Wの非劇 公演情報 劇団チャリT企画「Wの非劇」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    配信も含めれば観る頻度が上がったチャリT企画。同じ「ふざけた社会派」でも、自分にフィットするかは毎回違っている気がする。中々捕えどころがない劇団、と感じる理由は、「社会派」「ふざけた」という真反対の要素の分量比で雰囲気が変わるからか・・。軽妙さと皮肉とは比例せず、軸がどちらかで空気が(場合によっては物語も?)変わる道理であるので、どちらかと言えば前者を大事にすると見えるチャリTの「皮肉」の効き具合は作品によって起伏がある訳である。・・と色々とそれらしい事を考えてみてもこの書き手の感覚はよく掴めないのである。
    いずれにしても今作は両者(軽妙と皮肉のことね)がうまく出会い、問題への踏み込みがコメディ度を高め、賑やかかつ目まぐるしい展開が本質を逸らさず逆に穿つといった具合で。要は出来が良かった。
    俳優陣が存分に役を演じ切れていた事もテキストの良さを証明していそうである。題材のタイムリーさ(ビッグウェンズデーに乗ったかのような)もそうだが、演技とシチュエーションの<美味しさ>は密度が濃かった。
    もっとも序盤に必ず訪れる「リアル」との葛藤は健在?だが。(今回ので言えば深刻なレイプ疑惑の告白を聴く友人の態度、また話す側の態度、二つを足した時の奇妙なリアリティの無さ・・だがここでの課題は「出来事の提示」。自分も段々とそういう見方が出来るようになってきた。)

    ネタバレBOX

    プロデューサー・ジョニーが集めた新人の下の名前「太郎」「レオ(玲央?)」に着目し、ウルトラマンブラザーズ結成を企画。他にも居ないかと探させ、見つけたのが「ゾフィー」(笑う所)30歳。三人が「合宿所」に呼ばれるその前、「噂」を心配するノッポの青年、小柄なクール顔、そして熱いキャラの30男の会話が面白い。小柄男はそういうのは慣れている、商売でやってた事もある、と告白。「引いた?」「でもいざとなったら俺が盾になってやるから」と心強い。熱い30男はあくまでやる気満々の風。で、いざ合宿所へ。夜。ジョニーがやって来る。ノッポの布団に入って来るが、小柄男はなんと熟睡。万事休す、とそこへ熱い30男はこの時のために潜入した旨を明かし、ウルトラゾフィーに変身(このあたりでトーンが変わる)。悪者は退治され若いジュニアは事なきを得る。カーット!の声で映画はクランクアップ。

    この芝居でシリアスを担うのは「被害者」(実は酒飲んで記憶が飛び、自分が新進映画監督の腕を引っ張ってラブホに入り勝手に服を脱いで朝を迎えただけの女性のタレントの卵)のあつかいを巡って周囲が右往左往している中、「知られざる過去」に焦点が当たる、その部分。
    冒頭からの本筋からは脇へ逸れるが、無理なくこのエピソードに入り、過去あったいじめ自殺、その真相は・・と謎へ分け入る。ここで「性被害」(女性の)に触れられる。胸が苦しくなる。

    さて現実の日本では、ジュリー藤島の会見映像を境に潮目が変わり、被害者を「被害者」として遇する報道が支配的となった。利害で繋がった領域には報道も筋を曲げる。(その直前までとは打って変わったのはネット世論も同様。)
    その一方で、安倍晋三隆盛の時代に起訴を取り下げられたジャーナリスト山口某(安倍礼賛本を書いた)が強姦した相手による告発には、セカンドレイプが起きた。安倍王国に傷をつける邪魔者だったからだろう。そうした構図は今も変わらない。
    ジャニーズの件では、その事まで問題を遡求し、問題を「見える化」してほしいと真面目に思う。統一協会とのズブズブも国民は許したようである。

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    2023/05/22 13:40

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