君といつまでも 公演情報 バジリコFバジオ「君といつまでも」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    面白さの宝石箱やぁ〜〜! 不器用だけどねぇ
    何と言ったらいいんだろう。
    そう、

    シアワセだなあ。
    ボクはキミといるときが一番シアワセなんだ。
    ボクは死ぬまでキミを離さないよ、いいだろ。

    って、思わず「君といつまでも」by uozo kayama の歌中の台詞を言ってしまいたくなるぐらいに、シアワセ度が高く、私にとってのツボばかりが散りばめられているような舞台、というか劇団だ。

    前説から始まって、ラストまでの約2時間は、楽しくってしかたない。ずっと見ていたい(前説も楽しいので、劇場にはぎりぎりではなく早めにどうぞ)。

    ネタバレBOX

    毎回フライヤーを飾る、一種独特の(翳りのあるというか特殊というか・・・)人形の造形と、それが動きしゃべるというだけで楽しいのだ。

    また、どうでもいいような細かいディテールに溢れた、演出&演技には、笑みがとまらない。
    例えば、オープニングで、焼き肉食べ放題の店に行ったカップルが話しているとき、身振り手振りで話す女性が、思わず手を前に出して、そこにある設定の焼き肉の鉄板に手が触れてしまったらしく、「アチチ」なんて言う、どーでもいいディテールなんかには見ほれてしまうのだ(ああ、この感じ伝わらないだろうなぁ・笑)。

    物語は結構複雑。

    初めてデートするカップルがいる。女性は、ホームレスに絡んでいたヤクザとケンカして約束の時間に遅れてしまう。そこで予定していた映画の前に食事に行くのだが、そこは焼き肉食べ放題の店であった。
    そこで、男は、店の中の会話で、結婚詐欺の話、カッパの話を聞いてしまう。
    カップルは、カッパのいるという川に出かけ、男はカッパを目にしてしまう。それを追っていくと、ホームレスのいる場所に出くわす。

    一方、ホームレスを監視しているヤクザがいる。兄貴分は、映画の話に熱くなり、弟分はそれに付いていけない。

    また、同じようにホームレスを監視している探偵と助手がいる。探偵はホームレスの中にいる女性を見て驚く。

    ホームレスたちの中に入ったカップルは、ホームレスたちと、「星影のワルツ」でダンスを踊る。

    カップルの男は、このときカゼを引き、それが原因で2週間後に死んでしまう。えっ!? 死んでしまう?? そうなのだ、てっきり主人公かと思っていた男は死んでしまうのだ。

    ここで、タイトルが出る。そう、ここまでが今回の舞台のオープニングなのだ。

    これだけいろんな、エピソードを含んだ登場人物が現れ、物語が進んでいく。さらに進むに従って、児童書の挿絵描きとその同棲相手とその母、あるいは結婚詐欺師やキツネや、神などがそれぞれの意味を持って登場し、さらにエピソードを膨らませていく。

    いろんな疑問が浮かび、果たしてどこにどう結びついていくのか、という想いを載せて物語はさらに進行する。

    亡くなってしまった妹を想う兄弟、相手を失ってしまったカップルの女、駆け落ちしてきた同棲中の男女、記憶を失ってしまった父を想う娘など、人を想う気持ちが、不器用にしか表現できない人たちが、不器用ながらも、気持ちに素直になろうとする様子や、気持ちが動いていく様子も、笑いの中に、丁寧に込められている。
    不器用さが心に響く。
    それが「君といつまでも」なんだ、まったくもって。

    単に面白ければいいじゃないか、ということだけだはない、作・演出の良さがそこにある。

    ラストに行くに従い、それが、じーんとしてきたりするのだ。ラストの楽園のシーンなんかは、台詞がないのに(妹の足が治っていたりして)、本当にいいのだ。結局のところ、優しい。

    急に全員が舞台に現れ、踊り、歌うシーンには、うかつにも(笑)感動してしまいそうだった。

    そう、劇中で使われる音楽も効果的だった(不気味すぎるオープニング映像のときの曲は何ていう曲だろう?)。

    結局、すべてのエピソードがカンフーアクション的な展開になっていくという強引さも、なかなか捨てがたい。ここには「なぜ?」なんて理由を差し挟む余地はない。とにかくそうなっちゃったから、そうなるのだ。いいなあ、この感じも。

    6月243日なんていう設定もいいなあ。梅雨も6月も終わらないなんていう。

    役者では、最初にカップルとして登場する男女(三枝貴志さん&辻沢綾香さん)の雰囲気が良かった。男の語り口と、女のホントは強いという設定の表現が。
    そして、同棲中の女の母(木下実香さん)のどこか飄々とした演技(娘:古市海見子さんとの危ないギャグの応酬も忘れてはならない)、また、探偵助手(新井田沙亜梨さん)の独特のテンション(唯我独尊の台詞回し)、児童書の挿絵画家(武田諭)の神経質な様子の演技なども印象に残った。

    それと人形と美術を担当している木下実香さん(あのお母さん役の方なんだ!!!)の功績は忘れてはならない(マックセットに付いて来るノリスケ人形がよく見えなかったのが残念)。

    あの人形たちの携帯ストラップが、グッズとして販売されていたら、買うんじゃないかな、いや、私ということではなく、誰かが、たぶん。

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    2010/06/20 05:12

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