「あぁ、自殺生活。」 公演情報 劇団夢現舎「「あぁ、自殺生活。」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     自死というテーマで様々なことを思考させてくれる作品、その行為が成功してしまえば二度と再びこの世には戻ってこれない事象だけに、いくらでも深堀りすることができ、様々に微妙なユーモアを紛れ込ませることもできる処が今作の強みだろう。役者陣の演技もグー。

    ネタバレBOX

     頂いたパンフの中には令和4年の我が国の自殺者数他、令和5年の自殺手段、理由、曜日、月、県などが上位3位迄記されていたりする。
     実際に演じられるシーンは圧倒的に鉄道への飛び込み関連が多いのは、それだけ他者への影響力も大きく、賠償請求額も高額になるということがあろう。
     ところで自分の好みでは自殺という言葉より自死を選びたいので、以下の表記では自死を用いさせて頂く。病死、事故死、自死、衰弱死等々死に方は様々だが現在までの処人間も生まれた以上必ず死を免れることは無い。掛かるが故に総ての哲学的思考は死すべき定めを自覚することに原点があると考えられる。その可成り純粋な形が自死の形を採って現れる場合があろう。このようなケースが最も論理的に自死の軌跡を追いやすいケースではないだろうか? 今作では、呆けてしまい醜態を晒すことを恐れて。そのような醜態を晒す前に自ら命を絶つケースである。実際、このようにして亡くなった方がいらした。極めて優秀な研究者であり、ユニークな研究者でもあった方である。業績も大きかった。継承者も育てた上で自死を選んだ背景は、矢張りお歳を召してそれ迄確かであると信じてきた生活の中での認識が、視聴覚の衰えやレスポンスの遅れ等でそれ迄通りにはゆかなくなったという自覚が、自ら築いてきた実績を汚すと考え、矜りを傷つけられたということだと愚生は考えている。無論、今作の別の部分でたくさん描かれているように会社の同僚や上司等から散々いびられ、貶された結果追い詰められて死を選ぶケースも多かろうが、このケースでは様々な要素が入り込む為社会的要因や力関係、時代や生きている場所のその時点での価値観等要素が多い為中々自死という不可逆的で自分自身では自ら認識し他者に伝えることが出来ない自分の死について客観的な視座を持つことは不可能であること、また先に述べたように要素が多すぎて分析せねばならぬことが多岐に及ぶ為焦点が呆けてしまい易いことなどからアプローチしない。このような思考もあって自分は自死という言葉を選び如何なる場合にも自死は個々人の権利であるとも考える次第である。今作を拝見して以上のようなことを考えた。

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    2024/04/19 20:08

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