不機嫌な子猫ちゃん 公演情報 青年団若手自主公演 田川企画「不機嫌な子猫ちゃん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    前「劇団掘出者」の田川の本
    だから好みだ。母と娘の異常なまでの屈折度がいい。
    その独特の世界感は偏屈で自己愛をどこまでも貫き通した、挙句、普遍的な愛情と勘違いしてしまう業のようなものだ。世の中の娘は皆、母親から平等に傷つけられているのだと思った瞬間だった。

    面白い!ただただ、面白い。


    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    母・愛子は娘の市子を溺愛する。市子に対する愛情はまるで自分の一部を愛するようなものだが、それは決して市子の為ではなく自分の自己満足のためだ。そして市子をついついペットのように扱ってしまう。母の過剰なまでの愛情から逃れたい市子は出会い系サイトで知り合った男と家を出て行ったものの、結局、帰ってきてしまう。この母に育てられた市子もまた、母のミニバージョンなのだ。

    隆(母の弟)のうざい台詞の応酬や父親役の強要は目障り極まりないのだが、当の本人はこんな正論がなぜ解らないのか?みたいな独自の常識を押し付け、市子の言葉に耳を貸さない。

    母娘の独特の世界感を描くために男性の登場人物達をあえてきもくてストレスの溜まるようなキャラクターに立ち上げたのは絶妙だった。二人の神聖な世界に男は不要なのだ。

    そして登場人物の全員が誰も好きになれない設定はこの舞台の限界ギリギリの不条理感を醸し出していた。

    田川が描く壊れた人間関係や個人、精神の屈折度、偏った愛情は人間の底を見事に表現していたと思う。そしてキャストらの演技力でこの物語をギュッと濃密に吸引していた。
    素晴らしいと思う。

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    2011/02/19 22:23

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