夜のジオラマ 公演情報 SPIRAL MOON「夜のジオラマ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    「よろしく」という言葉
    は一般的に意味がありそうでなかったりするが、ここで頻繁に使われた「よろしく」は時空を超えて重要な位置にあった。物語は2010~2040年にかけて、とある家族がそれぞれの人生を生き、あるいは命をかけて戦った女性の物語だ。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    ルポライター三果はノスタルジーな隠れ家をみつけてここを住居とした。この家にまつわる30年の出来事は、この家のオーナーが重要なキーとして、まるで時空警察のように、時間を操り、過去と未来を行ったりきたりするのだが、その時に使われる小道具が未来を予知した小物たちでこれまた、デジタル感があってワクワクした。

    ルポライター三果の実子・アヤは両親の離婚がきっかけとなって母娘が別々に暮らすことを強いられたが、数年後、このアヤが大人になってからの行動がこの舞台の中心を担う。

    物語は、シグマと呼ばれるカルト教団にアヤの親友が連れ去られたことがきっかけとなって、親友の為に教団と戦うことを決意した事からアヤは死ぬまで戦士として常に緊迫状態にあった。

    真のユートピアを目指すとの虚言を吐く教団は世界を飲み込む為にあこぎな企みも平然としていたが、世界に揺らめく巨大な軍艦に戦いを挑んで結果的に世界を救った勇士アヤと、アヤを支えたアンドロイド・ヨーコの存在が実にいい。

    ヨーコの所作、目の瞬き、首の傾げ方、話し方、全てが完璧なアンドロイドでまるで生きた蝋人形のごとく、ワタクシを魅了したのだった。だから、舞台ではじーーーっと、じーーーーっと穴が開くほど精巧なアンドロイドを見つめて、それでも飽き足らず持って帰りたいくらいだった。掃除とか料理とか君に任せるよ、みたいな・・。笑

    またアンドロイドが出てきた押入れが時空へのトリップ場所という演出や、悪影響から守るためにシールドを貼る演出は絶妙だった。何よりも絵画の題名を「夜のジオラマ」とするなど、母の記録が子供たち精神の癒しとなる展開の筋書きは素敵だと心から思う。

    16年後の未来からやってきた圭吾が姉のアヤと抱き合うシーンにはホロリとさせられ、良く出来た本だと思う。そうして自らウィルスに感染し、命をかけて戦うアヤが勇ましかった。更に晩年の母の描写は照明効果も相まって幻想的でもあった。

    今回はどのキャラクターも主役を張ってるような立ち上がりと演技力で、まるで一つの映画を観ているような時空錯誤に陥って真剣に魅入った。素晴らしい舞台だった。お勧め。


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    2010/11/25 18:25

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