季節 公演情報 劇団普通「季節」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    幾らか多めの登場人物に、幾らか知名度の高い俳優の参入・・がトラムで演るという事。確かに客席を埋めるにはだ。SPTの企画スタッフに手練れが居るのやも。ともかく芝居。一見「普通」以外の何物でもない主宰で作演出の石黒女史はその日のトークに拠れば、全て茨城弁で展開する劇世界は、実体験の記憶を掘っているのであるらしい。一番手で登場する野間口氏は、どうやら老け役らしいが、最初あまり見えなかったのだが段々と、中身は老け男と見えてくる。一か所、ぼやっとしている間に言った誰かの台詞が客席にどっと受けていて、聞き逃した。無念。それにしても地方の親類同士の距離感の絶妙な具合はどうだ、と。完全にああではないがどこか身に覚えのある「親戚同士」(子どもにとっては親が兄弟同士で賑やかしく、こちらは独特の距離感のいとこ同士・・これもまた愉し)の空気感。所在ない瞬間が訪れ、これを飄々として乗り越える者達。意味的には単なる血縁であり、既に機能しなくなり、町内会と同じくせいぜいが法事だとか、自分ちの話をして「心配」し合うが関の山な関係である。地域社会も同様にCONSUMERとSELLERのみで成立する資本主義体制において家族単位はまだ制度的に機能するとしても世帯の異なる「親戚」はある場合にはいなくては困る存在として登場する、という事がない。親が死んだら遺産相続の話、家の処分の話が出るのみ。これとて法に基づき合理的に処理できたなら、これを最後に付き合いがゼロになるケースも結構多いだろう。
    「会いたくて来たんだよ」と親戚を訪ね歩くチャーミングな御仁が一人いればまた違うだろうし、名を上げた成功者が殊勝な人で、親戚を集めて一席設けるなどしても「益を分かつ」(裏話を聞くだけでも役得)目的で集うという事も起きるだろう。
    身もふたもない話をすればそんな具合だが、舞台上では地方では今もあるだろう親戚づきあい(これに近所づきあいの側面も割り込んでくる)の健気で面白おかしいサンプルが展開している。石黒女史の中にはまだ湧き出てくるネタがありそうである。

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    2025/12/19 02:46

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