実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/02/11 (土) 18:00
開演前、当パンを見ると人物相関図が載っていてありがたいけど、込み入ってる上にキャストが皆さん複数の役で登場するらしい。ちゃんとついていけるか、やや不安になる。
ステージ上に廃墟となった劇場があり、そこで演じられる桜姫の物語。棒読み調の台詞や寝転がる出演者に最初は戸惑ったけど、なんていうかその外から見ている感じと激動の展開との温度差が面白く感じられて。結局は怒涛の物語性と俳優陣の魅力が印象に残る舞台となった。
上演中、キャストはずっと出ずっぱりであった。(舞台上の)廃劇場のステージを降りるとその周囲に座ったり寝転んだりしつつ他の人の芝居を観て、水を飲んだり風船ガムを膨らませたりしながら大向こうをかけたりする。その大向こうがタイミングよく、ときに面白くて笑いを誘ったりもした。
禁断の恋から始まった桜姫の物語は、巡る因果と濃厚な人間関係を平坦な現代語訳で綴りながらさまざまな仕掛けによって古典のあり方を揺るがしたりなぞったりしつつ進んでいく。平坦さの中に浮かび上がる様式美と運命に翻弄された人々の悲哀が観終わってからも胸に残った。