玄海灘 公演情報 劇団劇作家「玄海灘」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    今年初めになるか(昨年末だったか)リーディングで有吉女史によるこの大作の脚本化の成果を堪能。圧倒された。第Q藝術の四角の箱の中に演者が揃い、オフの時にも台本を見つめ、皆がそれぞれ作品を語る一人の、一人称の人格となり物語を紡ぐ橋をともにわたる切実感も合わせて全身に浴びた。今回、本舞台での上演に踏み切った。リーディングのレベルには到達しないだろうと予想し、事実その通りであったが善戦していた。不足感を挙げればきりがないが、例えば役人物が変化していくのが要である朝鮮両班の家系の息子のその変化や、歌姫と呼ばれる居酒屋の娘の歌(これは技量の問題か演技の問題か)、朝鮮総督府での日本にこれでもかと忠誠を尽くそうとする男とその日本人の上官の微妙な関係、その彼の地下運動組織への接近、理解、最後の裏切りのダイナミックスなどは、植民地支配の矛盾、渦巻く静かな憤激が沸騰する要素でありたく、石を積み上げるようになりたかった。場面処理の課題があったとは思うが、抽象舞台とした事で、集中が殺がれる瞬間が多々あった気がする。時に居酒屋、時に新聞社、時に総督府、あるいはどこかの野外と、多場面ではあるが、観客の目は「見立て」がうまく行かない所があった。
    にしても、物語の力、台詞の力は舞台を押し上げていたのは確か。今後も挑んでほしい作品。

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    2025/12/19 13:17

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