10作品の発表です!

※公演初日順。

笑の内閣 (京都府)
"コメディー"という言葉の起源は、古代ギリシャのディオニソスを称える祭りで歌われた風刺歌にあるそうです。ならば、笑いを通して社会を分析する笑の内閣の作風は、まさに喜劇の本流と呼べるのかもしれません。笑いを追求し、その場所を確保したいと願えばこそ、積極的に社会に働きかけていく、という活動スタンスにも好感を持ちました。演劇的には器用すぎても下手すぎても成り立たない難しい道を進まれていると思いますが、今後もその道を力強く歩み続けるための、飛翔のきっかけとなるような公演を期待しています。
(鈴木理映子)
あやめ十八番 (東京都)
主宰の堀越涼氏は人気劇団花組芝居の一員でありながら、幅広く小劇場全体で活躍するアクターです。その魅力は独特の色気とオーラにあります。その人気役者が主宰であり、作演出を務めるのがこの団体。まだ今回が三回目の公演という団体なのに、前回の公演が大評判を呼び一躍人気劇団となっています。
花組芝居のいいところを受け継ぎながら、堀越氏の世界は斬新でダイナミックです。今回も毒のある世界を色気たっぷりに見せてくれるのではないかと大いに期待をしています。
(手塚宏二)
On7 (東京都)
歴史ある新劇5劇団(青年座¸文学座¸俳優座¸演劇集団円¸テアトル・エコー)に所属しながら組まれた「同世代の女優7人の演劇ユニット」という団体コンセプトとホームページなどのビジュアル表現が、やや男目線かもしれませんが、キャッチーでいいなと思いました。『痒み』のストーリーも、わかりやすく興味を掻き立てられます。群像ものは、入り口はワクワクさせやすいのですが、見終わった後に本当に面白かったと思わせるものを作るのは大変です。この期待感を超える作品であることを期待しています!
(橘康仁)
「グローバル・ベイビー・ファクトリー Global Baby Factory」はリーディング公演を拝見して面白い戯曲だと思っていたので、第18回劇作家協会新人戯曲賞入選に納得でした。鈴木アツトさんのお芝居は心の機微を丁寧に描く会話劇に、ぶっ飛んだファンタジーを果敢に盛り込むのが個性的だと思います。「グローバル…」では人間ではない物質たちをどう演出するのかも楽しみ。韓国、タイの演劇人との交流実績を経た今後の国際的な活動にも期待したいです。
(高野しのぶ)
鳥公園 (東京都)
東京芸術劇場のショーケース"God Save the Queen"への選出、第58回岸田國士戯曲賞ノミネートなど、着実に歩みを進めている鳥公園。応募文章にも、劇作・演出への思慮深さが強く表れていました。その考えが作品にどう結実するのかはぜひ見届けたい。西尾佳織の厳しくも知的な姿勢は、一つの作品だけにとどまらない長いスパンでの創作欲求と奥底でつながっています。今回は三人芝居ということで、これまで以上に濃密で深い淵を持った作品を生み出してくれると信じています。
(落雅季子)
Q (東京都)
"God Save the Queen"、F/T公募プログラムへの選出など、昨年からぐっと注目度を上げてきた団体。人間と人間以外の生き物のグロテスクな側面を、独特のテクストセンスや動き、ポーズで表現する。市原佐都子には、世間一般の「女性らしさ」の窮屈な枠など蹴散らして、突き抜けた忘れがたい世界を見せてほしい。地球に生きる「生命」全体を飲み込むような大きなポテンシャルで審査員の期待を集めて、今回の進出が決まりました。
(落雅季子)
演劇集団 砂地 (東京都)
「演劇集団 砂地」は、演出家・プロデューサーを中心としたプロデュース集団です。毎回の作品ごとにスタッフ・キャストが変わり、また「古典の再発見」をコンセプトの1つとして掲げています。歌舞伎にかぎらず、日本や海外の古典をくぐって新しい創作にチャレンジする手法は最近珍しくないですが、そこにこだわり続ける姿勢に好感が持てました。歌舞伎の演目として有名な『三人吉三廓初買』の設定を、近未来の大災害後の廃墟に置き換えて作られるという『3 crock』。古典を近未来の設定で今の時代にやる意味と、そこから生まれる普遍性に期待しています!
(橘康仁)
ロ字ック (東京都)
主宰の山田佳奈さんは行動力あふれる女性で、小劇場の中で異彩を放っています。私の印象としてはまず山田さんが小劇場の中で圧倒的な存在感を示し、その山田さんの存在感に、劇団と作品がようやく追いついてきたという感じです。そして山田さんの周りに個性的な役者やスタッフが必然的に集まり、独特のロ字ックワールドが出来あがってきました。
まだまだ成長過程でこれからどんなに大化けするのか楽しみでなりません。公演ごとに評価が高くなっているロ字ック。その駆け抜けるスピード感を劇場で体感したいと思います。
(手塚宏二)
Baobab (東京都)
桜美林大学出身のメンバーからなるBaobabは、東京に拠点を置きながらKYOTO EXPERIMENTに連続参加している注目の若手ダンスカンパニーです。主宰の北尾亘さんは振付家、演出家、ダンサー、俳優として幅広く活躍されており、昨年のCoRich舞台芸術まつり!グランプリ受賞作である木ノ下歌舞伎『黒塚』にも出演されていました。踊り手を技能や経験で分け隔てせず、みんな躍らせるという大胆さと、ダンス、演劇、伝統芸能といったジャンルを横断しながら、今ここにある身体と向き合い、社会と関わろうとする積極性に惹かれました。「和」の要素を取り入れた新作が武蔵野芸能劇場という個性的な空間でどう花開くのか、とくと拝見したいと思います。
(高野しのぶ)
劇団B級遊撃隊 (愛知県)
俳優・スタッフの養成、制作体制の強化など、単なる作品の上演に留まらない、集団の未来を見据えた具体的な活動が目に留まりました。対象公演も2日間という短期間ではありますが、岸田國士戯曲賞受賞作の作家自身による初演出、香港の劇団による別バージョンとの連続上演など、目標に掲げた「東海地区における演劇界の活性化」に、充分に?がる魅力を持った企画だと思います。同じ名古屋地区出身者としても期待しています。
(鈴木理映子)

以上の10作品です! 次の最終審査では、審査員が実際に公演を観にいきます。

最後まで候補に残っていた、大変惜しかった6作品です。
“審査員注目の作品”として公表させていただきます。※初日順

眠る羊 十七戦地 (東京都)
美しいヒポリタ 世田谷シルク (東京都)
ぬれぎぬ」 アマヤドリ (東京都)
リア王とジプシー 宗教劇団ピャー! ! (東京都)
『ラッキー☆アイランド ~のこされ島奇譚~』福岡公演 劇団ユニットラビッツ (福島県)
臭う女(黒)~におうひとノワール~ 劇団野の上 (青森県)
「CoRich舞台芸術まつり!2015春」開催決定!

たくさんのご応募をお待ちしております!

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