実演鑑賞
満足度★★★
「加害性」について考える1年間のプロジェクト/三部作の一作目。今作では「男性が背負っている加害性を表面化し、その先にある人間として誰もが持ち得る普遍的な加害性を描」くとのことだったが、作品が特に焦点をあてていたのは「家」の制度や家父長制だったように思う。上演において複数の異なるレイヤー(多くの場合、大人/子供/現実の三つのレイヤー)が重なり合うTeXi'sのスタイルを巧みに使い、俳優の身体に異なる方向を向いた複数のベクトルを宿らせることで「家」をめぐるアンビバレンツや男性が抱く屈折した感情を身体化してみせることに成功していた。三部作の一作目ということもあってかテーマを示すにとどまってしまった感はあり、ここからプロジェクトがどう展開していくのか見守りたい。攻撃的・暴力的言動が続くので見ていてしんどい時間が長く、TeXi'sに限らずこのようなテーマを扱う際にそれをどう処理すべきかというのは考えるべき点なように思う。上演自体が撃つべき暴力の反復になりがちなので。