変身 公演情報 オペラシアターこんにゃく座「変身」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    傾斜がきつく見える八百屋舞台。まるでマイケル・ジャクソンの「スムース・クリミナル」。転びやしないかと不安になる程。北野雄一郎氏演ずるK(カフカ)が皆に『変身』を読み聞かせている。チェコの首都プラハ、モルダウ川に掛かるカレル橋。ベドルジフ・スメタナの『モルダウ(ヴルタヴァ)』が知られている。林光氏の作曲は全編名曲。無理に作ったような引っ掛かる部分がない。そして出演者全員が美声。歌を聴いているだけで満足。
    朝起きると突然、巨大な甲虫に“変身”していたグレゴール・ザムザ(北野雄一郎氏)。父(高野うるお氏)、母(鈴木裕加さん)、妹(入江茉奈さん)、女中(豊島理恵さん、熊谷みさとさん)にこの姿を見られる訳にはいかない。会社からやって来た支配人(沢井栄次氏)がドアを開けろと喚く。何とか開けるとその姿を見た者達はパニックに。沢井栄次氏はゴロゴロ転がって階段落ち!衝撃の演出。後半登場の3人目の老婆女中(西田玲子さん)が強キャラ。気取った不愉快な下宿人(沖まどかさん、泉篤史氏、金村慎太郎氏)の咀嚼音ASMRオペラ。

    入江茉奈さんが綺麗だった。
    前田正志氏のファゴットが強力。

    実は今回初めて『変身』という作品を理解した気持ちになった。母親(鈴木裕加さん)の愛情という名の付いた強圧的な支配欲。優しい笑顔と物言いで子供をずっと隷属させようとする。幾らそれに否を唱えても決して理解してはくれない。愛なのだから、と。これは家族という世界で抑圧され廃人になった男の物語だった。廃人になり社会的に不要な邪魔者だと疎外され孤立する不具者。そんな男の目から見た家族の光景。
    傑作。

    ネタバレBOX

    巨大なゴキブリに暗い部屋で餌を与える妹(入江茉奈さん)。

    銀行で小間使いとして職を得た制服姿の父親(高野うるお氏)が林檎を投げ付ける。

    極度な傾斜の段に冷や冷やしている観客を嘲笑うかのように鈴木裕加さんの階段落ちやまさかの一斉全員落ち、林檎のキャッチボールなど八百屋舞台を逆手に取った鬼演出。

    全員仮装舞踏会のような格好で踊り狂う、まさかのシーンもある。入江茉奈さんがガーターベルト姿で悩ましく太腿を見せ付けて踊る。

    ※余談。
    古本屋で『変身』を買ったら、BUCK-TICK全員のサインが入っていたという話を昔SNSで見た。

    BUCK-TICK 「PHYSICAL NEUROSE」

    夢から醒めたらグレゴール・ザムザは OH OH OH METAMORPHOSE

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    2025/09/23 17:37

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