怪物-カイブツ- 公演情報 ブラジル「怪物-カイブツ-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    デフォルメはされているけれど、
    そして、そのデフォルメぶりが
    とんでもなく面白いのですが、
    それを腰を据えて面白いと感じられるのは
    きっと、母なり恋人なり、
    男なり女なりに織り込まれた普遍性が
    作品をしっかりと支えているからだろうと
    おもったり。

    単に笑い転げるのとは少し違って
    心に残る味わいのある
    文句なしの面白さでありました。

    ネタバレBOX

    いろんな意味で設定の突飛さと
    リアリティのバランスが絶妙にとれた作品だと思います。

    たとえば、ジャンボな子供を産み落とす女性の男性との関係にしても
    元夫、職場、一夜の出会いとオールラウンドなのですが、
    役者のお芝居から
    それを観る側に納得させてしまう
    キャラクターの実在感ががしっかりと作り上げられていて。
    どこかクレバーな部分や強さ、
    そして揺らぐ気持ちや脆さが
    ひとつの個性のなかに違和感なく作りこまれている。
    観る側が、そのあるがままに、
    ゆだねることができる秀逸さがあるのです。

    それは、彼女をとりまくキャラクターたちの現わし方にしても同じこと。
    元夫のスタンスの取り方にしても、
    元勤め先の上司にしても、
    スタンスの取り方に絶妙なふくらみがあって
    その関わり方の可笑しさをたっぷりと醸しながらも
    物語が奇異なものに乖離していくことがなく
    観る側の感覚にどこか馴染む。

    その空気があるから、
    医師の終盤の行動にしてもしっかりと物語に刺さっていくし、
    よしんば女性の超常現象が絡んでも、
    その踏み込みがしっかりと物語に絡んで浮くことがなく
    ある種の感覚を伝えてくれるのです。

    そんななかでも、
    特にフリーターと路上ミュージシャンの二人の存在が
    様々な舞台上のデフォルメを
    さらにしっかりと観る側の感覚に縫いつけていきます。
    その関係は終盤に逆転して、
    デフォルメされた世界から、
    ありがちな「出来ちゃった結婚」プロポーズの
    互いに踏み出す心情を
    素敵なインパクトとともに浮かび上がらせていく。

    ジャンボベビーの献身的な演技の秀逸さにも瞠目。
    仕草の一つずつがやたらに可笑しく、
    それが親戚のハイハイを始めた子供の姿に重なると
    可笑しさがさらに増して・・・。

    実は、とても実直につくられた物語だと思う。
    役者たちが紡ぐシーンのひとつずつが
    観る側が内心に持つ感覚に紐づいていて
    だから、様々な誇張やとほほな感覚すらも
    心を引っ張ってくれるのです。

    苦笑系喜劇とはよく言ったもの。
    その苦笑を引き出しうる作り手の描写力に取り込まれ、
    役者たちの秀逸なお芝居に
    自らの感覚をゆだねて。
    暖かさとどこか凛と醒めた感覚のそれぞれに
    たっぷりと浸されたことでした

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    2011/02/21 06:45

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