実演鑑賞
満足度★★★★★
リア王は初めて見た。幕が上がると、王国的な装飾や衣装の何もない舞台にびっくりしたが、さらに白壁も取り払って、がらんとした素舞台になったのはさらに驚き。それだからこそ、人間関係と喜怒哀楽がくっきりと見えた。思い切った演出だ。
主筋より副筋のグロスター(浅野和之)とエドガー(小池徹平)が哀れで、二人で助け合っていくくだりが印象的。数年前のシェイクスピア名場面集的な河合祥一郎の「ウイルを待ちながら」でも、見せ場になっていた。エドマンド(玉置玲央=大河「光る君へ」でも、屈折した悪役で活躍中。今回はダテ眼鏡であまり悪人顔には見えない)もイアゴー的な悪党で、二人の姉(江口のりこ、田畑智子)より悪党ぶりがすごい。三人が醜い三角関係になり、それが自滅の原因になるのも因果応報になっている。