Amirah(アミーラ) 公演情報 創像工房 in front of.「Amirah(アミーラ)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     ダンスに始まりダンスに終わる。尺は125分強。場転の際、布を持った裏方たちが舞台を隠して移動し袖を作るが、スピーディーで中々気の利いた演出だ。

    ネタバレBOX

     物語は、砂漠地帯にある王国で8年前に起きた戦争で勝利したこの王国が敗れた側の刺客に潜入され先王が殺された事件に端を発し、王の娘2人の王位継承を巡る噺である。姉は王家の血筋に現れる極めて強い特殊能力を欠く為2週間後の戴冠式で王位を継ぐ気は無い。然し妹はこの能力に優れ考え方も王たる者は民を守る為に力が必要だと考えており王位は妹が継承すると多くの者が考えていた。然し無論、長子継承が望ましいと考える者達も居た。
     こんな状況の中、或る本が、砂漠の村に住む若者達によって発見された。その本はこの王国を含む地域一帯で噂される望みを叶えると言われる魔法の鏡に関する本であった。若者達は自分達も望みを叶えたいと思うと同時に間直に迫った戴冠式にも参列し晴れの催しに参加したいと王国にやって来たが、大切な本を失くしてしまった。この本を偶々入手したのが王家の次女であった。彼女は早速入手した本を読み始め、噂をも聞き及んで居た為、この本がその魔法の鏡の在処を記した案内書であることに気付いた。というのもこの本を読める者はその資質のある者に限られていたからである。資質のある者が読み始めるとその鏡への道程が本に現れるという奇妙な本であったのだ。次女は自由が欲しかった。自由を手に入れ未だ見たことも無い地域に行き自由に生きたいと望んだのであった。
     ところで王国にはその権力中枢へ最近になって入ってきたよそ者が居た。彼は特殊な能力を持ちその類稀な心理操作によって長女の心を難なく掴んで操り、王権を簒奪しようと目論んでいたのである。然しその彼にも邪魔者が居た。長女である姫を愛し忠誠を誓う若者であった。他にもこの王国で最強の戦士が次女の警護に当たり簒奪を狙う者の前に立ちはだかっていた。だが簒奪者の側にも協力者が居た。戦争で負けた国出身の若者であったが、飢え死にしそうな処を簒奪者に救われて以降、彼の僕として他人に術を仕掛けると仕掛けられた者が何処に居ようと居場所を感知することのできる能力であった。然しこの男と同じ村の生き残りが奴隷として王家に仕え彼女は姫の身の回りの世話をしていた。この侍女にも特殊な能力があり、彼女のミミズクは、対象の匂いを覚えるとその対象を匂いで追尾できるのであった。これらの登場人物達が王位継承や、自らの希み成就を願い魔法の鏡を追う展開の物語だが結論は観てのお愉しみ。
     今作の弱点は、主要な登場人物達(殊に王位簒奪を狙う者)の性格が何故そのようになったか? その背景が描かれて居ないことだ。その為作品に深みが出てこない。ダンスに始まりダンスに終わるより、この点を書き込んだ方が物語として普遍性を持つのは明らかである。

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    2025/12/20 11:03

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