老いた蛙は海を目指す 公演情報 劇団桟敷童子「老いた蛙は海を目指す」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    12月27午後、東京は墨田区のすみだパークシアター倉で上演された劇団桟敷童子『老いた蛙は海を目指す』の千穐楽を観に行った。これは、知り合いの役者もりちえが出演していた関係からである。今回の公演では、劇団員で常に重要な役をこなしている原口健太郎と大手忍が外部団体出演のためこの公演には参加していなかったため、その欠けた分をどう盛り返していくか心配なところだったが、どうして重量感あふれる素晴らしい舞台であった。

    いつもなら粗筋を書くことで感想の一部にさせてもらっているが、今回は粗筋がやや込み入っているので省略させてもらい、役者の演技についてのみ書かせもらおう。
    今回の舞台での最大の功労者は、その存在感で他の役者を圧倒した青木勝の存在であろう。さすが他の劇団を主宰しているだけあって、演技の深みが凄かった。それに負けず劣らず存在感を発揮したのが、藤吉久美子、鈴木めぐみ、佐藤誓、三村晃弘、そして板垣桃子であった。全編を青木が支配するかと思えた舞台の後半から存在感を増し、ラストシーンを締めくくった板垣の演技も青木に勝るものであった。全体的に出演者が多かったのだはあるが、おのおの特長を生かした役柄をこなしていたのはさすがである。
    もりちえは何度目かの夫婦共演であったが、それぞれ 熱烈に役をこなしていて観ていて爽快であった。いや、この作品で爽快感を感じるのはちょっと違うのかも知れない。絶望の中の小さな光。それを誰が掴むことが出来るのか。結局は誰も掴めないのではないか。そんな絶望感に光があるとすれば、それは死というものなのかもしれない。
    これななかなか根深いテーマであると思う。
    次回はもう少しスッキリした気分の味わえる作品を観てみたい。次回公演『海の木馬』が楽しみである。

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    2022/12/30 16:24

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