いつぞやは【8月27日公演中止】 公演情報 シス・カンパニー「いつぞやは【8月27日公演中止】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    8/21、一番集客があるであろう窪田正孝氏が第一頚椎の剥離骨折による降板を発表。開幕まで一週間を切った状態で平原テツ氏が代役をすることに。加藤拓也氏にとって最も頼れる俳優。流石に文句なしの演技。ただ窪田正孝氏バージョンも観てみたかった。本来はどんな作品を構想していたのか。

    主人公の劇作家(橋本淳氏)が5歳年上の役者の友人(平原テツ氏)と久し振りに会う。大腸癌のステージ4で、青森の実家に帰るとのこと。帰る前に何か演劇的なものをやりたくなる役者仲間達。平原テツ氏は帰省後、地元でヤンキー仲間の鈴木杏さんと再会する。劇作家は思う。「そう言えば彼は『自分の人生を舞台にしてくれ』とよく言っていたっけ」。

    多分実際の友達の話なのだろう。何年か前、加藤拓也氏が三軒茶屋の居酒屋で演った芝居を観た。入場料は500円。ふざけた仲間内の下らない与太話だったが面白かった。
    死んだ友達について作品を書くという行為。『ドードーが落下する』も話としては同じ系統だった。酷く突き放して冷たい目線でないと良い作品にはならない。非人間的な作業。ドキュメンタリー映画の監督が対象にもっと残酷な展開をねだるように。所詮はこんなもの、他人に供する娯楽でしかない。それを書く自分自身の醜さも冷徹に見つめて。

    ネタバレBOX

    まああんまり面白くない。大麻でラリってクラブでノリノリ、なんてギャグとも思えず。宙に浮く風船人形が良かった位。平原テツ氏がテーブルに反吐を吐き、それを綺麗に掃除する鈴木杏さん。たっぷり時間を掛けてステージ上の小道具を一つ一つ収納していく。この時間が自分的には一番面白いシーンだった。反吐と天井からの落下物が『た組。』のお約束。
    橋本淳氏の書き込みが無さすぎてバランスが悪い。

    ペドロ・アルモドバルの『ペイン・アンド・グローリー』という傑作自伝映画がある。かつて世界的名声を誇った映画監督、今では病による全身の痛みを癒す為、ヘロイン中毒となっている。想い出す幼き日々、同性愛に目覚めることとなった出逢い。失った恋人との偶然の再会が、もう一度生き直す切っ掛けを生む。久し振りに撮り始める新作は勿論この作品自身。
    過去と現在と撮影中の映画が混合して魔法をかける不思議な時間。他人の話なのに観客の魂が再生される。
    演るんならそんな作品を期待してしまう。

    窪田正孝氏目当ての女性客が多かったと思う。感想を聞いてみたい。忖度なしで。
    無理して自分の経験から物語を捻り出す必要はない。じっとその時まで溜めておけばいい。長谷川和彦の『太陽を盗んだ男』なんか舞台化すれば合うのではないか。

    平原テツ氏は役作りの為にわざとハゲを作っているのか?
    たまの「さよなら人類」が耳に残る。
    越後拓哉氏。

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    2023/09/03 21:19

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