あげとーふ 公演情報 無名劇団「あげとーふ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    高校生5人組の卒業旅行を描くロードームービー的舞台。

    ネタバレBOX

    劇団の母体となる演劇部が高校の全国大会で準優勝した時の作品を15年ぶりにリメイクした上演。テキストはテアトロ新人戯曲賞佳作を受賞している。この高校の大会で上演したのが2008年とのことなので、自分とはほぼ同世代ということになる。舞台は卒業旅行中のアメリカで、道中様々なトラブルが起き、それぞれの少年達が抱える葛藤や問題を乗り越えたり抱きしめたりしながら物語は進んでいく。
    物語としては映画「スタンド・バイ・ミー」よろしく、ある種の伝統と形式に則ったプロットで描かれ、斬新さの代わりに安心感を得ている。役者の演技は情熱的で、20人程のキャパの会場において熱気が伝わってきた。一歩外に出ると西成の商店街に位置しているということを意識する観客もいただろう。
    ここまで書いてきて思うのは、自分は本作の本来の没入感を捉え切れていない気がする。これは、自分が“高校演劇”というジャンルを捉え切れていないことにもつながる気がしている。大人になってから“高校演劇”というものを知った自分は、それが単に「高校生の演劇」であるだけではなく、“高校演劇”自体を愛好する人々がいることを知った。例えだが野球であってもプロ野球の方がレベルが高いことは承知の上で、それとは別に甲子園球児を応援する人々の気持ちと言うべきか。ある種の熱狂は、それを知るものにしか共有出来ないものがあるのかもしれない。その時人々は、技術やクオリティを見ているわけではないのだ。
    これは、何も高校演劇が特異なものであると言及したいのではなく、特定の人々が理解できるある種の文脈がその作品にとって重要な場合、そうでない人々はどう観たら良いのか、という他の作品にもつながる課題であるように感じる。

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    2023/06/10 19:52

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