CoRich舞台芸術アワード!第1位 3回獲得記念

劇団チョコレートケーキ 特別インタビュー

集合写真

写真左から:岡本篤、西尾友樹、日澤雄介、菅野佐知子、古川健、浅井伸治

■「社会派」「骨太」でも、あくまで「エンターテインメント」

―甘く可愛らしい劇団名ですが、意表をついて、作風は「社会派」「骨太」です。そう評されることについていかがですか?
岡本:たぶん評される通りなんでしょうけど、あくまで我々はエンターテインメントをやっているんだと思っています。
古川:そうそう、それはそうなんだよな。
日澤:お客さんが観てて楽しいと思える方法をイメージしてやってるんで。真面目にやろうとか、何かを主張しようとかじゃないと思うんですよ。
西尾:笑える場面もたくさんあるけど、稽古をしていくうちにカットされて、結果的に少なくなる感じですよね。稽古場ではゲラゲラ笑いながらやってるんで。
古川:それは私が量を書きすぎるから…。
日澤:とんでもない量をね。『追憶のアリラン』に関しては最初、4時間分ありましたからね。
古川:ついつい書いちゃうから…。でも、どうしても上演時間は気にしないと。
日澤:そうね。興行的にはマチソワ(昼と夜の2回上演)をやりたいじゃないですか。
3時間だとマチソワをやるのは(劇団側としては)きつい。お客さんの体感時間もありますし。できるだけチケット代は上げたくないと思っているので(1日1ステージだとチケット代を上げなければいけなくなる)。理想としては1時間半~40分とかね。
古川:今のところ、それは叶えられず…これからはさらにがんばりますっ。
日澤:でも『ライン(国境)の向こう』は最初からすごく短かかったんですよ。
―じゃあ笑えるところも残ったんですか?
西尾:ええ、もう俄然、残ってます。
日澤:ふんだんに。
西尾:出演者がみんな凄いから、笑いの場面じゃなくてもガンガン笑いを取りに行ったしね。

■小空間での上演の継続/表現者として自立したい

―これから目指すことや個人的な希望など、それぞれに今後の抱負を教えてください。
日澤雄介さん
日澤:やっぱり、ずっと観てもらえるように、いい作品を作り続けていくことですね。去年、東京芸術劇場シアターウエストという比較的大きな劇場で公演をさせていただきました。大きい劇場でもやりたいですけど、小さい空間でもやりたいですね。お客さんのアンケートで「目の前15cmのところで叫ぶ『熱狂』みたいなのがまた観たい」というご意見を頂いているので、そういうのにもまたチャレンジしていきたいです。
古川健さん
古川:私は息の長い作家になることですかね。燃え尽きたり枯れ尽きたりしないで、長いこと新作を書き続けられるような作家になりたいです。その危惧をひしひしと感じているので、がんばりたいなと。
浅井伸治さん
浅井:僕は『一九一一年』(2011年)を一緒にやった時に、この人たちとずっとやっていきたいなぁと思いました。今は、色んな意味で期待に応えられる役者になりたいです。劇団の評価が高くなってきて、お客さんの要求もどんどん高くなってくると思いますし。その声に応えることだけじゃなく、予想を裏切っていくことも含め、色々がんばります。
岡本篤さん
岡本:まず、こりっちでアワード第1位を3回も取らせていただいて、本当に嬉しく思っています。批評家の方々に評価して頂くのももちろん嬉しいですけど、やっぱり一般のお客様に支持して頂くのが一番だと思います。あと、劇団チョコレートケーキとして、1人の俳優として、どんどん売れたいし、成長したい。
 それにプラスして、個人的に思っていることがあります。僕らをすごく推してくださった評論家の村井健さんが2015年に亡くなりました。奢った考えですけど、演劇界、特に小劇場界、そして若い世代に、少しでも恩返しができれば…。日本の演劇を、小劇場の世界を、常に頭に置いてやっていくことが、僕らには求められてるんじゃないか…。たぶん村井さんもそう思って旅立って行ったと思うので、そこはちゃんと責任を持って、創作し続けていきたいです。
西尾友樹さん
西尾:岡本さんと似てるかもしれないですけど、直近の一番の目標は、劇団員個人個人が表現者として自立することですね。今、いただいている評価は劇団としての部分が大きいから。それぞれが劇団に戻ってきた時に「これが劇団チョコレートケーキだ」って堂々と言える作品ができたらいいなと思います。方向性が変わろうが、凄味のある、観たことがないようなものを作りたい。
 あと、劇団チョコレートケーキでやりたいのは、道を切り拓いていくこと。こうやって集まって劇団を作って、仲間でやり続けていったら、ひょっとしたら、そこから道が拓けて、劇作家、演出家になったり、好きで始めた俳優が仕事になったりするかもしれない。そういう道を作っていきたいです。劇団でいいものを作るだけじゃなく、それぞれがちゃんと自立した表現者になれるんだってことを、見せられるようになりたいですね。
菅野佐知子さん
菅野:日澤さんが言っていた、お客様がもうちょっと舞台に近い距離で観られる、小さな空間での公演もやりたいです。そういう小規模の公演でも、どんなに大きくなっても、これまでずっと観てくださってるお客様に「劇団チョコレートケーキを観に来たんだな」
「いつもと変わらないな」って感じてもらいたい。制作の私はだいたい受付に居るので、いつでもお客様を待って受け入れる窓口で居られるように、変わらないようにしていきたい。安心してもらえるところでいたいなって思います。
―謙虚な姿勢で真剣に語っていただき、聞き入ってしまいました…。
日澤:こういう時に、みんな真面目になっちゃうんだよ?。「世界征服!」とか言えない(笑)。
西尾:「大金持ちになりたいです!」とかね(笑)。
―そういえばアワード第1位には、今年初めて賞金20万円が贈呈されました。
一同:ありがとうございました~~~!(皆が深々と頭を下げて)
―使い道は?
日澤:新年会で使わせていただきました。いつもお世話になっているスタッフさんや共演者の方々と、沢山いいもの食べました!
―なんと…やっぱり真面目で、とってもいい人たちですね!(笑) 劇団として、個人として、さらなるご活躍を期待しております。
日澤:アワードでまた1位を取るのも、今年の目標です!
集合写真
劇団チョコレートケーキの次回公演

2016年秋 第27回公演『治天ノ君(再演)』

【2013年初演の受賞歴】
CoRich舞台芸術アワード!2013
 第1位
第21回読売演劇大賞
 選考委員特別賞(『治天ノ君』)
 優秀演出家賞(日澤雄介)
 優秀男優賞(西尾友樹)
 優秀女優賞(松本紀保)

インタビュー実施日:2016年1月27日
取材・文:高野しのぶ 撮影:CoRich運営事務局 ※文中敬称略

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