韓国新人劇作家シリーズ第7弾 公演情報 韓国新人劇作家シリーズ実行委員会「韓国新人劇作家シリーズ第7弾」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     1ステージ2作品ずつ上演する形式だ。今回自分が拝見したのは上演順に1が35分、場転の為15分の休憩を取って2が55分である。2作品とも素晴らしい。今回他の作品は予定が立て込んでいて拝見できないが全作品拝見したい作品群である。何れも優れた作品であることは容易に推察できるからだ。(15日、いきなり停電して復帰に手間取った。1本だけ送信に成功したのだがその後送信できず、本日漸く工事終了するも、この暑さで汗は滝のように流れパソコンが危ない。追記後送)

    ネタバレBOX


    「名誉かもしれない、退職」2023.7.14 15時
     とあるカフェ、部長から呼び出された3人の社員、パク・インターンは流石というか儒教思想が未だ日本より遥かに残る韓国社会の所為か一番早く来ている。次にジョン代理、最後にやってきたのが、三人のうち一番格上のキム課長である。当初互いに相手の腹の探り合いから対話が開始されるのだが、やって来た順番で対話の内容が本質に近づいて行き、結局は現れなかった部長を含め重役未満の同一部署内の1人がリストラ対象となることを巡って、では誰がその貧乏くじを引くか? のすったもんだを描く。韓国の超学歴社会と経済格差が引き起こす諸問題などはこれまで散々映画などでも上映されてはきたが、少子化は止まる気配もない。この深刻な状況を僅か35分の作品で見事に描いた。流石である。一部署だけをキチンと描くことで韓国社会の抱える最も重大な問題を鋭く抉り出している手腕も見事。日韓共同のプロジェクトなので脚本は韓国のキム・ヨンミンさん、翻訳は李知映さん、演出は金子賢太朗さん、出演は大井克弘さん、関信豊さん、竹園和馬さん、なお今作は慶尚日報新春文芸戯曲賞を受賞している。
    「変身」
     変身と聞けば大抵の人はカフカの「変身」を思い浮かべようが、作品としては全く異なる。先ず扱われているのが個々人の実存ではなく社会的日常性に於ける圧倒的な差、殊に落差に対する恐怖が根底にあると思われるのだ。今作もカフカの抱えていたような社会からの疎外は当然在る。然し今作では、今自分自身が生きて構成している社会という世界からいつなんどき振り落とされるか分からない激しい競争に勝ち残れるか否かを巡る不安が蜷局を巻いているような気がするのである。

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    2023/07/17 16:27

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