CoRich舞台芸術アワード!第1位 3回獲得記念

劇団チョコレートケーキ 特別インタビュー

集合写真

写真左から:岡本篤、西尾友樹、日澤雄介、菅野佐知子、古川健、浅井伸治

■2010年に古川脚本、日澤演出の新体制へ

―劇団チョコレートケーキは2009年ごろから作風がガラリと変わったそうですね。
日澤:もともと1人の作・演出家がいて、今もいる劇団員の3人(日澤、古川、岡本)が俳優だけをやってたんですよ。その作・演出家が抜けた2009年の公演で古川君が初めて脚本を書いた。その本が良くてですね、次も古川君が書くことに。
古川:書くのはいいけど演出は嫌だと言ったんです。
日澤:それで劇団主宰だった僕が演出を担当することになったのが、2010年6月の『サウイフモノニ…』。古川脚本、日澤演出コンビの初めての公演です。この時、西尾君が初客演したんだよね。
西尾:はい、それからずっと劇団公演に出てます。
日澤:次の『起て、飢えたる者よ』(2010年10月)で、アワード初登場の第11位。
菅野佐知子さん

菅野佐知子

菅野(制作):『起て、飢えたる者よ』は古川さんの3本目の脚本だったと思うと、凄いですね。
古川:ちゃんと書きだしてから3本目でしたね。
日澤:『起て、飢えたる者よ』はギャラリー・ルデコという小さい空間でやりました。岡本が「中野ザ・ポケットみたいな大きい劇場路線はやめよう、劇場を大きくしていくという考えは違うだろう」と言ったから、しばらくギャラリー公演を続けたんです。
古川:でも『起て、飢えたる者よ』は、がっつりお金をかけたせいで十分に赤字だったけどね。
日澤:ギャラリーなのに、がっつり建て込んじゃって!(一同笑う)
菅野:舞台美術が大きいから「客席30席あるのかな、これ?!」みたいな感じ(笑)。
日澤:その後、同じギャラリーで『十二人の怒れる男』『裁きの日』2本立て公演
(2011年5月)をやったら、700人ぐらい入ったんですよ。これはいけるだろうと思って
12月に『一九一一年』で王子小劇場公演に挑んだら…500人も入らなかった…。
古川:うん、全然来なかった。
日澤:いやーびっくりしたー…わからないもんですよね。日替わりゲストも豪華だったのに…。全く入らなかったですねー…。でもこりっちでの評価は高くて、アワードで第3位になった。
浅井:今の常連客演さんも、そこからのご縁ですよね。

■劇評家に見出されたことが劇団の転換点に

―嗅覚の鋭い小劇場ファンが、比較的早いうちに劇団チョコレートケーキを発見していました。一般の観客や外部からの評価において、一番手ごたえを感じた公演は何でしょう?
岡本篤さん

岡本篤

岡本(俳優):『熱狂』『あの記憶の記録』2本立て初演(2012年10月)が転換点だったと思います。初めて劇評家の方々に観ていただいて、一気に火がついたというか。1月にこりっちさんでアワード1位を取らせていただいて、すぐ3月に再演をやって。
日澤:本当はサンモールスタジオで『起て、飢えたる者よ』の再演をする予定だったんですよ。でもサンモールスタジオ代表の佐山泰三さんが2本立てを観た時に、「これをやるべきだ」「2本立てで長くやれよ」って言ってくださって。
―劇場からのご提案とは心強いですね。最初に高く評価した劇評家とは、どなたですか?
日澤:やっぱり村井健さんですね。
岡本:そして渡辺保さん。お2人が強く推して、色んな所に声を掛けてくださいました。
古川:そのお2人とも、すぐさまレビューを書いてくださったんです。
―では、そのお2人が2本立て公演を観に来たきっかけは?
日澤:僕が日本演出者協会の「若手演出家コンクール2012(※日澤は最優秀賞を受賞)」に応募してまして、村井健さんがその審査員だったんです。
古川:初演を観た村井さんが色んな人に電話してくださって、たとえばTRASHMASTERSの中津留章仁さんも観に来てくださいました。
日澤:新聞記者とか、いわゆる業界の人が増えましたね。発信力のある人が何か言わないと来てくれない人たちが。
―初演から時間を置かずに再演をするのは、劇団にとって大きな決断ですよね。
劇団チョコレートケーキの皆様
日澤:お客さん入るかなぁ…って心配したけど…入ったね~~~!
岡本:再演では一般のお客さんも急に増えた。初演は小さいギャラリーだったからそれなりに埋まってはいたけど、再演の時は当日券に並んでたもんね。
古川:並んで入れなかったお客さんもいた。
日澤:年初にアワードで1位取ったばかりだったし、「CoRich舞台芸術まつり!2013春」(以下、「まつり」)の最終選考10作品にも選ばれてたし。「まつり」では西尾が俳優賞をいただきました。
西尾:もし再演(の客席が)がガラガラだったら、またギャラリー公演に戻らなきゃいけないっていうプレッシャーもありました。(自分が演じた)ヒトラーの演説なんて、ギャラリーの至近距離だからできたけど、普通の劇場でやれるのかなって…。
 ふたを開けたらお客さんも入り、評価も高くて。もう1本の『あの記憶の記録』は劇場でやった方がいい作品だったから、やっと2本立ての決定版が出来たのかもしれない。「これ、イケんじゃねーの? この1年がんばったら何かいいことあるんじゃねーの?」と思った記憶はありますね。
―そして、いいことが?
西尾:ええ、続々と。変わりましたね。

■劇団名を変えるのか、変えないのか

―西尾さんは『熱狂』『あの記憶の記録』2本立て再演のうちの『熱狂』で、CoRich舞台芸術まつり!2013春・俳優賞、2013年度サンモールスタジオ選定賞・最優秀男優賞を受賞。同じ年の『熱狂』と『治天ノ君』で第21回読売演劇大賞・優秀男優賞を受賞されています。劇団の看板俳優としての知名度も上がってきましたね。
西尾:この劇団はすごく面白い、ずっと一緒にやっていきたいと思ったのは『起て、飢えたる者よ』(2010年)でした。日澤さんの演出は歴史ものだからといって堅苦しくない。古川さんの本が土台にあるから、自由につくって、何をやっても行き着くところがしっかりしてる。堅いことをやってるけど新しいんです。こういうのって他にないなぁと思った。
日澤:その割に、劇団員になるの遅かったよね。
西尾:やっぱりねー、「チョコレートケーキ」っていう名前がねー!(一同大笑い)
古川:それを言われちゃぁこっちも返す言葉がない!(笑)
日澤:西尾君の演技スタイルで「チョコレートケーキ」は、ないよねー(笑)。名前って大切なんだよなー。でも2000年からずっと「劇団チョコレートケーキ」でやってきてたからね。
劇団チョコレートケーキの皆様
岡本:作風が変わって、西尾君と浅井君が入団してから、「この名前じゃ、どうなんだろう」っていう話が少しずつ出てきたのかな。
菅野:まわりからは「劇団名を変えた方がいい」ってさんざん言われてたけど。
日澤・古川:さんざんねー。
西尾:恥ずかしさはなくなってきましたけどね、さすがに。
古川:もう変えるタイミングは完全に見失った(笑)。

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