しゃぼん玉の欠片を眺めて 公演情報 TOKYOハンバーグ「しゃぼん玉の欠片を眺めて」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2023/03/05 (日) 14:00

    座席1階

    かつて3人の子どもを育てた夫婦が建てた多摩川沿いの家に、今は年老いた母親が一人で住む。さして汚れも目立たないのに、母親は半年に1回だったハウスクリーニングを月に1回頼むようになり、さらに「次の日も来て」というようになった。家族経営で顧客が少なく、「お客が頼めば汚れが目立たなくても掃除をするのがプロだ」と言う社長。しかし、この母親がハウスクリーニングを頼むのには別の理由があった。

    老親と子どもたちの擦れ違いは、お互いの事情を思いやる心から生まれているのではないか。今作も、「子どもには迷惑をかけず一人で暮らす」という母親に対し、3人の子は「いつ何時何が起きるか分からないから」と傘寿の祝いにかこつけて長女宅への同居を持ち掛ける。特に今回の夫婦の場合、夫が要介護となり施設に入居して死亡するという経緯をたどり、自宅で暮らせなかったという無念さが母親のかたくなさにつながっていると思われる。
    どこにでもあるような親子の物語で、それぞれの事情を会話劇を通して浮き彫りにしていく。うまいと思ったのは、母親宅に入ってくるハウスクリーニング業者の視点でも語らせていることだ。実家に寄り付かない3人の子どもたちと対照的に、ハウスクリーニングに訪れる従業員たちがまるで実の子どもか、あるいはヘルパーさんのような立ち位置になっていて、親子のすきま風を際立たせる。

    こうした親子の再統合の小道具がしゃぼん玉だ。ノスタルジーもあって、すこしほろりとさせられる。自分としては最後に描かれる母親の姿には残念な感じもしたが、劇中登場する喫茶店の名前が「家族」を象徴するところなどには少し、胸が熱くなった。

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    2023/03/05 18:59

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