ブードゥー 公演情報 Oi-SCALE「ブードゥー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    奇怪で不思議な物語
    「マインドトリップサスペンス」とあるが、観てるほうもサスペンスだった。序盤、川崎が幽霊なんじゃないか?と勘繰ったほど。笑)・・、相変わらずセットの作りこみが圧巻で素晴らしいです。よくもまあ、あんな風に作ったものだ。ものすっごく拘ってるなぁ。物語は病院での一室での出来事。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    前説で林が色々しゃべるが本当に不思議な人ですわ。この世の者とは思えない不思議さ。笑

    病院のベッド数は5つ。5人が入院している。主役の川崎は雑誌の編集をするリーマンだったが救急車にはねられて、ついでに救急車で運ばれてきた合理主義者でもあった。そんな彼が入院した先の部屋ではそれぞれの事情を抱えた4人が入院していた。4人とも闇を抱えた患者らだ。

    当初、5人の患者らは仲良くそれぞれのポジションを守りながら入院生活を楽しんでいたかのようだった。しかし、彼らは一人ずつ死んでいく。そうしてその死んだかつての隣人に川崎が乗り移ったかのように隣人の家族や環境もそっくり受け継いでしまう。

    何がなんだか解らなく納得出来ない川崎は自分の家族に聞いてみるが家族も、後輩も、そして入院患者らも川崎の今の環境が元からあったように受け入れている。

    だから隣の厚木が死ぬと、そのまま厚木の部下が自分の部下となり、そのまた隣の中井が死ぬとそのまま中井の妻も引き継ぐ形だ。要は元の川崎が持っていた環境、境遇を他人にトリップしながら、他人になり切って他人の人生を生きてみる、という思考のようだ。これは川崎の欲する条件を生き返りの度に与える、という試みのようだが、前作の「サイゴ」でも取り上げた命や死についての後編みたいなものだった。

    他人の持ってるものや家族。他人になれたら満足できるのか?という問答と共に今の自分を見つめなおす物語のようだとも思う。

    劇中、椅子取りゲームの展開があったが、このゲームのように一人、またひとり・・と、いなくなっていくさまは末恐ろしい光景でもあったが、割にコミカルなシーンも多く、コメディの要素もかなり強い。他人の人生を背負うような展開がなんとも不条理だったが、人間は本来自分が持ってる器があり、そこから零れるほどの水はやはり必要ないのだとも思う。

    きっと考えすぎると生きるという基本的なことは楽しめないのかもしれない・・。なんて単純なワタクシは思うのだった。まあ、好きなことやってへらへら笑って、ちょっとだけ鈍感なほうが生きやすい世の中なのだ。笑)

    キャストらの演技が絶妙だった。特にはやし大輔がいい。

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    2010/11/13 17:17

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