深海のカンパネルラ

空想組曲（東京都）

公演に携わっているメンバー：5人

団体紹介

空想組曲は作．演出家たった一人のプロデュース・ユニットです。
所属する役者がいないため、公演の都度、役者を集めることになります。
それは、カンパニーのカラーを打ち出す、という点では不利なこと思われがちですが、僕が目指すプロデュースユニットの姿は、作家、演出家、役者それぞれの表現者としての地力をあげ、結果面白い作品を世に送り出せる媒体です。
毎度役者が変わるのなら、その役者達の特性を見抜き、より良い形で提示出来る方法を探らなければならない。そのためには作家として役者が輝ける戯曲を、パターンに嵌めることなく書かねばならないし、演出家として短い時間の中で言葉を尽くさねばならない。当然その戯曲、演出に応える役者にも技術や覚悟が求められる。そうやって相乗効果で作品の質をあげられる媒体であろう、と心がけています。

ここに来れば、出ているのが知らない役者であったとしても、必ず上質な演劇が見られる。そしてどの役者も今まで知らなかったのが惜しいと思えるほど素晴らしい。そう思ってもらえるようになるのが目標です。

具体的な将来のビジョンとしては、２年内に400人規模の大劇場への進出を考え、鋭意企画中です。
また、（魅力を感じる）他劇団の劇団員全員を出演させての企画公演も来年度から立て続けに行う予定です。

応募公演への意気込み

演劇と言うジャンルは勝ち負けを争うものではない、とは思っておりますが、“競うもの”ではあると思っています。
僕は、稽古場で役者に演出をするにあたり、役者に技術、感性、独自性を求めます。
ならば、観客の皆様にも自分が作る作品を、そういう観点を持って見て頂きたい、と思うのです。
技術は足りているか、感性は研がれているか、独自性は打ち出せているか。
そして、自分達のあるかなきかの才能はどこまで通用するのか。世界に名を残すことはできるのか。足りていないものがあるとすれば、それはなんなのか。
それらを審査、と言うひとつの明確な形で判断していただける、というのはこの上ないチャンスだと思っています。

例えそれが自分達の望まない観点からの審査であったとしても、想定していなかった別の角度の存在を知るきっかけにできる。
「観客」なんて人間は存在しないのだから、一人一人に顔がある。好みがあって過去があって生活がある。見るものも響くものも当然違うはず。
表現者なら当たり前かもしれませんが、僕は自分の表現を、より多くのお客様に見て頂き、見て頂くからには満足していただきたいと考えています。
ならば、好みだろうがなんだろうが捩じ伏せ、満足させてみせる、そのくらいの意気で臨む。競う。

そんな思いで参加を希望させていただきます。

内容的には宮沢賢治の名作童話「銀河鉄道の夜」に流れる優しさと哲学の力を借り、今まで「空想組曲」で表現してきたファンタジーと現実の融合の、一つの到達点を示したいと考えています。

どうぞよろしくお願いいたします。

将来のビジョン

空想組曲の今後の予定は2012年7月19日〜29日に下北沢OFFOFFシアターにてロングラン公演を予定しています。
演目としては、2010年6月に同じく下北沢OFFOFFシアターにて上演し好評を博した、10本以上の短篇を緻密につなげる変則短篇集「組曲『空想』」の第二弾となる組曲『回廊』を上演予定です。
「5分から15分程の短い作品を大量投入、且つシームレスにつなげる」という構成は踏襲しつつも、そのつなげ方や主軸に置くテーマを一新し、新しい劇世界を構築しようと考えております。

物語というのは、どんな内容であろうとどんなに短かろうと、常に新しい“おはなし”の種を含んでいる。
ENDマークがついたからそこで終わり、ではなく、観た人間、聞いた人間に影響を与えたり心や記憶の片隅に残ることで、新たな物語に形を変え、生まれる日を待ち続ける。
そうやって物語はどこまでも続いていく。

そんな考えのもと、単に小作品を並べたものではなく、とても小さな劇場で、広がりのある壮大な舞台を作りたいと思っています。

既にInnocentSphereの狩野和馬氏をはじめ、魅力的なキャストの出演も決まりつつあります。

年内の予定ではありませんが、2013年３月には吉祥寺シアターでの新作公演も予定しています。