愛死に【ご来場ありがとうございました。】 公演情報 FUKAIPRODUCE羽衣「愛死に【ご来場ありがとうございました。】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ちょっと下品でエロくって、歌が心の柔らかいところを刺激するような妙ージカル
    小劇場の良さって何だろう、と考えると、やっぱり、演じ手との距離の近さではないかと思う。
    近いことで生まれる一体感と、近いからこそのウソのない真剣さが感じられることがある。

    FUKAIPRODUCE羽衣 の舞台を観ると、なんか、そういう「小劇場の良さ」を味わえるように思える。

    叫んでいるから熱いのではなく、真剣な姿勢が熱いとでも言うか、熱量の放出が気持ちいいのだ。

    とにかく、ここで歌われる「歌」が好き。身体に合うんだなあこれが。
    クセになる感じと言うか。
    かつて、こまわりくんがチャンピオン誌上で「慣れれば美味しいくさやの干物」と叫んでいたのを思い出すというか、そんな感じ。

    でも、好みが分かれるんだろうなぁ、この劇団。

    ネタバレBOX

    オープニングのロッキングチェアの軋む音、ギーギーなんていう音を声に出して、重なり合う、さらに1音1音区切って発する台詞それらが織りなすのは、音楽だった。
    いわゆるポリリズム。

    このあたりから、ヤラれるのだ。
    導入の見事さ。続く物語への期待感。

    6つのカップルが、それぞれを語る。
    それは、端から見ると単なる「バカップル」で、「見てられない」ものだ。だって互いに互いしか見えていない世界を横から見ているのだから。
    恋愛中の誰もが経験するような、端から見ると、バカで濃密な時間が繰り広げられる。ここは、お下品でちょっとエロい。
    (だじゃれ攻撃には、苦笑つししも・笑)

    6つの愛の形でもあり、6つの愛の段階でもあるように思える。

    濃厚な舞台とは対照的に、中盤から突然、律儀(笑)でパンクなカップルが登場する。舞台の上で繰り広げられる痴態とは、まだ縁のない無垢な(笑)パンクカップル。
    彼らは、夜の劇場に忍び込み、何も行われていない舞台にそれぞれのイマジネーションを投影するのだ。

    この視点が入ることで、舞台の幅が広がったような印象を受ける。

    つまり、とにかく主観的な恋愛事情が、観客という視線だけではなく、パンクカップルの視線により、さらに客観性を帯びてくる。

    ただ、その客観性に、意味が欲しかった。つまり、作者からの客観性の意味づけが欲しかったと思う。それがあって、初めて「客観性」が完成したように思える。

    ラストの海と死へのアプローチは、受ける印象が観客によって分かれるのではないだろうか。
    1人で海に行く者、カップルで海に行って「どこか遠いところ」に行きたいというカップル。

    そこで、パンクカップルの視線、つまり「舞台の上の虚構」に対する視線が効いてくるように思えた。

    シェイクスピアじゃないけれど、「死? 眠り? それとも夢?」の世界へ行ったのではないだろうか、と思ったり。

    残念なのは、叫ぶ歌の歌詞が聞き取れないところが随所にあったことだ。特に大切であろう個所が、熱っぽく叫ばれてしまっていたので、そこが聞き取れなかった。
    せめて、当パンで、歌詞を付けてもいいんじゃないかと思う。歌詞は大切なのだから。

    登場人物はすべてが濃い。ねっとりしている。そこがいい。
    そして、全員が常にせり出した舞台の上にいる状態で、1カップルずつスポットを浴びるのだが、よく見ると、残りの5つのカップルも止まらず演技を続けている。薄暗がりの中にあって、細かくは見えないのだが、明らかに演技も表情もストップせずにフルスロットルの状態にある。
    汗だく。
    この感じは、詳細が見えなくても必ず観客に伝わる。これが、この姿勢が大切なんだ。

    また、今回の舞台は、よくよく考えると、『朝霞と夕霞と夜のおやすみ』にその構造が似ている。似ているというよりは、そのまんまである。

    オープニングの静かな入り方と、各カップルが順番に並列的に現れる様子。そして、『朝霞と・・・』のまどろむ中での歌に該当するのが、律儀なパンク風カップル。さらに『朝霞と・・・』では山に登り夕日が印象的だったが、今回は海に行き夕日が沈む。
    まったく同じ構造なのだ。

    でも、いい、それでもいいんだ。

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    2010/06/15 06:49

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  • いや私ではなく、さきえさん、めっこさんのお陰です。

    2010/06/18 07:44

    アキラ様

    アキラさんの御尽力のお陰で、歌詞カード問題は一件落着したようですね。
    これでさきえさんも御気が晴れたことでしょう。
    ありがとうございました。

    そうそう、私もDM特典、すっかり忘れていました。

    2010/06/18 02:00

    めっこさん

    コメントありがとうございます。

    >あれだけの広い空間なのにちゃんと暑苦しくて。

    そう! そう! 笑。 
    しかもねっとりしてましたよ!

    >歌詞カード(というか脚本?)、終演後のロビーにひっそりと置いてありましたよ。

    ええ! 知らなかった。毎回そうやって置いてあるんでしょうか。
    なんとか手に入れたいものです。

    あとDM特典があったのを忘れてて、持って行くのを忘れてました。

    2010/06/16 00:59

    今回も羽衣、よかったですよね。あれだけの広い空間なのにちゃんと暑苦しくて。

    歌詞カード(というか脚本?)、終演後のロビーにひっそりと置いてありましたよ。アナウンスも無かったからうっかり見逃すところでしたが。物販見ようとふらっとしてたら発見しました。
    私も聞き取れなかったところいくつもあったので、帰りに読んで楽しみました。

    2010/06/15 22:19

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