実演鑑賞
初日観劇。目の前で流れている涙に揺すぶられ、自分の目から流れてくる涙に抉られ、人と人の間で生きていく以上一つの答えなど出るはずがないと思い知った130分。自分の不足と過信を思い知った130分。
まっすぐ行けば着く道を何度も曲がって遠回りをして帰った。
全員のことを思うと、誰も何も悪くなくて間違っていない。でも、一人のことを想うと、みんなが少しずつ悪くて間違っているように思える。そういう果てしのないことに向き合う作品、向き合い続ける作家と俳優、そしてその奥でまさに今を生きている人々、その存在のことを考えた。答えは出なかった。
その人がもっているものではなくて、その人そのものだけで他者を見つめることができたならどれだけいいだろう。林先生の言葉に頷きながら、それでもその難しさに途方に暮れる。そして、その頷きや途方にすら不足と過信が否めない。足りぬ想像と過ぎる感傷の狭間で私はそう痛感する。観られてよかった。
戯曲も俳優も凄まじい作品だったけど、「満足度」という言葉とその余韻には乖離が生まれる。作品を見て満足するというのはどういうことか、ということについても考えさせられた作品でした。
そういう理由で、やはり今の段階で、”満足度”はつけないことにします。
観られてよかった気持ちとしては星5の気持ちです。